公開日 2023年11月17日
函館市の空家等対策
- 空家の現状
- 空家等対策の推進に関する特別措置法について
- 空家等とは?
- 特定空家等とは?
- 函館市空家等対策計画
- 空家等に対する市の対応
- 空家等に関する調査
- 空家等の所有者等の皆さまへ
- 相続について
- 空家等対策に関する各種制度のご案内
- 専門家によるアドバイス
- 税制特例措置(相続した空家の譲渡所得の特別控除に係る被相続人居住用家屋等確認)
- 空家に関する相談窓口
空家の現状
近年、人口減少や少子高齢化の進行、社会的ニーズの変化および産業構造の変化等に伴い、長期にわたり使用されていない住宅やその他の建築物、いわゆる「空家」が増加し、全国的な社会問題となっています。その中でも、適切な管理が行われず放置されている管理不全な空家の増加が大きな問題となっています。
1.管理不全な空家数の状況
市内の空家の数は,毎年度平均約100棟程度が除却されますが,約120棟の新たな空家が発生しており,令和5年度末は2,029棟となっています。
2.地区別の管理不全な空家数の状況
地区別の空家の状況ですが,重点対象地区(西部・中央部地区)では,空家の棟数が徐々に減少してきておりますが,重点対象地区以外の4地区のうち,東央部,北東部および北部は増加しており,東部については横ばいとなっております。
空家等対策の推進に関する特別措置法について
このような状況の中、適切な管理が行われていない空家等が、防災、衛生、景観など地域住民の生活環境に深刻な影響を及ぼしていることから、地域住民の生命、身体又は財産を保護するとともに、その生活環境を保全、空家等の活用の促進など空家等対策を総合的かつ計画的に推進するため、平成26年11月に「空家等対策の推進に関する特別措置法(以下「空家特措法」という。)」が制定され、平成27年5月に全面施行されました。
この法律では、空家等の所有者や管理者に空家等を適切に管理する責務があることや、市町村が空家等に関して必要な調査を行うことができること、さらに適切な管理が行われず周辺の生活環境の保全を図る上で放置しておくことができない「特定空家等」の所有者や管理者に対し、除却、修繕、立木竹の伐採、その他周辺の生活環境の保全を図るために必要な措置をとるよう助言、指導、勧告、命令、代執行ができることが定められています。
空家等とは?
ひとくくりに「空家」といっても、どういう状態を指しているのか判然としません。
「人が住んでいない」のはもちろんですが、「人は住んでいないが物置として使っている」、「長期間入院しているため不在のままとなっている」、「住民票は置いたまま別の施設に入所している」といった場合はどうでしょうか。
空家特措法では、空家の定義について、「居住その他の使用がなされていないことが常態であるもの」と定義しています。これは、その建物が長期間にわたって使用されていない状態をいい、概ね年間を通して使用実績がないことが1つの基準となっています。具体的な空家か否かの判断においては、人の出入りの有無、電気・ガス・水道の使用状況や使用可能な状態にあるか否か、登記記録や住民票の内容等を勘案して客観的に判断することになります。つまり、物置として利用していても、入院や施設への入所により不在となっている場合であっても、概ね1年間、建物への出入りや適切な管理が行われていない場合は、「空家」と判断されることになります。
また、空家特措法では、空家を「空家等」と定義しています。
この法律でいう空家とは、「建築物又はこれに附属する工作物」や「その敷地(立木その他の土地に定着する物を含む)」としているため、単に「空家」ではなく「空家等」としているのです。なお、共同住宅や長屋建物については、その全部が空き室となっている場合は「空家等」になりますが、一部でも使用されていれば空家特措法でいう「空家等」にはなりません。
特定空家等とは?
空家等の中でも、適切な管理が行われず周辺へ悪影響を及ぼすおそれがあるものは「特定空家等」と呼ばれます。
特定空家等は、主に下記の状態により総合的に判断されます。
- そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
- そのまま放置すれば著しく衛生上有害となるおそれのある状態
- 適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態
- その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態
函館市空家等対策計画
本市では、空家等の適切な管理を促し、市民が安全で安心して暮らすことができる生活環境を保全するため、平成25年9月に「函館市空き家等の適正管理に関する条例」を制定するなど、空家問題に取り組んできたところであります。
その後、国において、平成26年11月に「空家等対策の推進に関する特別措置法」(以下「空家特措法」という。)が制定され、平成27年5月に全面施行されました。これを契機として本市においても平成27年12月にそれまでの条例を「函館市空家等の適切な管理に関する条例」に改正するとともに、空家特措法の規定に基づく「函館市空家等対策計画」を平成28年4月に策定し、空家等対策に係る具体の取組みを行ってきました。
しかしながら,本市の人口は今後も減少が続く見込みであり,空家等対策については,継続的に取り組む必要があることから,これまでの取り組みを評価検証したうえで,さらなる空家等対策の充実を図るため,令和3年度(2021年度)から5ヵ年を計画期間とする「第2期函館市空家等対策計画」を新たに策定しました。
函館市空家等の適切な管理に関する条例[PDF:1.15MB]
空家等に対する市の対応
(1)現地調査
地域に悪影響を及ぼしている空家等について、市民からの相談や情報提供があった場合、市では現地調査を行います。現地調査では、その物件が空家等かどうかの確認をするとともに、建物の破損や周辺への影響など状況を把握し、必要な措置や対応について判断します。
(2)所有者の調査と助言・指導
次に空家等の所有者等を調査します。所有者等が特定できたら、空家等の状況を写真などで伝えるとともに、必要な措置を講じ空家等を適切に管理するよう助言又は指導を行います。
(3)勧告・命令・代執行
助言・指導を行っても改善が見られない場合、何度か助言・指導を繰り返し行いますが、それでもなお改善が見られず、より強い行政指導が必要と判断した場合は、期限を定めて必要な措置を講じるよう勧告を行います。勧告が行なわれ定められた期限までに改善が見られない場合、期限を定めて必要な措置を講じるよう命令を行います。また、勧告後に改善が見られない場合は、固定資産税等に係る住宅用地特例※が適用されなくなり、翌年の土地の固定資産税等が約4~5倍に上がります。命令してもなお改善が見られない場合は、最終的に市が強制力を行使し代執行を行う場合があります。この代執行に要した費用は所有者等に請求し徴収することになります。
なお、空家等の状況が急を要する場合で、不動産業者の貼り紙・広告などによって、その空家等に係る連絡先が分かる場合には、そちらに直接、建物の破損状況などを連絡していただくようお願いします。
※住宅用地特例
住宅やアパートなど人が居住するための家屋の敷地として利用されている土地(住宅用地)については、次のとおり税負担が軽減される特例措置があります。
- 小規模住宅用地(住宅用地で住宅1戸につき200平方メートルまでの部分)
固定資産税:評価額の6分の1 都市計画税:評価額の3分の1
- 一般住宅用地(小規模住宅用地以外の住宅用地)
固定資産税:評価額の3分の1 都市計画税:評価額の3分の2
詳しいことは、財務部税務室資産税担当へお問い合わせください。
空家等に関する調査
市では平成28年に空家等対策計画に掲げる「重点対象地区」内の空家等の実態を調査しました。
(1)空家等の実態調査
調査期間 平成28年6月1日から平成29年3月31日
調査地区 重点対象地区(西部地区および中央部地区の51町)
調査方法 市職員による現地調査
調査結果 重点対象地区内の空家の実態調査結果について(974KB)
(2)空家等所有者の意向調査
調査期間 平成29年6月12日から平成29年7月31日
調査対象 実態調査で判明した重点対象地区内の空家等の所有者
調査方法 アンケート形式の調査票を郵送で配付・回収
調査結果 函館市の空家等所有者の意向に関する調査報告書(1MB)[PDF:1.38MB]
市では令和5年度に「重点対象地区」を除く,外環状線(通称:産業道路)の内側の区域について,空家等の実態を調査しました。
(1)空家等の実態調査
調査期間 令和5年8月16日から令和6年3月15日
調査地区 重点対象地区を除く,外環状線(通称:産業道路)の内側の地区(39町)
調査方法 委託による現地調査
調査結果 令和5年度 空家の実態調査結果について[PDF:2.42MB]
空家等の所有者等の皆さまへ
空家等の管理は所有者の責任です!
空家等は個人の財産であり、所有者等は周辺の生活環境に悪影響をを及ぼさないよう、空家等を適切に管理する責任があります。
空家等が適切に管理されないまま放置された結果、家屋の倒壊、建築部材の飛散・落下、屋根からの落雪などにより他人に損害を与えた場合には、空家等の所有者等が責任を問われます。定期的に空家等の状況を確認し適切な管理をお願いします。
※空家特措法第5条抜粋(空家等の所有者等の責務)
空家等の所有者又は管理者(以下「所有者等」という。)は、周辺の生活環境に悪影響を及ぼさないよう、空家等の適切な管理に努めるものとする。
※民法第717条抜粋(土地の工作物等の占有者及び所有者の責任)
土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う。ただし、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければならない。
空家等を適切に管理しないとさまざまなリスクを生じます!
(1)建物劣化のリスク
- 外壁や内壁の破損・剥落や窓ガラスの割れ
- 玄関ドアや門扉の破損
- 屋根材の破損・剥落
- 雨漏りによる天井や床、土台の腐食
- 動物が住みつく
- 樹木、雑草の繁茂
(2)防災面のリスク
- 強風等によって屋根や外壁材などが落下・飛散する
- 積雪等によって倒壊事故が起こる
- 放火等によって火災が起こる
- 不審者が侵入したり不法滞在する
- ゴミが不法投棄される
(3)経済面でのリスク
- 前述のさまざまなリスクに起因する事故が発生し他人に損害を与えた場合の賠償責任
- 空家特措法に基づく勧告を受けた場合、固定資産税の特例解除により土地の固定資産税の増加
- 空家特措法に基づく代執行が行なわれた場合、その費用の負担
(4)地域力低下のリスク
- 景観に悪影響を与える
- 地域の防災性・防犯性が低下する
- 地域に空家が増えやすくなる
相続について
適切な管理が行われず放置される空家等が増加する要因として、相続が大きく関係しています。
建物の所有者が亡くなると相続が発生します。所有者の遺言や親族同士の話し合いによる遺産分割協議で誰が建物を相続するか決め、きちんと所有権の登記をしていれば問題ないのですが、誰が建物を相続するか決めない、もしくは話し合いをしても決まらない場合、民法で規定する法定相続人が法定相続分を相続し所有することになります。法定相続人はさらにその後の相続の発生に伴いネズミ算式に増え、場合によっては空家等の相続人が20人以上になることもあり、「全く付き合いのない親族の空家を知らないうちに相続していた」なんてことも実際にあります。こうなってしまうと、空家等の所有者としての意識が薄くなることはもちろんですが、空家の売却や解体する際に必要な所有者全員の同意を得ることも難しくなり、結果、解決意欲も低下し、適切な管理が行われない放置空家等に陥ってしまいます。
そうならないよう、所有者やその相続人となる親族全員で話し合う機会を設けるなど、あらかじめ相続人を決めておくことがとても重要です。また、土地や建物を相続したら、きちんと所有権の相続登記をすることでさまざまなトラブルを防止することができます。
本市では、空家等の所有者や相続人の方からの相談に対し、解決に導くために必要な専門的な助言・支援を行うため、函館司法書士会と協定を締結し、協働で空家対策に取り組んでおります。空家等に関する法律相談、相続人の調査や相続登記などでお困りの方はお気軽にご相談ください。
空家等対策に関する各種制度のご案内
本市では、空家の発生抑制、利活用の促進を図るための各種支援を行っております。
【函館市の住まいに関する支援制度】はこちら
市民のみなさんが安心して生活することができる環境を確保するため、建築部材などが飛散し、または倒壊する恐れのある危険な空家の解体工事にかかる費用の一部を補助します。
空家を有効活用し街なかへの居住を促進するため、当市に移住する方が空家を取得し、自らが居住するために行う改修工事の費用の一部を補助します。
現在居住している、または居住予定の既存住宅を所有されている方が行うバリアフリー化、断熱化、耐震化の改修工事にかかる費用の一部を補助します。
函館の西部地区にある「都市景観形成地域」内で函館らしい歴史的な景観に配慮した建物の新築、購入、改修に対し、奨励金を交付します。
景観形成指定建造物等の取得、もしくは指定建造物等およびその敷地の取得、または指定建造物等の所有者がその土地の取得のため、金融機関から融資を受けた場合に支払う利子に対して助成します。
家賃補助制度
西部地区および中央部地区のアパートや戸建住宅などの民間賃貸住宅に地区外から転入する子育て世代に対して、家賃の一部を補助します。
専門家によるアドバイス
- 司法書士によるアドバイス
空家等に関する法律相談、相続人の調査や相続登記などでお困りの方はお気軽にご相談ください。
NPO法人はこだて街なかプロジェクトが、西部地区の空き家や空き地の利活用に関する相談窓口を開設しています。毎月第1・3土曜日に函館市地域交流まちづくりセンター(函館市末広町4番19号)3階のカウンターで無料相談を行なっていますので、ご気軽にご相談ください。
税制特例措置(相続した空家の譲渡所得の特別控除に係る被相続人居住用家屋等確認)
被相続人の居住の用に供していた家屋を相続した相続人が、相続の時(被相続人の死亡日)から3年を経過する日の属する年の12月31日までに当該家屋又は取り壊し後の土地を譲渡した場合、当該家屋又は土地の譲渡所得から最高3,000万円まで控除するものです。税制特例措置の適用を受けるため(税務署への確定申告時)に必要な書類のうち、「被相続人居住用家屋等確認書」の交付は当該家屋の所在市町村で行いますので、申請書に必要書類を添付して申請してください。
※被相続人の居住の用に供していた家屋とは、次の要件すべてに当てはまるものをいいます。
- 昭和56年5月31日以前に建築されたこと
- 区分所有登記がされている建物でないこと
- 相続の時の直前において、被相続人以外に居住をしていた人がいなかったこと
- 相続の時から譲渡の時まで事業の用、貸付けの用又は居住の用に供されていないこと
- 当該家屋を譲渡する場合は、譲渡の時において一定の耐震基準を満たすものであること(耐震性のない場合は、耐震改修をしたものに限る。)
空家に関する相談窓口
空家対策に関すること
〒040-8666 函館市東雲町4番13号
都市建設部都市整備課
TEL:0138-21-3358
くらしに関する総合的な相談
市民部くらし安心課(くらし安心110番)
TEL:0138-21-3110
空家を探している,空家を売りたい・貸したい
除草や除雪の依頼
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