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令和6年度 総務常任委員会行政調査

公開日 2025年01月28日

更新日 2025年01月28日

総務常任委員会行政調査

令和6年10月21日月曜日から10月23日水曜日

 

10月22日 大分市調査

<所見>

【はじめに】
 近年、災害が多発化・激甚化しており、災害発生時の早急で柔軟な対応が求められている。また、少子高齢化、人口減少などにより地域防災力の低下が危惧されている。本市としてもこれまで大火をはじめ、幾度も災害に見舞われておりその都度災害に強いまちづくりに努めてきており、令和6年2月に地域防災計画が改定され地域防災力の強化に取り組んでいる。消防団は地域防災力の中核を担っており、消防団の充実強化は地域防災力の向上に不可欠と考える。
 そこで総務常任委員会では消防団の充実強化に向け現在の課題や課題解決のための取り組みの方向性を調査することにより、地域防災力の向上に資することを目的とし、先進地である、大分県大分市へ伺い、消防団に関わる先進的な取り組みについて行政調査を行った。

【大分市の概要】 
 大分市は人口470,363人、消防団員数2,074人と函館市と比較し規模の大きな自治体であり、消防団の取り組みについては消防局総務課次長兼総務課長(消防監)より説明があった。

【大分市の取り組み】 
 大分市は消防団の全体的な充実強化の取り組みとして、平成31年3月に「消防団ビジョン」を策定しており、消防団が地域防災の中核として、市民の安全と安心を守る組織であり続けるための方向性を示し、その実現へ向けた施策を進める指針とすることで、地域防災力の向上を図ることとし、策定後は消防団の活動が活発に行われ団員の意識も大きく変化しているとのことだった。 
 また、「子供向け地域防災紙芝居作成事業」として大分市の災害リスクにあった独自の紙芝居を作成し、消防団員により市内幼稚園等で効果の高い防災教育の実施や消防団員の確保のため「Webメディアを用いた積極的な広報」を行い、Web上に消防団入団フォームや消防団の魅力を伝える動画や活動報告などを多数掲載した消防団専用のHPを作成し、幼少期からの防災教育、消防団員数の確保に積極的に取り組んでいた。 
 消防団の方向性・指針の策定や消防団員数の確保に向けた広報活動の工夫などの消防団の充実強化に向けた積極的な取り組みはとても参考になり、特に今の時代にあったWebやSNSの活用などは今すぐに活用できる内容ばかりであった。 全ては市民の生命を守るために、1人でも多くの方に消防団を知ってもらい入団していただけるよう、今後の取り組みとしてぜひ参考にしていきたい。
 


10月23日 下関市調査

<所見>

【下関市消防団の概要】 
 下関市は、4町による平成の合併により誕生した市であり、人口24万4千人、面積716㎢と、函館市とほぼ同規模の中核市である。 市域の拡大に伴い、消防団の組織体制も拡大、1団(本部)・5方面隊(旧自治体数)・31分団・123部・定員1,977人の組織となった。 当市は、5消防団(旧自治体数)・45分団・定員1,220人と、組織体制の在り方、定員に差異が見られるが、これは合併以前の各自治体の実態を踏襲したからではないかと類推された。定員に対しての充足率は、下関市は現員1,633人と充足率82.6%、当市は現員1,010人で82.8%と、ほぼ同じであった。 
 また、平均年齢も下関市が46.4歳、当市が46.2歳と同様の傾向を示しており、充足数と合わせ、若手の入団確保に課題を残しており、共通課題と言えた。 隊員の出自については、下関市は女性70人、市職員132人、当市は女性85人と、女性団員に関しては、若干多いものの、下関市は市職員132人が団員となっているのが特徴的で、これは、合併前には消防団に町役場の職員が欠かせないという風潮が強く、具体的には消防団に関連した部署等の職員が団員になってきたのではないかとのことだった。 

【消防団入団促進の取り組み】 
 団員の充足率を高めるための「消防団員入団促進の取り組み」については、様々な取り組みが行われていた。 
 主なものとしては、平成23・24年度緊急雇用創出事業を活用し、下関市消防団PRキャンペーンを市内全域で展開したことが挙げられる。両年度で4,400万円ほどの事業費が充てられ、13名を雇用してイベント会場でのキャンペーンやホームページ活用、広報紙の作成・配付、マスコットキャラクターの制作等を行って団員勧誘に取り組んだが、直接的な成果には至らなかったとのことだった。 
 次に、コカ・コーラ㈱から、消防団のPR専用デザインを施した自動販売機を設置し、売上金の約20%を市に寄贈したいとの提案があり、現在、市内11箇所に設置、年間寄付額40~50万円ほどで、消防団関連予算として活用されているとのことだった。 
 また、消防庁の「消防団加入促進支援事業」応募した「消防団加入促進映像等制作・配信業務」(事業費上限500万円・全額国費)が採択された後、プロポーザルにて委託業者を選定、実写版動画、団員募集ポスター及びリーフレット作成、YouTube広告及び配信、テレビCM放送(5回)等、様々な取り組みを進めた。
 ユニークだったのが、牛乳パック広告を活用した団員加入促進PRで、消防団協力事業所のやまぐち県酪の牛乳パック(1000ml)に消防団マスコットキャラクターを刷り込み、4月から5月にかけての1ヵ月間、山口県および九州の一部に販売した。
 消防団入団促進の取り組みについて様々手を尽くしてきているが、新規団員確保の成果は表れてなかなかいないのが現状のようだった。 しかし、これらの取り組みを通じて消防団の認知度は高まっていき、いずれ何らかの形で成果が表れてくるものと期待されている。  

【ドローンの選定】
 既存消防団のユニークな活動として「消防団の力向上モデル事業」が消防庁の提案事業に採択され、ドローンを購入、専門的知識を持っている業者が実技を含めた講習会を実施し、習熟後には的確な操作により火災現場や水害現場の事後を上空から撮影、状況把握に努めるとのことだった。 また、上空からの撮影は、平地では難しい的確な現況把握が可能となり、防災対策の作成段階での材料提供が可能となる。 
 ドローン導入により、これまで難儀だった現場の視認が容易になるなど、新たな展開が期待される。
 

【終わりに】 
 調査前日に駅前の向かいの小路に足を運んだところ、ほとんどがシャッター街であり、ここで火災が発生したらどうなるのかと、調査時の質疑応答でうかがったところ、「駅向かいのシャッター街は、市営の住宅で、一階が店舗、二階が住宅になっており、いわゆる再開発地域である。密集地であり、防火地域なのだが、消防団は組織されていないので、消防局直轄地域である。」とのことだった。 一方、下関駅から北九州に渡る関門橋に至る海岸付近に星野リゾートのホテルが建設中で来秋には開業される予定とのことで、それに合わせて再開発し、居心地のいい場所にして、観光客の方に多数来てもらうべく取り組みを進めているとのことだった。 駅向かいのシャッター街と、星野リゾートホテル立地に合わせた地域の再開発、両極端な現状が、今後どう展開されていくか非常に興味深かった。 
 また、下関消防局には消防防災学習館が設置されており、調査時は小学校高学年と思しき2つのグループが、相対する部屋で、それぞれ消防局職員を先生(講師)にして、防災意識を高める学習をしていた。専門のプロを講師にしての課外授業、笑顔とうるさくない程度のワイワイガヤガヤ感が空間を占めており、その光景がとても印象深く、心に残った。 
 防災意識を高める活動等がカリキュラムに設定されているならば、学校内での取り組みに拘らず、第一線のプロの方々の現場と息遣いを直接感じることは極めて有意義であり、学校と消防本部との相互理解、連携が進めば、当市にても不可能ではないと感じた。

 

 

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