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令和5年度 民生常任委員会行政調査

公開日 2023年12月20日

民生常任委員会行政調査

令和5年11月8日水曜日から11月10日金曜日

 

11月8日 宇都宮市調査

<所見>

■事業開始時期と実施に至る経緯
・働く障がい者や当事者団体から就労に係る支援策の拡充を望む声が上がったこと、さらに令和2年度に地域生活支援事業のひとつとして本事業が追加となったことで令和3年8月から当事業を開始。
・開始にあたり対象者となり得る重度訪問介護などの利用者に係るケース記録等の確認、計画相談員へのヒアリング、(独)高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)への助成金利用状況をもとに、一定のニーズがあることを確認した。
・これに基づいて対象者数や支援内容、費用を見込み、予算要求と合わせ庁内で協議し令和3年度から実施の合意を行った。その後利用が見込まれる方やサービス提供事業者への制度説明・意見交換をしながら、制度設計を行い、令和3年8月1日より事業を開始したとのことであった。

■市民への事業(制度)の周知
・対象者(障がい者)への個別の説明会や雇用する企業に対しても説明会を開催。さらに広報誌、新聞、テレビ、ラジオ、障がい者団体など、ホームページ掲載やサービス事業所・相談支援事業所へのメールでの周知など、市民への周知を徹底的に実施したことが分かった。

■サービスの内容
・通勤の付き添い、職場での介助は身体の介護としてたんの吸引、姿勢の調整、安全確保のための見守り、飲食や排せつ介助など。業務支援として文書の朗読・作成、機器操作、入力作業などのサポートがあり、職場環境の整備などが重要視される。特にヘルパーの能力が問われる業務もある。

■事業費と利用状況
・令和3年度の対象者は4人、令和4年度の対象者は8人とし予算を見込んだが、実績としては事業費を大幅に残す結果となった。
・理由として通勤時間帯に入れるヘルパーが少なく、人員確保が難しい。職場の支援は長時間となることが予想されヘルパーの確保が難しくヘルパ—自身が従来業務と異なるパソコン操作補助ができるとは限らない等があり、利用範囲が限定的であったとの課題が見えた。

■制度の利用状況(令和5年10月時点)
・重度訪問介護の肢体不自由者2名と同行援護の視覚障がい者6名が利用しているが、いずれも自営業のみで雇用利用者はいない。理由として、雇用施策との連携など、制度が複雑であり、利用開始にあたっては相談支援専門員やサービス提供事業所、職場の理解・支援などが必要である。

■対応職員について
・事業は一人で対応し現時点での職員数は変わらず現状維持で対応可能と報告していたが、今後支援拡大と課題解決のためには担当者を複数にして対応すべきと思われる。

■まとめ
・宇都宮市では、相当努力されていたにもかかわらず企業就労者の利用がなかったが、全国的にも支援事業を利用しているのは、令和5年7月31日時点で108人と本当に少ないと実感した。その内、雇用54人、自営54人の就労形態の内訳となっており、企業就労者が一定程度利用している状況である。
・本市としても、働く意欲がある重度障がい者の社会参加を促進するためには、利用者が少なくても導入の検討が必要であり、個々に丁寧な説明と企業に対する説明も重要と思われる。
・支援事業を推進するうえで、特にヘルパー事業の強化も必要と感じた。
・また、本事業の推進とともに、行政の役割として重度障がい者等が就労できる職場環境の整備や、障がい者に対する理解を得るための学習会や啓蒙活動などを実施することで、障がい者が社会参加しやすい街づくりができるのではないかと考える。

 


11月9日 台東区調査

<所見>

■東京都台東区について
 台東区は東京都の区部北東部に位置し、23区の中で最も小さい区である。上野・浅草の二大繁華街を擁する江戸期からの観光の町として栄え、事業所数別の産業は卸売業、宿泊業・飲食サービス業、小売業、製造業の順に多く、これら4つの産業で全体の6割を占めている。(「平成26年経済センサス 基礎調査」(総務省))
 また、これらの業種の4分の3は営業・販売が主な職種であり、観光地である函館市とも産業構造(求人)が一部類似していると考えられる。

■事業実施に至った経緯
 区内の視覚障がい者団体から要望があり、障害者総合支援法に基づく各種介護・援護サービスを提供している事業所にヒアリングを行った結果、8名の利用者からニーズがあることが確認された。令和5年1月時点で都内4区でしか実施されていなかったが、東京都に実施見込みを確認したところ、約10区が実施を見込んでいることが確認されたため、台東区では令和5年7月1日より補正予算を用いて実施を開始した。

■事業実施状況
 制度利用の対象者は、民間企業に雇用されている方で週10時間以上の所定労働時間がある方(就労継続支援A型事業所の利用者を除く/当該年度末までに10時間以上に引上げを目指す方を含む)である。
 自営業者等の方は、自営業としての従事を通じて所得の向上が見込まれ、週10時間以上従事している方(公務員等公務部門雇用は除く)が対象である。
 利用申請方法については、民間企業に雇用されている方は、関係者間(勤務先企業・区・本人等)で必要な支援計画書を作成し、JEEDに提出する。台東区では障害福祉課が書類作成などもサポートしており、一定時間はかかるものの円滑に進んでいる。
 自営業者等の方は、障害福祉課でヒアリングした上で、支援計画書を省略し申請を実施していた。
 初年度の予算は、ヒアリングにより明らかになった対象者8名分を見込んでおり、介助費1,193万5千円、役務費3千円の計1,193万8千円の補正予算が組まれた。担当職員に関しては増員は行われず、支援計画書作成のサポートなども担当者1名で行われている。
 対象者への周知は、広報紙を通じてのほか、障がい者支援団体や相談支援事業所などを通じて行われ、雇用を実施する企業等へは、広報紙のほかハローワークを訪問し事業を周知した。しかし実際の利用は1名(自営業者等による通勤援助)にとどまった。
 次年度(令和6年度)の予算要求額は、介助費922万2千円、役務費3千円の計922万5千円となっている。
 全国での先行事例も少ない中、手探りの自治体、それぞれ障がいの種類が違う利用者、障がい者雇用の壁を感じている企業雇用側、介護・援護サービスを提供している事業所への周知など、各種課題が明らかになっていた。

■課題
 各立場で、以下の課題があると考えられる。

[利用者]
・視覚障がい者には情報が届きにくいなどの周知の問題
・制度を利用したいと考えるが、各種手続き、書類作成が煩雑であるため利用に至らない

[企業・雇用者]
・障がい者雇用への理解不足
・障がい者雇用への物理的コスト(環境作り、サポート人材雇用 等)
・障がい者雇用への心理的コスト(理解不足からの不安、介助者など第三者を入れること等)
・制度が周知されていないこと

[サービス提供事業所]
・制度が周知されていないこと
・サービス利用者への周知の手間

[行政・自治体]
・それぞれ事情が違う障がい者、企業雇用者、サービス提供事業所への周知及び、その方法
・企業雇用者への障がい者雇用自体の理解促進
・ニーズ把握の難しさ
・参考事例が少なく手探りであること

■まとめ
 函館市を含む全国の地方自治体では、人口減少が激しく労働力不足が生じている中、ICTの飛躍的な発展により働き方の多様化が進み、重度の障がいのある方も働ける社会が実現しつつある。障がい者がより働きやすい社会を目指すためには、障がい者の社会進出と労働力不足というニーズと課題のマッチングが重要である。働く際に必要な介護などの支援のあり方が長らく課題であったが、重度障害者等就労支援特別事業の開始により、補助金を活用してこれらの課題を解決できる方向に進んでいる。
 しかし、障がい者雇用への理解不足や、事業(制度)の周知不足などもあり、導入事例がまだ少ない。導入自治体では多くの課題が見つかっている。函館市では障がい者基本計画に記載されているように、障がい者の自立と社会参加を促進している。それだけでなく、市によるIT系企業の誘致が結果を出し始めている。また、地域の中小企業も人手不足のほか、多様性やデジタルトランスフォーメーション(DX)などを背景に、ダイバーシティやインクルージョンに関する勉強会が増えているという。
 それらを踏まえると、今回の調査で明らかになった課題を解決しつつ、事業を開始することが地域の発展につながると考える。

 
 
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