公開日 2023年05月19日
登録建築物について
市では,西部地区の歴史的な町並み景観を特徴づけている建築物の価値を評価し,また,建築物を所有し,維持・保全に努めてこられた方々への支援を行うことにより,より一層の歴史的景観の保全・誘導を図るため景観登録建築物制度を設けております。
11件目の建築物として,「旧大洋漁業函館営業所」が登録されました。
■所在地 大町8番21号
■建築年 大正2年
■構造 木造2階建て
■様式 上下和洋折衷様式
緑の島に繋がる新島橋に程近い臨港通に位置するこの建物は,昭和20年代にマルハニチロの前身であるマルハ株式会社が旧社名の「旧大洋漁業株式会社」時代に事務所として利用していました。現在は失われてしまいましたが,平成後期まで建物側面に「まるは」マークの金物が残されていました。その後,個人住宅として利用されていましたが,しばらく空き家となり,西部地区再整備事業の一環としてリノベーションを行い,令和5年5月8日より事務所として再利用されることとなりました。
建物は寄棟造り平入り鋼板葺きの木造2階建てで,外壁は下見板張り,1階正面部は漆喰調の塗装仕上げとした上下和洋折衷様式です。
漆喰部の塗装は,本来は白漆喰の小壁に腰板張りでしたが,平成初期に古民家の塗装をボランティアで行う市民団体が,建物全体を青色を基調とした塗装を行い,その後,同団体が数回におよび塗装修繕を行うなど,函館の古建築を労わる市民活動の想いや関わりが,建物固有の歴史として残されています。
意匠上の特色として,2階正面部の二連縦長窓は上下和洋折衷様式の中では珍しく,事務所の採光確保のために窓を大きくとるための設計趣旨かと推察されます。
縦長窓の笠木・額縁・窓台も良好に維持されており,軒蛇腹と持ち送り,胴蛇腹と庇についても当時の建築様式の特徴を良好に保全した外観意匠となっております。
青と白のコントラストが美しい歴史的建造物が装い新たにリニューアルされましたので,西部地区の港湾エリアを散策の際は是非ご覧ください。
※建物は民間企業の事務所として利用されていますので,内部への立ち入りなどはご遠慮ください。
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