公開日 2021年02月17日
更新日 2021年12月14日
記者会見
日時 令和3年2月10日 水曜日 午後1時
場所 市役所8階大会議室
【会見事項】
・発表事項 令和3(2021)年度函館市各会計予算(案)について
発表事項
「令和3(2021)年度函館市各会計予算(案)資料」に基づき、市長から概要を説明
幹事社質問
(幹事社)
新年度予算で力を入れた点はどこかということと、特に新型コロナウイルス感染症対策で力を入れた点をお教えください。
(市長)
まず、新年度予算で力を入れた点ということでありますが、やはり今の最大の課題であります新型コロナウイルス感染症拡大の防止対策ということで組ませていただきました。力を入れたというとニュアンスが違うかもしれませんが、もうやらざるを得ないわけで、最優先とさせていただいたところであります。
一方で市民の皆様が期待している施策も着実に、停滞させずにきちんと前に進めていくということを考えておりますし、またそうしなければならないという気持ちで予算編成をしました。
市税は新型コロナウイルス感染症の影響で落ち込みますし、地方交付税は国勢調査人口の減少でかなり減額の影響を受けますので、総花的な予算を組むことは難しいことから、重点的な配分を心がけて適正な予算を組むという、めりはりをつけた予算編成をしたところであります。
「市民一人ひとりの幸せづくり」と「地域経済の強化」がテーマなのですが、その中でも、とりわけ「市民一人ひとりの幸せづくり」ということに、新型コロナウイルスの影響もありますので力を入れて予算編成を行ったところであります。
日本一の福祉都市をめざす基盤となる福祉拠点の開設に向けた準備を着実に進めて、来年の4月にはきちんとした形で開設してまいりたいと思いますし、市民の健康づくり、がん対策、さらには子育て支援にとりわけ力を入れて、学童保育の充実や教育環境など子ども関連のものにも重点的な配分を行ったところであります。
あわせて、新たにパートナーシップ制度の導入ということを函館市として検討を深めて、制度の導入を図ってまいりたいと思っております。折りしもいろいろと女性蔑視の発言が問題視されていて、ちょっとそれとは違いますけれども似た差別のような中でのものを、市民の皆様のご理解をいただいて、差別のないまちづくりを進めるためにも私自身としてはパートナーシップ制度の導入が必要であると考えたところであります。
新型コロナウイルス感染症対策については、既に今年度からいろいろなことを打ち出して、介護施設などでの検査もしております。新年度で金額的に大きいのはやはりワクチンの接種で13億円ほど計上しておりますが、金額がうんぬんよりも、まだ供給時期や供給量が具体的に示されておりません。
国立函館病院には冷凍庫が届いたと聞いておりますけれども、ワクチンは届いていないようでありますし、2月末からまずは国立函館病院の医療関係者から始まるということでありますけれども、高齢者向けや一般市民向けのものがどの時期にどの程度入って来るのかということが具体化されておりません。個別接種あるいは集団接種含めて、医師会などとも連携をしながらさまざま取り組みを進めておりますが、それを滞りなく実施したい。予算もそうですがそれ以上にワクチン接種をスムーズにやっていきたいと考えています。
(幹事社)
来年度の予算に関して、重点的に力を入れていることなどがあれば、具体的に教えて頂きたいと思います。
(市長)
来年度の予算で重点的に力を入れているところは、昨年6月の選挙後の政策予算で私は福祉の充実と経済の強化を基本とし、それを前面に押し出して政策を展開するということを申し上げてきました。そうしたものをさらに進めていくとともに、特に福祉と健康に重点を置いて予算編成を行ったところであります。
その内容については、資料の6ページに新規施策や拡充したものを掲載しておりますが、1つはやはり福祉と健康で、(1)の「市民一人ひとりの幸せを大切にします」という項目では、日本一の福祉都市をめざす上での基本となる福祉拠点づくりとして、引き続き、引きこもり等の実態調査やフォーラムを開催するなど、できれば2年ぐらいで福祉拠点づくりの準備を整えたいと思っています。
健康の分野では「はこだて市民健幸大学」の正式開校するほか、がん対策、健康経営の促進といったものをかなり増額して、健康対策にも力を入れたところであります。
加えて、6月補正でも子ども・子育て予算はかなり増額しましたが、今回も学童保育の保護者負担の利用料の軽減、そして子ども医療費やひとり親家庭の医療費についても、8月から入院費および、3歳未満と非課税世帯の子どもの通院費について全て無料とします。また、ひとり親家庭へのさらなる支援としてファミリー・サポート・センターの利用時負担の軽減を図ることに加えて、私立学校の運営費助成もさらに増額をすることとしたところであります。
経済の強化では、(2)の「函館の経済を支え強化します」の項目で、湯の川地区の活性化策として、今回は設計費などですが、再来年度以降、できれば5年間で15億円程度、年平均で3億円程度を新たに湯の川地区の整備に充てていきたいと考えております。地元のホテルの皆さんや商店街の皆さんともきちんとお話をして、要望も聞きながら、温泉街らしい風情のまち並みを整えていきたいと思っているところであります。
それに加えて、やはり交流人口の拡大が重要でありますので、若松ふ頭の旅客ターミナルやバス乗降場を整備するとともに、今、新型コロナウイルスの関係で滞っている観光面が懸念されますけれども、東京オリンピック等もありますので、さらなる交流人口の拡大に努めていきたいと思います。
また新たに、後継者がいない企業をどうしていくか、どうつないでいくか、事業承継の促進ということで、まず実態調査等から始めますが、後継者がいない企業を新たに引き受けてくれるような若い人材の発掘とともに企業の承継についても努力していきたいと思いますし、水産関係が非常に苦境に陥っていますので、さまざまな対策を考えているところであります。
併せて(3)の「快適で魅力あるまちづくりを進めます」では、やはり経済の強化に関連する部分で、西部地区の再整備とともに棒二森屋跡地の市街地再開発、そしてスポーツ振興ですが、千代台公園のテニスコートを今の10面を18面にすると全道大会を開催でき、大会誘致もできるので、これも交流人口の拡大につながるものであります。また、縄文遺跡群も当然そうでありますが、世界遺産登録に向けた取り組みを強めていきたいと考えています。
以上2点が、今回とりわけ力を入れたところです。
各社質問
(記者)
財政面で市税や交付税の減があるんですけれど、今後の見通しの厳しさの受け止めや予算編成面で厳しかった部分などについてご説明いただければと思います。
(市長)
金額的にはかなり落ちておりますし、これから交付税は人口減少分が5年間で段階的にどんどん下げられていきます。新年度予算ではまだ減額が緩和された状態で、それが5年にわたって引き下げられていきますので、その分は厳しくなるだろうと思っています。
今の新型コロナウイルス感染症の状況を見れば、じゃあ新年度において所得が上がるという状況もちょっと難しいと思います。それから企業収益の回復も、今の状況からいくと今年の半ば過ぎまでちょっと難しいのかなというようなことをさまざま考えると、市税や交付税への影響はこの2、3年ぐらいは覚悟しなければならないのかなと思います。
それまでは、重点的に市民が望む本当に重要な課題に予算を絞っていきます。いつもであれば観光関連の予算も組むのですが、今の時点で組んで、中国や台湾などインバウンドを相手に莫大なお金をかけて発信しても難しいわけでありますから、そういったものはかなり縮小したりということで、工夫しながら重点的に配分して収支を合わせたところです。
ただ、決していろいろ必要なものを切って、市民に我慢をお願いするような予算にしたつもりはありませんで、必要なものについてはきちんと確保したと考えております。
(記者)
パートナーシップ制度に関連してなんですけれども、制度導入に向けたねらいや思い、また、先行事例で行くと札幌市や今北見市も導入を進めているという報道もありますが、函館市の独自の考えということがあればあわせてお伺いしたいと思います。
(市長)
パートナーシップ制度、LGBTのことも含めて、現実的にいろいろな差別などが問題としてあると思っています。私自身は、函館のまち、往々にして港町は気性が荒くて出入りも激しいという面があって、私自身もそうかなと思いますが、それを人にやさしいまちにしたいという思いがあります。
これまでひとり親家庭にも力を入れてきましたが、障がい者への差別もそうですが、こういった性的少数者への差別というものもなくして、いろいろな人にやさしいまちにしていきたいという思いの中でパートナーシップ制度の導入について、昨年の秋口から市民部に検討をさせてきたところであります。
札幌市は既に要綱で導入していて、条例で導入しているところもあるようでありまして、函館市がどういう形で行うかは、有識者の検討会議や当事者の方々などのご意見も伺う中で、函館市版の制度をつくり上げていきたいと思っております。
出来れば、議会の理解、市民の皆様の理解が得られれば、来年の4月1日から運用が開始出来ればと望んでいます。なかなか自治体がそうした制度、都道府県と市町村を含めて約70自治体が導入していると聞いておりますが、法的な限界というものがかなりあります。男女の婚姻とは同じく出来ないという法律上の問題もありますので、そういう中でいろいろ工夫を重ねながらいい制度を構築していきたいと思いますし、一方でLGBTなど性的少数者の皆様に対する偏見や差別といったものをなくすように、市としての意識の啓発にも努めていきたいと思っております。
(記者)
コロナウイルスの関係で、入所系福祉施設職員の検査に関して先日の民生常任委員会で概要の報告がありましたが、函館市医師会は費用対効果が低いなどから反対声明を公表したところですが、例えば今後、感染状況次第で検査を取りやめることがあるのかと反対声明の受け止めをお伺いします。
(市長)
初めて行うことですから、人によっていろいろなご意見はあるでしょう。
ただ、私としてはやはり、全国的に高齢者の感染の比率が高まっていて、高齢者の感染が増えるのに伴って重症化、そしてまた亡くなる方も増える。現実に今そういう状態が起きているわけです。その中で行政として手をこまねいていていいのかと思います。
とりわけ、そうした施設でのクラスターがまだ継続中で、やはり最近の亡くなっている方の年齢を見るとほとんどが高齢者です。その高齢者を感染から守る施策というのは、行政として力を入れてやらざるを得ない。
一人ひとりの命を守るということが危機管理、こうした事態において首長の最大の役割でありますから、それを費用対効果だけで判断することにはならないと自分では思っています。そしてまた厚生労働省でも専門家会議の分科会の意見を聞きながら、各自治体に対して、介護施設等の職員の検査を行うように通知を出しているところでありますから、その面からいっても、決して私一人の考えで押し通しているものではないと考えております。
(記者)
新幹線が来月で開業から5年となりますので少しお考えを伺いたいのですが、この5年間で青函交流は進んだとみているのかということと、例えば青函交流が進んでいるとみているということであれば実感できる部分などについてお聞かせください。
(市長)
5年経ったのかなというのが正直な実感でありますし、開業してしまえば、あまり振り返ってもしょうがないというのが私の性格なのですけれども、せっかくの新幹線が新型コロナウイルスの影響で全く活用出来ない状況に置かれていると思っています。
青函交流については、新幹線開業前から観光を中心にしながら、函館市と青森市、弘前市、八戸市の4市で青函圏観光都市会議をつくって観光客誘致、首都圏あるいは台湾など共同でPRして誘致を図ってきたところであります。
一段落して平常の状態に戻るということで、今は特別当時のように結構なお金を出し合って行うことはなくなりましたが、そのときに強化された関係は続いております。
また、これに伴って青森側からクリーニング店が進出したり、こちらからもさまざま函館のものを販売拡張のために東北へ出かけて行ったりという動きは、残念ながらこの1年はコロナの影響で止まっていますけれども、せっかくそういう芽が新幹線開業によって出て来たと考えておりました。
開業の年に随分東北、とりわけ仙台など人口の多いところからも来ていただきました。それが数年経って、東北のまだ函館にいらしていない人たちにPRをしたいと思っていた矢先に、こういったことが起きているわけですが、新型コロナウイルス感染症の収束をにらみながら、観光での連携、観光客誘致、地元産品の販路拡大、これまで地元産品についてはほとんど首都圏に力を入れていましたけれども、そういったことにあらためて取り組んでまいりたいと思っております。
(記者)
キングサーモンの養殖についてですが、函館では今イカやコンブなどがあまりとれない状況です。キングサーモンの養殖は国内初とみられるということですが、意気込みやねらいをお願いします。
(市長)
全国的に行われているのはトラウトサーモン、ニジマスが一番多いのでしょうか。東北や北海道ではサクラマスが多い。キングサーモンを本格的に養殖、研究している自治体はないのではないかと思います。キングサーモンとニジマスを交配させたものはあるやに聞いています。
海外では、ニュージーランドのものを数年前にテレビで見て、カナダでもやっているようですが、世界的に大々的に流通しているものではなく、寿司屋や高級な居酒屋で出すキングサーモンは自然界で偶然とれたもので、日本ではなかなか大量に手に入れることは出来ません。それを養殖すると日本初となりますが、とりわけ卵が北大以外ではなかなか手に入らない、北大水産学部にそれがあるということで幸運だったなと思いますけれども、そういうことによってふ化技術や育成技術、そして海での養殖を実現出来れば、他のサーモンの産地以上に函館のブランドとして全国あるいは海外にも展開していけるという、重要な使命がかかっていると私自身は考えています。
父親が水産関係で普及員とかやっていたので、子どものころ、自然界のもので大きいものをいただくことがあったんです。幅も普通のシロザケと全然違って、おいしさも違ったんです。
これがマスノスケでサケの親分だというような話で、マスノスケというのが私の中にしみ付いていて、いつかやりたいなということで数年協議をしていたのですが、やっと水槽をつくって本格的に研究するということになるなと考えています。
(記者)
ワクチン接種ですが、集団接種ということで各市町村で場所の確保などを行っていると思いますが、現時点で函館市のほうである程度想定していることがあれば教えてください。
(市長)
なかなか現時点では、いろいろ協議している相手もありますので、個別の施設名を挙げてどうこうというのは控えさせていただきますが、個々の医療機関においてされる個別接種についても開業医などの皆様にもご協力をいただけると考えておりますし、土日の接種なども働く方々の対応によっては、集団というか病院とは別のところで行わなければならないということもあります。加えて、介護施設や障がい者施設、入所している施設などに出かけて行っての接種ということも必要になります。さまざまな想定をしながら、ワクチンが届いてその時期になれば出来るだけスムーズに執行出来るように、鋭意準備を進めております。
まだ、個々の場所は決まっていません。
※記者会見における質疑内容の要旨をとりまとめの上掲載しています。
記者会見動画(YouTube 函館市公式動画チャンネル)
配付資料(令和3(2021)年度函館市各会計予算(案)資料)
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