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【重要文化財 旧函館区公会堂】保存修理工事について(令和元年度分)

公開日 2020年03月31日

更新日 2023年06月16日

重要文化財旧函館区公会堂の保存修理について

西部地区のランドマーク,元町公園の上にあります国の重要文化財「旧函館区公会堂」は,

明治40(1907)年の大火で町会所(および同所にあった商業会議所)が焼失したことから,

集会所や商業会議所事務所として明治43(1910)年に現在の場所に建てられたものです。

 

翌明治44(1911)年には皇太子(のちの大正天皇)の行啓の際の行在所として使用されたほか,

講演会や音楽会などさまざまな形で利用され,戦中戦後の混乱期を越えて市民に親しまれてきました。

昭和49(1974)年国の重要文化財に指定され,昭和55(1980)年から57(1982)年に大規模な保存修理を実施しました。

 

その後観覧施設として市内有数の観光名所となりましたが,風雪などの影響で各所に傷みが出ていたことから

このたび約40年ぶりの大規模な保存修理を実施し,同時に建物の耐震補強も行うこととなりました。

 

このページでは,令和元年度(2019年度)の保存修理の状況をお伝えしています。

 

※今年度の保存修理進捗状況は,下記リンクからご覧ください。

  【重要文化財旧函館区公会堂】保存修理工事について(市ホームページ)

 

休館期間:平成30年(2018)年10月1日から令和3年(2021年)4月25日まで 

 


重要文化財旧函館区公会堂(保存修理前)


[参考]修理現場から文化力(文化庁ホームページ)

 

 

令和元年度(2019年度)保存修理工事の進捗状況

令和2年(2020年)3月27日(金)


木材の加工


丸柱の取り替え(1階西側車寄せ)


足場の設置(2階大広間)

 
 

記録的な暖冬のため今年の函館は既に雪はほとんどありません。

冬の間工事現場では木材の加工を行いました。傷みのひどかった車寄せの丸柱を取り替えました。

来年度からは壁や天井の漆喰の塗り直し・化粧直しを行います。現在は準備として作業用の足場を館内に設置しています。

 

令和2年(2020年)2月5日(水) 函館伝統的建築技術研修会の見学研修がおこなわれました


見学研修全体説明


リノリウム復元についての説明


丸柱用の木材

 

本日は函館伝統的建築技術研修会(市ホームページ)のカリキュラムとして,旧公会堂で見学研修がおこなわれました。

総勢約50人の参加者に,旧公会堂の保存修理の内容や伝統的建築技術について専門的な解説をしました。

修理前の旧公会堂の大広間には塩化ビニールシートが貼ってありましたが,今回の修理ではリノリウムという床材を敷いて仕上げます。

かつての大広間には寄木模様風の柄物リノリウムが敷かれており,これを再現するために現在試作を重ねています。

また,大型の木材が搬入されており,車寄せやバルコニーの丸柱として今後加工をしていきます。

 

令和元年(2019年)12月24日(月)


現在の旧公会堂外観


傷んだ木材(2階バルコニー手すり)


加工中の木材

 

ここ数日急激に冷え込み,函館にも雪が積もりました。

雪が降る前までに旧公会堂の解体作業はほぼ完了しました。

解体した部材のうち傷みのひどいものは,新しい木材に交換する必要があります。

外での作業が難しいこれからの季節は木材の加工など建物内での作業が中心となります。

 

令和元年(2019年)10月29日(火)


旧公会堂屋上から見た函館港


屋根窓と瓦屋根(本館)


剥落した面戸漆喰(本館)

 
 

秋になり,函館も冷え込む日が増えてきて,木々も少しずつ紅葉してきています。

現在旧公会堂は屋根工事を実施しており,屋根部分のシートが取り外されています。

旧公会堂は左右対称で屋根窓を持つ洋風建築物ですが,屋根は北海道では珍しい瓦葺きです。

雨風や積雪のため瓦の破損や面戸漆喰の剥落,銅板のサビが出ているため今回の修理で直します。

 

令和元年(2019年)9月22日(日) 工事現場見学会を開催しました


建築士会地域交流見学会


市民向け見学会


皆さん熱心に解説に耳を傾けていました

 
 

本日は建築士会全国大会の地域交流見学会97名による工事現場の見学がありました。

午後からは今年度2回目の市民向け工事現場見学会を開催しました。

台風の影響もなく絶好の見学日和で,参加人数は80名と定員に達しました。

現在解体工事は終盤を迎え,今回の見学会で解体中の公開は最後になります。

今後は傷んだ部材の交換や耐震補強など組み上げ工事を実施していきますが,

工事の進捗に合わせて今後もまた工事現場を公開したいと考えております。

 

令和元年(2019年)8月28日(木)


床板解体状況(附属棟)


コンクリートと金具で補強された床下(附属棟)


柱材と基礎を固定する補強金具(附属棟)

 
 

暑さの盛りを過ぎたのか,最近は朝晩と涼しいときも増えてきました。

解体工事と並行して実施してきた床下基礎の補強も附属棟まで進んでおります。

建築当初のレンガ基礎にコンクリート基礎を追加し,地震への強度を高めます。

また,地震による建物の浮き上がりを防止するため,壁の柱材と基礎を補強金具で固定しています。

このほか,壁の中に補強用ボードを入れるなどさまざまな補強をし,地震に強い建物にしています。

 

令和元年(2019年)7月31日(水) 工事現場見学会を開催しました


見学会開催の挨拶の様子


床が一部解体された大広間で解説をしました


傷んだ柱に驚きの声が上がっていました

 
 

夏休みの時期となり,函館でも30度近くまで気温が上がり、暑い日々が続いています。

本日は今年度初となる市民向けの工事現場見学会を開催しました。

平日の午後の開催にも関わらず約30名の参加があり,積極的に質問をしていただきました。

工事の進捗にあわせて今後もまた工事現場を公開したいと考えております。

 

令和元年(2019年)6月26日(水) 港小学校5年生の皆さんが工事現場を見学しました

 

傷んだ柱(2階バルコニー)

 

    

見学する児童の皆さん(1階正面玄関)

 

        

見学する児童の皆さん(2階大広間)

 

        

 

初夏の陽気となり,函館も過ごしやすい季節となりました。

建物の解体工事も終盤を迎え,表側からではわからなかった建物内部の傷みが見えるようになっています。

文化財建造物の修理では,全ての部材を丸ごと新しくするのではなく,傷んだ部分のみを交換し,

再利用できる古い部材はそのまま残し保存していきます。

このような状況の中,函館市立港小学校の5年生の皆さんが宿泊研修の一環として工事現場を見学しました。

写真やメモを取りながら熱心に質問をしていただきました。

 

令和元年(2019年)5月17日(金) 函館工業高等学校建築科の皆さんが工事現場を見学しました


現在の旧公会堂外観


コンクリート基礎(1階廊下)


熱心に見学をする生徒の皆さん(2階バルコニー)

 
 

元号が変わり,函館の桜の季節も終わりました。

昨年度末と同じく壁や床の解体を進めておりますが,同時に床下基礎の補強も進めております。

旧公会堂は周辺の地盤が丈夫であるためこれまで大きな地震被害は出ておりませんが,

今後大規模な地震が起きた際に建物がすぐさま倒壊しないように,廊下や各部屋の床下にコンクリートの基礎を入れています。

重要文化財建造物は外観が損なわれないように表からは見えない部分に補強を入れていく必要があります。

このような状況の中,北海道函館工業高等学校の建築科の皆さんが授業の一環として工事現場を見学しました。

今後も市内の学校向けの見学会を実施していきたいと考えています。

 

 ※平成30年度(2018年度)の工事実績は下記リンクからご覧いただけます。

  【重要文化財 旧函館区公会堂】保存修理工事について(平成30年度分)(市ホームページ)

 


 

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教育委員会生涯学習部 文化財課
TEL:0138-21-3456