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令和元年度(平成31年度) 経済建設常任委員会行政調査

公開日 2020年01月17日

更新日 2021年12月14日

経済建設常任委員会行政調査

令和元年11月11日月曜日から11月13日水曜日

 

11月12日 金沢市調査

金沢市視察の様子.jpg

<所見>

 金沢市は、1583年(天正11年)前田利家が金沢城に入り加賀百万石の城下町として繁栄し、14代続いた前田家各藩主は戦いを避け、学術、文化を尊重した歴史が今に引き継がれている。
 金沢市の特徴は、まちづくりの考え方として観光資源を金沢城を中心にコンパクトにまとめ(半径2km以内)、保存する地域と開発する地域に分け古さと新しさを一緒にした開発がされている。北陸新幹線発着の金沢駅前は、近代化する開発区域であるが、インパクトのある鼓門に圧倒され人の往来も多い。初めての観光客でも簡単にバス周遊チケット(一日フリー乗車券500円など便利)を利用し観光ができる。バス乗り場には、誘導する方もいて迷わず目的地までいける。
 金沢市独自の27の景観まちづくり関連条例により歴史、文化が継承されている。歴史文化施設の兼六園、金沢城公園、4つの重要伝統的建造物群保存地区(東山茶屋街、主計町、寺町台、卯辰山)、重要文化的景観(2010年2月国選定)の兼六園雪吊り、浅野川友禅流し、長町武家屋敷、黒瓦屋根、伝統工芸(国指定6業種含む23業種)の金沢箔、加賀友禅、九谷焼、金沢漆器、加賀繍、金沢仏壇など「コト」消費として体験型も取り入れ引き継がれている。
 伝統芸能として芸姑や金沢の食文化の継承及び振興に関する条例による裏千家の茶会と和菓子、日本酒、日本海の幸、加賀野菜などが有名になっている。市民の台所でもある近江町市場では、新鮮な魚、野菜の店が連なり活気に満ちている。市民や観光客が沢山利用している。
 「創造と革新」として、2015年5月「ユネスコ創造都市ネットワーク会議」が国内始めて金沢市で開催され、世界27カ国61都市が参加した。現在、世界72カ国180都市のネットワークにまで拡大している。また、金沢21世紀美術館は、旧金沢小学校跡地を利用し近代的な建物でプリツカー賞を受賞するなど、魅力あるすばらしい建物で若い人の芸術発表の場となっている。外国人も沢山鑑賞しており、無料で入れる場所もあり、建物の周りがガラス貼りで外の景色も眺められ、公園の四季折々を楽しめる。函館市の公共施設は、駐車場が敷設され、建物の景観や美術館や公園などゆっくり楽しむことができないと感じた。
 世界からも評価が高く、欧米メディアが2017年に行くべき旅行地に金沢を選定している。北陸新幹線効果もあり観光客数が増加し、開業1年目は、開業前の3倍にあたる926万人、4年目で対前年度比初の増(869万人)となる。
 外国人旅行者の兼六園入園者数は約42.9万人となり、その4割が台湾人、欧米人が約25%である。外国人の宿泊数も平成25年から平成30年にかけて約3.3倍に増え、全国と比較しても長期滞在型が多い。
 ホテルの開発の進展(2020年には13,400室になる見通し)や、企業誘致の面では68の支社・支店が進出するなど、地域経済にも波及している。石川県との連携により金沢港へのクルーズ船寄港数が増加し、欧米から24本、スイス、ドイツが新たに加わり、今年は、50本以上寄港している。
 観光の産業化であるが、国の動向では、2020東京オリンピックを見据えた観光ビジョンとして観光を基幹産業にするとしており、金沢市もその流れを利用し「外国人旅行者を増やす」、「消費額を増やす」、「地方での宿泊数を増やす」、「リピーターを増やす」など2016年に金沢市観光戦略プランを策定しインバウンド増加に向けた目標を立てている。
 伝統文化、伝統芸能が体験できるほか、建築文化の発信、魅力あるひがし茶屋街保存、近代建築や四季折々の魅力などを海外誘客の推進力にするとしており、歴史・伝統・文化体験に興味のあるアメリカ、オーストラリア、ヨーロッパなどを重要市場と捉えている。茶屋の女将さんが英語を話す事で直接日本の文化に触れることもできる。
 受け入れ環境整備として市民ぐるみの英語対応の向上、外国人旅行者と積極的コミュニケーションの意識醸成が必要であると位置付け、「スピードラーニング金沢観光英会話研修版」1,500部をボランティアガイド、観光タクシー、宿泊施設、観光施設などに配布しており、外国人旅行者おもてなし力向上セミナーの開催など、多様な観光ガイド(ボランティア まいどさん)を発掘するなどの取り組みを行っているとのことであり、参考になった。その結果、地域通訳案内士に3年間で一定数合格した。(2016年度:43人、2017年度:22人、2018年度;26人)
 また、広域観光の推進として、北陸信州飛騨3つ星街道観光協議会で開発した「高速乗り合いバス高山線」が平成25年1月の毎日3往復から平成28年4月には毎日10往復に増え、乗客の9割が外国人となるという。
 金沢版DMOの会員による意見交換会・セミナーを開催し、インバウンド誘客対応、「コト」消費開発、情報発信のスキルアップ、金沢の素材、魅力を再発見する場を設置している。
 さらに、修学旅行の誘致の取り組みにも力を入れており、金沢市内での伝統文化体験に要する費用の補助として1人あたり500円、県外の文化、スポーツなどの学生合宿推進補助金として1人あたり1,000円の経費を補助し、市内の宿泊のために努力しているのが印象的であった。
 四季折々五感で楽しめるまちづくりは、和服で散歩、お濃茶など、歴史を生かした体験型観光が集客数を増やしていると思われる。ひがし茶屋街では、外国人観光客も沢山いるが、市民生活の中で景観を楽しんだり、お濃茶と和菓子の店には、フランス人も居て日本の文化を充分味わえる町並みに触れることができると感じた。
 金沢の歴史・文化は観光客に魅力ある街であるとともに市民一人ひとりが愛着と誇りをもつまちづくりを進めていると感じた。
 函館市も四季折々魅力ある街を大いに積極的にアピールするべきと思ったほか、もっと地域へ発信し、市民を巻き込んだ取り組みができると思った。多くの団体や個人も観光の何らかに係わる必要性を強く感じた。

 


11月13日 松本市調査

松本市視察の様子.jpg

<所見>

 松本市は、長野県のほぼ中央に位置し、明治40年5月1日市制施行。平成29年には、市制施行110周年を迎え、波田町との合併(平成22年3月31日)により、新松本市として、豊富な観光資源を活用し、「歩く観光」「知る観光」「触れる観光」の発信を重点に、今日まで歩んできた歴史・文化・伝統を有するまちである。
 魅力の創出として「見る観光」から「体験する観光」に重点を置き、恵まれた自然環境や豊富な観光資源の活用で、日本アルプスへのアルピニストを迎えるまちの側面も有している。

【「コト消費」の機会提供の状況について】
(1)体験型観光として特に人気のコンテンツ
 コト消費の一環として、乗鞍岳、美ヶ原高原、スノーリゾートの四季の自然環境の活用によるスノーシューやラフティング、そば打ち体験、着物の着付けなど、古くからの伝統と地域の観光資源をすべて活用している。国のビジット・ジャパン・キャンペーン開始と同時に海外プロモーションを開始し、台湾高雄市との教育交流を原点とした交流事業やメディアを活用した宣伝事業、市内宿泊事業者との連携を行ってきた。

(2)今後の課題
 「浅く広い」広域情報だけではなく、個人リピーターに刺さる、「テーマを深掘りした情報」提供の実施、セントレア増便需要の取り込みと、東京オリンピック・パラリンピック需要の取り込みなどが今後の課題として挙げられた。

【イスラム圏及び欧米豪のインバウンド拡大の状況について】
(1)インドネシアからの旅行者が多い要因
 イスラム圏のインバウンドについて、近年増加しているインドネシアの旅行者について、松本市観光ビジョンにおいて、主な旅行者は中華系インドネシア人富裕層の上位中間層(全人口の3パーセント)であり、レバラン休暇などの長期休暇の家族旅行が多いと分析している。2014年のビザ緩和や日本の自治体セールス活動により大幅に伸びていること、圧倒的な親日・日本好きの土壌があることから、今後はムスリムへの情報発信を継続し、個人に向けたBtoCプロモーションを強化していく方針のようだ。

(2)欧米豪のインバウンド拡大の状況
 欧米豪については、新旧文化(伝統文化、現代文化)体験プログラム・日本食・民芸品・工芸品の鑑賞・購入、着物や茶道の体験などを積極的にアピールし、自然のスケール感を強調し、アウトドアアクティビティの提案や中部国際空港からのアクセスを活用し、高山、白川郷などを絡めたルートの発信を強化してくことが今後の取り組みとして語られた。

【その他】
(1)おもてなしの磨き上げ
 観光の磨き上げについて、松本市では観光振興に寄与する人材確保と育成に力を入れている。ホスピタリティカレッジ等を開催し、観光産業を担う人材を確保・育成するとともに、多様な人への寛容度が高い松本市民の気質や暮らしも観光資源として、おもてなしの向上を図っている。

(2)情報発信強化の取り組み
 情報発信の強化として、効果的なウエブ、デジタル情報発信を展開をしていくこととし、JNTOとの連携や市公式観光情報ポータルサイトのリニューアル、SNS等の活用、効果が期待できるTVやラジオ等の媒体の選定など、訴求力の高い情報発信に取り組んでいる。

(3)二次交通の向上の取り組み
 また、二次交通の向上への取り組みとしては、上高地や美ヶ原などの山岳観光地や周辺観光地とのアクセス向上にむけ、バス会社等関係事業者との連携を強化に取り組んでいるとの説明であった。

【総括】
 松本市の地の利を最大限活用した取り組みは、函館観光事業においても、大変参考になる視察であった。松本市役所職員の温かい対応で、市役所目の前にある、国宝松本城を見学できた。今回の視察で感じたことは本当に勉強になった。

 
 
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