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市長定例記者会見(令和元年11月28日)

公開日 2019年12月27日

更新日 2021年12月14日

定例記者会見

日時 令和元年11月28日 木曜日 午後3時

場所 市役所8階大会議室


【会見事項】

 

幹事社質問

 

各社質問
 

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幹事社質問

(幹事社)

今日は私のほうから2点、ご質問させていただきます。

1点目なんですけれども、12日からマレーシア、シンガポールへトップセールに行かれて、特にマレーシアは初めての訪問ということなんですが、その内容と感触などについてお聞かせただければと思います。

 

(市長)

11月12日から17日までで、実質的には移動日を除くと3日間ぐらいの行動でした。マレーシアとシンガポールは共に函館への入込客数が2万人を超えてきて、割合でもずいぶん増えている国です。もっと函館への誘客ができる可能性があるのではないかということで、シンガポールは3、4回目でマレーシアについては初めてでした。

マレーシアではメディアが2社、旅行会社が6社、シンガポールのほうでは航空会社が1社、メディア1社、旅行会社5社を訪問して、函館観光についてPRをしてまいりました。

函館は南の国で人気のある雪、花、温泉、また食と全てが揃っているということをもちろんPRしましたが、おのおのの旅行会社、メディアあるいは航空会社の方々も、函館については、もう十分そのことについては承知されているわけであります。

そうした中で函館が日本の都市の中で魅力度がナンバー1だということと、日本人のアンケート調査では、観光と食に対する期待度が函館を魅力度ナンバー1にしているんだということを訴えて、そういう意味ではとても興味を持っていただいたところであります。

マレーシアでは、まず衛星放送では最大手、全世帯の77パーセントが加入しているというアストロというテレビ局に行ってまいりまして、函館側で費用を負担するので、ぜひ函館を取材して放映していただきたいとお願いしました。もう5、6年前に既に放映しているということで、次に流すとすれば前は雪のない時期を流したので、今度は日本の冬を題材にしてシリーズで放映したい。そのときに函館もぜひ入れたいということでした。

西日本だと冬といっても雪がないので特徴がない。お互いの話の中では、北海道、東北、北関東、東京以北を対象にして、雪のある冬の日本を撮りたいということで、細部についてはこれからJNTO等の支援もいただきながら、函館だけではできることではありませんので、東北や北海道などの協力も必要なので、そういう中で詰めていきたいと思っています。

同じくマレーシアですが、シン・チュウ・デイリーという中華系の新聞社は、来年の東京オリンピック・パラリンピックの取材で日本に来るので、機会があればぜひ函館で取材をしたいということでありましたので、これも今後詰めていくこととしております。

アップルバケーションは、訪日旅行を1番取り扱っている旅行会社でありまして、会長以下社員の方ともお会いしましたが、会長も含めて皆さんは、日本語が堪能で通訳いらずで話ができるぐらい親日でありました。自社で旅行商品を造成してチャーター便を飛ばすことがあって、この冬にも新千歳に何便か飛ばすことを計画しているそうです。東北に飛ばしたい意向もあり、函館と組み合わせるようなことを考えられないかというようなことがありまして、この冬は無理ですが、次の冬に向けてお互いに検討を深めていくこととしたところであります。

いずれにしても、今、シンガポールのお話もしますが、北海道にはやはり新千歳に入って来るということがあって、それで函館に来るということもありますけれども、我々としてはそれだけではなく、東北と南北海道をセットにしたものが、これから人気が出て来るんじゃないかなと思っています。北海道にはもう何回も来ている人たちが結構いますので、新しい形として函館と東北を組み合わせたものが認知されるように取り組んでいきたい。片道新幹線で片道フェリーということもPRして、それについても興味を持ってもらったところです。

シンガポールでは、スクートというLCCにも行きました。新千歳に週4便飛ばしていて、ほかに関空と成田にも飛ばしている航空会社です。シンガポール航空が出資した子会社的なところで、地方に飛ばすときはスクートを使うということになっているようです。

シンガポールから函館には年間2万人以上が来ていますが、1番多いのが12月の6千人です。3分の1近くが12月に集中しているということで、ぜひその時期に千歳の週4便とは別に、直接チャーター便を飛ばしてほしいということをお願いしてまいりました。検討するということで、はなから無理だねというお話ではありませんでした。やはり東北とのセットで、北海道と東北、両方という魅力でチャーター便を検討したいということになっております。

いずれにしても、マレーシアやシンガポールでは、日本で1番人気があるのは関東で、東京やたぶんディズニーランドだと思いますが千葉。2番が大阪や京都の関西。3番手が北海道ということで、両国ともに人気が上がっているということです。シンガポールは人口が600万人くらいですが、マレーシアは3千200万人いて、政治状況も安定していますので、これから期待できると思いました。

 

(幹事社)

マレーシアは3千200万人ということで、人気が上がるとかなりの入れ込みになると思います。イスラム圏ということで、特別なケアが必要な面があるかと思いますが、その点についてはどうお考えになりますか。

 

(市長)

ハラール対応、礼拝所や食事の問題などについて、徐々に、色々な研修を積み重ねて理解するというようなことに取り組みだしているホテルやレストラン等もあります。あるいは礼拝所も空港や西部地区にもありますし、ホテルでもつくっているところもあって、そういうことが進みつつあります。

マレーシアはもちろんマレー系が1番多いのですが、今のところ日本に来ているのは中華系が主力で、イスラム教徒はあまりいませんので、現時点ではあまり障害は大きくありません。 

マレー系の人たちはやはり聖地である中近東のほうに旅行することが多くて、これから余裕ができて来ると日本にも行くことになるので、まだ時間的には余裕があるという話ではありましたけれども、その辺も毎年着々と進めていますので対応していきたいと思います。

 

(幹事社)

11日に消防本部の職員の時間外手当の不正受給に対して処分がありました。これについて消防長は市長が任命するという形になっていると思いますけれども、任命者の市長のほうから簡単な内容の説明と今後の対応についてどう考えるかなどをお聞かせいただければと思います。

 

(市長)

11月8日と9日で、消防職員の時間外勤務手当の不適正な支給事案について、関係職員307名の処分を行ったところであります。

これは組織全体として、やはり適切に事務処理を行う意識が希薄であったことなどから、時間外ではなく正規に勤務が割り当てられている時間帯であるにもかかわらず、夜間の災害出動等で勤務した場合、その時間を時間外勤務として取り扱ったことということが一部の署から始まって、それが組織的に広がっていったという事案でありまして、それによって時間外手当の過分な支給、不正受給が生じたところであります。

もちろん法令等に根拠のない給与を受給したということは、公務員としての自覚に欠けていたと言わざるを得ないと、私自身は思っております。

過支給の総額について、金額を特定できるものについては退職者も含めて返還させるということにして、それがなかなか特定できないものについては、推計のもとで自主的に消防職員たちが返還するというような方式で、金銭的には戻す措置はできるのかなと思っていますが、いずれにしても、これだけ多くの処分者を出したという例はいまだかつてないということであります。

公務員に対する責任を大きく損なう事態を招いたということについては、私としても大変重く受け止めているところでありまして、再発防止と市民の信頼回復に努めてまいりたいと考えております。

とりわけこの問題が、市役所の2千人を超える職員がいるところではなく、400人弱の、しかも階級的な制服組のところで起こったということについては、私としては、密室の中でというイメージを持っております。市役所だと部局を渡り歩いていくんだけれども、消防は390人なりの中で、同じ人間が40年付き合うという閉鎖的な世界です。こちらからはなかなかうかがい知ることができない。事務的なことも監査等は受けていても、市役所の事務と同じことをやっているんだけれども、その辺がこちらから見ると見えていないということもあって、色々もっとオープンにしていく必要があると思っています。

今回のことだけではなく、さまざまなもの、事務的なこと、組織、体制、勤務実態等についても、不透明あるいは不正確な運用となっているものがほかにもあるのではないかと考えておりまして、それについては消防だけではなく、市役所側で人事や給与を所管する総務部が主体的に関わって、消防本部の体制や運用規定等について検証し、改善等を協議して実施していきたいという考えでおります。

 

(幹事社)

聞くところによると処分自体が少し軽いのではないかという声も聞こえて来るんですけれども、この点についてどうお考えになりますか。

 

(市長)

人によってそうしたお考えがあることは、私も承知しておりますし、マスコミの中にもそういうご意見があったのは承知しております。処分は終わっていますので、そういう意味ではそうしたご批判は私としても真摯に受け止めたいと思っております。

 

(幹事社)

先ほど不正確なものがあるのではないかというお話があったんですけれども、以前総務常任委員会で消防本部から配られた文書の中で「夜間勤務の実態として、多くの職場で休憩時間においても日中に処理できなかった事務や訓練を行うなど、勤務の割振り表に基づかない勤務実態があり、組織全体として適切な夜間勤務体制が徹底されていなかった」ということで、私が先ほどお聞きした軽い処分と、この話がなんとなくつながっているように感じます。この話はおそらく休憩時間に何かしら働いていたけれども、それを補うためにこういったことが起こったのではないかなというようなことを考えていますか。

 

(市長)

それはどうですかね。日中にこなしきれなかった仕事を夜間勤務のときに、本当は寝ていいんだけど寝ないでやっていたということですが、そのときには時間外はつけていない。夜間に火事が起こったために、当番の者は勤務の時間帯なので出動しても本来は時間外にならない。だけれども同じ日の当番で寝ていい人がいるわけです。火事もないのに全員が起きている必要がありません。寝ている人たちは勤務時間ではないので、夜中にたたき起こされて出動するとなると時間外になりますという扱いをしていたのが、起きている人も全部時間外にしてしまったと認識しています。

たまたま交替で起きるわけですよ。それが当たったときに不公平だということから始まったのかなと推測しています。

 

(幹事社)

補てんをするというかこういった実態があって、今は働き方改革と言われて民間企業では、サービス残業とか撲滅しようという動きがあるんだけれども、実は不正確なものという中にこういうことも含まれているというようなことですよね。

 

(市長)

不正確というか、組織の体制、運用、こういうものについてきちんとなされていない、あるいは、場合によっては実態に合っていないのに決まりとしてあるというような不整合がどうもあるのだろうということで、その辺も含めてまず整理をしましょうということです。

それが消防単独であるとまた身勝手なものになりかねないので、やはり市役所側が関わりながらやっていきましょうというのが、先ほどの趣旨です。

 

(記者)

今の消防の関連で、先ほど、一部の署から始まって、組織的に広がっていったというようなご発言がありましたけれども、消防として組織的にこの過支給の不正を行っていた、組織ぐるみで行っていたというふうに市長はお考えでしょうか。

 

(市長)

組織ぐるみとはちょっと違って、組織ぐるみというとトップも知っていて、みんなが知っていたというものです。今回は400人ぐらいのうちの300人を処分しているので組織的にとは言わざるを得ない。

どこかの署で不公平だから何とかしようとなったのか、詳しいいきさつはちょっと分かりませんがそこから始まって、だけれども異動で署を移るわけです。そうすると、あっちではこうやっていた、それいいねとなって広がっていったような気がして、それが8割も処分されるようになれば、組織ぐるみではないかもしれないけれども組織的なことになっていたと思います。

 

(記者)

こういう多くもらえる方法が消防の中で行われていて、本来もらえるはずの時間外手当よりも多くもらうという状況になる。それは消防職員の皆さんの中で、例えば自分が働いている内容に対して、正当な対価をもらっていないというような給与面での不満があるというような意見はないんでしょうか。

 

(市長)

給与面で不満があるなら公務員を辞めてもらうしかないですね。きちんと条例で決まっていて、私の一存で給料はこれだと言っているわけではないので、もともと公務員給与で不満ですよというのであれば、辞めてどこか民間にでもいって働いてもらうしかないわけで、私はそういうことはないと思います。

もっと稼ぎたいと思うんなら、もっと稼げるところに行けばいいだけの話で、それが不満で今回のことが起きたとは思っていません。まあ、だまし取ろうと思っていたとまでは決めつけていませんが、何か不公平だよな、じゃあこうしようかという中で始まったのかなと、私は受け止めています。

 

(記者)

そうしましたら、今回、消防の時間外の制度などを見直すというお話がありましたけれども、給与面から全て再構築、再検討するということは、今のところありませんか。

 

(市長)

全くありません。消防職員の給与は市役所の一般職の給与と同じで、別に低いわけでもない。消防だけ上げるとかもするつもりもないし、私はそういう不満があるとは聞いておりません。それが不満だったら辞めてくださいと言うしかないです。

 

 

 

 

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各社質問

(記者)

12月1日で、函館市と旧4町村が合併して15年になるんですけれども、4町村をある意味で財政的に救済して、施設の建設を進めたり、一定の効果はあったと思いますが、人口の減少という点においては、旧4町村は旧市内より急速に進んでいるというような課題などもあると思います。

この15年間を振り返ってのご所感と今後の課題解決に向けた考えについてお聞かせください。

 

(市長)

時代が時代で、日本全体で人口が減少していく時代ですから、もともと合併してばら色になるなんて考え方は、一部抱いていた人もいるかもしれないけれども、それは現状認識と先行きがよく分かっていなかった方々かなと思います。我々はいずれにしても厳しい時代になっていくということは認識していたわけであります。

ただ、その想定を超えるような人口減少が函館の中で進んでいて、旧4町村において人口の減少が激しくなっていく。これも若者の雇用が函館自体で少ない中で、旧4町村は漁業以外にそういう場がなかなかないので、なおさら流出する。

それからやはり、都市部で暮らしたいという若い人たち、結婚したりすると色々便利だから旧市内に来て暮らしたりします。もともと旧4町村の職員だった人たちも、リタイアすると家を建てて旧市内のほうに来るというようなことがあるわけです。

そのこと自体はなかなか止められないし、函館の人口が減っている中で、旧4町村の人口減少を止めるというのは無理なんですけれども、分け隔てなく、旧函館市、旧4町村ともに、子どもたちからお年寄りまで元気に暮らしていただけるようにということについては、心掛けていきたいと思いますし、これまでも、合併してから私で3人目の市長になりますけれども、そういうことを区別してやってきたこともありませんし、逆に重んじてやってきた。4支所管内に十分配慮して、優先しながら進めてきたのではないかなと思っています。

先ほども言ったように、人口減少、若い人たちが流出していく状況が15年前よりも著しくなっているというのは、函館市の責任というわけでもないんだけれども、そのことが何か、合併しても何も良くないと受け止める方々もいらっしゃるかなとは思います。

それは合併の常でありまして、私は亀田市役所の出身ですが、昭和48年に函館と合併したときも、そのあともずっと根強く合併していいことがないって、亀田地区の人たちや亀田市役所の古い人たちは言っていましたが、私はそんなことは全然あり得ないと思っています。合併して、かなり助かったのは亀田市だったんじゃないのと思っていまして、合併の常なんです。

それから顔なじみでずっと同じ地区にいた職員が、本庁に異動したりして支所からいなくなって、だんだん知らない職員になっていけば、寂しさが募るのは高齢者の場合には特にあります。新聞報道等の中には、職員が丁寧に応対してくれるというような報道もありましたので、職員の頑張りに期待したいと思っています。

 

(記者)

先日、大間原発の訴訟に関する市民向けの説明会が初めて行われて、かなりの市民が訪れておりました。説明会についての市民の反応やそういうことを見てのご感想や今後、裁判の進展に伴って、またあのような形で市民の方々に説明していくご予定があるのかどうかについてお聞かせください。

 

(市長)

訴訟の提起から5年を経過し、今まで全く報告をしていなかったので、そろそろ必要かなということで、説明会を開催させていただきました。本当に熱心に聞いていただいて、いらっしゃった方が弁護士たちの説明を熱心に、目を光らせながら聞いていただいた姿を見て、本当に開催して良かったと思いました。

また、その様子が報道されて、あの場に来なかった人たちにも、報道を通じて市の考え方や現状が伝わったのかなと思います。

今の状況を考えますと、結構長引きそうで1年ごとに極端に状況が変わるような感じでもありませんので、また、折を見て2回目、3回目ということが必要ではないかなと思っております。

 

(記者)

今日ですけれども、苫小牧市のIR誘致を知事が見送るとの一部報道がありましたが、これについての受け止めをお伺いしたいと思います。

 

(市長)

函館市長としての受け止めというのは特にありませんが、登別市であった道南市長会のときに苫小牧市長もいらっしゃって、IRの話もされてました。

カジノについては、もともと市長になって間もなくのころ、商工会議所の青年部が来て、フルマラソンとカジノ誘致の2点を要請されました。マラソンについては、当時ハーフマラソンだけだったものをフルマラソンも一緒にやるということについては私もやりたいが、カジノについては私はやるつもりはないので、やりたいなら皆さんでどうぞ、私自身は加わるつもりはありませんと言いました。そのときに理由を聞かれましたが、函館はホテルもたくさんあるし、IRという形で囲い込まれると既存のホテルに影響が出て来る、おまけに函館には中央競馬も市営競輪もあるし、パチンコ屋はいつも車で満杯だし、これ以上ばくちには手を出したくない、ギャンブル都市にしたくないというようなことを言った記憶があります。

だから道南市長会でも函館はやるつもりはありませんということは申し上げたんですが、ほかの都市のことについても、また北海道知事の判断にも私自身が申し上げる立場にはありません。

 

(記者)

合併に関してなんですけれども、合併に際して設けられた地域審議会が今年度で終わり、来年度から東部地域まちづくり懇談会ということで旧4町村地域一体という方向性だということなんですけれども、地域の住民の声をどのように吸い上げていくのか、少しずつ狭まっていくというような印象も覚えます。

 

(市長)

亀田市のときもそうですけれども、合併から30年、40年経っても合併前がどうこうということでなく、一体化していかなければならないわけで、そういう中ではいつまでも旧町村ごとに特殊性を持ちながら個々対応していくことにはなりません。

一体化させていかないといつまでも引きずります。お互いに合併して良かった、いや悪かったとか、私は亀田で懲りているんです。急激だとハレーションが起きるので、うまくやりながら意識も函館市民としての意識にしていかないとなりません。

個々の地域というのは、南茅部、椴法華、恵山、戸井とありますが、同じように函館だって、銭亀もあれば亀田もと、いっぱいあるわけです。だからそこだけをいつまでも特別にということにはなりません。

だからと言ってむげにするわけではありませんが、うまく調整してソフトランディングしながら、一体化を図っていく。最終的にはみんな函館市民だよという意識を持ってもらうようにしていくというのが、合併後数十年かかるでしょうけれども理想の姿だと思っていますので、そういう方向に向かってさまざまなことがこれからも進んでいくのかなと思います。そういうときに、一部の住民からは何だという声があがるかもしれませんが、なるべくそういうことにも配慮しながらやっていきたいと思います。

 

(記者)

合併によって南茅部の世界遺産というものも、新たに加わったというわけではないんですけれども、15年前の合併のときには、こういうことはたぶん想定していなかったと思うんです。きのう南茅部の地域審議会で、新たな懇談会を設けるということを支所長がおっしゃってたんですが、ある程度世界遺産が目の前に見えてきたときに、地域振興というものをどのように考えていますか。

 

(市長)

南茅部の地域振興はもちろん大事ですが、じゃあ世界遺産になったことで南茅部が大活性化するというような、そこまでの甘い期待を持ってはいません。淡い期待はありますけれども、甘い期待は持っていません。

やはりあの地域の生活の基盤にあるのは漁業です。だから今海の状況がおかしくなって、イカもサケも来ない、コンブも危ないと色々なことが起きている中で、基盤の漁業をきちんとしないと、いくら世界遺産があっても活性化はしていかない。

もちろん世界遺産の大事さは認識していますので、南茅部だけで果たしてつくれたかどうかということがある中で、縄文文化交流センターなどもつくって、「茅空」も旧市内の観光客が多く来るところに展示してはどうかという話もあったけれども、やはり見つかった南茅部でやりましょうということで、ああいう形になっています。

これからも南茅部だけでなく、椴法華、恵山、戸井でもどのような地域振興ができるのかということは、ずっと考えていかなければならない問題だとは思っております。とりわけ4町村とも漁業が基盤ですから、その面で力を入れていきたいと思っています。

 

(記者)

2点ありまして、今週末に駅前のハコビバがオープンする、ホテルに併設した商業施設ができるということで、新たな観光スポットとしての注目もされていると思いますが、そのことに対する市長の受け止めというのが1つと駅前を中心にホテルの開業や建設が相次いでいる現状についてのお考えをお聞かせください。

 

(市長)

駅前のハコビバは、大和ハウスのホテルと商業施設です。もともと市有地とJRの土地だったところにホテルを建てたいというお話がありましたが、それについてはずっとお断りをしてきました。やはり人が集まる集客施設でなければ、高い時期に買っていた土地を安い評価で売って、ただホテルだけにするわけにはいかない。

ほかのホテルからも市の土地を使って何だということにもなりかねないし、駅前・大門の活性化に全く役に立たないということではないけれどもホテルだけではだめだということです。一時地元の会社も店舗や工場を集約したいということもありましたけれども、やはりそれもただ販売するだけではだめということで、大きな計画をしていましたが、建築費の高騰等もあって断念し、今度は大和ハウスの新たな計画が採用されて、今に至っています。

ずっと以前に10億円ぐらい買った土地で、今はたぶん4億円ほどに大暴落している土地に一定のめどが付いて、まだ直接は見てはいませんが、計画などを見た限り、駅前・大門の活性化に役立つものになると思っていますので、ぜひ函館の観光、駅前・大門の活性化に貢献していただければと期待しています。 

とりわけ、棒二森屋が今のところ閉店して、今後の具体的なものがまだ決まっていない中で、今できるハコビバが観光客の皆さんに集まっていただける、しかも夜遅くまで営業してくれるということなので、私としては大いに期待しております。テープカットにも呼ばれていますので、見学方々お伺いしたいと思っておりました。

駅前を中心に本町や湯の川でもホテルの建設がみられて、来春までにかなりの数、10棟ぐらいは建つのかなと思いますし、そのほかに新たにホテル用地との看板がついた土地もさらにあるということを聞いて、正直なところまだ建つのと思ったところです。

それだけ函館のまちが期待されているとすれば、私としてはうれしいし、とりわけ外から来た人が函館を見て、さまざまインバウンドの状況、新幹線の札幌延伸の状況、観光地としての魅力などを見ながら、まだまだ可能性があると判断していただいているのだとすれば非常にうれしい限りです。

ただ既存の昔からのホテルが苦しくなる可能性があって、そういうホテルはたぶん地場の中小の旅館、ホテル等が多いということで、その辺は痛しかゆしの面がありますけれども、全く見向きもされずに、外からも誰も来ないで、ホテルなどを新たにやろうとしないまちよりは、多少の痛みがあってもまちの活性化のためには結構なことではないかなと思っています。

 

(記者)

10棟以上のホテルが建つということで、今後懸念されていくことの中に、人口が減っていく中で、働き手の不足というところがあると思いますが、市としてもせっかくの盛り上がりをサポートしていくというお考えはありませんか。

 

(市長)

宿泊施設ができても、フロント業務など比較的にお客さんと接するようなところを希望するのは、若い女性なんかもいらっしゃるけれども、問題は裏方ですよね。掃除やベッドメイキングしたりというような人手が足りなくなる。そういう人たちが足りなくなる可能性があって、きのうかな、市長室から外を見て、ずいぶんホテルが建って、これでまた人手不足になるな、困ったものだなと考えていたら、ひらめいたのがひとり親家庭にもっとPRをして、ひとり親家庭とホテルをつなぐ何かをつくるべきだということです。どこに頼むかは別にして、市役所が直接やるわけにはいかないので、シルバー人材センターや何かを使って、つなぐ組織を考える。

ひとり親家庭というのは、たぶん子どもが病気になったから休みたいとか、参観日だから休みたいとか、明日運動会だから土曜日だけど休みたいとが出て来るだろうと思うんです。そういうときに代わりの人を送れるように、プールした人を登録しておいて、以前市役所でも保育士が休むというと、庶務の担当が連絡して、明日入れますかなんてやっていたんです。

それと同じようなことをどこかでやってあげられないかなと思いました。一ホテルでやるのは難しいけれども、きちんとまとまって、行政が組織をつくってあげれば、ひとり親家庭の雇用策にもなるし、ホテル側にとってもいいんじゃないかなというような話を1つの例として、子ども未来部長に話したら、早速来年度に向けて協議を始めていましたけれども、色々な方法があるのかなと思います。

障がいのある方のなかでも比較的軽く、先日北海道の函館高等支援学校の初めての学校祭に行きましたが、ものすごくしっかりしていて介護などを学んでいる子たちがいます。高校3年間だけでは介護士の資格は取れませんが、市が助成するなど何か支援をすると専門学校に通ったりなどで介護士の資格を得られる子もいるということでした。そういった子たち、ホテルでも多少の障がいがあっても働ける子もいるわけです。かえって根気強くて、単純作業でも熱心にやるという傾向がある子もいるやの話も聞いているので、そういうことを生かせないかなと思います。

高齢者などがホテルで働くもの、あるいは介護施設も補助員などでやっています。それから家庭の主婦もホテルで働いてみないかということで、お試しのようなことをやっていますが、ひとり親家庭の子育てをサポートをしながら就労してもらうということは、これだけのホテルがあって、うまく休みのときの代わりの人の手当てができれば回れるんじゃないかなと思います。

それから障がいのある方でも、裏方であれば、十分にあるのかなと思います。あそこの高校の子たちであれば、フロント業務もできそうな感じでした。

色々な人に働いてもらわなければ、急に若い働き手が出て来るわけではありませんので、今までは、経営者あるいは事業所からあまり戦力と思われていない人たちを市が発掘して、支援しながら体制を整えていければなと思います。

 

(記者)

事業者側と働きたいけれども時間的な制約などで働けないというような人をつなぐようなことに取り組んでいきたいということですか。

 

(市長)

マッチングみたいなことです。それは行政でなければできません。多少始まっていますけれどもね。ホテルなどで家庭にいて働いていない主婦の方にお試しで仕事してもらったりして、働き出している人もいますので、それをもっと広げていきたい。

その対象としては、ひとり親家庭の人たち、なかなかうまく働き口がないというか、子どもを育てながらというのが難しい傾向があるので、そこを少し手助けすれば、ホテルなどではいいんじゃないかなと思います。

 

(記者)

観光目的税、いわゆる宿泊税の話ですけれども、北海道も導入を検討していて、道のほうは定額制の方針だという話が何日か前に出ていました。

函館でも有識者の検討委員会で宿泊税の導入の方向でというような話があって、函館でも道でも進んでいるというような感じになっていると思いますが、函館での今後の見通し、条例案の提出や道との折衝といった導入に向けての今後のスケジュール感や方向性について改めてお伺いできますか。

 

(市長)

12月中には有識者の検討委員会から私のほうに提言をいただけるということを聞いています。その内容やホテル業界の要望等も踏まえながら、また検討委員会から何らかのことに配慮してほしいというお話もあるやに聞いていますので、そういうことをお聞きしながら制度を設計して、条例案をつくっていくことになると、1か月ぐらいは要するかなと思います。2月定例会には何とか提案していきたいと思っています。

ただ、そのときには総務省と事前にすり合わせないとならないということもあります。総務省に受け入れてもらえないようなものを条例で出すわけにもいきませんので、その辺は早急にするよう財務部に指示をしています。

私どもは検討委員会で何回も議論しているし、ホテル業界にもお話をさせていただいて、意見も聞いていますので、先ほど、市も北海道も進んでいるとのことでしたが、北海道は何も進んでいないと思います。自分でぶち上げて話しているだけで、実際には、市町村にも何も対応してないわけです。ホテル業界にも、何か裏で少し聞いたという話はありますけれど。

そういう対応なしで、庁内の議論だけで本当にできるのということで、私自身としては、北海道は何も進んでいないと思っていますよ。函館市にも正式な話は何もないし、何か200円のうち100円は自分たちにで100円は市町村でというような虫のいい話ばかりは、裏から聞こえて来るけれど、そんなのは正式な話でもないし、聞いてもしょうがない。

それから、じゃあやろうとしている市町村とだけ、札幌や函館、釧路などとだけ話をすればいいのかというと、そうはならないわけで、ホテルのある市町村全てからどう了解をとるのかということ。自分たちで勝手に税金をとれるのかというように色々な問題があって、庁内議論だけで、焦って特定の新聞にだけ話しては、時々見出しが出るけれども、何も進んでるとは思っていません。

しかも倶知安の定率制との整理をどうするのか、登別は来年4月から、現在150円の入湯税を300円に引き上げるし、函館は入湯税が150円だけれども釧路は250円にしているなどの状況もあって、そうした市町村とどうやって調整をするのか、179市町村を相手に調整なんか本当にできるのかなと思います。

ホテル業界の理解も、やむなしというくらいのものを得られるのかというところまで作業が進んでいるのかというと、何も進んでいないと思いますよ。そのくらいはきちんとやってもらわないと、やっている市町村に、まあ乗せてくださいみたいな話でもし来るとすれば、とてもじゃありませんがお断りするしかありません。

きちんとした形でお話があれば、別にお聞きして、協議していくこと拒否するものではありません。だけれども今時点では何もありません。

 

(記者)

市長としては、函館市としての導入は2月議会での条例提案目指して作業を進めていくということですね。

 

(市長)

よほどのことがない限り、2月には出していきたい。まあ総務省との話がどうなるのかという、北海道の様子を見なければならないような事態になるのか、ならないのか、それは行ってみないと分かりません。

条例案ができてからでないと、できる前に行っても相手してもらえないでしょうし、何回か総務省とやり取りしなければならないという気はしています。

 

(記者)

市長のお気持ちとしては、定額制と定率制ではどちらですか。

 

(市長)

これは検討委員会も言っているようですが、定率制というのはただでさえ、なかなかやりたがらないホテル、旅館業界にとっては非常に計算が面倒だということと、もう1つは、例えば北海道だと7千円以上の宿泊に対して課税するというような話があって、その境目で、朝食代を除いて素泊まりで6千円だとか、宿泊税のかかるところはその分安くして、かからないところは高くしようとか、色々なことが起こるという話も聞いていて、定額制だとそういうことも生じないし、計算も1人当たりいくらで単純だしという利点があるやには聞いています。

ただ、先ほど言った検討委員会の皆さんのお話なども聞いた上で、制度設計したいと考えておりますので、現時点で決めているというわけではありません。

 

 


※記者会見における質疑内容の要旨をとりまとめの上掲載しています。



   
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