公開日 2019年06月17日
更新日 2021年12月14日
記者会見
日時 令和元年6月7日 金曜日 午後1時
場所 市役所8階大会議室
【会見事項】
・発表事項 令和元(2019)年度函館市各会計補正予算(案)について
発表事項
「令和元(2019)年度函館市各会計補正予算(案)資料」に基づき、市長から概要を説明
幹事社質問
(幹事社)
幹事社からまず1点目、今回の予算編成のポイントと重点を置いた部分などについてお聞かせください。
(市長)
先ほど主要施策の内容ということで説明いたしましたが、予算編成時点からあるいは選挙の時点から、私は引き続き市政を担うことになれば、福祉の充実というのを1点目に掲げ、そして2点目として経済の強化ということを掲げていたわけでありますから、そこに重点をおいて予算編成を行って、この予算案をつくったということであります。
福祉の充実については、福祉拠点づくり、介護だけではなく多様な人々に対応し支えることのできる拠点づくりを進めるということで、その検討を始める経費を盛り込んでおりますし、また、子育て世代への支援、ひとり親家庭への支援といったものを拡充するということで、学童保育料の軽減や子ども医療費の制度の拡充、無償化ですね、そういったことを盛り込みましたし、私学助成についても子ども関連ということで拡充をしたところであります。
一方で、函館はがん死亡率が全国的、全道的な平均よりも高いということもあり、平均寿命、健康寿命も全国、全道平均よりも短いということもあって、市民の健康づくりに、改めて力を入れていく必要性を感じておりましたので、「はこだて市民健幸大学」といったものを開校しながら、市民の健康の維持、増進に取り組んでいきたいということであります。
また、2点目の経済の強化についてですが、観光は比較的順調に伸びてきているのかなと思いますが、さらなる交流人口の拡大に向けた冬のイベントの強化ということで、湯の川地区と元町地区で冬季のイベントを行いたいと思ってますし、クルーズ客船は今年51隻と過去最多でありますけれども、もっともっと伸ばしていくために、旅客ターミナルの整備を若松ふ頭の本格供用に間に合わせるように行っていきたいと思っております。
一方で漁業については、最近、イカの問題も含めて難しい情勢があります。そうした中で、函館のイカというものを少しでも維持できるよう、小型イカ釣り漁業者の燃料費負担の軽減にも努めて出漁を促すこととしたところでありますし、コンブ漁の合理化、省力化といったことの研究も始めながら、新たな可能性として魚の養殖事業に取り組めないかといったことを検討してまいりたいと思います。
あわせてやはり労働力不足ということもありますので、介護の分野などでもそうですが、函館の高齢者や女性の方々だけではなく、外国人の雇用についても力を入れていきたいということで、予算を組んだところであります。
いずれにしても「福祉の充実」そして「経済の強化」が今回の重点と考えております。
(記者)
2点目なんですが、公約で掲げた「市民の幸せづくり」、「地域経済の強化」、「魅力あるまちづくり」について、今回の予算でどの程度反映できたかお聞かせください。
(市長)
「市民の幸せづくり」というのは、私はもともと「日本一の福祉都市」ということも申し上げてきていました。この補正予算だけでそうしたものができあがるわけはなく、中長期のスパンで取り組んでいかなければならないと思いますが、まずはこの福祉の拠点づくりを始めるわけで、これも半年や1年でできる話ではありません。拠点をつくるまでには、やはり3年ぐらいはかかると思います。地域包括支援センターを拡充していくということで、関係者の皆さんと協議を進めて、システムづくりをするにも2、3年はかかるのかなと思っています。
また「地域経済の強化」というのも、観光はこれからオリンピックや北海道新幹線の札幌延伸等に向けて、またさらなるインバウンド、多くの方々に来ていただけると思いますから、そんなに大きな課題があるとは思っておりませんが、当面できるものについては、今回、観光と漁業を主体に反映させたと考えております。
「魅力あるまちづくり」も一緒でありまして、野球場やスケート場などすぐにとりかかって短期間でできるものについては、今回計上させていただいたところでありあります。
いずれにしても、全部が補正予算で完成してできあがるというものではありません。任期4年のスタートとしては、今できることを一定程度盛り込めたかなと、自分では思っております。
(記者)
3点目ですが、限られた財源の中、非常に腐心された予算編成になったかと思うんですけれども、次年度以降に課題として持ち越した部分はございますでしょうか。もしあれば教えてください。
(市長)
個々の細かい事業で、これをやりたかったけれどもお金がなくてできなかったとか、思いつくもので、一つひとつの事業で来年に持ち越したようなものはないと感じています。
ただ、先ほども申し上げたように、この補正予算だけで解決できる話でもありませんし、長いスパンで考えていかなければならない。そういう意味で4年目のスタートとしてはいろいろなことを盛り込めたのかなと思っているわけでありますが、引き続き次年度以降に取り組む部分というのはかなりあるんだろうなと思っております。
とりわけ福祉については、子どもやひとり親家庭の医療助成の拡充自体が来年の8月からの実施で、今年は準備のための予算だけですし、先ほど申し上げた福祉拠点づくりも2、3年かかるのかなと思っております。そして福祉拠点をつくったからといって完成ではありません。福祉拠点をつくって、さまざまな市民の要望ということに、どうやって応えていくか、それから具体的な施策がまた生まれてくるということもあります。
また、健康づくりも、この1回の予算で飛躍的に健康寿命がアップするということではありません。やはり息の長い取り組みになっていくものであります。
子育て支援あるいは子どもの貧困と直結するひとり親家庭への支援、これも窓口を本年度つくることにしておりますから、そういった中でさらに支援策を拡充していく必要があると思ってますし、健康づくりももちろん先ほど申し上げたように同じであります。
経済の面でも、観光以外の産業、今回イカやコンブ等については盛り込みましたが、それ以外でも商業など人口減少に伴って厳しい業界もありますので、それも今後さまざまな取り組みをしながら地元経済の活性化に努めていきたいと思っています。
また、まちづくりはもともと中長期の取り組みが多いわけであります。西部地区の取り組みも、まだ始まって2年目でありますから、これからの長い取り組み、ガーデンシティもそうですが、大抵の取り組みが2030年度の北海道新幹線札幌延伸までにという取り組みを行っていますから、今年度で終了という話ではありません。
これからも福祉そして経済、まちづくり3点については、各年度でまた新たな取り組みを考えながら進めていきたいと思っております。
各社質問
(記者)
今回の補正予算の内容を見て、私の印象として、ひとり親家庭、子育て世代への支援ということで新しい事業が多く入ってきていて、その辺に市長の思いを感じられるかなというところもあったんですけれども、今回このタイミングでひとり親家庭や子育て世代への支援策を充実させていくというような印象の補正予算になったということには、何か思いがあるのでしょうか。
(市長)
直接的なきっかけはやはり、子どもの貧困問題というのが非常に大きかったのと、人手不足で女性が働きやすい環境をつくる。そのためにはひとり親家庭だけではなく、子ども、子育ての支援というのもしていかなければならないということを、この1年、2年痛切に感じておりましたので、そのことを少しでも進めることができればということです。
前は高齢者のほうをまずは先にということがありましたので、介護をはじめ高齢者福祉ということを重点的に進めてきました。これまでも子どもの施策を進めなかったわけではありませんが、なかなか財政的な余裕も、今年度はまずまずですが、この2年ぐらいちょっと厳しい情勢もありまして、こういう福祉関係の予算は、1回やって制度をやめるというわけにはいきませんので、持続可能性等も考えて今のタイミングになったと思います。
(記者)
選挙で訴えていた公約の中でも、子育て世代やひとり親家庭の支援を拡充させていくとおっしゃっていましたけど、今回の支援策というのは公約で言われていたことをかなり盛り込めたとお考えですか。それともまだまだ足りないとのお考えですか。
(市長)
先ほども申し上げましたように、例えばひとり親家庭の支援についても、一定程度盛り込んでいますが、これがすべてではなく、今年相談窓口をつくって、そこにきていただいて、具体的にさまざまな課題がひとり親の皆さんから、我々が知っていること、知らないことも含めて出てくるのかなと思います。そのための窓口をつくって、また来年度以降の施策の展開につなげていきたいと考えておりますから、これで終わるとか、子育てもそうですね、学童保育も月に2千円の助成を3千円にしましたが、私の頭の中にあるのはやはり、家庭と市で半々ぐらいの負担、今は1万円ぐらいですからできれば5千円ぐらいまで持っていけないかということも、これは財政状況もみながら、次年度以降も検討する必要があります。
私学助成についても、選挙ではあまり金額は言いませんでしたが、どこかで3万円ぐらいを目標にしたい、それを3年ぐらいでやっていきたいということも申し述べていますから、この金額についても今回で決して十分だとは思ってはおりませんので、子どもの部分、ひとり親家庭の部分については、これからももっと厚くできればと思っています。
(記者)
今年度から冬のイベントが新しく2つというところで、今回冬のイベントを増やしていくというところには、どういった意味合いがあるのでしょうか。
(市長)
やっぱり外国人観光客のおかげで、昔の夏場だけの観光からはだいぶ脱却できつつはありますが、それにしてもやはり夏場と冬場の観光客数はまだかなりの違いがあります。通年観光にしていくというのは、北海道、寒い観光地にとっては永遠の課題、何十年も前からの課題です。中国の春節の時期には来ていただけたり、12月にはクリスマスファンタジーの効果でだいぶ来ていただけるようになったんですが、それが落ち着く2月、3月、4月、まあ、とりわけ2月と3月ですね。ゴールデンウィークになると桜と重なって増える。
一番厳しいのは1月半ばから3月ぐらいまでで、その期間のイベント、札幌の場合は雪まつりがありますけれども、函館はなかなかそのような大がかりなものは、イルミネーションなどはやっていますが、外からわざわざ呼び込めるようなものはないので、そのようなものに育てていければなという思いで取り組むもので、この形でもう終わりではなく、ここから育てて大きくしていければなという思いで、とりわけ「ひかりのガーデン」はだんだん大きくしていければと思っています。
(記者)
観光目的税について、今回調査費を計上されたということで、思いとスケジュール感、あと札幌市のほうでも表明されておりまして、北海道と協議していく考えもあるというように報道されていますけど、函館市長としてそのあたりをどう考えていらっしゃるのか教えてください。
(市長)
宿泊税については、私が財務部長のときにも1回導入しようとして、なかなかうまくいきませんでした。市長になってすぐのときも導入しようとしたんですが、課題などもあってできませんでした。そのうちに全国でどんどん導入し始めて、私にしてみれば、3度目のチャレンジになります。
これは選挙戦でも後援会のパンフレットにきちんと観光目的税を検討するということで載せて、もう後退できないようにしながら打ち出してきたわけでありまして、函館市の場合、純粋の観光予算では、観光費と人件費で6億円ぐらいでしょうか、そこにさまざまなイベントの経費や客船の関係の経費、航空路の誘致の経費などを入れると、きっと8億円ぐらいにはなっているだろうと思います。
1つの業界に、これだけの予算をつぎ込んでいるというのは観光だけなんです。突出して観光に市民の税金をつぎ込んでいます。札幌市長もこの間おっしゃっていたように、これ以上市民の税金で観光というのは、なかなか厳しいのではないか。まして人口が減っていく、市民の税金が減っていく中で、それに比例して観光費を弱体化させると観光客も減る可能性があるわけで、なかなか減らせません。人口が減ったからといって節約できる予算ではないわけです。
そうすると安定的な財源を確保しながら観光都市として生きていくためには、やはり観光客の皆さんのご協力をいただきながら、そしてまたホテルの関係者に徴収など、あくまで税金を払っていただくのは観光客でホテルに払っていただくわけではありませんから、ホテルの皆さんのお手数をいただく入湯税と同じような関係でありまして、決して商業者に直接かけるわけではありません。
そして住民課税でもないわけで、まあ函館市民の方で市内のホテルに泊まる方も少しはいらっしゃるかもしれないけれども、ほとんど考慮しなくてもいいぐらいだろうなと思っていますから、今後の観光施策の展開あるいは市民の税金をこれからも観光にどんどんつぎ込んでいくという見通しではないことを考えると、やはり観光目的税、宿泊税というものをやっていかなければならないと私は思っています。
スケジュール的には、できれば年度内に条例を成案化していきたいと思っているところでありますが、これからさまざま有識者の意見、関係業界の意見等もお聞きをする中でですから、慎重にかつできるだけ早期に実現できるよう頑張っていきたいと思っております。
報道によると,札幌市長も指示したとお聞きをしております。北海道との関係については、非常に難しい側面があると考えております。都道府県では、東京都だったり大阪府もですかね。あるいは先日、福岡県と福岡市がお互いに協調しながらというようなこともお聞きしております。金沢や京都は市単独であります。
北海道の特殊性というのは、広いということです。従って道民が道内で泊まるということが非常に多いということが他県とは根本的に違うと思っています。福岡県の例えば北九州市の人間が福岡市のホテルに泊まるということはまれです。ビジネスやイベントで福岡市に行っても帰られるわけです。宿泊税は導入していませんが、青森県なんかでも一緒ですよ。東京都もそうだと思いますね。東京23区のホテルに東京都民、まあ休養等で泊まる人はいますけれども、仕事や観光で泊まる人はいません。ただ北海道の場合は、事情が全く違います。
函館の宿泊客数は、推計になりますが実人数で350万人ぐらい、延べ人数では440万人ぐらいです。その3分の1は北海道民です。最近の詳しい数字は見ていませんけれども、札幌の場合は半分以上、北海道の方が泊まっているんじゃないでしょうか。
そうするとほかの県と違うのは、ほかの市から来る人ですから函館市が課税をしてもほとんど住民課税にはなりませんが、北海道が課税するということになると、函館の場合では3分の1が住民課税になるわけです。札幌から来た人に函館市が課税する分には住民課税になりませんが、北海道がもし相乗りして課税するとすれば、道の分の税金は3分の1が道民に課税する税金になるわけです。
そういう大きな問題がほかの県とは違って生じてくるので、なかなか簡単にはいかないのではないかなと懸念をしております。市民税を払っている人からは基本的には宿泊税をいただかないで、市民税を払っていただく中で普通にサービスをするわけですから、そのほかに追加でいただくという考えはありません。ただ道税になると、道民税を払っているのに、さらに宿泊税を払わなければならないという大きな課題が生じてくると思っています。
その辺の調整ができるかどうか。それは我々が調整するのではなく、北海道が道民の皆さんから理解を得ることができるのかどうか、また各市町村から理解が得られるのかどうか、その辺が課題だと思います。
当面、我々としては単独の形で粛々と進めていきたいと思っております。
※記者会見における質疑内容の要旨をとりまとめの上掲載しています。
配付資料(令和元(2019)年度函館市各会計補正予算(案)資料)
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