公開日 2018年03月20日
更新日 2021年12月14日
記者会見
日時 平成30年2月13日 火曜日 午後1時
場所 市役所8階大会議室
【会見事項】
・発表事項 平成30年度函館市各会計予算(案)について
発表事項
別添「平成30年度函館市各会計予算(案)資料」に基づき、市長から概要を説明
幹事社質問
(幹事社)
幹事社を代表して3点ほど質問をさせていただきます。
まず、1点目は、毎年、新年度予算案の発表の際に必ず聞くことで、新規事業等については既に担当部局から説明を受けましたが、その中で市長が特に強い思いを込めた事業等についてご紹介いただければと思います。
(市長)
私が市長に就任してからは、市政の大きなテーマを4つ掲げております。「交流人口の拡大」、「若者の雇用創出」、「少子化対策」、そして「高齢者の安全・安心」の4点を掲げてきたわけでありますが、その中で新年度の予算編成では、予算査定の冒頭でも申し上げましたが、やはり1つには「子どもの貧困対策」です。
平成29年度に「子どもの生活実態調査」を実施し、先日、中間報告を行いました。北海道や札幌市でも調査を行っておりますが、比較すると函館はひとり親家庭が多いということと子どもの貧困率が高めだということが分かり、新年度予算においてはその中間報告の結果も踏まえて、一部国の制度なども活用しながら予算化をしたところであります。
これで十分だとは決して思っていませんが、今後、推移を見ながら充実できればと思っております。
2つ目は、「人手不足」が各産業で顕著であります。観光のホテルや飲食だけではなく、物販、運輸、建設、介護、さまざまなところで人手が足りないことが大きな問題になっております。仕事はあるんだけれども人がいないということで、これは除雪においても、非常に大きな壁になっております。
何十年ぶりという大雪で、連続して大雪が降っています。幹線道路は3日から4日ぐらいで除雪し、その後に住宅地の除雪に入るのですが、幹線道路が終わった時点で、また大雪が降るものですから、いつまでたっても住宅地の生活道路の除雪ができないというのが今の実態であります。
函館の場合にはこんな大雪があまりないので、もちろん車両台数自体も限られているのですが、それ以上に作業員が足りないというのが事業者からの声でありまして、車両自体は24時間動かせますが、3交替などで実施するほどの人手がない。除雪車を運行する人たちなどが睡眠不足で疲労困憊という状態、これは函館だけではなく東北や北陸でも同様のようでありますが、こうした大雪になかなか対応できないのはお金の問題というよりは人手の問題ということで、例年並みだとそれなりにできるのですが、今年はそれを超えていて、市電も32年ぶりに全線運休となったような雪で、今全力でやっていますが、昨日からまた降っていますので、せっかくこの前の大雪を片付けようとしていたのですが、随分追われているなというところです。
そういうものにも非常に影響しているので、「人手不足対策」ともう1つは、やはり「人づくり」です。函館においては、まちづくりだけではなく、市民の幸福度調査でも函館は、医療や仕事などさまざま低い面がありましたので、「人づくり」の重要性ということで、両方に力を入れたところであります。
本市の若者たちが、地元には自分たちには適する仕事がないということで流出が多く、今まで全道1位だったのが、今回は3位まで低下はしましたけれども、昨年もまだ800人ぐらい転出超過の状態になっていますので、単純に今の企業状況の中で引きとめるというのは難しく、労働生産性を上げて収益性の高い産業群に地元企業を脱皮させていかなければならないということで、IT、AI、ロボットの地元企業への導入といったものも力を入れて、単なる人手不足対策から生産性向上の取り組みへと進んでいければと思っております。
人手不足の深刻化については、若者だけではなく、家庭にいる女性あるいは元気な高齢者も働けるような環境を徐々に整えていければと思っています。
3つ目は、「ポスト新幹線時代のまちづくり」で、トップは「ガーデンシティ函館」の推進でありまして、道路や緑地あるいは函館山の遊歩道などの整備を継続的に進めるとともに、西部地区の再整備に向けた取り組みも始まってまいります。
また、「食の産業化」の推進、「フェスティバルタウン」の形成にも鋭意取り組んでまいりたいと思いますし、「陸・海・空の交通の有機的な活用」ですね。空港、港湾いずれにおいても精力的に取り組んでいきたいと思っているところであります。
新年度はこの3点に重点を置いたところでございます。
(幹事社)
2点目ですが、2年連続となるスルメイカの不漁、去年よりはまだましというところではありますが、著しい不漁には違いないということで、新年度予算の中でイカの不漁もしくはその不漁に苦しむ産業界の対策として盛り込んでいるものについてご説明いただけますか。
(市長)
スルメイカ漁については、一昨年30年ぶりの記録的な不漁となって、昨年も不漁であり、原料不足や価格高騰ということで、漁業者については価格が高騰したので所得はそれほど目減りしていませんが、水産加工業にとっては大きな打撃となっていることから、緊急支援策として、これまで商工会議所と連携した低利融資や利子補給といった金融支援を実施するとともに、昨年10月には、輸入イカの共同調達に対する1億円の補助も実施したところであります。
スルメイカ漁については、昨年の水産物地方卸売市場における取扱量も一昨年の不漁時とほぼ同じであり、価格も例年の2倍以上と非常に高いままで推移しておりますし、輸入イカの相場も高騰しているということで、決して好転しているとは言い難い状況にあります。
そうした中で国には、平成29年度のイカ輸入枠の追加枠発給時期を前倒しして、当初枠と同時に発給する設定をしていただいたり、輸入対象国に新たにロシアを加えるなどの状況も出てきておりますので、引き続き、国の動向も注視しながらと考えております。
新年度予算では、イカ不漁のリスク分散対策として、1つ目はイカ以外の魚種への転換支援として310万円を計上しております。また、2つ目は、水産加工業をはじめとする中小企業者の経営効率化を図るため、先ほど申し上げましたIT活用による生産性向上の取り組みへの支援ということで330万円を計上しておりますし、金融支援策としては、これまでの低利融資にとどまらず、魚種転換や生産性向上に向けた設備投資の取り組みを行う企業に対して、既存の資金よりも優遇した利率で貸し付けを行う新しい資金制度を創設するなど、これからも状況を見ながらさまざまな支援をしてまいりたいと考えております。
(幹事社)
幹事社からは最後になりますが、もう1点、去年はイカと並んで話題になりました棒二森屋の件ですが、これについて何か市として予算案に盛り込んだことがあればお聞かせください。
(市長)
棒二森屋につきましては、昨年イオンの岡田社長と2人でお話をし、その結果を受けて、現在イオンにおいてグループ全体としてさまざまな選択肢を検討している状況にあるとお聞きをしておりまして、市といたしましてはその回答をお待ちしている状況にあります。したがって現時点で予算案に反映したというものは特にありません。
今後、どのような回答があるのか、その内容が新たなものに取り組むという方向であれば、その新たなものに対して、市としてどういった支援ができるのかというようなことは、イオンからお話があった段階で考えることになりますので、現時点で当初予算には何も計上しておりません。
ただ、はこだてグリーンプラザにつきましては、平成29年度予算で基本設計を行い、通常であれば、新年度予算において実施設計に入る予定だったわけでありますが、棒二森屋の今後がまだ明らかでない状況で、駅前・大門地区において棒二の存在は大きなものがありますので、イオンの動向がはっきりした上で、グリーンプラザに取りかかるということで、本来行うとしていた実施設計については、平成30年度当初予算案への計上は見送ったところであります。
各社質問
(記者)
工藤市長は重点的な取り組みとして、「子どもの貧困」を第一に考えていらっしゃいました。金額で見ましても、先ほどあった就学扶助費の基準を1.2倍から1.3倍に引き上げるということが大きいのかなと思いました。
就学扶助費の基準は、国の生活保護費の基準額からということで、今後、生活保護の基準額の引き下げといった部分も絡んでくると思います。実際に生活保護基準額の引き下げによって影響が出た家庭の方もいらっしゃったと思います。
そこで、先ほどこれで「子どもの貧困対策」がすべて十分なわけではないとおっしゃっていましたけれども、どういったところに今後さらに力を入れていくべきかといった具体的なビジョンがあれば教えてください。
(市長)
就学扶助費につきましては、全国的に平均的な基準は、生活保護基準額の1.2倍となっています。前回の生活保護基準額引き下げの際に、1.2倍から外れる世帯が出て、それまでは就学援助を受けられていたのに受けられなくなった方もいらっしゃるわけですが、そうした方々の救済と今後予想される生活保護基準額の引き下げに、少しでも対応するために、まずは1.3倍にすれば、該当になる方も出てくるのかなということで、先読みもしながらの1.3倍ということであります。
ただ、今は市税も交付税も減少するという予算上の制約の中で、1.3倍が限界だったのですが、それでいいのかというと私自身もできればもっと、将来的には1.4倍などが考えられるのかなと思っており、まずは第1段階と捉えております。
それから生活困窮世帯等の子どもたちへの学習支援もこれだけの人数というこで、かかわる学生や教員OBの人数に限りがあってなかなか対応できない面もあるので、子どもたちに対する学習支援や家庭でのさまざまな支援についても、もう少し拡大できればなと思っていて、新年度が第1歩だと捉えています。
子ども未来部においても、今は中間報告を受けてのことですが、これからさまざまどういったことがあるのか、まだ調査がまとまってすぐで、これぐらいの対応ですが、今後に向けてまだまだ検討していく必要があると思っております。
(記者)
全体的な収支のことについて伺います。工藤市長は就任当初から収支均衡予算ということに心を配られていたと思いますが、平成29年度に続いて、財源調整のための基金の取り崩しとなりました。おそらく地方税の伸びを見込んでいて、地方交付税が減額になる中で、函館の場合は全国平均より地方税が伸びないということだと思います。財政調整基金と減債基金の残高は50億円ほどとのことでしたが、来年度以降の収支均衡の考え方についてお聞かせください。
(市長)
基本的には収支均衡にしたいということがあります。基金は一時期70億円ぐらいあって、できれば100億円ぐらいまで積みたいなと思っていたんですが、今回補正予算で、北海道への移管前に国民健康保険事業特別会計の累積赤字解消のため約10億円、それから市立函館病院が経営悪化で次から次へと財政調整基金あるいは地域振興基金を崩して赤字を補てんしている状況で、今先の見通しがたたずに、市の財政の中では、病院の経営が一番の大きな課題で不安要素であります。
そういう中で一般会計については、4億から5億円ぐらいで済んでいれば、たぶん結果的に決算では、プライマリーバランスが維持できると考えていますが、ずっと過去最大の黒字などがあって緩む可能性があったので、逆に言うと、ほどよく崩して繰り入れることで財政が厳しいということを認識してもらうということもあって、無理に合わせなかったというのが平成29年度と30年度予算の考え方です。
5億円ですから組もうと思えば組めないこともないのですが、こういう状況が厳しくなっているときに無理をして組むと、財政は大丈夫なんだなと緩んでしまうということがあり、従来の函館の財政というのは、こういうことから始まってどんどん悪化して、手に負えないほどのものになって、私が就任したときもそうだったんですが、行財政対策を集中的にやらざるを得ない状況になっていました。
それを繰り返さないために、こうした5億円程度の繰り入れの段階で行財政改革をある程度、これからも継続してやっていく必要がある。そのことによって、リーマン・ショックのように特別に大きなことがあれば別ですが、現在の経済情勢や財政の状況を考えると、そんなに急に、15億円、20億円と単年度で繰り入れる状況にはならないと思っております。
(記者)
今の関連ですが、どんどん緩むというのは、市立函館病院のことを言っているという印象を受けました。
(市長)
いいえ、それは違います。
(記者)
先ほどの財務部からの記者レクチャーで、今年度の補正予算で市立函館病院に2億円ほど繰り出すというお話がありました。病院自身は、例えば職員給与の減額など、何か努力はあるのでしょうか。
(市長)
今のところ、給料を何とかしたいということで労働組合と交渉に入っているということはお聞きをしております。
実は今日、議員への予算説明では、人事案件も申し上げ、ここでは申し上げるつもりはなかったのですが、吉川病院局長が任期満了で3月31日をもって退任されます。後任は、今、川崎医科大学の特任教授をされている氏家さんが4月1日から就任するということになっています。
引き継ぎも含めて、そして市立函館病院の経営の改善策についても、吉川局長には最後のお土産としてきちっとしたものを作ってくださいということを申し上げています。
あとは吉川局長のほうからお答えします。
(病院局長)
それでは病院局の財政状況について収支見通しを含めまして、少しご説明をさせていただきます。
平成29年度の単年度資金収支は、会計基準改定の影響分、約7億円を含めて、約22億5千万円の赤字見込みとなってございます。健全化法の資金不足比率が経営健全化基準の20%を超えるおそれがあるため、2月補正で恵山病院、南茅部病院も含めての財政支援を約3億9千万円支援していただくこととしているところです。
平成30年度の病院事業会計の予算といたしましても、平成30年度診療報酬改定もマイナス改定となるなど、いろいろと厳しい状況におかれているため、入院件数の増加等は平成29年度も今までにない件数を増加させ、そのほか共同購入等で材料費の削減も含めて赤字の圧縮を図っているのですが、資金ベースで約8億7千万円の赤字予算となっているところであります。
函館病院だけで約7億3千万円の赤字、恵山病院で4千万円、南茅部病院で約1億円の赤字予算となっているところで、このままでいきますと、やはり資金不足比率が健全化法の経営健全化基準の20%を超えるということで、職員組合に対して期末勤勉手当の削減を提案したところでございます。現在、この5年間の人件費の伸びだけで約9億円ほど伸びています。それはいろいろな原因がありまして、その9億円を賄えるだけの医業収益増は図れなかったということでございます。
(記者)
市長は2期目の任期で、最後の本格的な予算案ということになると思うんですけれども、選挙での約束はすべて着手できたという認識でしょうか。
(市長)
そうですね。大きなもので手がけていないというものはないと思っています。
ただ、1期目も2期目もそうですが、どちらかというと大間原発や並行在来線の経営分離問題、新駅の名称問題といったものばかりが注目されて、福祉や教育も意外とやってきたつもりなんですが、そちらに目を奪われてこちらがあまりというイメージがあったのかなと思います。
函館アリーナや中心市街地のキラリス函館やシエスタハコダテ、あるいは函館フットボールパークなどが注目され、ソフト的な施策があまり注目されていないのですが、地道にやってきたので、今回はあえて今課題となっているソフト部分の「子どもの貧困」と「人手不足」、「人づくり」などを強調させていただきました。
「ガーデンシティ函館」のように、もちろん完成していないものはありますが、手がけなかったというものは、とりわけないと思っています。
(記者)
市長は、昨年の1月に西部地区の再開発の話を打ち出して、今年は農業者、漁業者の所得を2千万円にと、かなりのビッグプランに言及されています。この2つについては、今回の予算で調査費ということでつきましたが、この大きなプランを遂行していく自信はありますか。
(市長)
西部地区については自信というよりも、やらなければならないんです。
これは将来の函館の観光を考えても、どうしてもやらなければならない。居住者のいない観光地は寂れてしまって、観光施設があっても人は来なくなると思っていますから、あの函館独特のまち並み、やっぱり港、坂道、教会の風景、そして異国情緒のある風景を残していくためには、今のままでは保存しきれないと考えておりますので、これは私でなくても、誰が市長になっても、函館の将来のためにはやらざるを得ないと思っています。
非常にお金もかかるし、手間もかかるかもしれませんが、避けては通れない。そのための住民との話し合いの経費など、さまざまなものを今年度計上をさせていただきました。
もう1つは、漁業、農業の後継者がいない。これは漁業、農業に限らないんですが、なかなか魅力ある産業として若者に捉えられていない。
しかし、将来、とりわけ漁業は、魚が不足してくるのは目に見えている。国内では人口減少が加速していくので消費は減りますけど、世界中、とりわけ中国、ロシアなど各国の内陸部、アフリカなんかもそうですが、これまで淡水魚しか食べていなかったり、美味しくない魚を食べていたものが、冷凍、冷蔵技術の発達によって内陸部まで海の魚がいくようになるのと、処理技術も向上して昔のような生臭さなどがなくなると、もっともっと消費が拡大して、海水魚は世界中で不足するだろうと思っています。
そのときに、日本の国内消費を賄えないような漁業、農業になっていても困るし、これを未来産業化していくというか、漁業は船が新しくなったり、網が新しくなったりしていても、やってることは縄文時代と変わらないようなことをやってるわけで、これを高度化して生産性を高めて、それから海の危険性を排除していくということも、これまでの漁業の延長にあるようなものではないことを考えなければならないのではないかと思っています。
この前、市内の5つの漁業協同組合の組合長会議でも申し上げたんですが、例えばロボット漁船、もうAI、IT、ロボットとかを積極的に漁業や農業にも導入していく。
漁業であればロボット漁船、車だって無人化していくんだから、漁船だってGPS使って無人化できるだろうと。農業の耕作機だって無人化の方向に進んでいるので、漁船だって無人化できて、ロボット漁船が勝手に魚がいるところへ行って捕ってくる。家に居てその映像を見て指示するだけでいいというような時代が絶対に来ると思います。そうすると海難の心配もなくなるわけであります。
函館の主力であるコンブなども、家族総出でやったり、やり方としては原始的です。養殖するというのは現代の技術ですが、やっていることは縄文時代と変わらない。それだって海の工場化、海を工場と捉えてですね、コンブの養殖もすべて機械化するとか、私自身はそういう取り組みも必要だと思っているんです。
そういう、今までの農業・漁業を超えた取り組みをしていかなければ、2千万円という所得には上がってこないし、後継者もいつまでたっても生まれない。
今言ったような近代化された漁業で、所得が高ければ、喜んでやる若い人たちが出てくると、私自身は思っているので、そういうことを農林水産部には指示しています。
(記者)
予算とは別な件ですが、質問させてください。
青函トンネルが開通して、今年3月で30周年になります。物流がそれで大きく変わったと思いますが、函館にとっては青函トンネルの開通で何が一番変わったか、何が利点であったとお考えですか。
(市長)
そうですね、一番というのはやはり観光面なのかなと思います。そのことでJRの青函局が廃止されて人が流出したというマイナス面があるのと、飛行機の時代になって青函連絡船そのものの乗降客も昔に比べれば減ってはいましたが、飛行機時代以前は、北海道に入るのも本州に渡るのもすべて函館が起点になっていて、北海道中から函館を経由して本州に行き、あるいは北海道に帰るのも函館を通らなければ帰れなかった。それは、それぞれの時代で、時代が進んで飛行機の時代になるとそうではなくなっていました。
やはり、トンネルを掘るきっかけとなったのは、函館で沈んだ洞爺丸の災害があったわけであり、そういう心配がなくなって、海が時化てフェリーが止まっても、問題なく行き来できるようになったことが一番の利点かなと思います。
ただ、青函トンネルが開通した時点では、最初は評判を呼びましたが、函館と青森は2時間かかりましたので、なかなか交流が進まなかったんですが、新幹線の時代になって、青森をはじめとした東北との交流が活性化しています。
青函トンネルだけではそれができなかったけれども、新幹線が通って青森が函館と連携したことによって、東北6県の中では宮城県を抜いて、インバウンドの数が一番に躍り出ました。完全に道南との連携が1位に引き上げたということで、宮城県のほうも焦っているということを、宮城県議会議員から聞きました。
その影響もあって秋田の仙北や大館などから連携の申し出がありましたし、宮城県からも6月にぜひ仙台に講演に来てくれという依頼があって、行くかどうか決めていませんけれども、そうした動きが出てきたというのは、やはり青函トンネルがあって、そして新幹線があるということだと思いますし、新千歳あるいは函館空港からばかりではなく、東京からのインバウンドが非常に増加しているというのは、欧米人の増加を見れば顕著であります。
それから香港やシンガポールからのインバウンドが増えているのも、東京から、飛行機も羽田便が一部ありますが、やはり新幹線、トンネル効果が大きいと思っていて、交流人口の拡大には随分と、トンネルだけでは難しかったかもしれないけれども、新幹線が揃ったことによって函館としては手に入れることができたと思います。
(記者)
大間原発訴訟ですが、3月19日に市民らが訴えた訴訟が判決を迎えることになったことについて、市長から改めて期待感や注目している点などをお伺いしたいと思います。
(市長)
大間原発の立地場所の危険性やフルMOXの原発の危険性など、さまざまなものでは弁護団が同じということもあって類似点があります。
市民団体の訴訟と市の訴訟の違いとしては、私たちは避難計画の策定を義務づけられている30キロ圏内にある市町村でありながら、同意権も与えられない、説明会も開いてもらえない。そして避難計画だけは作れと、こんなばかな話があるのかというところがあるわけです。当然産業廃棄物でも何でも事業者に責任があって、それに対して市がいろいろなことを言えるのだけれども、原発に限ってだけは何も言えないというばかばかしさ、いい加減さがあります。そこが我々の訴訟の主題、一番の部分です。
そのために、まず同意権を市にも、当然避難計画を強制的に作らせるのであればこれは同意権も必要だ、同意しないものの避難計画をなぜ作らなければならないのだと、何回要請しても説明会さえ開いてもらえないんだから、それで避難計画だけは法律で義務づけられてるって、こんな変な、ばかばかしい、いい加減な法律があるのかということを、私は中央に行っても言っています。
だけど彼らは認めようとしない。それをやるとあちこちで建てられなくなる、稼働させられなくなる。
そんな理由で、安全性そっちのけで進めるというのはとんでもないということが1つあるのと、避難計画をきちっと、アメリカなどほかの国と同じように建設の条件にすべきだと。避難計画が作られる場所なのかどうか、逃げられるのかどうかを確認してから、建設させるのが当たり前なんで、それをそっちのけで建設してしまってから、避難計画を作ってこいなんて、全然逆で、要は原子力村がただやりたいがためにやっている。あとの都合の悪いことは全部ほっかむりしているわけです。
そんなやり方が、あの福島原発を踏まえて、まだ許されるこの国って、いったいどうなっているんだというのが、市として訴えている考え方はそこにあります。
市民団体の訴訟と重なっているところもありますが、私は原発の危険性というのは福島原発で立証済みであって、これの安全、危険を議論してもしょうがない。裁判だからいろんなことを言っているけれども、危険なのはもう分かりきっていることであって、100%の安全なんてありえないのだから、じゃあそこに立地するのが適正なのかどうか、避難計画ができるのかどうか、それから危険を与える隣近所に、すみませんやってもいいですかって言わざるを得ないでしょ、これが常識だと思っているんだけれども、そういうことを言っています。
ただ、最終的には大間原発を止めるということでは、市民団体の訴訟と考え方は同じですから、当然、市民側の勝訴を私は心から願っています。これは、ここでそういう結論が出ると、なかなか東京地裁、今、原子力規制委員会が大間原発を全然今のところ門前払いで、審査もやらないで、ちょっとお互いに、裁判所と原子力規制委員会がけん制し合っているのか、どちらかの結論を待っているのか、よく分からないところがあるのですが、3月に函館地裁の結論が出るということは、私としては良い方向に出ることに期待しております。
(記者)
病院局の局長人事に関してですが、個人的に氏家先生という方は存じ上げなかったんですが、人選の経緯ですとか、どういったところに期待していらっしゃるかということをお話しいただけますか。
(市長)
吉川局長については、これまで長く局長を務めていただいて、その前は病院長も務めていただいて、年齢的なこともあって今回の任期をもって退任するということで、我々はなかなか医師の世界は分かりませんので、後任については、吉川局長にある程度一任をしておりました。
その中で同じ札幌医科大学出身者で、この方が適任ということで吉川局長から推薦がありましたので、現地に副市長が出向いて正式にお願いをし、また先方の大学にもお話をして、今回こうして4月1日から就任していただくということになったところであります。経歴については、後ほど、まとめたものをお渡しできると思います。
※記者会見における質疑内容の要旨をとりまとめの上掲載しています。
配付資料(平成30年度函館市各会計予算(案)資料) (1MB)
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