公開日 2018年01月23日
更新日 2021年12月14日
定例記者会見
日時 平成29年12月25日 火曜日
場所 8階大会議室
【会見事項】
幹事社質問
(幹事社)
平成29年もあとわずかとなりました。今年はどんな年だったでしょうか。
(市長)
全体的に見るとイカの不漁や慢性的な人手不足、あるいは北朝鮮のミサイルが2回も上空を通過し、年末には北朝鮮の漁船の漂着といろいろありましたけれども、若干浸水した地区などはあったものの、そんなに大きな災害には至らず、北海道新幹線の開業2年目ですが、比較的に落ち着いた1年だったと思います。思い起こしてこんなことがあったという大きな出来事があまりない穏やかな1年でした。
今年は、雪が早くから根雪になって、例年に比べると雪が多くて寒くなっていますが、全般的には穏やかな1年だったなと思います。
(幹事社)
次は、来年の話ですが、北海道と命名されてから150年、青函トンネルの開通から30周年、さらに北海道新幹線の開業から3周年と何かと節目の年となりますが、函館市が主体となるような大きなイベント、事業等の計画はありますか。
(市長)
北海道命名150年ということで、北海道が中心となって「北海道150年事業」に取り組むようでありまして、それに市として参加するということはありますが、それ以外に市独自でというのは、青函トンネルの30周年や新幹線開業3周年も含めて、とりわけ考えていませんので、グルメサーカスや函館マラソンなど例年実施しているイベントのほかに、特別大きなイベントはないと思います。
各社質問
(記者)
平成29年度上期の函館への観光入込客数が前年同期と比べると7.7%の減となりましたが、その評価を教えてください。
(市長)
338万2千人の観光客数で、開業年に比べると7.7%、28万2千人減少しました。なかなか開業年のようにはいかないと予想していましたが、内容を分析すると健闘していて、そんなに落ち込んでいないなと思っています。函館の場合は宿泊客数が3分の2、およそ67%が宿泊客、残りの3分の1、33%が日帰り客という構成になっています。道内の観光都市の中では非常に宿泊率が高く、もちろん経済的には宿泊客のほうが圧倒的に効果が大きいわけでありまして、そこを重視しているところです。
28万2千人減っていますが、宿泊客数では5千人しか減っていません。開業年とほぼ並ぶ宿泊客数を確保しています。残りの27万7千人は日帰り客の減少で、開業年は、函館には宿泊しないけれど、北海道新幹線の開業で新幹線を一度見てみたいとか、新幹線に一度乗ってみたいというお客さんや、開業イベントに参加するため、近郊あるいは道内から車などでお越しになった方が増えたのですが、今年はそうした大きなイベントがありませんでしたので、こういうことになったのかなと思っています。
いずれにいたしましても、宿泊客数がほぼ開業年をキープしたということで、私としてはそれほど落ち込んだとは受け止めておらず、健闘したのではないのかなと思っています。
とりわけ外国人宿泊客数については、24.4%、3万9千人増えており、初めて上期で20万人を超えました。そういう意味では、こうした方々が日本人観光客の減少をカバーしてくれたのかなと思っています。来函外国人を国別に見ますと、軒並み大きく伸びています。台湾や中国は、すでに大勢来ていますので伸び率としては14%ほどですが、香港は2倍になっていますし、韓国、タイ、シンガポールといったところも50%前後伸びています。今後の期待はどちらかというと人口が減っていく国内観光客よりも、インバウンドのほうでありますから、その意味では順調なのかなと思っています。
これからも、とりわけ冬場の観光がまだ夏場に比べると落ち込むわけですから、インバウンドの取り込みに努めていきたいと思っています。
(記者)
関連しますが、年間の観光客数は目標としてどのくらいの数字をめざしていますか。
(市長)
今年度ですか。
(記者)
中長期的な目標です。
(市長)
中長期的には600万人というのが市の公式の目標です。インバウンドについては100万人ですね。
(記者)
600万人をめざす上で力を入れていく取り組みについてのお考えはいかがですか。
(市長)
やはりインバウンドですね。人口が減っていますので、国内観光客はそれほど伸びていきません。だんだん日本人も海外に行くほうが増えていますので、国内の観光地はかなり取られるのかなと思っていますから、これからのターゲットは東アジアや東南アジア諸国に広げていくということで、台湾はもうめいっぱいでしょうから、中国ですね。中国は北京、天津、杭州、西安と4路線いずれも運休しました。これを改めて、さまざまなルートで復活させたい。また、中国での函館の知名度を高めていくための取り組みを何かしていく必要があると思っております。まだ確定していませんが、うまくいけばタイに定期航空路が就航しそうですし、その整理がつけば、周辺のベトナムやインドネシアなど、徐々に拡大をしていきたいと思っています。
それとやはり客船誘致ですね。客船はもう5万人ぐらい、2年連続で北海道一の寄港数で30隻前後の寄港数になってきておりますが、これをぜひ、若松ふ頭も着工しましたので、早いうちに70隻ぐらいまで増やしたい。世界的には、とりわけアジア、東南アジアでの客船の旅行の需要が高まっておりますので、そうしたものも合わせて600万人に増やしていきたいと考えております。もう1つ、道内7空港の一括民営化もありますので、北海道がインバウンドについて、今の230万人から、2020年には500万人と言っていますから、我々も北海道と連携をしながら、100万人あるいはそれ以上をめざしていきたいと思っています。
(記者)
確認ですが、600万人の目標やインバウンド100万人の目標というのは、2020年度ですか。
(市長)
100万人の外国人旅行客については北海道に合わせて、500万人であれば5分の1ですから、北海道が500万人を達成できるのであれば、函館も倍増するだろうと考えております。新千歳空港にどれだけの定期航空路が開設されていくか、どれだけ人が入って来るかということに、随分左右されるかなと思っています。
(記者)
600万人のめどはどのくらいですか。
(市長)
観光基本計画では、2023年度までに550万人としていましたが、それはもうはやばやと達成しました。
(記者)
大間原発の市民訴訟について、年度内に判決が出ることが予想されておりますけれども、市長としての市民訴訟に対する期待についてはいかがでしょうか。
(市長)
先日、広島高裁でも、高裁としては初めての差し止めの結論が出ています。大飯原発の1号機と2号機も廃炉になるとのことですし、泊原発のように活断層の問題などで再稼働できない原発も増えてきて、原発を取り巻く情勢が少し変化しつつあるのかなと思っています。
そういう中で、市の訴訟に先立って行われ、函館地裁で一定の結論が出る大間原発訴訟の会の訴訟につきましても、団体側にいい結論になればなと思っています。そのことが、市の裁判にも随分影響してくれるのではないかと考えています。
(記者)
もう1点なんですが、市長は凍結という言葉をお使いですが、中止と言わない理由はどういったところにあるのでしょうか。
(市長)
これは凍結を打ち出したときから理由を聞かれて随分答えているのですが、私自身は反原発や脱原発ということについては、これまで1度も言ったことはありません。個人的には原発に対していろいろな思いがありますが、函館市長としては、直接的に影響を受けて、避難計画を作る立場に置かれながら、同意権もないし、説明会も開いてもらえないという、こんなやり方があるのかというところに原点があります。大間原発については、あくまでも函館市長として取り組んでいるわけであります。大間原発の建設を止めるというか、今の条件のまま、函館に同意権も与えない、説明会も開かないという中で、理不尽にやることを許さないという意味であります。そのためには多くの人たち、反原発、脱原発の人たちだけでなく、場合によっては電気のためにはやむを得ないとか、温暖化のためにはやむを得ないのではないかと考えている方も結構いらっしゃるわけです。ですから、ただ大間原発反対、大間をやめろと言うだけでは、原発に多少理解を持っている方、まあ間違った理解の方も、今までの相手側のPRの中で受け止めている方もいらっしゃいますけれども、そういう人たちにも大間原発は駄目だよと、大間はやめましょうよと、当分建設工事はやめて頭を冷やしましょうよと言うためには、やはり凍結だったんです。
最初は、たしか市長になる前に凍結ということを考えた一番大きなことは、今、原子力村とか言われる人たちがいるわけですね。これは政治家や官僚だけではなく、電力会社も、ゼネコンも、あるいは重電機のメーカーも、学者もそうですし、それで潤っている人たちがいっぱいいるわけです。全部やめるとこの人たちの息の根が止まるということで、ものすごい抵抗にあうわけです。だから凍結ということが一番現実的でいいのではないかと、その後に原発をどうしますかということはゆっくり考えればいい。とにかく私の場合は大間だけというのがあったので、あらゆる人の賛同を得るために、少なくとも今新設するのはどうなんだと、あの事故があって、すぐこんな1年半とかで再開するんですかと、20年、30年、頭を冷やして放っておきましょうよと、アメリカのスリーマイルだってそうだったじゃないですか。アメリカだって、あの事故以来30年原発を新設しなかったんだから、日本だって同じでしょうということがあって、凍結という言葉になっています。
(記者)
北朝鮮の関連でお伺いします。漂着した木造船の撤去費用について、環境省のほうから自治体負担分をすべて国が負担するという方針が示されたことについての受け止めが1つと、沿岸警備の問題で、特に日本海側が漂着事案が多く、今回は窃盗の疑いも持たれて、治安を懸念する声があることについて、市長はどうお考えでしょうか。
(市長)
1つは、普通に物流船が難破したとか、漁船が流れ着いたとかと違って、集団的に大和堆で違法操業、日本の漁業の聖域の中に入ってきて、集団で漂着したということですから、これだけ大量に流れ着く事態になれば、これはやはり国の責任で対応していただくのは当然かなと思います。
それから、日本の沿岸の警備というのは、人員的な問題があるのか、あるいは船舶的な問題もあるのか、海上保安庁だけでは十分監視できない状況にあるのかなということを、改めて認識しました。盗難などはありましたが、今のところは漁船で、昔のように拉致していくというようなことや破壊的なことを目的にした船ではなかったようでありますから、ただ今回のこういうことを見ると、北朝鮮がどうということではなく、そういう可能性があるんだということを大きく国民的に認識させられたところでありまして、そういう意味では不安感、日本海側はとりわけ、漁業者だけではなく、一般の住民を含めてあるのかなと思っていますから、国がもう少しきちっとした安全保障というのか、領海の警備というものをやっていただく必要があるのかなと思っています。
(記者)
先ほどのインバウンドの関連なんですけれども、市長がおっしゃったように、今年はタイのトップセールスが実を結んで直行便の可能性が非常に高まっていますが、訪日客の誘致に向けて、来年度予定、検討しているトップセールスについて教えていただければと思います。
(市長)
来年度、台湾はトップセールスというよりも、向こうの遠東百貨というデパートから、2年目となる函館物産展を今年より規模を拡大して実施するつもりなのでぜひ来てほしいという依頼が来ています。その際に香港からの観光客が倍増し、注目されていますので、できれば台湾から香港に行って、また台湾経由で帰ってくると安価に行けるかなと思いますし、私は就任してからシンガポールは3回ぐらい行きましたが、香港は一度も顔を出したことがないので、チャーター便の要請、旅行会社等も含めて誘致活動を行いたいと思っています。
もう1つは、韓国の大韓航空が東日本大震災以来、運休して再開していませんので、日本に来ている観光客は中国が1番ですが、2番が韓国ということなので、函館も増えていますが、やはり何とか定期便を仁川との間で再開するように、当時と違って着陸料の無料化などさまざまな支援措置も用意していますので、大韓航空だけでなくLCCも含めて、ぜひ韓国に行きたいと思っています。
(記者)
香港と韓国に関してはLCCに働きかけていくという考え方でよろしいでしょうか。
(市長)
香港の場合はチャーター便なので、LCCかどうかはこれから航空会社の調査をしながらと思っていました。韓国は、大韓航空よりは、こちらから行くのも来てもらうのも、今の時代はLCCのほうが有望なのかなと思っています。とりわけ支援措置を充実させれば、LCCのほうがこちらからも安く行けるので、なかなかこの地域の人はパスポートを持っていない人が多いのですが、安価に行けるとなると乗っていただけるかなと思っています。
※記者会見における質疑内容の要旨をとりまとめの上掲載しています。
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