公開日 2018年03月16日
更新日 2021年12月14日
経済建設常任委員会行政調査
平成29年11月7日火曜日から11月9日木曜日
11月7日 長崎県調査
<所見>
長崎港(長崎市)へのクルーズ船の寄港回数は2016年197回、2017年は約270回を予定しており、さらに記録を更新する見通しとなっている。
主な要因は中国発着のクルーズ船の増加であり、「九州の港は中国から寄港しやすく、今後も伸びしろがある」というファクターがある。訪日外国人を増やしたい国も県も、クルーズ船のさらなる大型化をにらみ港湾整備を進めているのである。
長崎県によると、2016年の寄港回数は、博多港に次いで国内2位だった前年(131回)を66回上回り、旅行者数(乗員・乗客)も前年比28万人増の約71万7,000人に上った。2017年も予約ベースで約300回の寄港が予定されているといい、県が総合計画で掲げる20年の寄港回数の目標値(県全体)270回を、長崎港単独で超える勢いとなっている。
背景にあるのは、中国を中心にアジアで拡大するクルーズ市場である。欧米系のクルーズ船会社が、1泊1万円以下で期間が1週間以内のカジュアルクルーズ船を中国向けに投入した2008年以降、クルーズを楽しむ旅行者が急速に増加した。クルーズ船の大型化も進み、旅行者数の伸びを後押ししているという。
2016年にクルーズ船で長崎港を訪れた乗員・乗客も約8割が中国人であり、中国では三、四日間のクルーズ旅行が人気で、短期間で海外に出て帰ってくる旅の寄港地として長崎港を含む九州は最適地なのである。これまでアジアがクルーズの空白地だったことを考えると、今後も寄港が増える可能性が大いにある。
こうした状況を受け、長崎港でのクルーズ船受け入れの環境整備は橋桁から海面まで65メートル(満潮時)の女神大橋下を通れない超大型クルーズ船も2018年度中には停泊できるようになる予定である。
クルーズ客受け入れに向けた取り組みを支援するとともに、旅行客が県内の広い地域を周遊して、経済効果が高まるよう市町と連携しさらに九州全体へ広まる期待感が高まっている。
本市においても、大いに取り入れていきたいと終始感じた視察であった。
11月8日 佐世保市調査
<所見>
長崎県の北部の位置する佐世保港は、港湾区域約5,777ha、臨港地区約351haを有する重要港湾であり、軍港として発展した歴史を引き継ぎ、現在も米海軍や海上自衛隊の基地が配置されている全国でも特殊なみなとである。その佐世保港では、東アジアに近接する地理的な優位性を生かした「国際観光の活性化と観光都市機能の強化」の実現に取り組んでおり、本年7月に、国際競争力の強化および地域経済の活性化を図る重要な港として「国際旅客船拠点形成港湾」に指定された。
今回の調査は、以前から佐世保市が取り組んでいる「クルーズ客船の受入環境整備」について佐世保市港湾部・観光商工部より経緯・現状そして今後の課題について説明を受けた。
現在、函館港では、旅客船ふ頭が未整備であることから、クルーズ客船の受入は、市中心部から離れた貨物用の港町ふ頭を利用して行われているが、昨年10月、国において、函館駅前の中心市街地に隣接する若松地区の旅客船ふ頭整備が事業採択され、平成30年代前半の完成を目指し,現在,準備が進められている。
佐世保港を有する三浦地区は、佐世保駅、国道35号線、西九州自動車道路が通る人流機能が集積した場所となっており、函館市の若松地区と類似している。
もともとこの地区は港町ふ頭と同様、貨物を取り扱う物流岸壁として、水深4.5m、5.5mの岸壁があり、その場所に新たに、クルーズ客船および国際定期旅客船が寄港できる場所ということで、水深10m、延長270mの岸壁に着手している。また、三浦地区については、「三浦地区みなとまちづくり計画促進事業」ということで、臨海部における埋立事業を実施し、その中で各エリアの土地活用をそれぞれ行い、海からの観光客を迎えるエリアなど目的をもって誘致している。
今後の課題については、観光商工部から説明があった佐世保市にお金を落としていく流れを作ることであり、地元商店街との話し合いを現在も進めているとのことである。
当市においては、今後、若松埠頭でクルーズ客船を受け入れることになるが、佐世保市で行った「三浦地区みなとまちづくり計画促進事業」のように、岸壁を作るだけに止まらず、将来は、新幹線札幌駅開業後を見据えた函館駅周辺の状況を考慮し、旅客ターミナルの設置や周辺エリアの土地活用を、目的を持って誘致し、暗いイメージのある駅港側を、海からの観光客を受け入れる体制に整備する必要があると感じた。
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