公開日 2017年06月12日
更新日 2021年12月14日
定例記者会見
日時 平成29年5月31日(水)
場所 8階大会議室
【会見事項】
幹事社質問
(幹事社)
市長は任期中に取り組みたい新たな施策として、西部地区を富裕層や若者が住める住宅地として再整備するという考えを最近示されています。それをいつまでに、どれぐらいの事業規模で再整備するお考えなのか、そしてあの地区を歩けば、私もいろいろ感じますけれども、再整備のためにはどういう課題があって、その課題解決のために、市としてどういう対応をとられていくのかということをお聞かせいただけますでしょうか。
(市長)
先に結論から申し上げますと、お尋ねのあったことをどうしていくかまさに今、検討をしている最中ですから、今の時点では、まだ具体的なお話をできる段階にありません。
西部地区の中で、どの範囲を住宅地として再整備を進めるのかについては、最初から一部の狭い地域ということではなく、まずはできるだけ広い範囲で設定してみてくれということを担当部局には言っております。ただ、広い地域になると一挙に全部手をつけていくということにはならないでしょうから、その中で優先度を決めながら段階的に整備を行っていくことになっていくと思います。したがって、その範囲等が決まらない限り事業規模もなかなかお示しのしようもありません。
いつまでにということでありますが、事業規模も決まらない中での希望ですが、私の希望としては、「ガーデンシティ函館」の形成が2030年度までですから14年後。ちょうど北海道新幹線が札幌開業する年でもあり、それまでに優れた景観の町並みをつくり、函館のまちをレベルアップして観光客が減らないようにしていくという考え方ですから、そのガーデンシティの重点推進期間に合わせるのが、一応の目安かなと思います。その一環として西部地区のあり方を考えていくことになると思っています。
課題につきましては、函館発祥の地で建物が非常に古く、そのために逆に歴史的な建造物が観光資源にもなっているわけですが、一般の住宅についてはかなり古いものが多い。あるいは土地も狭隘だし、高齢化も旧函館市域では最も進んでいる。一人暮らしや高齢者だけで住んでいるケースも多いし、それだけに建物も古いということがあります。人が通れるぐらいの道路しかなく、車も入っていけないところに住まれている方もいます。そうしたことのほかに、実際に手がけていくといろいろな課題が出てくるでしょうが、そのことは今、担当部局において検討していると思います。
市としてどのように対応するかということですが、人口減少は函館だけではなく大都市を除くと全国で始まっているわけです。大都市もいずれ人口減少になっていく。そういう中では、やはりまちづくりも選択と集中というか、集約化していく必要があるという大前提があります。人口増加に伴ってどんどん郊外に住宅地を拡大してきたのとは逆に縮小させて中心部に賑わいを持っていく。函館だけではありませんが、このままでいくとあっちはシャッター、こっちは廃屋、スカスカの人口密度で活力のないまちに将来なりかねません。人口規模が小さくなっても一定の範囲に多くの人が住んでいれば賑わいは保てると考えています。
観光のメッカである西部地区も、ただ古い建物、公会堂や教会が残っているということだけでは、やはり観光客は来なくなる。人の生活があって、そこに元気な人たちが住んでいることによる賑わいや活力がある地域として西部地区を残していかなければならない。そのことが函館のこの先50年、100年を考えれば必要だと私自身は思っていますから、どんな困難があってもやっていくしかない、あるいはやっていきたいという決意を持っております。それが人口の定住策にもなりますし、観光資源としての一層の向上との両面から必要だと思っているところです。
いずれにいたしましても、今検討を進めておりますが、実際に住んでいる方々がたくさんいらっしゃいます。単純に一つの公共施設をつくるとか中心市街地で少し何かをやるということとは違って、面として整備するということなので、住まれている方や土地、家屋の所有者がいるわけで、そういう方々の全面的な理解と協力なしで、市の思いだけでは進めていけないと思っていますから、地域の方々とお話し合いも進め、説明もするといったことを始めてから、事業化をしていくことになるのかなと思います。
西部地区には、いろいろなまちづくり団体もありますし、あるいは商店街もあります。そしてこうした取り組みをしていくとすると、不動産業や建設業の皆さんなど関連する企業や団体の方々の理解を得て、また意見を聴く場の設定もしながら、喜んでやりましょうという感じで進めていきたいと思います。私自身としては、このまま放っておくとどうしようもなくなるというか、串抜けになって、高齢者が20年、30年たって亡くなられたりすると、後を継いで家に住まわれる方がいないということで、西部地区に住まわれている方自体も心配をしているし、そういう意味では総論的には賛成をいただけると思っていますが、具体的な取り組みは皆さんの意見を聴いて進めていきたいと思っています。
(記者)
具体的なお話はこれからということでした。大きなプロジェクトになると思いますが、名称について、個人的には「西部地区再生プロジェクト」などといったネーミングがいいのかなと考えますが、何かお考えはありますか。
(市長)
今、担当部局で検討していますので、事業の範囲や規模が決まったうえで名前がつけられていくかもしれません。今のところはビバリーヒルズというのが先行しているみたいですが、まあそういう名称にはならないと思いますけれども、これからの話になります。
(記者)
先ほど、対象エリアはなるべく広くというお話がありましたが、実際に進めていくにあたっては、元町をはじめ7町からなるおよそ120ヘクタールの都市景観形成地域が中心になっていくのかなと感じていますが、市長はどのようにお考えですか。
(市長)
やっぱり観光的な要素を持ったところが先になる可能性はあるんですが、観光スポットになっている表通りなどは意外と整っているということもあるので、私の中では、基坂、八幡坂、大三坂などもう整備されているところもありますが、十数本ある中でまだ景観を考慮して観光客が歩けるような整備がなされていない坂があります。そういうものを含めてということなので、坂道の整備と区画整理的な手法での宅地の整備というものをどこから手がけて、どう進めていくのかというのは、今のところまだ担当部局においても検討中で、私もまだ報告を受けていませんし、どこからというのは申し上げると、はっきりしない中でその地区の方々を期待させても困るので申し上げられません。
(記者)
今、少し手法にも触れられましたが、一定の広い面積を持つ地域を対象にしたいわゆる区画整理という大変な事業になるものを念頭に置かれているのか、あるいは個別の分散している土地の周辺をある程度広い土地に集約していくという方法を考えていらっしゃるのかについてはいかがですか。
(市長)
手法としては、雑種地みたいなところを住宅地に変えて住むという郊外の開発行為とはかなり違うわけで、考えられる手法は限られてくると思いますが、国の制度等もありますので、できるだけ有利なものを取り入れていきたい。大事業になりますので、市単独というよりも、国の制度に乗せながら、場合によって、乗らないのであれば、これからの全国的なモデルになるような制度をつくっていただくことまで要請しなければならないのかなと思っています。今の制度、あるいはこれから制度として補強していただきたい部分を今担当部局のほうで検討していますので、それを聞いてからということになります。
(記者)
先ほど市長の口からも出ましたが、ビバリーヒルズを目指すというようなことも発言されたという一部の報道もありましたけれども、富裕層を対象にしてしまうと、現に住んでいる人たちが、これからも住み続けられるのかという不安をもちろん持たれるでしょうし、購入に非常に高い資金を要するということになれば、市外からも富裕層だとかあるいは外国人の方が買ったりされるということも想定されますけれども、仮にそうなった場合、たくさんの人が住むのではなく、私としてはむしろ逆に人口が減ってしまうんじゃないか、賑わいも期待したほどではなくなるのではという懸念もありますが、そこはどうお考えですか。
(市長)
富裕層といっても一つの例えとして申し上げたもので、300坪も500坪もあるような大邸宅を建てるような区画のつくり方をするわけではありません。頭の中では今30坪ぐらいでどうしようもないという土地、一人の所有分では家も建て替えられないというような土地を60坪や100坪ぐらいで、庭や車庫がある家が建てられるような区画に整理していくもので、郊外の庭が広大にあるような大邸宅をつくろうとしているわけではありません。今どきそんなものを望んでいる方はそんなにいません。
地元のお年寄りの方などが、そんなビバリーヒルズに自分たちがそのまま住めるんだろうかと心配するかもしれませんが、所有者であるし居住者であるわけだからこれまでどおり住めるんですよ。
ただ、今のままだと、望んでも誰も新たに土地を購入して家を建てられない状況なんです。100坪の土地などを得ようとすると何人もの所有者と交渉しなければならないし、道路に面してないと通行権の問題など個人では整理しがたいところがあるので、そうしたところを市としてやっていきましょうということですから、決して今いる高齢者の方を追い出すというような話ではありません。
今までの郊外型の区画整理でやってきた宅地に比べると、港、坂道、教会、高台にあって港が一望できるという素晴らしい景観ですから、首都圏の文化人や芸術家なども含めてある程度お金のある皆さんが金曜日には帰ってきて函館の自宅でのんびりし、月曜日にはまた東京に戻って仕事をするということも、頭の一部には入れておきたいと思っています。もちろん若者も住めるようにとはっきり言っておりますので、若者はファミリーですから住むためにはそれなりの土地も必要であります。いずれにしても、決してお金持ちだけが住める地域にするつもりはありません。
各社質問
(記者)
イカの不漁にかかわって、先日の東京要望における手応えと、出漁できるかは微妙ですが明日解禁ということで、その期待についてお聞かせください。
(市長)
農林水産省、経済産業省、そして自民党に対して要望活動をさせていただきました。主に水産加工業の皆さんと行きましたので、イカ不足で困っているということで、輸入枠を拡大してほしいという要望をしましたが、輸入枠の拡大というのは厳しい一面もあります。
漁業者にとっては、漁獲量が少なくても価格が高騰してカバーしているという面があり、輸入量をどんどん増やすと自分たちが取るイカの価格が下がり、量も少ないし値段もそこまで高くないということで、漁業者からの反発、あるいは採算が合わないことでイカ釣り漁業そのものができなくなるともっとひどい状況になりかねない。その兼ね合いがあってどんどん増やすというのは難しいのですが、今は歴史的な不漁なので、何とかもう少し増やしてくださいというお願いをしてきました。
国のほうにもご理解はいただけたと思っています。具体的な輸入量等については、これから検討されるのかなと思います。
いずれにいたしましても、イカが取れなくなっている原因の究明や日本海側の大和堆で他国の漁船が違法に日本の水域に入って取っているというようなことも言われていますので、そうしたことをきっちり管理していただきたいということを申し上げてきたところであります。
昨日ですが、桜井先生をはじめ、国際水産・海洋総合研究センターで今年の状況についてお話しをされたようですが、30年前にもこうした状況がありまして、一説には魚種の交替という現象があるんだという方もいらっしゃいます。ちょうど30年前からは右肩上がりで漁獲量が増え、大豊漁になってから下降線を描いて今の状況になってきています。そういうことから言えば、今年がそんなに大豊漁になるなんてことは私としても期待していませんが、まずは昨年を上回ってくれれば、その後は30年前と同じようなことになっていくかなとの期待を抱けるなと思っておりまして、今年の状況を注視しております。函館水産試験場の試験操業等によりますと昨年よりいいようだということも聞いておりますので、期待をしております。いずれにいたしましても、明日以降の漁獲量、日本海側のイカ、太平洋側のイカがそれぞれどのような動きで、どのような漁獲量になるのか期待と不安が交じりながらも、どちらかというと、ともかく去年を上回ってほしいと願っています。
(記者)
5月15日に陸上自衛隊の偵察機が北斗市内の山中に墜落しました。乗員の尊い命が失われたということで、一義的には北斗市内の事故で、五稜郭病院に入院されていた患者さんを医師の判断により自衛隊機で搬送したいということだと思うのですが、救急搬送では函館市の消防本部も無関係ではないと思いますので、この事故についての市長の受け止めをお聞かせください。
(市長)
患者の人命救助として札幌の病院に搬送するために向かった自衛隊機が、あのような悪天候の中で事故に遭われたということで、私も聞いたときに何とか助かってほしいと内部的にも申し上げていましたし、消防本部にも全力で捜索に協力するようにということも申し上げました。結果的には非常に残念なことになって、まだ20代の方もおりましたし、40代、50代という働き盛りの将来のある方々が命を失ったということには、私も非常に残念に思いますし、哀悼の意を表したいと思っております。私はこちらで公務がありましたので、葬送式には中林副市長に行ってもらいました。自衛隊のほうに正式に依頼したのは北海道知事からということになっていますが、もともとは函館市の消防本部が北海道にヘリコプターが飛べないということで連絡をしているので、他人事とは思えない話でした。搬送された方は函館市民ではありませんが、五稜郭病院は函館市にある病院ですから当事者であることには変わりがないわけで、本当に残念に思っています。今後、事故原因等を究明していただいて、これからはより安全な運行に徹していただきたいと思います。二度と起こらないことを心から願っております。
※記者会見における質疑内容の要旨をとりまとめの上掲載しています。
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