公開日 2016年12月28日
更新日 2022年03月17日
Q1:アスベストとはどのようなものですか?
A1:石綿(アスベスト)は,天然に産する繊維状けい酸塩鉱物で「せきめん」「いしわた」と呼ばれています。
その繊維が極めて細いため,研磨機,切断機などの施設での使用や飛散しやすい吹付け石綿などの除去等において所要の措置を行わないと石綿が飛散して人が吸入してしまうおそれがあります。
以前はビル等の建築工事において,保温断熱の目的で石綿を吹き付ける作業が行われていましたが,昭和50年に原則禁止されました。
その後も,スレート材,ブレーキライニングやブレーキパッド,防音材,断熱材,保温材などで使用されましたが,現在では,原則として製造等が禁止されています。
石綿は,そこにあること自体が直ちに問題なのではなく,飛び散ること,吸い込むことが問題となるため,労働安全衛生法や大気汚染防止法,廃棄物の処理及び清掃に関する法律などで予防や飛散防止等が図られています。
Q2:アスベストの空気中の濃度基準はありますか?
A2:大気汚染防止法に基づく,敷地境界基準としては,大気中の石綿の濃度が1リットルにつき10本とされています。
なお,WHO(世界保健機関)が作成した環境保健クライテリアにおいて「都市における大気中の石綿濃度は,一般に1本以下〜10本/リットルであり,それを上回る場合もある。」「一般環境においては,一般住民への石綿ばく露による中皮腫及び肺がんのリスクは,検出できないほど低い。すなわち,実質的には,石綿のリスクはない。」と記載されております。
Q3:アスベストが原因で発症する病気にはどのようなものがありますか?
A3:アスベストの繊維は,肺線維症(じん肺),悪性中皮腫の原因になるといわれ,肺がんを起こす可能性があることが知られています。(WHO=世界保健機構の報告による。)
アスベストを吸うことにより発生する疾病としては次のものがあります。
■石綿(アスベスト)肺
肺が線維化してしまう肺線維症(じん肺)という病気の一つです。10年以上吸入した労働者に起こるといわれており,潜伏期間は15~20年といわれております。
■肺がん
石綿が肺がんを起こすメカニズムはまだ十分に解明されていませんが,肺細胞に取り込まれた石綿繊維の主に物理的刺激により肺がんが発生するとされています。アスベストばく露から肺がん発症までに15~40年の潜伏期間があり,ばく露量が多いほど肺がんの発生が多いことが知られています。
■悪性中皮腫
肺を取り囲む胸膜,肝臓や胃などの臓器を囲む腹膜,心臓及び大血管の起始部を覆う心膜等にできる悪性の腫瘍です。
潜伏期間は20~50年といわれています。
Q4:どの程度の量のアスベストを吸い込んだら発病しますか?
A4:アスベストを吸い込んだ量と中皮腫や肺がんなどの発病との間には相関関係が認められていますが,どの程度以上の石綿を医学的には明らかになっていないようです。
Q5:中皮腫や肺がんの発症を予防するにはどうすればよいですか?
A5:過去,石綿にばく露したことによる中皮腫や肺がんの発症を予防することについては現在有効な手段は明らかではありませんが,石綿を吸い込んだ方が全て中皮腫を発症するわけではありません。吸い込んだ石綿の量,期間,種類によって異なります。肺がんについては,石綿ばく露と喫煙との組み合わせで肺がんの発症は相乗的に上昇するとの報告があり,禁煙は重要です。
Q6:アスベストを吸い込んだかどうかはどのような検査で解りますか?
A6:胸部X線写真でアスベストを吸い込んでいた可能性を示唆する所見が見られる場合もありますが,アスベストを吸い込んだ方全てに胸部X線写真の所見があるとは限りません。
Q7:吸い込んだアスベストは除去できますか?
A7:一旦吸い込んだアスベストの一部は異物として痰のなかに混ざり,体外に排出されますが,大量のアスベストを吸い込んだ場合や大きなアスベストは除去されずに肺内に蓄積さ<れると言われています。
Q8:アスベストが原因で発症する疾患に特有の症状はありますか?
A8:発病し,さらにある程度進行するまでは無症状のことが多いと言われています。
Q9:労働者以外で中皮腫になった場合に補償を受けることは可能ですか?
A9:アスベストに起因する健康被害の救済については,アスベストによる中皮腫や肺がんを発症している方のうち,労災保険法やその他の災害補償制度の対象とならない方に対して,独立行政法人 環境再生保全機構による医療費等の救済給付が支給されるものです。
■独立行政法人「環境再生保全機構」
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