公開日 2016年05月31日
更新日 2021年12月14日
定例記者会見
日時 平成28年4月25日(月)
場所 8階第1会議室
【会見事項】
幹事社質問
(幹事社)
北海道新幹線の開業から1か月が経とうとしていますが、これまでの利用状況をどのようにご覧になっているのかをお聞かせください。また、開業効果や開業後に明らかになった問題点、今後の対応、課題についてお考えがあればお聞かせください。
(市長)
開業後3日間の利用状況については、北陸新幹線の開業時並みであり、その後の平均乗車人員も前年同期の在来線の実績と比べ約2.2倍で、概ね順調であると受け止めております。開業後3日間は、1日当たり約1万人、16日間では1日当たり5,700人の平均乗車人員であり、在来線のときは1日当たり2,700人位とお聞きしていますから、まずまずの出足だと思います。
開業効果としては、新幹線との相乗効果で飛行機、フェリーなども好調になったということと、市内の電車、バスの乗客も増え、主要観光施設の五稜郭タワーや函館山ロープウェイなども、各々1割から2割というような割合で伸びているとお聞きしています。開業に前後して新たな旅行プランやツアー企画が開発されて、市内の宿泊予約数も増加しているようであり、本格的な波及効果はこれからかなと思いますが、今後、これに続くIT企業等の進出など、これからビジネス面での効果にも期待をしているところです。いずれにしても、北海道の観光シーズンは、大型連休以降になりますので、それが例年に比べてどのように伸びていくのかということに期待しております。
問題点ということでは、これまでひと月あまりですが、平日の利用客が少ないと聞いています。ビジネス客は仙台辺りまでで、なかなか首都圏との間では急激に伸びるとの予想はしておりませんでした。選択肢としては増えるわけですが、北陸新幹線とは違ってやはり飛行機なのかなと思っていました。問題は観光シーズン以外の平日利用客をどう上向かせていくかだと思います。JRとともに今後の取り組みを進めていかなければなりませんが、今後は、修学旅行、農協や金融機関のお得意先ツアーなど団体客が観光シーズンに向けて増えていくのではないかと期待しております。いずれにしても、飛行機の場合も同じですが、土日だけではなく平日の利用客を増加させていくことが課題だと思っています。
また、新幹線からはこだてライナーに乗り換える時にICカードが使えないということで、随分不便だという声を聞いております。JR北海道の経営上の問題もあってすぐ導入というのは難しいとのことですが、将来的には必要なのかなと思っています。市電と函館バスについては、今年度中に導入し、来年度から使いたいと思いますので、JR北海道に対しても要請していきたいと思います。
今後ですが、新幹線だけに頼って、既存の観光名所とイベント開催だけではいずれ限界が来ると申し上げておりますが、中長期的、計画的にまちを進化させていくということ、テーマパークのようなまちづくりを進めるということで、ガーデンシティ函館のまちづくりや、食の産業化、食で人を呼べるまちにしていくことを考えています。また、イベントもまとまった形になっていないため、それらをまとめていき、函館は常に何らかの催しが行われている賑やかなまちなんだとPRするといったことを課題として、取り組みを進めていきたいと思います。
(幹事社)
国と北海道が示している新千歳、函館など道内6空港の一括民営化については、函館市としてどのように対応していきますか。また、先日道庁で会合があったと伺っていますが、今後、民営化を進める場合に、函館側から求めていく条件はありますか。
(市長)
空港の民営化については、国の方針として、防衛省との共用空港である丘珠を除いた新千歳、函館、釧路、稚内の国管理空港については民営化をしていき、そこに市管理空港と道管理空港がどの範囲で加わってくるのかという現状だと思っています。道庁での会議においても、市管理空港については、国管理空港と一緒に民営化を進めていきたいという考えであると受け止めさせていただきました。道管理空港については、女満別が地元としては民営化をしたいとのことでしたが、北海道の段階でははっきりとした整理がついていないと受け止めております。函館空港の民営化に関しましては、4月15日に経済界の代表であります函館商工会議所の会頭、空港ビルの社長と三者でお話をして、民営化を前向きに捉えて今後進めて行こうという考え方としては一致をしておりますし、市議会についても、了承を求めるということをしているわけではありませんが、状況について逐一動きがあるたびにお知らせしております。
4月21日に道庁で開催された知事が招集した会議では、国管理空港についてはあまり話題になりませんでしたが、道管理空港、市管理空港あるいは共用空港の皆さんからはそれなりのお話もありました。そうした中で、国管理空港の動きについては、国土交通省において取りまとめをし、所在市町村との協議の場が設けられると思いますので、現時点では、函館空港に関して、どのような要望をしたいかを申し上げられる段階にはありません。まず,ある程度の枠組みがどうなるかということを注視し、具体的に固まった段階で、地元の要望というのを取り込んでいただくことになると思います。そのため先般の道の会議においても、民営化の方向で一致している国管理空港については、地域の要望ということにはどなたも触れていないんだろうと考えています。
(記者)
新幹線の質問の中で、はこだてライナーへの乗り換えについて、不便だということで、IC化について検討を要請していきたいという話がありましたけれども、具体的には市単独で要請することを考えているのでしょうか。
(市長)
今後、新幹線の開業を踏まえた課題等については、当然地元の市町村やJRとお話しする機会があると思います。JR北海道の社長のお話などを聞いていると今すぐできるという状況ではないようなので、すぐにというわけではなく、そうした機会に申し上げていきたいと考えています。
(記者)
将来的には、新函館北斗駅から函館駅の間が経営分離されてJRの持ち物ではなくなるということなので、なるべく早くIC化しておいてもらったほうがまちのためになるのかなという気もしますが、その点についてはどう考えますか。
(市長)
札幌延伸は15年後ですから、この1か月、2か月を争うような話ではないと思っています。今JR北海道には、まず事故を起こさないということ、もう1つは経営上の厳しさによる道東、道北の在来線問題もあるなかでは、我々としてはIC化をすぐにでもという気持ちはありますが、一定程度落ち着かないと、函館だけが今すぐ新幹線がらみで何とかしてくれという話にはならないと思っています。ただし、頭の片隅には入れておいていただきたいと思っています。
(記者)
先ほど、さいたま市長の表敬を受けられて、新幹線を活用した地域間連携の話題がありましたけれども、さいたま市やほかの沿線都市と進めて行きたいという具体的なものがあればお聞かせください。
(市長)
青森県の3市とは具体的にいろいろ行動を共にして、国内外でのデモンストレーションも行っています。青森県は別として、東北の各都市よりも、宇都宮市やさいたま市など北関東のまちのほうが函館と一緒にやろうという動きがあり、うれしい意味で非常に意外です。宇都宮市長も来ておりますし、今回はさいたま市長ということで、我々としては大いに喜んで連携を深めていきたいと思っています。
東北新幹線、北海道新幹線そしてまた上越新幹線、北陸新幹線がすべて大宮駅から分散し,さいたま市がその結節点になることから、さいたま市長の主催により、昨年10月に第1回目の東日本連携・創生フォーラムが開かれ、今年の10月には第2回目を開催したいとのことであります。フォーラムを通じて金沢市長や新潟市長、長野市長など今までつながりのなかったところともつながりができ始めており、このフォーラムを核にしながら、具体的に今後どうしていくかということを検討することになりますので、函館市が主体というよりも、そうした場で沿線自治体同士の連携を深めていきたいと思います。
ただ、函館市としては、それとは別に、とりわけ関係の深まっている青森のほか、以前より盛岡からも連携を求められておりますし、今の宇都宮やさいたまとのつながりも大切にし、観光交流やビジネス交流といったものにつなげたいと思っています。
(記者)
北海道新幹線に関連して、青函トンネルで事故が起きましたが、函館観光への影響はありませんか。
(市長)
金属破片が落ちていて、何十分か止まったものですね。三線軌条ということでの特殊な事故というか、金属片によって信号に異常をきたしてストップしたものであります。原因究明がまだなされていないと聞いていますから、そういうことが徐々に新たな課題として出てくるのかなと思います。貨物との共用はほかではないので、大きな事故にはつながらないとは思っていますけれども、そうしたことが出てくるのかなと思っています。ただ、何か物損だとかけが人が出たとかいうこととは違いますので、そのこと自体が直接的に函館観光に影響するとは思っていません。JR北海道自体が安全性には最善の注意を払うと言っておりますし、過去の反省から実際にしっかり考えていただいていると思いますので、今の時点で函館観光への悪影響ということは懸念しておりません。
(記者)
いさりび鉄道も開業しておりますけれども、概況等はどのようになっていますか。また、いさりび鉄道を観光資源としてどう考えていますか。
(市長)
いさりび鉄道については、通勤、通学や買い物といったことだけでは大きな赤字が出るのは以前から覚悟をしておりますが、各地の第3セクターなどの状況を見ると、イベント列車などで観光客を呼び込むことで採算性を上げている鉄道もあると感じております。ながまれ号の予約率が最近よくなってきているとも聞いており、少しでも各自治体の負担を減らす、あるいは乗車料金などの地元の人たちへのはね返りをできるだけ少なくしていくためには、やはり観光列車化などを重視しなければならないなと思いますので、ながまれ号だけでいいのか、私も社長にはいろんな工夫をしてくださいということは言っております。赤字を少しでも減らせるのであれば、それに対する各自治体の支援も積極的に考えていきたいと思っており、お互いにいいアイデアを出し合っていい方向にもっていければと思っています。
(記者)
これから修学旅行シーズンになって、今日も函館駅に学生さんたちがいましたし、新函館北斗駅などに行ってみると、結構外国人観光客の方も増えてきている感じがしていますが、市内の受け皿としてはどうですか。ホテルの宿泊数がかなり埋まってきているなかで、これからさらに伸ばしていこうというときに市内の宿泊施設や飲食店など受け入れる側の体制として、何か聞いている話や問題点は浮上していますか。
(市長)
函館は宿泊のキャパはだいたい2万人と言われていますが、先日の土木学会の例のように一人で泊まる部屋が非常に少ないということが課題になっています。やはり昔からの温泉地で、団体旅行あるいは家族のツアー、修学旅行などを重視してきた。湯の川がそうですが、3人部屋、4人部屋が多く、ビジネス客が少なかったということもあって、シングルやツインの部屋数が足りない。スポーツ大会は別として、学会とか観光以外になるとやはり1人1部屋になります。そうすると6千人くらいしか泊まれないのではと言われていますので、それは大きな課題かなと思っており、ホテルの関係者等にも、そこら辺を今後考えていく必要があるとお話ししています。やはり国際標準を考えると、ツインの部屋というのを増やしていかなければならないと思っています。修学旅行も我々のころのように5人も6人も、場合によっては10人もという形態ではなくなってきているわけですから、そのあたりが今後の課題だと思っています。
全体的なホテル数が間に合ってるかどうかというと、ゴールデンウィークや7月、8月、夏休み中は足りません。ただ、1年を通してある程度安定した需要が見込めないと、どんどんホテルが建つという状況にはならないだろうと思っています。とりわけ函館は観光客主体ですから、観光シーズンが主体であり、ビジネスの多い東京だとか札幌になると別でしょうけれども、函館はじめ地方の観光都市はオフシーズンについては厳しいところがあります。ただ、最近、インバウンドのほうは冬のほうがかえって人気があるということで助かっておりますが、今後も増やしていくことによって、オフシーズンをできるだけ埋めていくことができれば、ホテルをやろうという人も出てくるのかなと思っています。もう、3つか4つくらいは、ホテルを建てようという計画があると聞いておりますし、湯の川のホテルを買収してリニューアルするという企業も出てきています。これからかなとは思いますが、いずれにしても函館に今後新幹線あるいはインバウンドでどれだけ観光客が期待できるのかという期待数値を上げていかないと難しくなるので、我々としては誘客をできるだけ図っていきたいと思っています。
各社質問
(記者)
熊本で大きな震災があった件で、函館は古い家屋も多いと思いますが、今回の地震を踏まえて防災対策等で何か新しい動きや取り組みはありますか。
(市長)
家屋の倒壊については、神戸の時もそうですが、やはり南に行くと瓦が多く屋根が重くなっていますが、その割に雪が無いので柱が細くなっています。一方、北海道は積雪があるので、屋根に積もっても大丈夫なように、本州に比べると柱が太くなっています。また、寒さに強いように壁も丈夫になっていたり、屋根もトタンで軽いということで、ビルなどは別として、たぶん北海道の普通の木造建築は向こうに比べると地震に強い構造になっているのかなと思っています。ただ、さすがにあれだけ大きな地震が連続して起きると倒壊の危険がある建物も出てくるのかなと思っています。災害対策とは別の面ではありますが、人の住んでいない老朽家屋の対策につきましては、家主が亡くなって引き継ぐ人たちが地元にいないなどでなかなか解消されないケースもありますが、進めようとしています。
今回の熊本の地震では、新たに少し課題になることが感じられたのは避難所への救援物資です。集積地には届いても交通渋滞や道路の亀裂等もあって、避難されている方に届いていないということが新たな課題かなと思っています。また、避難所の衛生管理や、迷惑をかけるということでトイレを我慢し、そのために水を飲まないことでエコノミークラス症候群のような事態が生じているという避難者に関する体調管理も課題になっています。今までは大きな地震が来ても、余震がいくつかあって収まっていたのに対して、今回はまた連続して大きな地震ということで、近年では初めてかなと思っています。そのため今お話ししたようなエコノミークラス症候群、体調管理あるいは救援物資等々のいろんな面で東日本大震災や神戸など、過去の例とは少し違っていると思っています。
北海道も活断層を抱えており、活断層がどう動くのかというのは予測できませんので、連続して多発する地震に対しての備えというのが新たな課題かなと思っております。
※記者会見における質疑内容の要旨をとりまとめの上掲載しています。
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