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平成27年度 経済建設常任委員会行政調査

公開日 2016年01月21日

更新日 2021年12月14日

経済建設常任委員会行政調査

平成27年11月11日水曜日から11月13日金曜日

 

11月11日 鳥取市調査

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<所見>

 「人を大切にするまち」を目指す鳥取市を訪れた。雇用の拡大や、地元企業の発展に繋がる企業、成長が見込まれる分野の企業誘致を重点的に推進して来たまちである。
 従来より、企業誘致は、鳥取市の重要課題として取り組んで来た問題ではあったが、平成23年の三洋電機とパナソニックの合併により、基幹産業であった電機・電子産業が大きな影響を受けた為、経済再生・雇用創造に一層精力的に取り組んで来たのである。その努力が、現在の有効求人倍率1.07倍という数字に表れ、少しずつ企業誘致等の効果が出ていると思われる。それに加え、鳥取自動車道の完成により、交通アクセスが良くなって来た事、地震等の自然災害リスクが極めて低い事、そして、市内に工場の新規立地や増設を行う企業に対して、鳥取市企業立地促進補助金や、鳥取市企業立地資金融資制度などの支援を行った事が強みになったようである。
 又、誘致後のサポートも怠らなかった。企業立地・支援課内に、専属の嘱託職員を配置し、随時、市内企業への訪問を行い、情報交換を細やかにしている。
 鳥取市長は、「いつまでも暮らしたい、だれもが暮らしたくなる鳥取市」を基本理念とし、雇用を生み出し、経済を活性化する事を目標として企業誘致の実績を積み重ねて来た。
 その中の「パイオニア精工株式会社」を視察した。パイオニア精工は、金型製造からスタートし、金属板金加工製品の分野においても、目覚ましい躍進を続けている企業である。本社は、兵庫県姫路市にあり、創立26年目の会社である。従業員数は、本社で120名、鳥取工場で80名、合計200名。15年前は、約40名位の会社だったそうなので、目覚ましい成長を遂げている。元々、鳥取に子会社があったが、工場も古くなり、建て替えを考えていた所、鳥取市より誘致のお話があり、支援を受け、2年前操業に至ったとの事。人材も、鳥取大学などからの紹介があるという点も要因となり、進出を決定し、現在に至っているようだ。
 その企業にとって必要な支援をし、人材確保の手助けをする。まさに「人を大切にするまち」鳥取市の企業誘致である。人口は192,122人・・・函館に比べて77,000人も人口の少ないこのまちは、昭和18年の鳥取大地震や、昭和27年の鳥取大火など、幾度となく大災害に見舞われながらも、その都度粘り強い市民の精神力と努力により、立ち直って来た。最初に訪れた鳥取市役所職員の方々のお話からも目標と掲げた「4年間で8社以上の企業誘致」を2年で見事にクリアし、更に8社を目指す積極性と自信が伝わって来た。
 少子高齢化や人口減少など、函館市と同じ悩みを抱えて来た鳥取市が、平成20年9月のリーマンショックを受けての有効求人倍率の低下、相次ぐ市内大手企業の撤退等に伴う大量離職者などの困難を乗り越え、4年間で、5,000人以上の雇用の場の創造を目標に掲げて取り組み、改善して行った活動姿勢を、学びたいと思った。
 鳥取市は、自然・文化・歴史などの、魅力ある資源を活用し、農林水産業や観光分野など、人・ものの流れを活発化させながら産業を振興させる事に、戦略的に取り組んでいる。
 鳥取市のように、地元に根付いている産業の底上げと、まちの経済循環の活性化を図ると共に、雇用のマッチングと人材の確保や並びに育成、若い世代の人達の積極性を促して行く事が、今の函館市にも、求められているのではないだろうか。

 


11月12日 松江市調査

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<所見>

 松江市では、松江市役所、テクノアークしまね(島根県立産業高度化支援センター)を視察した。城下町として栄えた松江市は、山陰地方で最も人口が多い都市であり、本年度の「暮らしやすさ日本一」(経済産業省の調査)に選ばれた市でもある。人口は20万人強、そのうち生産年齢人口(15~64歳)は約60%、老年人口(65歳以上)は約27%(平成26年9月データ)。県庁所在地で、国の出先機関や企業の支店が多い。
 松江市が人口減に対して取り組みを始めたのが10~15年前。それまでは積極的な企業誘致をしていなかった。何とかしないとならないということで、定住促進に向けた取り組みを強化し、雇用創出を図るために平成18年から企業立地に係る部署を設置し、今に至る。

 以下、視察先での聴取内容、調査資料より、企業誘致に関わる松江市の特徴を3点挙げる。

1.Ruby(ルビー)
 松江市では、松江発のプログラミング言語である「Ruby(ルビー)」を通じたまちづくりを始めて、今年で10年目を迎えている(Ruby開発者のまつもとゆきひろ氏が松江市在住)。Rubyは、プログラミング言語の開発者の間では国際的に知らない人はいないというほど有名なもの。この貴重な地域資源を通じて地域振興を図るとし、松江市はこの10年間さまざまな取り組みをおこなってきた。Rubyの街としての地域ブランド創生を目指す、「Ruby City MATSUEプロジェクト」。「Ruby」をキーワードに、気軽に立ち寄り、技術・情報を交換できる場の提供、人材・情報の交流拠点、ビジネスマッチングの拠点として、JR松江駅前に「松江オープンソースラボ」がつくられた。また、Rubyを使ったビジネスや技術の動向を議論する「Rubyワールドカン ファレンス」(ちょうど視察日に実施されていた)は4年前から始まった。3~4年前からは首都圏等からのIT企業進出が増加し、地元出身者のUターン増加 にもつなげている。来年度からは、松江市内の全中学校でRubyプログラミングの授業を実施するなど、長期的な人材育成を目指して、Rubyを通じた地域ブランドの確立が進んでいる。

2.県と市が一体となる取り組み
 松江市役所と島根県庁の距離は500m程度。企業誘致に関しては、誘致担当者が人事交流を行うなど県と強い連携を持つ。県と市がそれぞれ設定している企業立地支援に関する補助金は、併給可能。例えば、県と市の両方からオフィス家賃補助を受けることで、最大8年間家賃がかからない。他にも、首都圏での打ち合わせ等に使う航空機の利用補助金や、人材確保の経費、新規雇用者への育成経費などにも優遇制度が利用できる。また、企業誘致後のサポートについても、年1回、県と市が一緒に誘致企業先への訪問(フォローアップ)を実施するなど、一体となって取り組む仕組みができている。

3.立地条件の良さ
 企業が地方に拠点を持つ理由の一つに、「リスク回避」がある。首都圏の一極集中や自然災害によるリスクを減らす上で、松江市においてアピールポイントとなるのが地震の少なさである。「暮らしやすさ日本一」の元となる調査では、調査項目22項目中6項目で全国1位となったが、その一つが地震の少なさ(今後30年間に震度6以上の揺れが発生する確率:松江市0.9%(全国平均15.7%))。なお企業にとっては、リスク分散だけでなく、交通アクセスの利便性・人材確保、暮らしやすさといった点も選定上、重要な要素となる。松江市では、全国1位になった他の項目には、「地域の求人倍率」、「バス停までの距離」、「病院又は診療所までの距離」等があり、衣食住近接であることも強み。その他、企業のオフィスと共に住宅をセットで紹介する等、誘致先企業社員・家族の暮らしやすさに配慮したきめこまやかな対応も見られる。
 人口減少が広く言われ出した10年前から、世界的に有名な「Ruby」という地域ブランドを通じた差別化戦略を通じ、地域の産官学が一体として動いてきた松江市。上記に挙げた特徴を活かし、企業誘致では平成18年度以降、計60社、1,000人の雇用確保という実績をあげている。
 函館市においても、今年の7月にIT技術者人材育成支援補助金の新設など、IT企業誘致への施策がおこなわれている。函館が企業誘致する上でのアピールポイントは何か、核となる地域ブランドは何か、といった点のチェックも含めて、今後も議会としての責任を果たしていきたい。

 
 
 
 
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