公開日 2015年06月19日
更新日 2022年03月04日
平成27年度市政執行方針ならびに各会計補正予算説明
3 主要施策の推進
(1) 函館の経済を元気にします
(2) 子どもたちと若者の未来を拓きます
(3) 市民の安全・安心を守ります
(4) まちの魅力をさらに高めます
(5) 行財政改革と広域連携の強化に努めます
1 はじめに
平成27年第2回市議会定例会の開会にあたり,市政執行につきまして,私の所信を申し述べさせていただきます。
私は,本年4月に行われた市長選挙におきまして,多くの市民の皆様から温かいご支援をいただき,引き続き市政を担わせていただくこととなりました。
北海道新幹線の開業を目前に控え,長い停滞から脱し本格的な発展をめざすこの転換期において,再び函館の市政を託されたその責任の重さに身の引き締まる思いであります。
これまでの4年間,私は「活気に満ちて,だれもが幸せに暮らせるまち・函館」の実現をめざし,「改革と挑戦」をスローガンに,「経済の再生」と「財政の再建」を最優先課題として位置付け,まちづくりを進めてまいりました。
市政の各般にわたり蒔(ま)いてきたまちづくりの種は,「函館再生」の芽として膨らみ,花も咲き始め,少しずつ私のめざすまちの姿が見えるようになってまいりました。
さて,今日,世界経済は,一部の新興国等に弱さがみられるものの,アメリカを中心に全体として緩やかに回復しており,我が国においても,雇用・所得環境が着実に改善するなど,景気は緩やかな回復基調が続いております。
本市においても,個人消費などに弱めの動きがある一方,東日本大震災の影響で落ち込んだ観光入込客数は回復傾向にあり,雇用も厳しさが和らぎつつあるなど,新幹線開業を前に地域経済は緩やかに持ち直してきております。
一方で,本市は,国や北海道より早くから人口減少が進んできており,長年にわたりさまざまな対策を講じてまいりましたが,全国的に少子高齢化の影響がさらに拡大するなかで,今後も人口の減少が続くと考えられることから,私の「改革と挑戦」のセカンドステージでは,未だ道半ばにある「経済の再生」に加え,「人口減少対策」を大きな課題に位置付けたところであります。
また,昨年5月に日本創成会議が発表した人口推計により,我が国が直面する人口減少の深刻さが改めて浮き彫りとなるなか,国においては,人口減少は少子化の進行や東京一極集中がもたらしたものであり,国と地方が総力を挙げて取り組むべき国家的課題であるとして,昨年12月に「まち・ひと・しごと創生法」を施行し,長期ビジョンと総合戦略を決定したところであります。
これを受け,各地方公共団体では,今年度内に「地方人口ビジョン」および「地方版総合戦略」を策定し,それぞれの地域が特色を持った取り組みを進めることとなったところであります。
このため,国と地方の役割分担のもと,国に対しては,国が行うべき政策の着実な取り組みを求めるとともに,本市においては,交通の要衝や観光都市としての都市ブランドのほか,来年3月の北海道新幹線の開業効果を最大限生かすとともに,間もなくオープンする「函館アリーナ」や中心市街地での各種施設により生まれる活気とにぎわいをまちの新たな魅力に加え,交流人口を拡大させてまいります。
また,観光のみならず企業誘致や物産の販路拡大など,さまざまな経済強化策に取り組むとともに,若者の雇用を創出するほか,安心して子どもを産み,育てることができるよう,子育て支援や女性の就労支援などにおいても,新たな施策を展開し,戦略的・総合的な人口減少対策に繋げてまいります。
幸いにして,函館のまちは多くの資源に恵まれ,国際観光都市として,また,学術研究拠点都市としてさらに発展する可能性があります。
国全体の人口が減少するなか,本市の定住人口も減少傾向が続くものと見込まれますが,急激な人口の減少を緩やかなものにするとともに,国内外の人々が行き交い,にぎわう,活気にあふれるまちに再生してまいりたいと考えております。
まちづくりの長い道のりのなかで,北海道新幹線の開業を迎えるこれからの4年間は,「函館再生」のための極めて大切な期間となります。
今後も一人ひとりの市民の思いを大切に,市政を進めてまいりますので,議員ならびに市民の皆様の一層のお力添えをお願い申しあげます。
2 市政の将来像とテーマ
私は,市政を進めるうえで,「活気に満ちたまち,歩いて楽しいまち,訪れたくなる美しいまち,住む人にやさしいまち」をめざし,一人ひとりの市民が,このまちを誇りとして,いつまでも住み続けられるよう,
- 交流人口の拡大
- 若者の雇用創出
- 少子化対策
- 高齢者の安全・安心
という4つの大きなテーマを掲げ,函館のまちづくりに積極果敢に取り組んでまいります。
3 主要政策の推進
次に,市政を推進するための主な施策についてご説明申しあげます。
(1) 函館の経済を元気にします
1点目は,函館の経済を元気にすることです。
函館のまちは,北洋漁業の縮小や造船不況など,社会経済情勢の変化による影響を大きく受け,これまで長らく衰退の道をたどってきました。
一度衰退に向かったまちを立て直すことは容易ではありませんが,私たちは,函館の経済再生への挑戦をこれからも続けなければなりません。
中心市街地活性化のための各種事業や「函館アリーナ」,「函館フットボールパーク」の整備など,私がこれまで間断なく取り組んできたさまざまな施策は,北海道新幹線の開業効果を追い風に,函館を発展するまちへと転換させ,将来の飛躍に導いていくものと考えております。
来年3月の北海道新幹線の開業は,交通拠点としての函館の優位性をさらに高め,新たな人の流れをまちに呼び込むことが期待されることから,この機を逃さず,陸・海・空の交通網のさらなる充実を図るとともに,国内外でのプロモーション活動を強化し,観光客をはじめとした交流人口を増加させ,さまざまな産業へ経済効果を波及させてまいります。
また,人口減少対策の観点からも,企業誘致や新産業の創出に全力で取り組み,若者をはじめとする雇用の拡大・創出に努めてまいります。
新たな雇用の場を創出する企業誘致については,恒常的な人材不足や災害に対するリスクなどの経営課題を抱える首都圏のIT企業などにおいて,地方への拠点確保を求める動きが見られることから,公立はこだて未来大学をはじめとした高等教育機関や研究機関が集積する函館の優位性を生かし,企業立地に係る補助金の拡充やIT技術者支援制度の創設など,積極的な優遇策を講じます。
また,全国各地の企業や金融機関と連携するビジネスマッチングや地元企業の技術紹介など,積極的なシティセールス活動を引き続き推進するとともに,函館ファンの企業人を企業誘致大使として任命するなど,首都圏でのPRや本市への視察などの活動が円滑に行われるよう体制を強化してまいります。
新産業の創出については,昨年オープンした「函館市国際水産・海洋総合研究センター」を拠点として,世界に誇れる水産・海洋に関する学術研究拠点都市の形成をめざすとともに,センターに入居する大学や民間企業などと連携した,新技術や海洋再生可能エネルギー開発など複合的な取り組みを促進するほか,若者の起業意識を醸成するため,大学や研究機関,金融機関など地域のネットワークを有効活用し,創業支援体制を強化します。
地場産業の活性化については,水産業において,各研究機関と連携し,コンブ養殖技術の検証や藻場回復技術の確立に向けた研究を行うなど,近年の海洋環境の変化に対応した沿岸漁業の推進を図るとともに,農業では,これまで取り組んできた施策を引き続き推進するほか,新たに酪農経営におけるヘルパーの利用に対する支援制度を創設するなど,一次産業の就業者の経営安定と就労環境の改善を図ります。
二次産業および三次産業においては,新製品開発や高付加価値化,販路拡大など積極的に取り組む地元企業を支援し,地場製品のブランド力向上や新たな市場開拓のための取り組みを進めるほか,関係機関と連携しながら,函館の地元企業の活動を国内外に広くPRしてまいります。
また,地元企業の事業機会の拡大を図るため,イオングループやイトーヨーカドーで行われる全国的な「函館フェア」への支援をはじめ,トップセールスや販売促進イベントを展開するほか,函館の「食」の魅力をPRし,海外において函館の知名度向上を図るため,タイで開催される物産展に参加するとともに,新たにシンガポールの市場を開拓するため,試食プロモーションや商談会の開催などに取り組みます。
観光振興については,北海道新幹線の開業を生かし,南北海道や青森県の地方公共団体,JRなどと連携した首都圏・東北地方でのプロモーション活動の強化や,中国,タイなどでのトッププロモーションに取り組むほか,中国から旅行関係者を招請するPR事業を新たに実施するとともに,海外での旅行博,商談会への出展を積極的に進め,「函館市観光基本計画」で目標とした観光入込客数550万人の早期達成をめざします。
また,今年8月には,「函館アリーナ」と「函館フットボールパーク」がオープンすることから,国際観光都市としての函館の魅力を最大限生かし,スポーツ大会やコンベンションの誘致活動を強化するなど,まちにさらなる人を呼び込み,活気とにぎわいによる経済の活性化をめざします。
(2) 子どもたちと若者の未来を拓きます
2点目は,子どもたちと若者の未来を拓くことです。
本市では,若年層の転出超過などにより,子どもを生み育てる世代の人口が減少しているほか,ライフスタイルの多様化などに伴い,出生数はこの30年間で半数以下に減少していることから,若い世代が安心して子どもを生み育てられるワーク・ライフ・バランス社会の実現に向け,結婚,出産,子育て,女性の就業などの総合的な支援を行うほか,子どもや若者が意欲を持って学び,いきいきと活動できるまちづくりを進めてまいります。
少子化対策としては,教育・保育施設の環境整備を図るとともに,「子ども・子育て支援新制度」における,国が定める保育士等の配置基準を上回る施設に対する市独自の助成をはじめ,放課後児童健全育成事業における保護者の負担軽減や事業者への運営支援,アフタースクールの充実や特別支援教育支援員の増員など,教育・保育の質の向上をめざします。
また,近年,子どもの貧困が社会問題化しておりますが,次代を担う子どもたちが,格差なく入学の準備ができるよう,子育て家庭への経済的支援として,小・中学校への入学準備に係る給付金制度を創設するほか,大学等への進学の際の奨学金貸与事業の拡充を図ります。
さらに,子どもたちや家族が集い,親子のコミュニケーションや情報交換の場となる「子育て世代活動支援プラザ」と,市民や観光客が学び遊ぶ場となる「はこだておもしろ館」を函館駅前地区の複合ビルに整備するとともに,若者や起業家などが集い活動できる「市民交流プラザ」を本町の複合ビルに整備するほか,中心市街地における空きオフィスを活用する企業等への支援制度の創設や,大学生等の地元就職を促進する会議の開催など若者の就労を支援
します。
このほか,若い世代が将来にわたり,健康で充実した生活を送ることができるよう,中学生を対象に,胃がんなどを引き起こすピロリ菌検査を進めます。
次に,女性の支援を推進するため,出産や子育て等を理由に離職した後,再就業を望む女性の就業支援事業を実施するとともに,女性が抱える結婚・出産・子育て・仕事との両立などに関する不安や悩みの相談窓口として,新たに「マザーズ・サポート・ステーション」を総合保健センター内に開設するほか,こうした女性への切れ目のない支援体制を拡充するため,専門的な相談支援の強化や宿泊型産後ケア事業の導入など産前・産後ケア事業を実施します。
また,まちづくりの主役は「市民」であることから,市政への長年の貢献が認められる団体等を対象とした,新たな表彰制度を制定するなど,市民のまちづくり活動を促進するとともに,若者のイベント開催についても引き続き積極的に支援するほか,市と大学が地域課題を共有し,「キャンパス都市函館」としての魅力を高める取り組みを進めます。
(3) 市民の安全・安心を守ります
3点目は,市民の安全・安心を守ることです。
市議会の議決をいただき,昨年4月に提起した大間原子力発電所の建設差止訴訟につきましては,市内はもとより全国の多くの方々から支援の声が寄せられておりますことに,心から感謝申しあげますとともに,これからも強い決意を持って,全力で取り組んでまいります。
また,さまざまな自然災害などから市民の生命・財産を守るため,防災意識の高揚を図るなど,引き続き防災対策の強化にも取り組みます。
このほか,福祉や地域コミュニティなどの分野において,子どもから高齢者まで,だれもが安心して住めるやさしいまちづくりを進めてまいります。
防災対策としては,新たな避難所マップの作成など防災意識の普及啓発をはじめ,地域の自主防災活動における組織への支援や人材の育成のほか,災害時において迅速かつ適切な避難行動に繋げるため,防災行政無線を整備するとともに,恵山火山避難計画の策定を進めます。
また,小・中学校については,耐震診断結果に基づき耐震化を早期に図るとともに,市民会館の耐震改修に向けた調査を行うほか,改正耐震改修促進法により耐震診断の実施が義務付けられた民間大規模建築物の耐震化を促進するため,費用の一部を助成します。
保健福祉施策としては,住まいや医療,介護,介護予防,生活支援サービスが一体的に提供される「地域包括ケアシステム」の構築をめざし,高齢者あんしん相談窓口である地域包括支援センターを拡充するとともに,医療と介護の連携や施設介護・居宅介護の
一層の充実に努めるほか,高齢者や障がい者のための成年後見センターの開設に向けた準備を進めます。
また,日吉4丁目の市営住宅団地跡地において,共に支え合い,「地域包括ケアシステム」のモデルとなる福祉コミュニティエリアの整備を進めるほか,高齢者がいつまでもいきいきと健康に暮らすことができるよう,駅前・大門地区において交流や憩いの場として,
ボランティア支援機能と高齢者大学を併設した高齢者サロンの整備に取り組むとともに,生活習慣病のひとつである歯周病の検診事業を拡充します。
次に,市民の地域コミュニティ活動については,安全な市民生活を守るなど市民にとって身近な存在であり,地域の重要な役割を担っている町会に対し,地域活動に必要な備品や設備の整備費用を助成するなど,市民の自主的な活動を促進します。
このほか,「第3次函館市一般廃棄物処理基本計画」を推進し,ごみの排出抑制や減量化,再資源化を進め,適正処理に努めるとともに,新たな廃棄物処理施設の整備に向けた検討を進めます。
(4) まちの魅力をさらに高めます
4点目は,まちの魅力をさらに高めることです。
異国情緒あふれる美しい町並みを有する函館は,民間の調査会社による地域ブランド調査で,昨年,魅力的な市区町村の1位にランキングされるなど,都市としてのブランド力は多くの人が認めるところです。
また,国においては,現在,平成32年の「オリンピック・パラリンピック東京大会」に向けて,訪日外国人旅行者数2,000万人をめざしておりますが,本市では,これまでの積極的なプロモーション活動が奏功し,台湾,中国との航空路線網が拡充し,外国人観光客が急増しております。
このため,今後は,これまでの代表的な観光資源にとどまらず,まちの新たな魅力を引き出すさまざまな施策に取り組むとともに,文化財や歴史的建造物の保存・整備に努め,既存の資源に新しい魅力を一つひとつ加え,点から線,線から面へとまち全体がテーマパークのような,訪れるたびに新たな発見があるまちづくりを進めてまいります。
中心市街地では,これまでのまちづくりを加速し,函館駅前地区と本町地区において商業施設や住宅などからなる複合ビル内に,公共施設の整備を進めるほか,デザイン性に優れた電車停留場やバス停留所の整備,乗換案内情報等をスマートフォンなどで利用できるアプリケーションの開発を進めるとともに,函館駅前通のアーケードの撤去や電線類の地中化,歩道の整備を促進します。
また,国際観光都市としての魅力をさらに高めるため,「はこだてイルミネーション」を拡充するとともに,熱帯植物園のリニューアルを検討するほか,Wi-Fi環境の整備,外国人緊急対応ヘルプデスクの活用やホスピタリティの向上など,ハード・ソフト両面において受入体制を強化します。
さらに,今年は,「函館アリーナ」のオープンを記念し,GLAYによるこけら落とし公演が実施されますが,「市民交流プラザ」のシンボルアートとして,新たにGLAYをモチーフとしたレリーフとからくり時計を整備するとともに,GLAYとコラボレートした宝探しイベントを開催するなど,全国から訪れるファンや観光客に広く函館の魅力を伝えるほか,新幹線開業を間近に控え,北海道の魅力を効果的に発信するため,北海道など関係団体と連携し,GLAYのオリジナルによる北海道新幹線PRソングを作成します。
次に,交通体系の整備については,北海道縦貫自動車道の七飯・大沼公園間が平成27年度から新たに工事着手されるほか,平成31年度に函館・江差自動車道が木古内インターチェンジまで,平成32年度には函館新外環状道路が函館空港インターチェンジまで開通されることが決定しており,これにより函館空港と函館新道が直結し,新函館北斗駅とのアクセスの向上が図られることから,新幹線の開業効果をさらに高めるため,着実な事業の促進を国に要望してまいります。
また,広域観光の推進や防災対策の観点からも近隣自治体と連携し,函館・江差自動車道と松前半島道路の整備促進を国に要望するほか,北海道新幹線開業に伴い,JR北海道から経営分離される並行在来線を地域の公共交通機関として維持存続させるため,道南いさりび鉄道株式会社の初期投資に対し支援します。
さらに,市内の公共交通についても,バス路線の再編などによる,持続可能な公共交通に向けた取り組みとともに,新たにICカードの導入をめざし,だれもが利用しやすく快適な移動の確保に努めます。
航空路線網については,伊丹線が増便され,台北線と天津線が定期便化しましたが,本年7月には,新たに北京への定期路線が開設される予定であり,さらなる外国人観光客の増加が見込まれることから,交通拠点としての函館の優位性を生かした,新たな観光ルートの創出をめざします。
また,クルーズ客船については,長期的には増加が期待されることから,国際観光都市としての強みを生かし,ポートセールスを強化するとともに,大型旅客船ふ頭の整備に向け,引き続き国への要望活動に取り組みます。
このほか,函館への移住・定住者を増やすため,首都圏の移住相談センターなどを活用し,函館の情報がより多くの人の目に届く機会を増やすなど,さらなる情報発信の強化に努めます。
(5) 行財政改革と広域連携の強化に努めます
5点目は,行財政改革と広域連携の強化に努めることです。
私が,これまでの4年間,「経済の再生」とともに市の最優先課題としてきた「財政の再建」については,「函館市行財政改革プラン2012」を策定し,職員給与や退職金の削減,外部有識者や特別職の事業仕分けによる事務事業の見直しなど,大胆な改革に取り組んだことにより再建に向かい,平成26年度から2年連続で基金に頼らない収支均衡予算を編成することができました。
しかし,人口減少による地方交付税の減額が見込まれ,消費税増税の地方財政に与える影響が不透明であるなど,依然として多くの課題が山積していることから,今後も行財政改革を継続して進め,安定した財政基盤の確立をめざす必要があるものと考えております。
さらに,健全な財政運営のため,必要な機能を維持しつつ,ランニングコスト軽減等を図る必要があることから,公共施設の統廃合や民営化・委託化などの抜本的な見直しを引き続き進めていくこととし,亀田地区において,老朽化が著しく進んでいる施設を統合した新たなコミュニティ施設となる市民プラザを整備します。
私はこれまで,経済,福祉,教育などの各種団体の方々から直接,意見や要望をお聞きしてまいりましたが,今後も変わらず市民一人ひとりの思いに耳を傾けるとともに,市政に携わる職員に対しても,常に市民を意識し,仕事のコストパフォーマンスや効率化を考え,前例踏襲ではなく新たな発想で,柔軟に仕事に取り組むよう,さらなる意識改革を求めてまいります。
次に,広域連携につきましては,スタートしたばかりである南北海道定住自立圏の中心市として,ドクターヘリの運航や広域観光の推進など,圏域全体の振興発展に関係市町と連携しながら着実に取り組むとともに,この地域に相応しい広域連携を進めてまいります。
本市では,古くから北斗市,七飯町とともに「函館圏」を形成し,圏域としてのまちづくりを進めてまいりましたが,私は,函館圏を核としながらも,さらに広域的な都市間連携を進めていく必要があるものと考えています。
新たな観光圏を確立するため,青森市,弘前市,八戸市と函館市の4市で設立した「青函圏観光都市会議」による都市間連携をさらに強固なものとし,青函圏の魅力を高めるとともに,平成28年度には,各地域の観光資源をパビリオンに見立てた「青函圏周遊博」を開催します。
また,青森県および道南,日高・胆振,ニセコエリアの自治体と連携した「青函圏・みなみ北海道連絡会議」において,各地域のイベントや新幹線開業施策等の情報を集約し,一元的に共有・発信するとともに,各地域のイベントやプロモーションにおいて連携を図り,新幹線開業による経済効果を最大限享受できるよう取り組みます。
4 むすび
かつてこのまちが,国際貿易港として世界に門戸を開いたように,今,北海道新幹線の開業を間近に控え,函館は新たな船出の時を迎えました。
国内外から多くの人がまちを訪れ行き交う,新しい時代の幕が開きます。
私たちのまちには,豊かな自然や幾多の先人たちにより培われてきた「函館山からの夜景」,「異国情緒ある町並み」,「特別史跡五稜郭跡」をはじめとした数多くの歴史的観光資源や魅力があります。
私は,この時代において,先人たちが築いてきた歴史ある函館という土壌に,一つひとつの可能性の種を蒔(ま)き,美しい花を咲かせ,次の世代へと引き継いでまいりたいと考えております。
まちに新たな魅力を一つひとつ加え,進化させていくことで,このまちを訪れる誰もが,今「はこだて」がおもしろいと思う,夢のあるまちづくりを進めてまいります。
私は,このまちに思いを寄せ,人に思いを寄せ,今後の市政を運営し,これからも「函館再生」への「改革と挑戦」を続けてまいります。
市議会ならびに市民の皆様のより一層のご理解とご協力をあらためてお願い申しあげます。
5 各会計補正予算案の大綱
次に,平成27年度各会計補正予算案につきまして,その概要をご説明申しあげます。
ご承知のとおり, 本年度の当初予算は,行政の継続的運営に必要な経費を主体とした, いわゆる骨格予算を編成したところでありますので, このたびの予算補正にあたりましては, 先に申し述べました市政執行の基本方針に基づき,市民の要請に十分配慮しつつ,施策の選択にあたっては, 効果や緊急度を考慮のうえ,創意と工夫をこらし,人口減少対策などの新規施策を中心に重点的な予算配分を行うこととし,編成したところであります。
その結果,このたびの補正予算の歳出総額は,
- 一般会計:1,744,479千円
- 特別会計:334,471千円
- 合計:2,078,950千円
なり,これを既定予算額とあわせますと, 補正後の総額では,
- 一般会計:140,508,810千円
- 特別会計:95,272,597千円
- 企業会計:46,536,546千円
- 合計:282,317,953千円
なったものであります。
以下,その主な内容について,一般会計から順次ご説明申しあげます。
まず,総務費では,33,695千円を増額計上いたしました。
民生費では,社会福祉費,子ども未来費など,あわせて612,135千円を増額計上いたしました。
衛生費では,29,030千円を増額計上いたしました。
労働費では,12,600千円を増額計上いたしました。
農林水産費では,14,826千円を増額計上いたしました。
商工費では,商工業振興,観光振興などの経費,あわせて79,491千円を増額計上いたしました。
次に,土木費では,814,879千円を減額計上いたしました。
教育費では,社会教育費,保健体育費,奨学費など,あわせて128,382千円を増額計上いたしました。
予備費につきましては,449,199千円を増額計上いたしました。
以上,歳出の主な内容について,ご説明申しあげましたが,次に歳入の主なものについて,ご説明申しあげます。
歳入につきましては, 国庫支出金57,195千円,道支出金74,198千円,繰越金2,400,000千円,市債67,200千円などをそれぞれ増額計上いたしました。
次に,特別会計について,ご説明申しあげます。
奨学資金特別会計では,奨学費,基金積立金,あわせて2,877千円を増額計上いたしました。
介護保険事業特別会計では,地域支援事業費,基金積立金など,あわせて331,594千円を増額計上いたしました。
以上,平成27年度各会計補正予算案の主な内容について,その大綱をご説明申しあげました。
よろしく,ご審議くださいますようお願い申しあげます。
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