公開日 2014年08月18日
更新日 2021年12月14日
民生常任委員会行政調査
平成26年5月12日月曜日から5月14日水曜日
5月12日 柏市調査
<所見>
千葉県柏市は千葉県の北西部に位置し、下総台地を中心として市街地や里山を形成する都心のベットタウンである。
柏市が直面する高齢化の状況として2010年には75歳以上の人口3万人から2030年には7万人(2.17倍)と推移されている。柏市の高齢化率は22.7%だが、高齢化率が41%の地域があった。豊四季台団地である。そのため、超高齢化に対応したまちづくりに着手し、柏市が中心となり、2009年6月に『柏市豊四季台地域高齢社会総合研究会』を発足した。柏市、東京大学、UR都市機構の三者で「高齢社会の安心で豊かな暮らし方・まちのあり方」を議論し実践していくことになった。その経過の中で、まちづくり会議を開催し地域に説明、町会・自治会を4ブロックに分けて説明なども行っている。
豊四季台団地の敷地面積は、約32.6ha、団地の戸数は4,666戸。地域包括ケアシステムのモデル地域として事業計画がつくられ、1.高齢者と子育て世帯の融合するまちづくりのための在宅医療・福祉施設導入と子育て支援施設の拡充、2.住民の交流の場となる地域拠点ゾーンの整備、3.優れた住環境づくりを先導する景観形成と低炭素まちづくりへの取り組みが行われてきた。
団地内には、公園、サービス付き高齢者向け住宅、特別養護老人ホーム、認定こども園、商業・利便複合施設街区、子育て支援施設などが建て替えと同時に団地内に建設されている。高齢者のための生きがいづくりとして植物栽培ユニットなども設置されている。今後、建て替え後リニューアル団地における屋上農業、地域コミュニティ構築の土台となるコミュニティ食堂も検討予定。
行政としての役割としては、在宅医療を推進するための取り組みを積極的に行っており、市町村が主体性を持ち地域の医師会等と連携して取り組むことが必要ということで、かかりつけ医のグループ形成(主治医、副主治医制)、急性増悪時における病院のバックアップ体制の確保、在宅医療多職種連携研修、訪問看護の充実強化などに取り組まれている。さらに、医療職と介護職との連携強化のための中核拠点として、この団地内に平成26年4月、柏地域医療連携センターが設置され運営が開始された。
地域医療連携センターの担当者からは、地域包括支援センターの役割としては在宅と介護の連携、柏市としては在宅と医療との連携が重要ということで役割分担をしているとのことであった。
地域包括ケアシステムの構築のためには、行政の役割が非常に重要だということが確認され、高齢者、子育て世帯の方が可能な限り住み慣れた地域で安心した生活を営むということは、医療、介護との連携が不可欠であり、その中心に行政が責任を持つことが重要であるということである。
今後、函館市が策定予定している「福祉コミュニティーエリア構想」が地域包括ケアシステムのモデル地域として形成していくのであれば、行政の役割をしっかりと議論すべきであると感じた。
5月14日 尾道市調査
<所見>
瀬戸内海に面し、しまなみ海道の島々が望まれる温暖、風光明媚な尾道市に伺い、「尾道方式」・「地域包括ケアシステム」について取り組み状況を調査した。
尾道市立病院副院長 山脇康秀氏、地域医療連携室ソーシャルワーカー 中谷公香氏に対応していただいた。
尾道市は高齢化率32.6%であり、今後さらに増加するため、「終末ケアは、自分の家で送りたいと思う気持ちを大切にしたい」との思いから、地域医療連携に取り組んだ。
尾道市が地域包括ケアに積極的に取り組み、根付いてきた訳は、元医師会長の熱意と強力なリーダーシップによるもので、ヨーロッパなど海外の先端医療の視察を重ねて、病院、在宅医療、介護が連携できる尾道方式のケアシステムを作り上げたというものである。
医師会が中心となり医療関係者、ケアマネージャーや介護スタッフが一緒に勉強会を開催している。この取り組みは、介護スタッフのスキルアップにつながり、退院前の多職種協働カンファレンスが行われ、システムとして根付いていったのだと思う。
2年前から在宅看取りの診療報酬10万円を取り入れていて、開業医と連携を取るようにしている。
事例を2件紹介された。筋萎縮性側索硬化症の患者の場合の退院前ケアカンファレンスを見ると、主治医、病棟看護師、栄養士、薬剤師、理学療法士、在宅主治医、ケアマネージャー、訪問看護師と多職種が見事に連携されていた。
患者本人・家族が在宅できるのかとの疑問をカンファレンスの効果で、解決してくれる。
高齢者がさらに増加し、在宅看取りが必要に迫る。そのときのために、また、医療・介護スタッフのサービスの質の向上のためにもできるところから、真摯に取り組むべきと思う。
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