公開日 2022年03月09日
更新日 2025年06月16日
ドクガの生態
ドクガとは
チョウやガの仲間の鱗翅目(りんしもく。チョウ目とも言う。)ドクガ科ドクガ属に属する昆虫です。初期の幼虫は体長1センチ未満で終齢幼虫になると約3.5~4.0センチになります。体色は黒く,脇や背面などに橙色の筋模様があり,白く見える毛が生えています。
成虫は,オスで全長1.4~1.7センチ,メスで1.9~2.2センチで,全身黄金色をしています。
毒針毛
肉眼で見える毛より細い毒針毛があり,皮膚に刺さると激しいかゆみを伴う皮膚炎を起こします。幼虫の成長に合わせて毒針毛の威力が増幅し,その毒針毛を蛹から成虫,卵魂まで付けています。外敵からの防御として,刺激を受ければ毒針毛を周辺に放出します(近づくだけでは被害はありません)。
一生のサイクル
8月下旬頃孵化した幼虫は,食草の上に糸を吐いて巣を作り集団を形成し,10月過ぎに食草の葉が落葉するまで移動して採食を行い,10月中旬になると採食をやめ,地面近くの草の根元に吐いた糸で作った10センチ弱の袋状の巣の中でかたまって越冬します。
春になり雪が解けて草木の芽がでる頃に活動を再開し,新芽の柔らかい葉を求めて集団で糸を吐きながら移動して採食するので,食痕も変色していて目に付き易いです。 幼虫はハマナスやキイチゴ類の葉を食べながら成長し,次第に小さな集団へと分かれていきます。2センチ以上に成長した6月頃には,幼虫は集団から分散して単独で,バラ科のほか,グミ類,イタドリ,ヤナギなどさまざまな葉を食べて移動します。
脱皮を繰り返しながら体長が大きくなるにつれ毒針毛も成長するので,ドクガ刺傷被害はこの6月~7月頃に起きる場合が大部分で,最終的には幼虫は4センチ近くに達し,やがて蛹(2週間)となります。7月後半~8月前半頃に成虫となって,交尾し幼虫が好む植物の葉などに数百個の卵を産みつけドクガの一生を終えます。
どこに発生
北海道では南西部に分布し,海岸線や平野部の草原や河川敷など,幼虫が好んで食するハマナスやキイチゴ類などのバラ科の低木の群生しているところに発生します。過去の記録から1960・1961年と1996年,2015・2016年の大量発生時には,本来の生息地にとどまらず,公園・庭・河川敷,空地など人が触れる頻度が高い場所にも広がり,イタドリやアヤメ類,ツツジ類など他の植物にも産卵するようで,多くの被害が出ました。
効率的な駆除
幼虫が密な集団を作っている時期は,孵化直後の8月以降から分散が始まる前の翌年5月下旬~6月中旬位ですが,幼虫集団を見つけるのにもっとも適した時期は,5月中の幼虫がまだ小さくて分散していない時期で,他の生物に対する影響も最小限に抑える必要性から,幼虫集団のみを駆除するのが理想的な方法と言えます。また,この時期の幼虫は毒針毛が少なく威力の弱いので,皮膚炎の被害も少ないと言えます。
- 薬剤で駆除する場合は,発見された幼虫集団に噴霧器を用いて直接毛虫用の薬剤(市販のヨトウムシ用ピレスロイド剤や有機リン剤の乳剤など)を散布する。
- 幼虫集団の付いている部分を取り去ることが可能であれば,直接その部分の下にナイロン袋などを広げ,枝や葉ごと切り取って袋の中に入れてしまう方法が良い。
駆除のポイント
- 毒針毛の威力が弱い(=植物が成長する前)春に駆除する。
- 雪解け後,前年度発生した場所の除草等を行い,育ちにくい環境を作る。
- 成長した幼虫の駆除を行う場合は,毒針毛が付きにくい服装(雨カッパ等)を着用する。
- 死骸からも毒針毛の被害を受けるので,ナイロン袋等に入れてゴミに出すか,土に埋める。
広がってしまった幼虫(対処法)
- 幼虫が広範囲に拡散している場合,薬剤散布は費用対効果も悪く,天敵であるアリ類や寄生バエなど他の生態系にも影響を与えるので望ましくなく,日常生活で接触の可能性の高い場所のみとする。
- 発生している場所に近づかない事が一番良く,近くを通る場合は極力肌を露出せず,ドクガに触れたり草木に刺激を与えない様に注意し,着ていた服などにも毒針毛が付いていると思われるので,粘着テープ等で取るようにする。
- 首や腕など露出していたところは,石鹸の泡を付けて流水でやさしく流す。
- 被害にあった時に来ていた服には,毒針毛が付着して落ちない場合が多いので処分する事が望ましい 。
被害を受けないポイント
- 発生している(植物の食痕が多い)場所に近づかないこと。
- 防御を確実にして対処するか,専門の駆除業者(電話帳では消毒業)に依頼する。
成虫(ガ)の飛来
蛹(さなぎ)から成虫になったドクガは,夜間街灯など明るいところに集まります。
成虫への注意点
野外での殺虫剤の散布は,飛んでいる虫には効果的ではなく,周辺住民への健康被害も考えられます。家の中に侵入した場合,殺虫スプレーを使うと苦しんで飛び回り,毒針毛が多く飛散するので,捕獲の際は濡らした紙などを使用してください。
※ 殺虫剤(乳剤・スプレー)は,注意書きなどに従い,最小限でのご使用をお願いします。
問合せ・相談
公園・河川敷・歩道脇などはそれぞれの管理者,自己所有地や空地などはそれぞれの所有者が管理しなければなりません。その他ご相談は,生活衛生課(電話32‐1521)におたずねください。

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