公開日 2024年01月09日
自治基本条例検討会報告書ー自治基本条例と議会とのかかわりについてー
目次
○自治基本条例検討会報告書(概要)
1 地方分権時代における自治基本条例の必要性
2 「函館市議会自治基本条例検討会」設置の目的
3 自治基本条例と議会とのかかわり
4 地方議会に対する批判や課題と本来のあり方
(1)二元代表制
(2)議会の権限
(3)議員の権限
(4)合議体としての議会
(5)政策形成機能の発揮
(6)議会の情報公開と住民協働
(7)議長の権限
(8)議長の任期
(9)議会事務局職員の責務
(10)議会事務局に求められること
5 函館市自治基本条例策定検討委員会との懇談
6 調査研究結果の分析〜自治基本条例と議会とのかかわり(再考)〜
7 まとめ
○自治基本条例検討会報告書(概要)
1 地方分権時代における自治基本条例の必要性
- 地方分権時代に対応するためには、自治体運営の基本原則を明確にする必要がある。
2 「函館市議会自治基本条例検討会」設置の目的
- 自治基本条例と議会とのかかわりを調査研究し、条例案審議の参考とするため。
3 自治基本条例と議会とのかかわり
- 二元代表制の一翼を担う議会も地方分権時代に対応する必要がある。
- 自治基本条例と議会とのかかわりを考えるために、議会の現状と議会本来のあり方を調査研究する必要がある。
4 地方議会に対する批判や課題と本来のあり方
(1)二元代表制(執行機関を監視・評価する機能)
(2)議会の権限(議決権、監査請求権、検査権、調査権など、議員個人の権限ではない)
(3)議員の権限(発言権、議案提出権など、公務員である地方議会の議員は、全体の奉仕者であり、一部の奉仕者ではない)
(4)合議体としての議会
(5)政策形成機能の発揮
(6)議会の情報公開と住民協働(情報の積極的公開、住民への説明責任、住民意見の把握、住民協働の促進)
(7)議長の権限(議会代表権、議事整理権、秩序維持権、事務統理権、議会運営委員会への諮問など)
(8)議長の任期
(9)議会事務局職員の責務
(10)議会事務局に求められること
5 函館市自治基本条例策定検討委員会との懇談
- 議会の良い点・不満な点、議会がすべきこと
- 議員の良い点・不満な点、議員がすべきこと
- 函館の良い点・不満な点、函館がもっとよくなるには
6 調査研究結果の分析〜自治基本条例と議会とのかかわり(再考)〜
- 地方分権の推進により地方自治体の役割はますます重要となっていく。住民の期待にこたえるため、二元代表の一翼である議会は、地方自治体の意思決定機関として、議決に対する責任を認識し、議会本来の権能を最大限に発揮することが必要である。
7 まとめ
- 議会がその役割を果たし市民の期待にこたえるには、本来の役割・責務を果たすことが必要であり、そのことを明確にすることも大切である。
- 今後、議会本来の役割や機能をより発揮するための運営のあり方を研究し、将来的には議会基本条例の検討も必要であろう。
1 地方分権時代における自治基本条例の必要性
平成12年に地方分権一括法が施行され、機関委任事務制度が廃止されるなど、国と地方自治体の関係は、これまでの上下・主従の関係から対等・協力の関係へと大きく転換し、本格的な地方分権時代を迎えることとなった。その結果、地方自治体は、さまざまな行政課題について独自に条例制定や施策決定を行うことが可能となり、その自主性・自律性が大幅に拡大された。
一方では、住民の地域への関心の高まりやNPO、ボランティアによる活動が活発になるなど、住民のまちづくりへの参加意識が高まってきている。しかしながら、これまでは、住民参画や協働をはじめとする自治体運営に関する基本的ルールは、明確に定められていないというのが実態であった。
このような地方を取り巻く環境や住民ニーズの変化に対応していくため、自治体の基本的ルール、いわゆる「自治基本条例」を制定する地方自治体が、全国的に増えている。
2 「函館市議会自治基本条例検討会」設置の目的
○本市における自治基本条例に関する取り組み
本市においても、平成18年5月に学識経験者等による自治基本条例懇話会が設置され、条例の必要性やそのあり方などについて協議した結果、自治基本条例は必要であるとし、その内容については議会などの規定も広く網羅した「総合規定型」とすること、また策定に当たっては、市民の参加が不可欠であることなどとする提言書が市長へ提出された。
この提言書を踏まえ、平成19年9月に市民や学識経験者などによる「函館市自治基本条例策定検討委員会(以下、「市民検討委員会」とする)が設置されるとともに、市役所内にも「庁内検討プロジェクトチーム」を設置し、「市民検討委員会」と連携しながら条例原案の策定作業を進めているところである。
○自治基本条例への議会の対応
前述したように自治基本条例を制定する地方自治体が全国的に増える中、当市議会においても、その対応について議会運営委員会で議論され、自治基本条例をテーマにした議員研修会を開催したほか、議員有志による自主的な勉強会が行われるなど、議会として自治基本条例にどのように取り組むかを協議してきた。
一方、「市民検討委員会」では、議会についての規定も網羅した総合規定型の条例案を検討していることから、議会との懇談の機会を持ちたいとの意向を示しており、平成20年5月開催の議会運営委員会において、自治基本条例に関して、議会としてどのようなかかわりを持ち、どのように対応していくのかを調査・検討するワーキンググループ(名称については、第1回の会議において「函館市議会自治基本条例検討会」と決定)を設置し、「市民検討委員会」との懇談についてもこのワーキンググループが対応することを確認した。
この度の函館市議会自治基本条例検討会(以下、「市議会検討会」とする)では、特に自治基本条例における議会の規定部分についての考え方を調査研究し、今後、市長から議会に対し提案が予定されている自治基本条例案を審議するための参考となる報告を行うこととした。
3 自治基本条例と議会とのかかわり
我が国の地方自治体は、住民の意思と責任において自治を行うことが保障され、首長と議員をともに有権者の直接選挙で選ぶ「二元代表制」がとられている。首長は執行機関としての役割を、議会は議決機関としての役割を担っており、執行機関と議会はそれぞれ独立対等の地位にあって相互の牽制と均衡により、住民意思を的確に反映した自治体運営を図っていくことが期待されている。
したがって、地方自治体を運営していく基本原則を考える場合、その中で重要な位置を占めるのは、地域に暮らす住民、自治体運営を住民に任された執行機関と議会ということになる。
以上を踏まえ「市議会検討会」では、自治基本条例における議会の規定と議会のかかわりを考えていくことは、今後の自治体運営に議会がどのようにかかわっていくかを考えることであり、そのためには、まず議会の抱えている課題や問題点は何か、改めて本来の議会はどうあるべきかを検討していくこととした。
4 地方議会に対する批判や課題と本来のあり方
地方分権の時代を迎え、二元代表の一翼を担う議会が果たすべき役割は、より一層重要になる。しかし、住民からは、議会としての活動や働きが見えないなどの厳しい意見が聞かれるのも事実である。
そこで「市議会検討会」では、改めて「今日の地方議会に対する批判や課題」について、参考文献や各地で開催されている議員研修会等の内容、さらには日頃の議員活動を通じて得られた経験等を基に整理をし、あわせて当市議会も含めた地方議会の「本来のあり方」についての考察を行った。
(1)二元代表制
地方議会に対する批判や課題
- 議会が単なる追認機関と言われるのは、議会の一員である議員が、ほとんど議論せずに議案を通しているからである。
- 住民は、議会が議案を提出しないので、議案を審査できない、ほとんど仕事をしていないと思っている。
- 議会は複数の住民代表の集まりであるから、多様な考え方があり、監視機能・チェック機能が求められている。
- 議案の提案は執行機関がほとんどであり、執行機関とは独立・対等の関係にあるとは言いがたい。
- 現状では難しいが、将来の議会のあり方を考えれば、議会が議案を提出することが求められてくると思われる。しかしながら、議会が議案を提出するという意識は低い。
本来のあり方
- 地方自治体は二元代表制をとっており、その一翼を担う議会は、執行機関とは独立・対等の関係にあり、執行機関を監視・評価する機能を有する。
- 公選職であっても首長のように独任制であれば多様な意見を反映しにくいが、議会のような合議制であれば多様な意見が反映できる。民主的な自治の仕組みの本質的なものは首長ではなく議会であり、議会があるからこそ、地方自治体でありえる。
(2)議会の権限
地方議会に対する批判や課題
- 議員は、議会という合議体の一員であるにもかかわらず、議会の権限を議員の権限であると錯覚している。
- 議会は議論の場であり、単に表決のみを行う場ではない。
- 議会本来の役割を果たすには、法改正をせずとも会議規則や運用を変更することで実行できることはたくさんある。
本来のあり方
- 議会は、議決権、監査請求権、検査権、調査権など大きな権限を有する。これらは議会という機関に与えられたものであり、議員個人に与えられたものではない。
- 議員は、議会と議員の権限の違いを認識することで、それぞれの役割を十分に果たすよう努める必要がある。
(3)議員の権限
地方議会に対する批判や課題
- 議案の審議等意思決定行為につながる議論をほとんど行わず、一般質問にばかり着目している。
- 議員は勉強が不十分なため、議案提案ができない。また、会派においても政策論議はほとんど行われていない。
- 議会議論になじまない個別の利害について質問したり、直接職員に要求する議員がいる。
- 後援会や支持者の声を聞くだけでは、住民の声を聞いたことにはならない。
- 広く住民の意見を聞く機会を設け、政策提案をし議決することが議員本来の役割である。後援会や支持者の意向を執行機関に要望することではない。
- 代表である少数の議員が意思決定するには、できるだけ多くの住民の声を聞き、その意思を反映させる必要がある。
- すべての住民の声を反映するということは、具体的な方法を考えると非常に難しいことであるが、議会として、委員会などを活用して住民の声を聞いていく工夫が必要である。
本来のあり方
- 議員は議会の構成員として、質疑、質問、討論等の発言権、表決権、異議申立て権、臨時会の招集請求権、議案の提出権などの権限を有する。
- 議員は、特別職の公務員である。すべての公務員は、全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない。
- 議員個人が住民の声を聞く機会は、身近な生活圏であることが多いが、その声を議会として集約していくこと、また議会という機関として住民の声を聞いていくことが求められている。
- より議論を活性化していくためには、自主的な勉強会を開催し、市の課題や政策について理解を深めるなど、一層の努力が求められるところである。
(4)合議体としての議会
地方議会に対する批判や課題
- 議会は、議員同士の議論の場である。議論することで地域の課題や主張の違いを明確にし、互いの理解を深め、総合的に意思決定していくことが求められる。
- 議会は、住民の代表者である議員同士が議論をする場であるが、議論せずに執行機関へ質問ばかりしているのが実態である。
- 現在の地方議会は、議員同士の議論がないため、議員提出議案もほとんどない。執行機関への質問・要望・批判に終始している。
- 議員は、一般質問で個々に政策提案しているが、議員同士が議論することで合意形成するという本来の役割を発揮していない。
- 執行機関への質問・質疑を議論だと思っている。議員同士で議論をしなければ住民から信頼される議会にはならない。
- 質問の通告制は、質問すべきことも答弁の適否も判断できない議員のためのものである。執行機関に有利な体制は、議員がつくっている。
本来のあり方
- 議会は、合議体として、住民の代表者である議員同士が議論することで、課題や論点を明らかにしながら合意形成し、政策を決定していくことが期待されている。
- 現行の会議規則では、議員同士の議論は委員会で行うことが想定されている。
本会議より少数で各会派代表により構成されており、本会議よりも自由な運営ができるため、議員同士が議論しやすい環境にある。 - 将来は、本会議においても議員間で議論できる場を検討するなど、議会運営の活性化を図っていくべきである。
(5)政策形成機能の発揮
地方議会に対する批判や課題
- 議会の役割は、議決事項を増やすことだけではなく、自らが政策を企画立案することである。
- 議会の役割は、政策立案である。しかし、議員提案は、意見書案や決議案がほとんどで、政策にかかわる条例改正案はほとんどない。
- 政務調査費は、議員が政策立案するためのものである。政策立案しないのであれば、政務調査費を交付する必要はない。
- 政策形成機能を発揮していくためには、補助機関である議会事務局体制のあり方も検討していく必要がある。
本来のあり方
- 議会は、合議制の機関であり、多数の民意を背景として議論し、政策を立案することが求められている。議会の政策立案については、条例案の作成だけではなく、まちづくりについて提案をまとめたり、委員会の決議として執行機関に意思を伝えるなど幅広い活動が期待されている。
(6)議会の情報公開と住民協働
地方議会に対する批判や課題
- 議会は、議決した事項についてどのような議論を経て決めたのか住民に説明する責任がある。
- 議会は説明責任を果たしていないため、住民から信頼を得られないのである。
- 住民から見て議会がわかりずらいのは、非公開の場で実質的な議論や決定が行われているからである。
- 議会活動を開かれたものとし、住民と議会を身近なものにすることが、求められている。
- 議員は、後援会や会派の意見ばかりでなく住民の視点で議論しなければ、信頼を得ることはできない。
- 議会に求められていることは、多くの住民と意見交換し、それらをどのようにまとめ反映するかである。
- 議会に多様な住民意見を反映させるためには、議会と住民の間で双方向の意思疎通が必要である。
本来のあり方
- 議会に対する不信感の根底にあるものは、議会の活動の不透明さである。
議会に関心の少ない住民の目を議会に向けさせることは難しいが、住民側の情報の受け入れ態勢が十分でなかったとしても、積極的に説明はしていくべきである。 - 議会は合議制の組織であるから、合意形成の過程で非公開となる部分も想定される。その場合においても住民に対する説明責任を果たしていれば、批判されることはない。
- 今後においては、個人や会派ではなく議会として、住民に対し議会報告を行い、意見を聴取するような場の検討も必要であろう。そうした積極的な情報の公開が積み重なり、議会と住民が互いに尊重し合える関係が構築されれば、住民と議会の協働も促進される。
(7)議長の権限
地方議会に対する批判や課題
- 住民が議会に求めていることは、議長、副議長をだれにするかではなく、住民のためになる議会活動である。
- 住民は、首長に比べ議長をあまり知らない。これは、住民が執行機関と議会の位置をどう考えているかを表している。
- 議会を代表する議長は、式典などに出席するだけでなく、議会の権能を発揮する中でその役割を果たし、住民に注目されることが必要である。
本来のあり方
- 議長の権限には議会代表権、議事整理権、秩序維持権、事務統理権がある。
- 議長は、議会の権能を十分に発揮できるよう中立公平を第一に議事運営をする必要がある。
- 議会の使命は住民のための議会活動であり、議長は外でアピールするというよりも住民の要望・要求が議会の中で反映されるよう努力すべきである。議長は会派に属していても、議会全体のことを考え、全会派が納得のいくような中立公平な議会運営に努める必要がある。
- 議長は、その権限に属する事項について議会運営委員会に諮問することができるので、議会運営委員会を積極的に活用し、円滑な議事運営を図るべきである。
(8)議長の任期
地方議会に対する批判や課題
- 議長のポスト争いに多くの時間と労力が費やされているが、そのようなことを住民は議会に期待していない。
- 首長の名前をよく知っているが、短期交代する議長の名前は知られていない。短期交代は議会や議長の権威の低下につながる。
本来のあり方
- 議長の任期は、地方自治法に議員の任期による旨規定されているが、当市議会においては、議運申し合せにより2年となっている。現状では2年任期による弊害は認められないが、議長の任期や選任方法のあり方について、協議することも必要であろう。
(9)議会事務局職員の責務
地方議会に対する批判や課題
- 議会事務局が事なかれ主義では、真の活性化は期待できない。
- 議会事務局長は、いかなる突発的な事態にも対応して議事運営の補佐ができるように準備しておく必要がある。
- 議会と執行機関の間で短期に人事異動が行われると、議会事務局職員として徹底できない。
- 議会運営には知識と経験が必要であり、突発的な事態に対し即断・即決で対応するには、ベテラン職員でなくてはできない。
本来のあり方
- 議会事務局職員の本来の仕事は、議会の権限を発揮するためこれを補助することである。
- 議会事務局職員は、違法な議事とならないよう正確かつ慎重な判断が求められるが、同時に議事を停滞させないよう迅速な対応も求められる。
(10)議会事務局に求められること
地方議会に対する批判や課題
- 法制部門などで執行機関との兼務を進めすぎると議会の独立性を保てない。
- 二元代表制の一翼を担う議決機関の議会事務局と、執行機関の一つにすぎない行政委員会事務局を同じに扱うべきではない。
- 現行の体制下では、執行機関と議会事務局の人事交流はさけられないであろうが、二元代表の一方である議会の権限を確保していくためには、議会事務局の機能強化、人員確保は重要である。
本来のあり方
- 議会事務局は、今後一層の強化が求められる議会機能を補佐していくため、専門的能力を有する職員の養成・確保のための方策を検討するなど、その機能や専門性の充実を図る必要がある。
- 行財政改革で議会事務局の縮小が行われているが、議会の機能や権限を発揮していくため、本来は法制担当職員の充実など議会事務局体制を強化すべきである。
- 執行機関との安易な人事交流をせず、ベテラン職員を含め研修制度を充実させるなど人材育成に努めるべきである。
5 函館市自治基本条例策定検討委員会との懇談
○懇談会開催の経緯
市民等で構成する「市民検討委員会」では、議会規定を含む総合規定型の自治基本条例を検討しており、議会との懇談を希望していた。
議会としても「市議会検討会」を立ち上げ、自治基本条例についての調査研究を行っており、市民の視点で見た議会や議員について意見交換を行うことは有意義であると考え、懇談会を開催することとなった。
○ワークショップによる懇談
懇談会については、平成20年8月11日に開催され、「市議会検討会」から7名、「市民検討委員会」から9名の参加があった。懇談の方法については、「市民検討委員会」から気軽に多くの意見を出し合える方法として有効なワークショップが提案され、これを採用することとなった。具体的には、班ごとに1名のテーブルリーダーを決め、その進行によって、決められたテーマについてそれぞれの意見を付箋紙に記入し、模造紙に貼り付け集約することによってさまざまな考え方、意見を交換した。
「市議会検討会」と「市民検討委員会」とは、それぞれ半数ずつ2班に分かれてワークショップを行い、出された意見については、統合や削除は行わず、同じ種類のものを整理しそれぞれの班が発表を行った。
(ワークショップのテーマ)
1 議会の良い点・不満な点、議会がすべきこと
2 議員の良い点・不満な点、議員がすべきこと
3 函館の良い点・不満な点、函館がもっとよくなるには
ワークショップで出された意見は、次表のとおりである。
自治基本条例策定検討委員会とのワークショップで出された意見(H20.8.11開催)
1 議会の良い点、不満な点、議会がすべきこと
(議会の良い点)
- 行政執行のチェック機能を持っている
- 住民から選ばれた議員が民主的に運営できる
- みんな対等
- 市民代表として少ない人数で行政の監視ができる
- 市民の代表として市政を真剣に考え方向付ける
- 市民生活(業種別)を道や国へ要望ができること
- あらゆる情報が収集できる所
(議会の不満な点)
- 本質論が不足
- 議会制度改革
- もっと市民の声を聞くべき
- 議会が何をしてるか市民に分りずらい×2
- 議員提案が少ない
- 人数が多いため意見集約・調整に時間がかかる
- 効率第一主義で議論が深めらない
- 中が見えない感じがする
- すごく遠い存在な気がする
- 閉鎖的なイメージ
- 壁がある
- 市民に存在が見えない
- 派閥意識が強いのでは?
- 多数決で決定されるところが
- もう少し議員同士の意見の交流,話し合いの場が必要
(議会がすべきこと)
- 徹底した内部改革
- 市民に議会活動がわかるようにPRする
- もっと提案をすべき
- 積極的な情報公開
- 今までにないおもいっきり新しいことを!函館オリジナルを!
- 夢やビジョンを打ち出す
- 住民参加システム
- 栗山町のように住民との会議をすべき
- 反問権の付与
- 夜間,休日の議会開催
- 議会基本条例の制定
- 一問一答方式の導入
- 地方分権に向けた議会制度改革
- 市民の声を反映させること
- 長期的視点に立った議論をしてほしい
- まちづくりの将来を見据えた議論をしてほしい
- 函館市議会として,函館市民の生活にしっかり責任を持つこと
- もう少し,市議会として市民に自分たちの主張や活動をアピールすべき
- 函館市の政策,財政についてはしっかりとチェックすること
- 税金のチェック
2 議員の良い点、不満な点、議員がすべきこと
(議員の良い点)
- 初心を忘れない人が何人かいる
- 市民の代表としての役割
- 市のあり方について真剣に考えている市民の代表
- 自分の考えた政策を展開しやすい,市民の意見を聴いて
- 市民の声を直接議会に届けることができる
- 市政に参画できる機会が多い
- 現場で考えられる立場にいる
- 身近に感じることができること
- 市民の細やかな困り事にすぐに対応してくれること
- みんな親切だ
- (他の議会はわかりませんが)他会派との壁が低いのでは
(議員の不満な点)
- 選挙を気にしすぎる
- 平均に本を読まない
- オープンスペースでは静かに食事ができない,プライベートでも人目が気になる
- 函館市の議員さんたちは違うと思いますが,視察と言いながら観光気分だけの人が多すぎます,他のまちは
- 歳費が低く
- 偉い方でちょっと近づきがたいイメージがある
- 議員活動が見えない
- 市民との対話
- 視察してきたものを本当に市政に生かしているのか?
- 特定少数の声を聞くところ(不満)
- 権威主義的?
- 議員が知らないうちに「センセイ」になってしまわないか(自戒を込めて)もっと謙虚に
- 普段何をしているかわからない
- 一般ピープルとの接点があまりない
- 何をやっているかわかりにくい
- 選挙に際し政策の提案が少ない
(議員がすべきこと)
- 議会制度改革の推進
- 一般の市民(特に若い人)と接する
- 市民の声,実態を知る
- 多くの市民の声を聞くこと
- 有識者(市民)の声を聞く
- 市民の意見を幅広く聞き,市政に反映させる
- 高い位置からの本質論,広い視野で
- 地域代表から市民代表への意識改革
- 議員さんって何…。みたいなものを学校(中,高など)に出向いて生の声を!!
- 市民とのふれあいを…
- 行政監視機能の強化
- 政策立案能力の向上
- もっと気軽に話せる雰囲気を出す
- 勉強
- 函館市の市民がより暮らしやすい政策を打ち出すこと
- 不特定多数の声を聞くこと
- 支持母体に限らず広く市民の中へ入っていく
- 市民との会話をもっと持ちましょう
- 情報公開
- 大変でも辛口の市民の声にも謙虚に耳を傾けるべきでしょう
- 議員としての理念をしっかり持ってほしい
- 函館市民の生活を一歩でも向上させること,生活しやすいまちづくりに努めること
3 函館の良い点、不満な点、函館がもっとよくなるには
(函館の良い点)
- 四季がありいろいろなことに取り組める
- 豊富な観光資源
- 温暖な気候
- 心競はず
- 新鮮な食べ物おいしい ×4
- 食が安全安心おいしい
- 先人が築いた歴史と文化
- 通好み
- 観光都市であり,地方都市としては将来性(可能性)がある
- 異国情緒漂う町並み
- 人情味のある街
- 古い町並みのすばらしさ
- 夜景がきれい
- 歴史あふれる街 ×2
- 住みやすい
- 知名度が高い
- 自然環境に恵まれている
- 文化と芸術が豊かにある
(函館の不満な点)
- 金持ちに公徳心なし
- 少子高齢化対策
- 後輩・若者を育成することが不十分
- まちづくりへの活力不足
- 地域の経済に対して暗いニュースが多い
- 若者の働く場が少ない
- 人材の流出,人口減少
- 子どもの数が激減,大胆な施策
- 自分から動く人が少ない
- 子どもたちの憩いの場がない(中・高生)
- 歩道に段差が多く,ベビーカーや車いすが通行しづらい
- 道路のゴミと雑草が多い
- 街中にゴミが散乱していること
- 強力な産業がない
- 意識の高い人とそうでない人の格差(落差)が大きい
- 中途半端な都会意識
- 思っていても行動することが苦手
(函館がもっとよくなるには)
- 少子化対策
- 子育て世代への大胆な施策
- 人口の増加策
- 少しでも人口減少に歯止めをかける
- 交流人口を増やす,長期滞在者へのサービス向上
- 縮小を受け入れたまちづくり
- コンパクトシティー
- 一次産業にもっともっと力を入れる(後継者づくり)
- 青年,子育て世代の環境を整える(函館の未来はない)
- 若年層の職場を確保する
- まちづくりへの人材育成
- 植民地経済からの脱出
- 産業構造の改革
- 産学官協力
- 新参者を快く受け入れる
- 医療・福祉の充実
- 地場産業の育成
- 1・2次産業の振興策
- 地域格差の解消,地域の役割分担
- 地方分権の推進
- 独自性のあるまちづくり
- 函館を愛する人,函館の街に誇りを持てる人を一人でも多く増やしていく
- 函館市の発展するために,財産のある方はもう少し寄付や寄贈していただけないだろうか
- 一人一人の意識改革
- 失敗を恐れずにチャレンジすること
- 各団体の交流,お互いが認め合い助け合うことができるなら
- 食育にもっと力を入れるべき
- 大胆な土地政策を(既存地主の権利の制限)
- 函館まるごとテーマパーク構想を持ちたい(自分たちの町のことをもっと知ること)
6 調査研究結果の分析〜自治基本条例と議会とのかかわり(再考)〜
「市議会検討会」は、自治基本条例と議会とのかかわりを考えるに当たり、議会の現状や課題、地方分権時代に対応した議会本来の役割や責務などについて再確認してきた。
「4 地方議会に対する批判や課題と本来のあり方」に示したとおり、議会は、「合議体であるにもかかわらず、議員同士の十分な議論をすることなく議決しており、議論がないため政策提案が少ないこと」、議員は、「後援会や支持者の意見のみを聞くのではなく、住民全体の声を反映させる責務を負う全体の奉仕者であること」、さらには「議会が持つ権限は、議決することで初めて行使できるが、議員個人の権限と錯覚している議員がいる」などさまざまな課題が浮き彫りになった。
また、「5 函館市自治基本条例策定検討委員会との懇談」においても議会に対して、「効率第一主義で議論が深められない。議員提案が少ない。市民に存在が見えない」などの意見や、議員に対しては、「特定少数の意見を聞く。議員の活動が見えない」などの意見が出された。
議会は、地方自治体の意思決定機関として議決権を有するが、このことは同時に議決に対し責任があることを意味する。これら議会の責務を果たすには、住民の代表者である議員同士が議論することで、課題や論点を明らかにしながら政策を合意形成し、さらには、その経過を住民に説明する必要がある。しかしながら、「市議会検討会」及び「市民検討委員会」のいずれにおいても、「現在の議会はこれらの責務を十分に果たしていない、あるいは市民に見えるような努力をしていない」という課題があるとの認識をもっていることがわかった。
地方分権時代の中にあって、多様化、複雑化する住民ニーズに十分にこたえる議会活動でなければ、議会の存在価値そのものまでが問われることにもなる。
今後、地方分権の推進に伴い、住民に一番身近な存在である地方自治体の役割は、ますます重要になっていく中で、住民の代表として、また二元代表の一翼として、議会には一層の期待が寄せられるところである。その期待にこたえるためには、合議制の議決機関である議会本来の役割・責務を十分に認識し、その権能を最大限に発揮する必要がある。
7 まとめ
「市議会検討会」は、平成20年6月6日に発足以来6回にわたり開催し、自治基本条例と議会とのかかわりなどについて調査研究を行った。
その結果、「議会は、二元代表制の一翼を担う機関として地方自治体の意思決定、執行機関の監視権など極めて大きな権限を有していること。その権限は、議員個人ではなく議会としての権限であり、全体の奉仕者である議員が議論することで問題点を明らかにし、合議体として政策決定すること。議決に責任を持ち、住民へ説明すること」という議会本来の役割を果たすことが、地方分権時代におけるまちづくりには必要不可欠であるということを再認識できた。
また、これらのことは、あえて法制度を変えるまでもなく、議会自らが議会本来のあるべき姿に立ち返ることで十二分に達成できるのである。
今後、議会において自治基本条例案を審議することになると思われるが、下記に示した点を踏まえながら、本報告書に記した「議会の抱えている課題や問題点、議会の本来あるべき姿」に関する調査研究結果を参考に審査にあたっていただきたい。
○議会がその役割を果たし市民の期待にこたえるには、議会及び議員が本来の役割・責務を果たすことが必要であり、そのことを自治基本条例における議会の規定として明確にし、自治体運営のルールとして市民に示していくことは、大切なことではないかと考えられる。
○また、今後当市議会においても、議会本来の役割や機能をより発揮するための運営のあり方をさらに研究し、将来的には議会基本条例などとして広く市民に示していくことも検討の価値があろう。
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- 議会は、合議体として、住民の代表者である議員同士が議論することで、課題や論点を明らかにしながら合意形成し、政策を決定していくことが期待されている。
- 現行の会議規則では、議員同士の議論は委員会で行うことが想定されている。
本会議より少数で各会派代表により構成されており、本会議よりも自由な運営ができるため、議員同士が議論しやすい環境にある。 - 将来は、本会議においても議員間で議論できる場を検討するなど、議会運営の活性化を図っていくべきである。