公開日 2014年03月29日
更新日 2022年03月15日
各地域の状況
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「地域福祉推進の具体的方策・事例」では,地域における現状,課題等を踏まえ,これからの福祉がどうあるべきか,地域で支え合い,助け合う仕組みをつくるためには何が必要であるか,行政・地域・住民のそれぞれの立場において,協力すべきこと,自主的に取り組むべきことなど,「役割分担」を主眼に,全市的な視点で地域福祉推進のための方向性を示してきましたが,本市の各種計画では,歴史的経過や地理的状況等を考慮して,市内を5つの地区に区分しており,各地区においては,人口動態や社会資源になり得る福祉施設等の整備数などに違いがあることから,これまでも地域に根差した特徴ある取組みが進められてきています。
この章では,各地区の特徴や生活課題等を踏まえながら,それぞれの地区において,地域福祉を推進するためのより具体的な取組みの方向を示していますが,これらは,一つの事例であり,参考にすぎません。
地域福祉の実践にあたっては,地域の実情を踏まえながら,地域住民の方々で検討し,実際の活動に結びつけていっていただきたいと思います。地域の皆さんのそうした活動の一つひとつの積み重ねが,函館の地域福祉を進めるうえで大きな原動力となります。
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地域の特徴
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住民参加
函館は,函館山をかなめとして扇形状に広がっている地形的特徴から,人口は,函館発祥の地といえる函館山山麓の西部地区から中央部,さらに,東部,北東部,北部へと移動し,これに伴い,都市機能集積も移動しながら市街地が形成されてきた経過があります。
函館市総合計画においては,市街地形成の歴史的経過,地形・地理的条件,土地利用の状況,都市機能の集積状況などを考慮して,西部,中央部,東部,北東部,北部の5地区に区分しており,各福祉計画においてもこの地域区分に応じて施策の展開を図っていることから,地域福祉計画においても,この考え方に則り,地域における生活課題等の把握をするため,市内5地区のそれぞれにおいて地域懇談会を開催しました。 -
5地区別の人口
市内5地区における人口動態は次の表のとおりです。
市内5地区別人口動態表(単位:人,%) 区分 平成12年 構成比 平成13年 構成比 平成14年 構成比 平成15年 構成比 平成16年 構成比 西部地区人口 26,620 9.2 26,067 9.1 25,624 8.9 25,310 8.9 25,141 8.9 年少人口 2,419 9.1 2,345 9.0 2,218 8.7 2,216 8.8 2,205 8.8 生産年齢人口 16,951 63.7 16,361 62.8 15,934 62.1 15,565 61.5 15,400 61.3 老年人口 7,250 27.2 7,361 28.2 7,472 29.2 7,529 29.7 7,536 30.0 中央部地区 63,938 22.1 62,989 21.9 61,912 21.6 60,963 21.5 60,897 21.4 年少人口 7,376 11.5 7,093 11.3 6,797 11.0 6,522 10.7 6,461 10.6 生産年齢人口 42,028 65.7 41,097 65.2 39,996 64.6 39,114 64.2 39,067 64.2 老年人口 14,534 22.7 14,799 23.5 15,119 24.5 15,327 25.1 15,369 25.2 東部地区 68,144 23.6 67,609 23.5 66,983 23.4 66,340 23.3 66,236 23.3 年少人口 8,788 12.9 8,580 12.7 8,308 12.4 8,063 12.2 7,941 12.0 生産年齢人口 45,579 66.9 44,767 66.2 43,936 65.5 43,133 65.0 43,014 64.9 老年人口 13,777 20.2 14,262 21.1 14,739 22.1 15,144 22.8 15,281 23.1 北東部地区 105,755 36.5 105,759 36.8 106,039 37.1 105,758 37.2 105,687 37.2 年少人口 15,252 14.4 14,930 14.1 14,696 13.8 14,281 13.5 14,174 13.4 生産年齢人口 73,475 69.5 73,092 69.1 72,906 68.7 72,289 68.4 72,158 68.3 老年人口 17,028 16.1 17,737 16.8 18,437 17.5 19,188 18.1 19,355 18.3 北部地区 24,897 8.6 25,318 8.8 25,623 9.0 25,830 9.1 25,969 9.1 年少人口 3,528 14.2 3,546 14.0 3,512 13.7 3,527 13.7 3,543 13.6 生産年齢人口 17,190 69.0 17,456 69.0 17,648 68.8 17,708 68.5 17,818 68.6 老年人口 4,179 16.8 4,316 17.0 4,463 17.5 4,595 17.8 4,608 17.7 総人口 289,354 100.0 287,742 100.0 286,181 100.0 284,201 100.0 283,930 100.0 年少人口 37,363 12.9 36,494 12.7 35,531 12.4 34,609 12.2 34,324 12.1 生産年齢人口 195,223 67.5 192,773 67.0 190,420 66.5 187,809 66.1 187,457 66.0 老年人口 56,768 19.6 58,475 20.3 60,230 21.1 61,783 21.7 62,149 21.9 ※1 9月末現在の住民基本台帳,平成16年は1月末現在※2 年少人口は0歳〜14歳,生産年齢人口は15歳〜64歳,老年人口は65歳以上の人口※3 各地区における人口区分の比率は,地区の総人口に対する比率であり,各地区の総人口の比率は,市総人口に対する比率である。
- 人口動態の特徴
平成12年から平成16年の約5か年間の人口動態を見ると,少子高齢化の影響から,総人口は289,354人から283,930人と年々減少傾向にあり,地区別では,近年,開発が進んでいる北東部でほぼ横ばい,北部地区で人口の増加が見られるものの,他の3地区では減少する傾向が見られます。また,各地区の総人口に対する年齢区分の構成比で見ると,各地区とも年少人口の比率が減少する傾向にあるのに対し,老年人口の比率が増加傾向にあり,地区別では,北部地区の高齢化率の伸び率が緩やかなのに対し,西部地区,中央部地区,東部地区,北東部地区の高齢化率の伸びが著しくなっています。
年齢区分の構成比による各地区の人口動態 区分 西部地区 中央部地区 東部地区 北東部地区 北部地区 年少人口 減少傾向 減少傾向 減少傾向 減少傾向 微増 生産年齢人口 減少傾向 微減 微減 減少傾向 微増 老齢人口 増加傾向 増加傾向 増加傾向 増加傾向 増加傾向
- 人口動態の特徴
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5地区別の地域資源
地域福祉の推進のためには,地域住民の参加による「地域コミュニティ」を形成し,多方面から支援していくことが重要です。
本市は,他都市と比較して,近隣住民相互の親睦を図り,地域の生活課題を解決する仕組みとしての「町会」活動が古くから活発に行われてきており,また,市内の各地区に町会館や社会福祉施設等,ハード面の社会資源が数多く整備されている状況にあることから,身近な地域で相談や必要な情報等を受けられる場(ハード面)としての社会福祉施設等の活用や町会・民生委員に代表される,地域で活動している方々(ソフト面)などの社会資源を有効に活用していくことが,地域福祉を促進する効果的な方策となります。
社会資源の地区別一覧表 区分 施設種別等 西部地区 中央部地区 東部地区 北東部地区 北部地区 町会 町会関係 22町会
20会館35町会
29会館59町会
23会館29町会
21会館10町会
7会館老人福祉関係 特別養護老人ホーム 1か所 1か所 3か所 2か所 2か所 介護老人保健施設 1か所 2か所 3か所 1か所 介護療養型医療施設 5か所 3か所 1か所 5か所 2か所 老人介護支援センター 3か所 6か所 5か所 5か所 2か所 デイサービスセンター 9か所 7か所 5か所 7か所 4か所 老人福祉センター 2か所 1か所 1か所 認知症対応型共同生活介護(グループホーム) 10か所 2か所 4か所 9か所 8か所 障害者福祉関係 身体障害者療護施設 1か所 身体障害者デイサービスセンター 1か所 1か所 障害者生活支援センター 1か所 1か所 障害者地域共同作業所 2か所 9か所 1か所 4か所 1か所 知的障害者更生施設 4か所 3か所 1か所 障害者授産施設 1か所 3か所 1か所 精神障害者生活訓練施設 1か所 精神障害者福祉ホーム 1か所 児童福祉関係 認可保育所(公立・私立) 4か所 14か所 11か所 12か所 3か所 認可外保育施設 6か所 5か所 1か所 児童館・母と子の家 4か所 7か所 7か所 6か所 3か所 児童養護施設 1か所 1か所 知的障害児通園施設 1か所 肢体不自由児通園施設 1か所
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地域における課題等
市内5地域で開催された地域懇談会では,地域で知恵を出し合いながら,これからの福祉がどうあるべきか,同じ地域に暮らす仲間として,支え合い,助け合う仕組みをつくるためには何が必要であるかなどの意見交換を行い,さらには,福祉関係団体や学識経験者,公募の市民等で構成される「函館市地域福祉計画策定委員会」を開催し,地域懇談会で出された意見等をもとに,計画に盛り込むべき視点や方策等について,協議を進めてきました。
各地区それぞれの地域特性や生活課題などを踏まえた,地域福祉の推進に向けての取組みの方向については,次のとおりですが,これらは,あくまでも地域懇談会や策定委員会での意見を集約したものです。
地域福祉を進めるために必要なことについて,どの立場の方でも共通して発言されたことは,「地域福祉の第一歩は,まず,隣近所を知ること,地域は隣同士から始まる」ということでした。
このことが示しているように,地域福祉は,まず,実際に行動してみることが大切であり,支え合い,助け合う人間関係の構築も,最終的には地域住民一人ひとりの行動の積み重ねによって,はじめて,実現できるものです。-
西部地区
- 現況・課題
- 昔ながらの隣近所のつきあいが存続しており,比較的コミュニティが安定している反面,働き盛りである生産年齢人口が減少し,加えて高齢化が進んでおり,地域福祉の取組みに関しては,若い世代や次代の活動の担い手の育成・確保が課題となっている。
地域における取組みの方向
- 子育て支援などに対する活動への志向が強く,地域と学校との交流も見られることから,学校活動と町会活動の連携をさらに深めるほか,高齢者の知恵や経験を活かしながら,子どもに昔の遊びを教える教室を開催するなど,高齢者が多いことをメリットとする活動を進める。
- 西部地区という地域の特殊性を活用し,多様な観光資源やイベントを媒体とした,世代間交流や市内他地域との交流を進めることにより,コミュニティ活動の活性化が期待できる。
- 現況・課題
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中央部地区
- 現況・課題
- 高齢化が進む一方で,生産人口も減少し,総人口も減少傾向にあるため,活 動の担い手となる人的資源自体が不足しており,コミュニティの維持が非常に 難しい現状となっているが,反面,民生委員などへの相談が他の地域よりも多 い状況にあり,地域における解決の仕組みをより活性化させるため,関係団体 との連携が必要となっている。
地域における取組みの方向
- 公共交通機関に恵まれているという地域の利便性を活用し,地域内でのコミュニティのみではなく,市内他地域との交流を行うことで,不足しているマンパワーを補う方策を立てる。
- 町会館をはじめとする,地域の社会資源が他の地域より整備が進んでいることから,これらを活用した地域間交流を進めるほか,在宅介護支援センター等を活用し,福祉サービス関連事業者や他の地域の活動団体との連携を進めることにより,活動の担い手を補う効果が期待できる。
- 現況・課題
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東部地区
- 現況・課題
- 高齢化が進んでいるのに対し,総人口は微減に止まり,一方で年少人口は中央部地区や西部地区と比較し多い状況であるが,近隣との関係では,「困り事を相談しあうなど家族同様のつきあいをしている」など,日常生活における協力体制が構築されており,また,介護の問題への関心も高い状況となっているが,今後の活動の活性化に向けた,交流の場の確保が課題となっている。
地域における取組みの方向
- 地域の小学校と老人クラブの交流が行われているが,次代の担い手を育てることで,将来性のあるコミュニティの構築が期待できるため,高齢者と児童との世代間交流を活発にし,子どもの親や若い世代も巻き込んだ活動に発展させる。
- 助け合いの精神が一定程度醸成されているため,近隣とのより良い関係の維持・発展に視点をおいた取組みを進めることで,地域で支え合う関係づくりが期待できる。
- 地区の面積が広範囲にわたるため,活動拠点の確保が難しい地域もあるが,整備が進んでいる特別養護老人ホームや在宅介護支援センター,児童館などの社会資源を活用し,交流の場の確保を図る。
- 現況・課題
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北東部地区
- 現況・課題
地域福祉推進の核となるさまざまな役割を担っている町会の組織率が低下しており,また,近隣との関係では「挨拶をする程度のつきあい」が多いなど,近所との関係に悩みを抱く状況も見られる。
子どもが多く,働き盛りの世代が多いという地域特性から,子育てや健康づくりに関する活動への参加意欲が高い傾向にあるが,若い世代の地域活動への参画が課題となっている。
地域における取組みの方向
- 市内他地域より地域の社会資源が充実しているため,施設を媒体にした,年少人口と高齢者との交流を活発にすることで,子どもや親を巻き込んだ取組みに広げ,地域における交流の底辺拡大を図る。
- 町会活動と地域活動の連携を進めながら,情報の共有化を図り,地域の枠を超えたサービス提供につなげることで,不足しがちなマンパワーの確保が期待できる。
- 家事や仕事などで忙しい若い世代や働き盛りの世代が,あまり負担を感じずに,気軽に参加できる,多様で,魅力ある活動メニューの提供を図る。
- 現況・課題
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北部地区
- 現況・課題
- 総人口が増加傾向にあるため,コミュニティも成長過程にあるが,生産年齢人口の比率が市内で一番高く,仕事等で日中地域を離れる人が多いことや,住宅開発などにより人口流入も激しいことから,近隣関係を主体にした支え合う関係づくりや働き盛り世代の地域活動への参加が課題となっている。
地域における取組みの方向
- 家族介護に携わる人への支援についての意欲が高いが,家族間や同世代に止まっている交流を,世代間へと拡大していくため,子どもが多いという地域特性を活かし,学校行事と地域の行事との連携を進める。
- 子どもの自発的な取組みが見られる地域であり,これらの活動を地域福祉の活動へとつなげることで,若い世代の意識の醸成が期待できる。
- 活動団体どおしの懇話会や異業種,市内他地域との交流・情報交換を通じ,魅力ある行事や多様な活動メニューを提供するとともに,活動団体の連携・役割分担を図る。
- 現況・課題
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