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市街化調整区域の環境形成に関する基本方針~Web版~

公開日 2020年04月07日

更新日 2022年03月08日

~自然環境等や景観の保全と適切な都市的土地利用の誘導に向けて~

 

1 策定・見直しの背景と目的

  •  平成12年5月の都市計画法の一部改正においては,都市への人口の集中等により都市の拡大が進む「都市化社会」から,安定・成熟した「都市型社会」の時代を迎えつつある社会経済状況の変化への対応と,都市計画における地方分権の理念を踏まえ,地方公共団体が主体となって地域の課題に的確に対応できるよう,柔軟で使いやすい仕組みとするために,都市計画制度全般にわたって見直しが行われた。
     特に,線引き制度を支える開発許可制度については,地域の実情に応じて,柔軟な規制が行えるように見直され,また,平成12年11月に函館市が特例市となり,開発許可権限が北海道知事から移行されたことから,市独自の地域課題への取組みが可能となった。
  •  このため,本市の都市計画においては,都市計画区域内の豊かな自然環境等を保全しつつ,適切な土地利用を進めることによる健康で文化的な生活環境の保全や地域産業の振興発展を図る観点から,改正された都市計画制度や都市計画制度以外の各種制度を活用するなどして,総合的・一体的な取組みを進めてきた。
  •  特例市となった当時の市街化調整区域においては,住宅,医療・福祉施設,廃棄物処理施設および資材置場などが散在的に立地し,土地利用の混在化の進行による自然環境等への影響や相隣間のトラブルなど,さまざまな問題が顕在化しつつあったことから,このような土地利用上の課題に対応するため,北海道が都市計画に定めた「函館圏都市計画都市計画区域の整備、開発及び保全の方針」(以下「区域マス」という。)における市街化調整区域の土地利用の方針に関する事項について,市域レベルに詳細化した「市街化調整区域の環境形成に関する基本方針」を平成16年3月に策定し,当該基本方針に基づき,各種施策に取り組んできた。
  •  このような経過の中で,国においては,全国的に人口減少・超高齢社会を迎え,これまでのまちづくりのあり方を転換し,都市の既存ストックを有効活用しつつ,さまざまな都市機能がコンパクトに集約した都市構造を実現するため,「都市の秩序ある整備を図るための都市計画法等の一部を改正する法律」(以下「改正法」という。)を平成18年5月に制定し,広域的に都市構造やインフラに影響を与える大規模な集客施設に係る立地制限の強化をはじめ,開発許可制度における大規模開発および公共公益施設に係る取り扱いの見直しなどの措置を講じたことから,この「改正法」を踏まえ,当該基本方針の見直しを平成19年8月に行ったところである。
  •  その後,平成23年3月に北海道において当該基本方針の上位計画である「区域マス」の見直しが行われ,その中で,持続可能なコンパクトなまちづくりを推進することが都市づくりの基本理念とされた。また,平成23年12月には,本市の新しい都市計画マスタープランを策定し,その中で,歩いて暮らせるコンパクトなまちづくりなどをまちづくりの目標としたところである。以上を踏まえ,当該基本方針の見直しを行い,今後の市街化調整区域における自然環境等の保全や適切な都市的土地利用の誘導を図っていこうとするものである。
  •  さらに,平成30年3月に,コンパクトなまちづくりへと誘導していくための計画である函館市立地適正化計画が策定され,持続可能な行政運営が可能となるよう,生活インフラの維持管理費縮減など行政コストの低減が必要となることが明確に示されているとともに,人口密度の低下が懸念される外環状線(産業道路)沿道から南側の区域に居住機能・都市機能の集約化を進めることとされたところである。

 

2 市街化調整区域の役割・性格

  •  無秩序な開発を抑制し,自然環境等の保全を図る区域
  •  農林漁業との適正な調整を図りつつ,一定の計画的な開発等を許容する区域
  •  住民等の利便に配慮した公共公益上必要な建築物等の建築が許容される区域

  

3 市街化調整区域の現状と課題

3-1 現状

  •  既存集落・既存住宅地に多くの市民が居住
  •  各種施設が散在的に立地しているため,自然環境への影響や相隣間のトラブルの発生が懸念
  • 開発許可の必要な施設(区域内居住者対象のサービス施設,廃棄物処理施設,医療・福祉施設,学校など)が立地
  • 開発許可の不要な施設(農林漁業施設など)が立地
  • 都市計画法の適用を受けない施設(残土処分場)が立地
    ※医療・福祉施設,学校などについては,平成19年11月30日より開発許可が必要となった。
  •  沢筋の周辺における無秩序な土砂の埋立て等による緑地等の減少や災害の発生が懸念

 

 

3-2 課題

  •  農地,森林,緑地および河川といった自然環境等・自然景観の保全
  •  既存集落・既存住宅地の生活環境の維持・保全
  •  都市的土地利用の適切な誘導
  •  生活インフラの維持管理費増大に繋がるような都市的土地利用の抑制

 

4 市街化調整区域の環境形成に関する基本方針

4-1 基本的な考え方

市街化調整区域は,無秩序な市街化を抑制し自然環境等を保全する役割と,農林漁業との適正な調整を図りつつ,一定の計画的な開発や住民等の利便に配慮した公共公益上必要な建築物の建築などの都市的土地利用が限定的に許容される性格を有しているため,これらの両立を図った土地利用を目指す必要がある。

このため,それぞれの地域特性や位置付けを踏まえ,市街化調整区域全体を,自然環境等を保全する区域と秩序ある都市的土地利用を許容する区域に区分し,その区域ごとの整備,開発および保全の方針を明らかにすることによって,市街化調整区域における良好な環境の形成を図る。

 

  「市街化調整区域の環境形成に関する基本方針」の位置付け


 

 

4-2 上位計画での土地利用の方向

●土地利用の方針(抜粋)
「函館市基本構想」(平成2812月,議決)

第3章−3 土地利用の考え方
 土地は,人が生活し生産活動などを行ううえで基盤となるものであり,未来へ適切な形で引き継ぐべき限られた資源です。このため,本市の現状を踏まえ,土地利用にあたっては,その特性を,「市街地」,「農業・漁業地域」,「森林」,「緑地」の4つに分類します。市民等と行政は,この分類に基づき,それぞれの土地の現状や役割を的確に把握するとともに,協働して,生活環境の維持や,自然環境の保護・保全および災害に対する安全性の確保に努め,長期的な視点に立って,総合的かつ計画的に土地利用を進めます。
(1)市街地
 市街地は,健康で文化的な生活と地域産業の振興を支える企業活動の場であり,商工業をはじめ,医療や福祉,学校などの都市機能が集積している地域です。人口減少が避けられな いなか,市街地の土地利用にあたっては,既存資源の有効活用という視点に立ち,住居と都市機能を適正に効率よく配置するとともに,公共交通の再編を図り,市街地の利便性と快適性の確保に努めます。
(2)農業・漁業地域
 農業・漁業地域は,生産活動や生活の場であるとともに,豊かな自然を有する地域です。そのため,農業や漁業の振興と自然環境の保護・保全との調和を図るとともに,地域コミュニティの維持に取り組んでいきます。なかでも農地は,農業の生産基盤となる大切な資源であることから,その整備により生産性の維持・向上を図るとともに,他用途への転用を最小限にとどめ,保全に努めます。
(3)森林
 森林は,水源のかん養や生物多様性の保全,山地災害の防止,休養の場,地球温暖化の防止のほか,沿岸海域の環境保全といったさまざまな役割を担っていることから,適切な管理・整備により森林機能の維持・向上に努めます。
(4)緑地
 樹林や公園に代表されるオープンスペースとしての緑地は,都市環境の維持やレクリエーション活動,都市防災,景観の形成といった役割を担っており,また,自然の宝庫である恵山道立自然公園や函館山などは,市民共有の財産であることから,これら緑地の保全と機能向上に努めます。

 

●市街化調整区域の土地利用の方針(要旨)
「函館圏都市計画都市計画区域の整備、開発及び保全の方針」(令和2年4月,北海道決定)

<優良な農地との健全な調和に関する方針>
 集団的農用地や各種農業投資が実施されている区域,実施を予定している区域などについては,今後とも優良な農用地としてその保全に努め,特に,農業振興地域の整備に関する法律第8条第2項第1号に基づき定められた農用地区域については,「農業上の利用を図るべき土地」として,市街化区域の拡大の対象とはしない。

<自然環境形成の観点から必要な保全に関する方針>
 水源かん養保安林や保健保安林等については,公益的機能の維持,増進を図るため,それぞれの目的に応じた適正な管理・保全に努めるとともに,笹流自然景観保護地区については,今後とも適正な保全に努める。
 函館山緑地,笹流ダム周辺,トラピスチヌ修道院周辺など景勝地にもなっている森林については,今後とも良好な環境や景観を保全しつつ,自然環境と共生した土地利用の維持に努める。
 河川については,流域全体の健全な水循環の保全を念頭におき,良好な河川環境の保全に努める。

<秩序ある都市的土地利用の実現に関する方針>
 市街化調整区域内における都市的土地利用については,コンパクトなまちづくりと整合するよう,都市機能の無秩序な拡散等を抑制し,適切な土地利用の誘導を図る。
 石川新道や外環状線,空港ターミナル通の沿道,空港通のうち整備済みである区間の沿道については,交通利便性の高さを生かしつつ周辺環境と調和した流通業務施設や沿道サービス系施設の立地について,個別にその妥当性等を判断し計画的かつ適切な土地利用を図る。

 

●市街化調整区域の土地利用の方針(要旨)
「函館市都市計画マスタープラン」(平成23年12月,決定)

<農地>
 農地は,作物の生産機能のほか,保水・遊水機能などの公益的機能を有していることから,これらの公益的機能の維持を図るため,その保全に努め,特に,集団的農用地や国営・道営の土地改良事業など,各種農業投資が実施されている区域などについては,今後とも優良な農用地としてその保全に努めます。

<森林>
 森林については,水源のかん養などのさまざまな公益的機能のほか,木材生産機能を有していることから,これらの機能の維持および増進を図るため,その保全に努めます。特に,保安林や水道水源域の森林については,適正な管理・保全に努めます。       
 また,笹流自然景観保護地区について,今後とも適切な保全に努めます。

<その他緑地>
 その他緑地は,都市環境の保全に寄与していることから,風致地区や特別緑地保全地区の指定などを検討していきます。
 笹流ダム周辺やトラピスチヌ修道院周辺については,今後とも豊かな自然環境や生態系の保全を図ります。

  ※「その他緑地」とは,樹林地,草地,水辺地,岩石地などによって良好な自然的環境を形成しているものをいう。

<既存集落および既存住宅地>
 市街化調整区域として都市計画が決定される以前に形成された既存集落および既存住宅地については,それぞれの地区の特性に応じ,基盤整備を段階的に進め,今後とも周辺環境と調和した住宅地の維持に努めます。
 東山別荘地区については,今後とも自然環境と共生した土地利用の保全に努めます。
 亀尾地区については,今後とも周辺の営農環境と調和した土地利用を図ります。
 函館空港南地区については,今後とも住宅と漁業や水産関連施設等とが調和した土地利用を図ります。

<幹線道路沿道>
 石川新道や外環状線,空港ターミナル通や空港通の各沿道においては,今後とも交通利便性の高さを生かしつつ,周辺環境と調和した流通業務系施設や沿道サービス系施設の立地について,個別にその妥当性等を判断し適切な土地利用を図ります。

 

 

4-3 自然環境等の保全に関する方針

市街化調整区域における自然環境等は,都市化の進展に伴い農地や森林,緑地が減少するとともに,河川の汚濁による水質悪化などを招いている。

農地・森林・緑地・河川は,多様な動植物が生息・生育するための必要不可欠な自然環境資源であるとともに,良好な都市環境を形成する重要な要素であり,さらには,市民が身近に親しめる多様なレクリェーションや自然とのふれあいの場となっているなど,自然環境および都市環境の基盤として重要な役割を果たしていることから,適正に維持・保全し,良好な環境を次世代に継承していく必要がある。

このため,自然環境等を保全する区域については,以下の方針に基づき,適正に維持・保全していくこととする。

 

(1) 農地 

農地については,作物の生産機能のほか,保水・遊水機能や美しい田園風景の形成などの公益的機能を有していることから,これらの公益的機能の増進を図るため,その保全に努める。

特に,集団的農用地や国・道営の土地改良事業など各種農業投資が実施されている区域および実施を予定している区域の農地などについては,今後とも優良な農用地としてその保全を行い,中でも,農業振興地域の整備に関する法律第8条第2項第1号に基づき定められた農用地区域については,「農業上の利用を図るべき土地」としてその保全を行う。

また,その他農地についても,他用途への転用を最小限にとどめるため,函館市の「農村地域活性化基本構想」に基づく遊休農地等の活用策を展開していくこととする。

 

(2) 森林

森林については,木材生産のほか,水源のかん養,土砂流出の防止,大気の保全,野生鳥獣の生息・成育の場,人と自然とのふれあいの場など,さまざまな公益的機能を有していることから,これらの公益的機能の増進を図るため,その保全に努める。

特に,水源かん養保安林や保健保安林等については,それぞれの目的に応じた適正な管理・保全を行うとともに,「北海道自然環境等保全条例」により指定された「笹流自然景観保護地区」についても,指定の目的を踏まえ,今後とも適切な保全を行う。

また,市有林および私有林についても,「函館市森林整備計画」に基づく「水土保全林」や「森林と人との共生林」の機能の維持・増進を図るため,造林および間伐などの適正な森林施業や森林整備を進める。

 ※ 「水土保全林」とは,特に水源かん養機能または山地災害防止機能を増進させる必要のある森林をいう。また,「森林と人との共生林」とは,特に生活環境保全機能または保健文化機能を増進させる必要のある森林をいう。

 

(3) 緑地

緑地については,市街地の北東部から東部に広がる山岳地や市街地と山岳地の間に広がる丘陵地に分布し,本市の都市環境の保全に大きく寄与していることから,今後とも良好な都市環境を保全していくため,「都市計画法」に基づく風致地区の指定を検討する。

 ※ 「緑地」とは,この場合,「都市緑地法」に規定する樹林地,草地,水辺地,岩石地などによって良好な自然的環境を形成しているものをいう。

 

(4) 河川

河川については,治水,利水機能だけでなく,多様な生物が生息・成育する場として重要な役割を果たしていることから,健全な水循環系の保全を念頭に置きつつ,適正な維持管理を図り,良好な河川環境の保全に努める。

 

(5) その他

函館市上水道の水源である亀田川,松倉川および汐泊川については,水道水源域の大半が水源かん養保安林であり,良好な環境が維持されているが,今後とも水道水源の保護を図るため,水源かん養保安林の適正な管理を行うとともに,将来にわたり水源環境の保全に努める。

 

4-4 都市的土地利用に関する方針

市街化調整区域については,市街化を抑制する区域であるが,豊かな自然環境の中でゆとりある生活を求める居住ニーズへの対応や農林漁業の振興に資する人口の定住化などを進めていく必要がある。

また,函館新道や函館江差自動車道の高速交通ネットワークの整備に伴い,交通環境が大きく変化し,都市機能を支える関連産業の事業所の立地に対しては,相対的に地価が安く用地の取得しやすい周辺市町などの郊外部への移転がみられるように,制約要因がなくなりつつあるため,市域での事業活動を今後とも継続して行える環境を整えていく必要がある。

一方で,本市においては,持続可能な行政運営が可能となるよう,コンパクトなまちづくりへと誘導していくための計画である函館市立地適正化計画を策定したところである。

このため,都市的土地利用については,コンパクトなまちづくりと整合するよう,都市機能の無秩序な拡散の防止や都市の既存ストックの有効利用に繋がる一方で,生活インフラの維持管理費増大に繋がらないものに限り,以下の方針に基づき,適切な土地利用を誘導していくこととする。

 

(1) 幹線道路沿道地域

石川新道,外環状線,空港通および空港ターミナル通の沿道地域については,函館インターチェンジや函館空港といった交通結節点の近傍であって都市構造上重要な位置にあることから,「区域マス」において交通利便性の高さを生かしつつ周辺環境と調和した流通業務系施設や沿道サービス系施設の立地について,個別にその妥当性等を判断し計画的かつ適切な土地利用を図ることとされている。

このため,石川新道および外環状線の沿道地域については,流通業務系施設や沿道サービス系施設等の建築を目的とした開発行為等を許可の対象とし,また,空港通のうち整備済みである区間の沿道地域および空港ターミナル通の沿道地域については,レンタカー施設のほか,一定台数以上の観光バスが駐車できる駐車施設と関連する乗務員の宿泊施設,空港関連の流通業務系施設などの建築を目的とした開発行為等を許可の対象とし,「函館市開発審査会付議基準」(以下「付議基準」という。)により,地域の特性を生かした土地利用を誘導する。

 

(2) 既存集落・既存住宅地

市街化調整区域として都市計画が決定される以前に形成された既存集落および既存住宅地については,それぞれの地区の特性に応じ,基盤整備が段階的に進められてきた。今後については,「函館市都市計画法施行条例」(以下「施行条例」という。)または「付議基準」により,区域や予定建築物等の用途を定め,地域の特性に応じた適切な土地利用の誘導を図る。 

 

  • 旧50戸連たん地域
     昭和45年に市街化調整区域として都市計画が決定される以前から集落が形成されていた旧50戸連たん地域については,
    ・ 既に一定程度の公共施設が整備され,また,隣接する市街化区域内の公共施設の利用も可能である
    ・ 積極的な公共投資を必ずしも必要とない
    ・ 周辺の自然環境への影響に配慮して建築物の敷地の排水あるいは安全性等に関する技術基準を適用させていく必要がある
    ・ 市街化調整区域が定められた際に既に宅地であったことの確認が困難になってきていたことから,既に宅地であったかどうかにかかわらず,この区域内で行われる住宅などの一般的な建築物の建築や生活インフラの維持管理費増大に繋がらないような開発行為ができるよう,今後とも「施行条例」により適切な土地利用の誘導を行い,良好な集落の形成を図る。

 

<対象地区>

桔梗・西桔梗地区(桔梗駅裏),桔梗A地区(道立函館高等技術専門学院周辺・林業試験場道南支場周辺),桔梗B地区(桔梗小学校周辺),赤川地区(赤川小学校・赤川中学校・低区浄水場の周辺),高松地区(空港団地)および新湊・古川・石崎地区

 

  • 新50戸連たん地域
     平成9年に市街化調整区域として新たに都市計画が決定される以前から集落が形成されていた新50戸連たん地域については,地区の特性に応じた用途の建築物が建築できるよう,今後とも「施行条例」または「付議基準」により適切な土地利用の誘導を行い,集落の維持・保全を図る。

<対象地区>

赤川・亀田中野地区,亀田中野地区,陣川地区,東山A地区,東山B地区および陣川・東山地区

 

  • 亀尾地区および函館空港南地区
     亀尾地区および函館空港南地区については,いずれも都市的土地利用の可能な範囲が限定されており,この区域内での新たな開発行為等を許容しても周辺における市街化を促進するおそれがないことから,今後とも「施行条例」または「付議基準」により適切な土地利用の誘導を行い,地区の活性化と良好な集落の形成を図る。

 

  • その他
     昭和45年に市街化調整区域として都市計画が決定される以前に「旧住宅地造成事業法」により造成された神山地区や,住宅などの建築を目的に土地を購入した者の既存権利の行使をもって形成された東山3丁目地区・谷地頭地区については,現状の土地利用を維持する。
     また,「北海道自然環境等保全条例」に基づき指定された東山別荘地区については,良好な自然環境を有していることから,今後とも自然環境と共生した別荘地としての土地利用を図る。

 

(3) 廃棄物処理施設

廃棄物処理施設については,周辺環境の保全を図るとともに,廃棄物の再生利用および適正処理を推進するため「函館市廃棄物処理施設設置等指導要綱」により,生活環境や自然環境等への影響に配慮した位置への立地を図る。

 

(4) 公益的施設(医療・教育・社会福祉施設等)

平成19年11月30日に「改正法」が施行され,医療・教育・社会福祉施設等の公益的施設の建築を目的とする開発行為等は許可が必要となったことを踏まえ,また都市機能の拡散防止の観点から,これら施設の新たな立地については,新・旧50戸連たん地域,亀尾地区および函館空港南地区に立地するものであって,主として当該地域の居住者が利用するものを除き認めないこととする。

 

(5) 残土処分場

「都市計画法」の適用を受けない残土処分場については,「函館市土地の埋立て等に関する指導要綱」により,今後とも土砂等の流出による災害の発生を防止し,環境の保全を図る。

特に,市が発注する建設工事の建設副産物である建設発生土については,市および請負人が適正な処理を行うため,「函館市公共工事建設発生土処理指針」により,今後とも建設発生土の発生抑制や再利用の促進など総合的な対策を講じることとする。

 

 

土地利用総括図(2MB) 

 

4-5 生活関連施設の整備に関する方針

(1) 道路

市街化区域と既存集落・既存住宅地を連絡する市道の整備を推進するとともに,未舗装となっている市道については,市街化区域内の整備を優先しつつ事業を進める。

また,危険を伴う箇所の交差点改良や通学路の歩道整備を行うなどの交通安全対策を講ずる。

 

(2) 生活排水・汚水処理施設

開発行為または建築行為等を行う際に公共下水道管等の適当な接続先がない場合は,公衆衛生の向上と公共用水域の水質保全を図るため,その開発区域内または建築敷地内に建築される建築物から排出される生活排水・汚水が適正に処理されるよう合併処理浄化槽を設置することとする。

 

(3) 雨水処理施設

開発行為または建築行為に伴う雨水流出量の増加を抑制するため,洪水調整池等の流出抑制施設の設置を開発許可または建築許可の条件とする。

また,許可を要しない建築行為等を行う場合においても,この施設を設置することとする。

 

4-6 建築物の形態制限に関する方針

  •  平成12年5月の建築基準法の一部改正により,市街化調整区域における建築物の形態制限として,建ぺい率・容積率の数値が,比較的緩やかな70%・400%の一種類から,特定行政庁が土地利用の実態に即した制限ができるよう,数値の選択肢が拡充され,平成16年5月17日までに定めなければならないこととなった。また,建築物の各部分の高さの制限に関する数値についても,同日までに定める必要があるとともに,併せて日影規制についても指定することが可能となった。
      ※ 建ぺい率とは建築物の建築面積の敷地面積に対する割合,また,容積率とは建築物の延べ面積の敷地面積に対する割合をいう。

 

  •  これは,市街化調整区域の土地利用が現状において低密度な実態にあること,高容積の建築物が建築された場合,周辺の低密度な建築物との間で日照等の相隣関係上の問題や交通の局所的混乱などを招くこと,さらには将来的に市街化区域に編入し用途地域を指定する際に,周辺建築物との形態制限上の不均衡が生じるといった問題があったため,制限の仕組みが必ずしも土地利用の実態を的確に反映したものとなっていないことによるものである。

 

  •  このような法改正の趣旨や今後の市街化調整区域内の土地利用の方向を踏まえ,市街化調整区域における建築物の形態制限については,
    ▼ 市街化調整区域の自然環境等の保全を図り,良好な地域環境を形成する。
    ▼ 既存集落は平成9年に定めた「函館市50戸連たん地域内の建築指導要綱」による建ぺい率および容積率の制限内容を継続する。
    ▼ 市街化区域への編入が想定される地区は,隣接するまたは近接する用途地域の制限内容との連続性を考慮する。
    等の基本的な考え方に基づき,平成16年4月1日に指定を行ったところであり,今後とも現在の形態制限を継続し,良好な環境の保全に努める。

 

(1) 建ぺい率・容積率に関する方針

市街化調整区域の建ぺい率および容積率については,当該区域内の良好な自然環境や自然景観を維持・保全するため,建ぺい率50%,容積率100%を基本とする。

ただし,新・旧50戸連たん地域のうち住宅と業務系施設等の混在地区や,流通業務系施設等の立地を許容する幹線道路沿道地域,また,中高層建築物の立地を許容している用途地域に囲まれているまたは隣接する地区については,地域の特性を考慮し,建ぺい率60%,容積率200%とする。

 

(2) 建築物の各部分の高さの制限に関する方針

  • 前面道路の幅員に応じた建築物の各部分の高さの制限(道路斜線制限)
     道路斜線制限は,道路の採光や通風等の環境を保護するため,前面道路の反対側の境界線から一定距離以下の範囲内について建築物の各部分の高さを制限するものである。
     建築物の各部分の高さを制限する前面道路の反対側の境界線からの距離は,容積率が200%以下であるため,「建築基準法」の規定に基づき20メートルとなる。また,その範囲内の建築物の各部分の高さを算出するための数値については,当該区域内の良好な自然環境や自然景観を維持・保全するため市街化区域内の用途地域の種類に応じて規定されている数値を基準に,1.25を基本とする。
     ただし,既に住宅と業務系施設等が相当数混在している地区や,流通業務系施設等の立地を許容する幹線道路沿道地域にあっては,地域の特性を考慮し,1.5とする。
      

 

  • 隣地からの距離に応じた建築物の各部分の高さの制限(隣地斜線制限)
     隣地斜線制限は,隣地の日照,通風,採光などの環境を保全するため,建築物の各部分の高さを制限するものである。
     隣地斜線による建築物の各部分の高さについては,中高層建築物の立地による相隣関係のトラブルを未然に防止する観点から,市街化区域内の住居系用途地域で定められる数値を基準に,一律,建築物の各部分から隣地境界線までの水平距離に1.25を乗じて得たものに20メートルを加えた数値以下とする。
     

 

  • 日影による中高層の建築物の高さの制限
     日影規制は,冬至日における中高層建築物の日影を,その敷地境界線から隣接地に向かって,一定の距離の範囲内に,ある時間以上生じさせないよう,中高層建築物の高さや位置,形態を規制して,周辺敷地の日照などの住環境を保護するためのものであるが,建ぺい率・容積率に関して基本的に低密度での指定となることから,日影規制は行わないものとする。

市街化調整区域における建ぺい率・容積率の指定方針図(965KB)

 

5 既存集落等の地区別土地利用の方向性等 

都市的土地利用に関する方針に基づき,地区の特性に応じた土地利用を図る既存集落・既存住宅地および幹線道路沿道地域における地区ごとの土地利用の方向性と建築できる建築物の用途の概要については,次のとおりとする。

 

(1) 「施行条例」または「付議基準」で指定する地区

地区名 土地利用の方向性 建築できる建築物の用途の概要
<旧50戸連たん地域>
・桔梗A地区
・赤川地区
<新50戸連たん地域>
・亀田中野地区
・陣川地区
・陣川沿道地区
・東山A地区
戸建住宅を中心とした良好な居住環境を有する土地利用を図る。 ○住宅,共同住宅,事務所・店舗等の兼用住宅,寄宿舎,下宿,神社,寺院,教会,公衆浴場,一定規模以下の店舗・飲食店(陣川沿道地区に限る)
○社会福祉施設・医療施設・学校・庁舎(主として当該地区の居住者の利用に供するものに限る)
<旧50戸連たん地域>
・桔梗・西桔梗地区
・桔梗B地区
・高松地区
・赤川沿道地区
<新50戸連たん地域>
・赤川・亀田中野地区
・東山B地区
・陣川・東山地区
住宅と業務系施設等とが調和した土地利用を図る。

次に掲げる以外のもの

○工場,一定量以上の危険物の貯蔵または処理に供するもの,劇場,映画館,キャバレー,料理店,マージャン屋,ぱちんこ屋,カラオケボックス,倉庫業を営む倉庫,有料老人ホーム,一定規模以上の店舗・飲食店
○社会福祉施設・医療施設・学校・庁舎(主として当該地区の居住者の利用に供するものを除く)

<旧50戸連たん地域>
新湊・古川・石崎地区
国道278号を骨格に,住宅と漁業や水産関連施設等とが調和した土地利用を図る。 次に掲げる以外のもの
○危険性の大きいまたは著しく環境を悪化させる工場,一定量以上の危険物の貯蔵または処理に供するもの,個室付浴場,有料老人ホーム   
○社会福祉施設・医療施設・学校・庁舎(主として当該地区の居住者の利用に供するものを除く)
亀尾地区 主要道道函館南茅部線や一般道道米原古川線を骨格に,その沿道区域を中心として周辺の営農環境と調和した都市的土地利用を図る。 ○住宅,共同住宅,寄宿舎,下宿,一定規模以下の店舗・飲食店,事務所,アトリエ,工房,一定規模以下の工場,ガソリンスタンド,グリーンツーリズム関連施設
○社会福祉施設・医療施設・学校・庁舎(主として当該地区の居住者の利用に供するものに限る)
函館空港南地区 住宅と漁業や水産関連施設等とが調和した土地利用を図る。

次に掲げる以外のもの

○危険性の大きいまたは著しく環境を悪化させる工場,一定量以上の危険物の貯蔵または処理に供するもの,個室付浴場,有料老人ホーム,ホテル,旅館,射的場,勝馬投票券発売所,ボーリング場,スケート場,キャバレー,料理店,劇場,映画館,一定規模以上の店舗・飲食店
○社会福祉施設・医療施設・学校・庁舎(主として当該地区の居住者の利用に供するものを除く)

 

(2) 「付議基準」で指定する地区

地区名 土地利用の方向性 建築できる建築物の用途の概要
・石川新道沿道地区
・外環状線沿道西桔梗地区
幹線道路の沿道にふさわしい流通業務系施設や沿道サービス系施設による土地利用を図る。 ○物流関連施設(道路貨物運送業,道路旅客運送業,貨物運送取扱業,倉庫業または卸売業の用に供するものに限る)
○事務所,店舗・飲食店(大規模なものを除く),自動車修理工場,日刊新聞の印刷所,スポーツ施設,公衆浴場
空港通・空港ターミナル通沿道地区 空と陸の広域的な交通結節拠点としての地区特性を生かした流通業務系施設や沿道サービス系施設による土地利用を図る。 ○物流関連施設(道路貨物運送業,道路旅客運送業,貨物運送取扱業,航空運輸業,倉庫業または卸売業の用に供するものに限る)
○道路貨物運送業または道路旅客運送業の従業員のための休憩もしくは宿泊の用に供する施設
○自動車修理工場,レンタカー業の用に供する建築物,事務所,店舗・飲食店(大規模なものを除く),屋外駐車場の管理上必要な建築物,自己の居住用住宅

 

(3) その他の地区

地区名 土地利用の方向性 建築できる建築物の用途の概要
<「北海道自然環境等保全条例」に基づき指定された別荘地>
・東山別荘地区
周辺の自然環境と共生した別荘等による土地利用を図る。 ○自己用の別荘,自己居住用の住宅
<旧住宅地造成事業法に基づき造成された団地>
 神山地区
<既存権利により形成された団地>
・東山3丁目地区
・谷地頭地区
戸建住宅を中心とした良好な居住環境を有する土地利用を図る。

○住宅

○共同住宅,事務所・店舗等の兼用住宅(神山地区に限る)

 

市街化調整区域における既存集落等地区位置図(2MB)

 

平成16年3月策定

平成19年8月第1回改正

平成24年3月第2回改正

令和2年3月第3回改正

 

 

 

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