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平成24年度市政執行方針ならびに各会計予算説明

公開日 2014年02月20日

更新日 2022年03月04日

平成24年度市政執行方針ならびに各会計予算説明

1 はじめに

2 市政に臨む基本姿勢と重点目標

3 主要施策の推進
   (1) 心豊かな人と文化をはぐくむまち
   (2) 共に支えあい健やかに暮らせるまち
   (3) 快適で安らぎのある住み良いまち
   (4) 環境と共生する美しいまち
   (5) 活力にあふれにぎわいのあるまち
   (6) 主要施策の推進のために

4 むすび

5 各会計予算案の大綱
 

1 はじめに

平成24年第1回市議会定例会の開会にあたり、市政執行につきまして、私の所信を申し述べさせていただきます。

昨年4月、市民の皆様の温かいご支援をいただき市長に就任して以来、早いもので10か月が経過いたしました。

私は、この間、地域を取り巻く閉塞感を打破し、私たちのまち函館を「活気に満ちて、だれもが幸せに暮らせるまち」とするためには、これを支える経済の再生と財政再建が、この地域にとって最優先課題であるとの認識のもと、各般の施策に鋭意取り組んでまいりました。

今日、地域の人口が減少し、経済が低迷するなど、地域全体が縮小傾向にあるなかで、本市のまちづくりには、多くの課題があり、それらに対応していく道のりは決して平坦なものではありません。

私が掲げる政策も、その緒に就いたばかりではありますが、厳しい地域環境であればこそ、さまざまな課題に真正面から向きあい、その政策の一つひとつに道筋をつけ、これらを着実に進めてまいります。

さて、本年は、大正11年(1922年)に市制を施行してから、90周年という節目の年にあたります。今、このときに市政を担う者として、幾多の苦難を乗り越え、優れた叡智とまちづくりの情熱を持って今日の函館を築いてこられた先人のご労苦に対し、深甚なる敬意を表するとともに、その思いを受け継ぎ、私もまた、郷土函館の揺るぎない発展の礎を築きあげるべく、改革と挑戦という志を持ち、強い信念のもと、全力で市政運営に臨んでいく決意であります。

議員の皆様をはじめ、市民の皆様の一層のご理解とご協力をお願い申しあげます。

2 市政に臨む基本姿勢と重点目標

今日の世界は、グローバル化の進展と新興国の台頭のなかにあって、先進国、新興国の双方を巻き込んだ、競争と連携の動きが活発化するとともに、欧州の財政金融危機など、世界経済の先行きについての不透明感が構造的に高まるなか、地球環境の保全やエネルギーの確保、さらに雇用や格差社会の問題などが一層顕在化してきております。

こうしたなかで、国内においては、少子高齢社会に対応する社会保障制度の改革、環太平洋パートナーシップ(TPP)協定への交渉参加、また、千年に一度ともいわれる東日本大震災からの復旧・復興、そして福島第一原子力発電所の事故の収束に向けた対応、さらには、昨今の急激な円高への対策などさまざまな課題を抱えております。

本市においても、人口減少、少子高齢化、経済の低迷、市財政のひっ迫など、厳しい環境下にあり、こうした時代にあっては、地域を挙げての取り組みなくして、函館の再生は難しく、また、これまでの延長線上にある発想や取り組みのみでは、このような状況は打開できません。

いつの時代も、時代を変えるのは勇気ある市民の情熱と行動であります。 函館の新時代を築くためには、函館の50年の大計を念頭に、まちの将来像を描き、これに向け、市民や団体と行政がそのイメージを共有しながら、共に考え、共に進めていくまちづくりの取り組みが必要であります。

先を見通すことが困難な時代でありますが、まちづくりを進めていくには、市民の力が必要です。

そのためには、何よりも、市民に信頼される市役所として、私はもちろんのこと、市の職員が前例にとらわれることなく、このまちに暮らす多くの市民や団体の思いを胸に、力と情熱を結集し、市民協働によるまちづくりを進めることが大切であると考えております。

こうしたことから、私は、市政に臨むにあたり、

  • 函館再生への挑戦
  • 新しい魅力と姿が見えるまちづくり
  • 過去にとらわれない清新な市政の実現
  • 市民と苦楽を共にする市役所づくり

の4つの考え方を基本とし、さらに重点目標として、

  • 函館の経済を再生する
  • 函館市の財政を再建する
  • 日本一の福祉都市をめざす
  • 子どもたちと若者の未来を拓く
  • 市民が誇れる美しいまちをつくる

の5つを掲げ、各般の施策・事業を進めてまいります。

本市には、歴史風土のなかではぐくまれた市民力をはじめ、豊かな観光資源や集積した産業基盤、さらには陸・海・空の総合的な交通体系など恵まれた資源があります。 あらためて、これらの都市発展のポテンシャルを見つめ直し、生かしていく施策を一つひとつ積み重ね、躍動する経済都市、日本一の福祉都市、子どもたちと若者の未来を拓くまち、ガーデンシティという4つの将来像を描きながら「人が輝きまちが輝く交流都市はこだて」の実現をめざしてまいりたいと考えております。

以上、私の市政に臨む基本的な考え方について申し述べましたが、次に、主要施策について、ご説明申しあげます。
 

3 主要政策の推進

私は、市政の推進にあたり、「函館市基本構想」に基づき、次の5項目を基本として取り組んでまいります。

(1) 心豊かな人と文化をはぐくむまち

第1は、「心豊かな人と文化をはぐくむまち」です。

まず、生涯学習については、まなびっと広場の実施などを通じ、市民の学習機会の充実に努めるほか、南茅部公民館の大規模改修に向け実施設計に着手します。

文化芸術については、国内外から一流の音楽家を招き集中レッスンを行う音楽合宿「イカール国際ミュージックキャンプ」をはじめとした、市民の文化芸術活動を支援し、次代を担う人材の育成に努めます。

また、市民の共有財産である歴史的町並みを後世に継承するため、引き続き伝統的建造物の修理に対する支援などを行うほか、特別史跡五稜郭跡の環境整備を進めるとともに、昨年、国史跡に指定された垣ノ島遺跡については、用地を取得し、その保存・活用に取り組みます。

スポーツ・レクリエーションについては、ハーフマラソン大会の拡充に努めるとともに、フルマラソン大会を検討するほか、大規模コンベンションの開催機能を有する函館アリーナの建設に向けた実施設計の着手、旧北高校跡地でのサッカーやラグビーなどに対応した施設整備に向けた基本計画の策定など、市民スポーツの振興と各種大会やスポーツ合宿の誘致による交流人口の拡大をめざしてまいります。

青少年の健全育成については、学童保育所の保育環境の充実に努め、子どもの安全・安心な居場所づくりを進めます。

地域の国際化については、昨年、姉妹都市提携を結んだ高陽(コヤン)市をはじめ、提携30周年を迎えるハリファックス市など6つの姉妹・友好交流都市から、市制施行90周年記念式典に際し、代表団を受け入れ、各都市との交流の拡大に努めます。

都市間交流については、新幹線時代における青函圏域の新たな関係を見据え、ツインシティの盟約を結ぶ青森市をはじめとした青森県や道南の各自治体との連携のもと、広域的な観光の振興などに取り組むほか、首都圏の在住者などを対象とした定住者誘致の推進に引き続き努めます。

また、函館と下北を結ぶ唯一の交通手段である大間航路について、運航に対する支援を行います。

次に、学校教育については、子どもたちの学力向上に向けた取り組みとして、放課後の自主的な学習を支援する場となる、アフタースクールを開設するほか、学校給食について、地元の魚や野菜を活用するなど地産地消をさらに進め、地元産品の理解に努めます。

また、このたび市立函館高校と高陽市の白馬(ペンマ)高校が姉妹校の提携を結んだところでありますが、さらに子どもたちには異文化に触れ豊かな国際感覚を身に付けてもらうため、中学生の高陽市への派遣を行ってまいります。

さらに、校舎等の耐震化については、凌雲中学校の耐震改修を行うとともに、耐震診断を行っていないすべての学校の耐震診断を実施するほか、学校給食調理場の環境改善に努めます。

高等教育の充実については、北海道教育大学函館校において、地域の国際化と地域コミュニティの視点を兼ね備え、将来の地域を担う人材育成にも貢献する学部の新設を進めていることから、その支援に努めてまいります。

国際的な学術研究拠点都市の形成をめざす「函館国際水産・海洋都市構想」については、中核施設となる国際水産・海洋総合研究センターの建設に着手してまいります。

(2) 共に支えあい健やかに暮らせるまち

第2は、「共に支えあい健やかに暮らせるまち」です。

地域福祉については、公的な福祉サービスの充実を図るとともに、地域住民や企業、ボランティアなどの自主的な活動による共に支えあう社会づくりを推進するため、「福祉政策推進会議」において、望ましい福祉施策のあり方について検討を重ねていくほか、暮らしに関する総合的な相談窓口として、より市民にわかりやすい「くらし安心110番」を設置し、市民サービスの向上を図ります。

また、福祉団体の方々の活動拠点となる会議室や事務室を備えた福祉ボランティアセンターの駅前・大門地区での開設を検討します。

児童福祉については、本年4月に神山児童館を開館するほか、地域全体が子どもたちの成長を支えるため、子どもに関わる施策推進の柱となる(仮称)子ども条例の制定に向け、学識経験者などで構成する委員会を設け検討を進めるとともに、新年度新たに病気の子どもを一時的に保育する病児保育事業の運営を支援するほか、子育て家庭の育児不安等の解消を図る「子育て支援隊」の設置を検討します。

このほか、子育て世代の経済的負担を軽減するため、「子ども医療費助成」の対象を新年度から中学生までに拡大するとともに、ファミリー・サポート・センターの利用料金の軽減を図ります。 また、子どもに関わる各般の施策を総合的に推進していくため、「子ども未来部」を新設し、これまで福祉部や保健所、教育委員会など複数の部局がそれぞれ担っていた子どもに関する施策を集約し、その充実を図るとともに、市民によりわかりやすく、迅速に対応できるよう体制強化を図ります。

高齢者福祉については、日吉4丁目団地跡地に高齢者が安心して暮らせる福祉コミュニティエリアを整備するため調査を進めるとともに、中心市街地に高齢者の交流や買い物時の休憩の場などとなる高齢者サロンの開設を検討します。

また、これまで旧函館市域内の高齢者を対象としていた交通料金助成制度については、東部4地域の高齢者に拡大し、全市的な新たな制度として運用してまいります。

さらに、認知症や障がいのある方などを在宅介護されている家族を支える「介護支援隊」の設置について検討するほか、ひとり暮らしのお年寄りを対象として新たに救急医療情報キット(安心ボトル)を配付するとともに、緊急通報システムの設置要件の緩和を図り、日常生活の安全と安心の確保に努めます。

介護保険制度については、地域包括支援センターの充実をはじめ、特別養護老人ホームや認知症高齢者グループホームの整備など、多様な介護サービスの推進と円滑な運営に努めます。

障がい者福祉については、障がい児・者が安心して暮らせる地域づくりに向けて、青柳・あおば・ともえの3園を統合した「はこだて療育・自立支援センター」を開設し、新たに発達障がいに対応する専門医師を配置するなど療育体制や相談支援機能を強化します。

また、東部4地域の方も対象とした交通料金助成を行い、障がい者等の外出支援を図るほか、中心市街地において授産製品の販売を行う福祉の店の運営を支援します。

低所得者援護対策については、生活を安定させ、自立を促進する就労等意欲喚起プログラム事業を拡充し、自立支援を図ります。

次に、市民の健康づくりと医療については、生活習慣病による死亡の減少と健康寿命の延伸を図るため、「健康はこだて21」次期計画の策定に着手するほか、道南三次医療圏におけるドクターヘリの導入について、関係機関と共に検討してまいります。

また、市立病院については、病院事業改革プランに基づき、引き続き医師や看護師の確保など各種対策を進め、経営の健全化に努めます。

国民健康保険事業については、保険料収納率の低下などにより、国保財政の厳しさが増大していることから、口座振替の加入促進など収納率の向上を図るほか、特定健康診査・特定保健指導の受診促進などにより、医療費の適正化を図り、財政の健全化に努めます。

また、後期高齢者医療制度については、実施主体である広域連合と連携し、円滑な運営を促進してまいります。

(3) 快適で安らぎのある住み良いまち

第3は、「快適で安らぎのある住み良いまち」です。

市街地の整備については、コンパクトなまちづくりを基本とし、駅前・大門地区から本町・五稜郭・梁川地区までを対象とした「中心市街地活性化基本計画」を策定し、駅前市有地については民間活力による集客性の高い施設展開を図るため事業公募を行うほか、駅前・和光ビルの民間による再開発事業を促進し、そのなかで家族で楽しめる子どもおもしろ館やキッズセンターなどの開設をめざしてまいります。

また、旧グルメシティ五稜郭店の活用方策を検討するなど、新幹線時代を見据えたまちづくりを進めてまいります。

住環境については、市民の安全で安心な住宅の確保を図るため、新たに個人住宅の耐震化、バリアフリー化等にかかるリフォーム経費の一部について補助を行うとともに、市営住宅の耐震改修などを進めます。

生活道路については、舗装・改良をはじめ、私道の市道化や簡易舗装を推進するとともに、観光エリアを中心に、歩行者用案内標識の設置を進めます。

公共交通については、超低床ノンステップバスの導入支援や市電停留場の上屋設置を進めるほか、デザイン性に優れたバス停の整備検討を行うなど、利便性の向上に努めてまいります。

上水道については、赤川低区浄水場のろ過池を更新するとともに、配水管や導水管などの整備を進め、安全な水の確保と安定供給に努めます。

エネルギーについては、環境配慮型のクリーンエネルギーの活用に関する市民意識の醸成のため、引き続き住宅用太陽光発電システムの設置に対して支援してまいります。

次に、防災対策については、東日本大震災におけるさまざまな災害対応の検証や、国および北海道の防災計画の見直し内容を踏まえ、「地域防災計画」を改訂するとともに、防災ハンドブックの作成・配付や海沿いの地域での海抜標示板の設置などにより、あらためて防災意識の普及啓発を図るほか、災害時に必要な食料や資材の備蓄に努めます。

また、引き続き石川や小田島川などの河川改修や治山事業を進めます。 消防・救急体制については、北消防署末広出張所を完成させるとともに、東消防署南茅部支署の実施設計に着手するほか、消防ポンプ自動車、高規格救急自動車などの更新や救急救命士の養成などにより消防・救急体制の充実を図ります。

交通安全・防犯対策については、各年代に応じた交通安全教育や職場・地域における交通安全運動を推進するほか、町会等が新たにLEDを使用した街路灯を設置する場合、その優遇助成を行うなど、地域ぐるみの防犯活動への支援に努め、安全・安心のまちづくりを進めます。

(4) 環境と共生する美しいまち

第4は、「環境と共生する美しいまち」です。

環境保全・廃棄物対策については、地球温暖化防止対策として地域における温室効果ガス削減の取り組みを進めるほか、循環型社会の形成に向けて「廃棄物処理基本方針」に基づき、ごみの減量化と再資源化に努めます。

下水道については、管きょや処理場の整備を推進するとともに、公共用水域の水質保全を図るため、合流式下水道の改善事業を進めるほか、合併処理浄化槽について、引き続き普及の促進に努めます。

次に、魅力ある景観の形成については、西部地区から函館の顔である駅前・大門地区や五稜郭地区、さらには湯川地区において、それぞれの地区特性を踏まえたデザインコンセプトをまとめ、これを個々の施策に反映させるなど、豊かな緑に彩られデザイン性に優れた質の高い都市空間の形成をめざすとともに、景観形成指定建築物等の保全に努めるほか、新たに都市景観形成地域内にある老朽化した危険な空き家の解体・撤去経費の一部について補助を行ってまいります。

水と緑の空間整備については、函館駅前の正面広場に彩り豊かな花壇を造成するとともに、本通公園の園路整備などバリアフリー化を図るほか、市民の健康志向の高まりに対応し、昭和公園に健康遊具を新たに設置するなど、幅広い年代に利用される憩いの場となる公園整備を進めてまいります。

(5) 活力にあふれにぎわいのあるまち

第5は「活力にあふれにぎわいのあるまち」です。

私は、経済の再生なくして函館の復活はあり得ないものと考えており、この間、経済再生会議の開催や市内のさまざまな産業・経済団体の方々との懇談を通じ、いただいた意見・提言から生み出された新たな発想に基づき、本市独自のより効果的な施策展開を図ってまいります。

観光・コンベンションについては、本市特有の優れた観光資源である「歴史」,「景観」,「食」を生かした函館のブランドイメージの確立に努めながら、北海道新幹線新函館開業を見据え、首都圏や北関東・南東北地域において集中キャンペーンを行うほか、海外では韓国、中国、台湾などに加え、シンガポールでの観光プロモーションを行うなど、国内外の観光客誘致を図ってまいります。

また、本市をはじめとする道南圏域の観光資源を生かした体験型の旅行商品の造成を促進するなど、滞在型観光の充実に向けた広域的な取り組みを進めるとともに、コンベンションの誘致や受入機能の一層の体制強化を図るため、駅前・大門地区に「観光センター」の開設を検討するほか、さらなる観光振興に向け、新たな「観光基本計画」の策定に着手します。

一次産業については、生産者自らが農水産物の高付加価値化に取り組む6次産業化を促進するため、需要動向の把握のほか、新商品の開発に向けたビジネスマッチングや試作品の開発、販路の開拓・拡大を支援してまいります。

また、学校給食の食材としてこれまで以上に地場農水産品を活用し、魚食普及・地産地消拡大の取り組みを強化してまいります。

農林業については、酪農家の収益性向上を図るための共同利用施設の整備を支援するとともに、森林の持つ公益的機能を持続的に発揮していくため、市有林・私有林の間伐などを進めます。

水産業については、漁港や漁場、漁業用流通施設など、漁業生産基盤の拡充を図るとともに、ウニ・アワビなどの資源増大対策に取り組みます。

中小企業の振興については、中小企業振興基本条例の基本理念に基づき、地元企業の経営安定化や設備投資による生産性の向上等を支援するため、各種融資制度の活用を促進します。

工業については、本市の基幹産業である食品加工業の振興のため、引き続き首都圏で開催される大規模な展示商談会への出展などを通じ、加工製品のブランド化や販路拡大に取り組むとともに、地場製品の受注拡大をめざし、全国各地の最先端技術を持つ企業などとの交流を促進し、新製品の開発を支援します。

商業については、引き続き「元気いっぱい商店街等支援交付金」制度の活用を促進し、にぎわいの創出に努めるほか、首都圏での観光物産館の開設検討や香港最大の食品見本市であるFOODEXPOへの企業参加支援などにより、地域の特産品を国内外に広く発信し、浸透を図る取り組みを進めます。 新産業の創出と企業立地の促進については、函館国際・水産海洋都市構想の実現に向け、地域の産学官の連携によるマリンバイオクラスター事業を推進するとともに、このたび指定された「北海道フード・コンプレックス国際戦略総合特区」を活用し、本市の強みである水産・海洋に関する研究開発を進展させることなどにより、付加価値の高い製品の開発や海外市場への販路拡大を図るほか、関連する企業の集積に努めます。

雇用については、本庁舎においてハローワークの職業紹介などを行う「函館市しごと相談コーナー」を設けるとともに、新たに五稜郭地区に若者から中高年者まで幅広い世代にカウンセリングなどの就職支援を行う「ジョブカフェ・ジョブサロン函館」を開設し、求職者の就業促進に向けた取り組みを進めます。

次に、北海道新幹線については、国において、昨年末、札幌までの着工方針が決定されたところでありますが、今後は、3年後にせまった新函館までの開業に向け、官民一体となって、北海道新幹線開業はこだて活性化アクションプランを推進するとともに、並行在来線として分離される江差線については、第三セクター鉄道の設立に向け関係自治体と協議するなど、円滑な鉄道運営をめざしてまいります。

また、新函館駅の開業にあわせ、現駅とのアクセスについて、速達性、利便性に優れた列車運行が図られるようJR北海道などの関係機関と協議を進め、北海道新幹線の開業を地域の振興発展につなげてまいりたいと考えております。

高速自動車道については、北海道縦貫自動車道をはじめ、函館・江差自動車道や函館新外環状道路の早期整備を促進します。

また、主要な幹線道路については、赤川函館線や文教通などの整備を促進するとともに、中道四稜郭通や日吉中央通などの整備を進めます。

函館港については、国際水産・海洋総合研究センターが建設される弁天地区の岸壁や北ふ頭地区のフェリーふ頭、幹線臨港道路などの整備を進めるとともに、大型旅客船の誘致やコンテナ貨物の集荷活動を強化するなど、ポートセールスの充実に努めるほか、椴法華港の護岸の改良を促進します。

函館空港については、誘導路の改良や耐震対策を促進するほか、国際・国内路線網の充実と利用拡大に取り組むとともに、東アジア地区からの国際チャーター便の誘致に努めます。

(6) 主要施策の推進のために

以上、主要施策についてご説明申しあげましたが、その推進にあたっては、次の4点を重要な視点として取り組んでまいります。

1点目は、市民参画によるまちづくりです。

市民の声を直接お聞きする「市長のタウントーキング」や各種団体との懇談会の開催、積極的な市政情報の提供など、広報広聴の充実に努め、パートナーシップによるまちづくりを進めます。 また、福祉や教育など市民生活に関わる地域の課題に対し、市民が主体となって行政と共に取り組む公益事業を「市民協働モデル事業」として位置づけ、これを支援してまいります。

2点目は、市民主体のまちづくりです。

町会館の整備を支援するほか、市内各地区の特徴を生かし地区住民自らが実践可能な取り組みを進める地域経営会議の設置を検討します。

また、椴法華地区において、住民組織による集落の維持や活性化に向け取り組む地域パワーアップ事業を支援してまいります。

3点目は、時代の変化に即応した行財政運営の確立です。

本市の厳しい財政を再建するため、総合的な「行財政改革プラン」を策定し、事務事業の見直し、職員数の削減や職員給与制度の見直しによる人件費の抑制、公の施設の整理統合など聖域のない行財政改革を強力に推進してまいります。

最後に、4点目は、広域行政の推進です。

北海道新幹線、高速道路網など各種インフラの整備促進や広域観光の推進、大間原子力発電所建設の無期限凍結などの広域的課題については、関係する自治体との緊密な連携のもと取り組みを進め、広く道南全体の振興発展と安全の確保をめざしてまいります。

4 むすび

我が国は、戦後復興期の右肩上がりに経済が拡大した高度成長期を経て、今日、グローバル化した国際経済のなかで国民経済が縮小するという時代の転換期を迎えております。

こうしたなか、国においてはあらためてめざすべき国のあり方を見据えたうえで、経済・社会システム全般の再構築が求められており、また、地方分権の流れのなかで、地方都市は地域の将来を地域自らが考え、切り拓いていく時代を迎えております。

本市においても、少子高齢社会を迎え、低迷する地域経済、厳しい市の財政など多くの課題を抱えており、こうしたなかで、地域の振興発展や市民福祉の向上へ向け、将来にわたり安定し持続可能な都市経営が求められています。

その取り組みは多くの困難を伴うものと存じますが、幕末から明治の動乱をくぐり抜け、市民の力によって幾多の災害を乗り越え、北海道開発の拠点として発展してきた私たちのまちの歴史は、函館の再生が不可能ではないということを教えています。

「活気に満ちて、だれもが幸せに暮らせるまち・函館」を築き、未来に継承していくためには、市民一人ひとりの知恵と力をあわせることが必要不可欠であります。

私は、函館市民が夢や希望に向かって日々を過ごすことができるよう、心を澄まして市民の皆様の声を聞き、丁寧に議論を重ね、それらを着実に各種施策に反映させ、函館の明日を変えるという強い信念のもと、市政運営に臨んでまいります。

市議会ならびに市民の皆様のご理解とご協力を、心からお願い申しあげます。

5 各会計予算案の大綱

次に、予算案の大綱につきまして、ご説明申しあげます。

平成24年度予算につきましては、ただ今、申し述べました市政執行の基本方針に基づき、市民の要請や効果・緊急度を考慮のうえ、限られた財源のなかで創意と工夫を凝らし、最大限市民福祉の向上に努めることとし、編成したところであります。

その結果、予算の総額は、

  • 一般会計:125,512,000千円
  • 特別会計:86,974,487千円
  • 企業会計:42,272,814千円
  • 合計:254,759,301千円

となった次第であります。

以下、その主な内容について、一般会計から順次ご説明申しあげます。

まず、総務費では、5,256,881千円を計上いたしました。

民生費では、児童福祉費など、あわせて 46,250,520千円を計上いたしました。

衛生費では、清掃費など、あわせて 8,227,165千円を計上いたしました。

労働費では、雇用対策などの経費、252,307千円を計上いたしました。

農林水産費では、706,969千円を計上いたしました。

商工費では、商工業振興、観光振興などの経費、あわせて 7,853,549千円を計上いたしました。

次に、土木費では、道路橋梁費など、あわせて 9,536,690千円を計上いたしました。

消防費では、965,513千円を計上いたしました。

教育費では、小・中学校費など、あわせて 6,500,296千円を計上いたしました。

諸支出金では、公営企業費など、あわせて 4,908,555千円を計上いたしました。

以上、歳出の主な内容について、ご説明申しあげましたが、次に歳入の主なものについて、ご説明申しあげます。

市税では、過去の実績や、景気の動向などを勘案し、 31,455,000千円を計上いたしました。

地方交付税では、国の予算措置などを勘案し、35,847,000千円を 計上したほか、使用料及び手数料 3,218,322千円、国庫支出金 25,182,402千円、道支出金 4,866,360千円を計上いたしました。

また、繰入金で 2,613,709千円、諸収入で 7,673,561千円を計上するとともに、市債では、建設事業債のほか、臨時財政対策債など、あわせて 8,998,700千円を計上いたしました。

次に、特別会計の主なものについて、ご説明申しあげます。

まず、港湾事業特別会計では、国直轄港湾整備事業費など、 あわせて 4,459,000千円を計上いたしました。

国民健康保険事業特別会計では、保険給付費など、35,982,041千円を計上いたしました。

自転車競走事業特別会計では、車券発売代金 18,500,000千円を見込み、18,612,567千円を計上いたしました。

介護保険事業特別会計では、介護サービス給付費など、 23,191,860千円を計上いたしました。

後期高齢者医療事業特別会計では、4,107,244千円を計上いたしました。

次に、企業会計の主なものについて、ご説明申しあげます。

まず、水道事業会計では、配水施設事業費など、あわせて8,145,020千円を計上いたしました。

公共下水道事業会計では、管渠事業費など、あわせて 11,541,552千円を計上いたしました。

交通事業会計では、軌道改良工事費など、1,699,373千円を計上いたしました。

病院事業会計では、函館、恵山、南茅部の3病院の運営経費など、 20,505,581千円を計上いたしました。

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