公開日 2014年02月19日
更新日 2022年03月04日
平成25年度市政執行方針ならびに各会計予算説明
3 主要施策の推進
(1) 心豊かな人と文化をはぐくむまち
(2) 共に支えあい健やかに暮らせるまち
(3) 快適で安らぎのある住み良いまち
(4) 環境と共生する美しいまち
(5) 活力にあふれにぎわいのあるまち
(6) 主要施策の推進のために
1 はじめに
平成25年第1回市議会定例会の開会にあたり、市政執行につきまして、私の所信を申し述べさせていただきます。
本年は、私にとりまして、市長任期の折り返しとなる3年目となります。
私は、長らく停滞を続けている函館を再生するためには、斬新かつ大胆な発想で、新たな政策を打ち出していく必要があると考え、市長就任以来、「函館の明日を変える」という気概を持ち、経済の再生、財政の再建を最優先の課題として、各般の施策に取り組んでまいりました。
とりわけ昨年は、市制を施行してから90周年という節目の年を迎え、多くの事業を実施するなかで、先人が幾多の苦難を乗り越え、築いてきた函館の魅力、発展可能性をあらためて認識したところであり、市政を担う者として、改革と挑戦という志とまちづくりへの情熱を持ち、全力で市政運営に臨んでいく思いを新たにしたところであります。
本年は、市民の皆様にまちづくりの成果がはっきりと目に見え、手応えを実感いただける年となるよう、これまでの取り組みをさらに加速させていくとともに、本市の有する資源、財産を生かしながら、あらゆる発展可能性を追求し、函館のまちの再生に向け、市政運営に精魂を傾ける決意であります。
議員の皆様をはじめ、市民の皆様の一層のご理解とご協力をお願い申しあげます。
2 市政に臨む基本姿勢と重点目標
今日、世界経済は、減速した状況が続いており、欧州債務危機やアメリカ経済の今後の動向、新興国の持続的成長に対する不透明感など、依然として多くのリスクを抱えております。
こうしたなかで、国内においては、長引くデフレと円高からの早期脱却を図るための大胆な金融政策や、東日本大震災からの復興をはじめとした防災・減災事業の強化など、さまざまな経済対策が今後実施されることとなり、景気回復への期待感が高まっている一方で、持続的な成長を生み出す戦略、税と社会保障制度の一体改革の実現、国家財政の健全化など、さまざまな課題があります。
本市においても、人口の減少と少子高齢化の進行、経済の低迷、市財政のひっ迫など、依然として厳しい状況となっております。
このような困難な時代においては、市民、団体、行政が力をあわせて、これまでにない発想で、地域の特性を生かしながら、新たな価値を創造し、まちの発展可能性を広げていかなければなりません。
本市には、歴史風土のなかで育まれた豊かな観光資源や特色ある産業集積はもとより、陸・海・空の交通の要衝としての地理的優位性など、数々の資源、財産があります。
これら地域固有の資源、財産を市民の手で磨きあげ、魅力をさらに高めるとともに、来る北海道新幹線の開業を見据えながら、函館らしい美しいまちづくりをはじめとした、地域の振興発展につながる取り組みを進めてまいりたいと考えております。
そのため、私は、さまざまな課題に真正面から向きあい、このまちに暮らす市民一人ひとりの叡智と情熱を結集し、函館の再生に向け、新たな活性化策に積極果敢に挑戦するとともに、政策の一つひとつに着実に道筋をつけ、まちづくりを力強く展開していく決意であります。
こうしたことから、私は、市政の推進にあたって、引き続き、
- 函館再生への挑戦
- 新しい魅力と姿が見えるまちづくり
- 過去にとらわれない清新な市政の実現
- 市民と苦楽を共にする市役所づくり
の4つの考え方を基本とし、さらに重点目標として、
- 函館の経済を再生する
- 函館市の財政を再建する
- 日本一の福祉都市をめざす
- 子どもたちと若者の未来を拓く
- 市民が誇れる美しいまちをつくる
の5つを掲げ、行動する市長として、市民の皆様と力をあわせ、「活気に満ちて、だれもが幸せに暮らせるまち・函館」の実現をめざしてまいりたいと考えております。
以上、私の市政に臨む基本的な考え方について申し述べましたが、次に、主要施策について、ご説明申しあげます。
3 主要政策の推進
私は、市政の推進にあたり、「函館市基本構想」に基づき、次の5項目を基本として取り組んでまいります。
(1) 心豊かな人と文化をはぐくむまち
第1は、「心豊かな人と文化をはぐくむまち」です。
生涯学習については、南茅部公民館の改修工事や函館市公民館の改修に向けた実施設計に着手するとともに、旧市立函館図書館本館の外観を保存し、書庫として整備するほか、まなびっと広場の実施などを通じ、市民の学習機会の充実に努めます。
文化芸術については、一流の音楽家が合宿による集中レッスンを行う「イカール国際ミュージックキャンプ」をはじめとした市民の文化芸術活動を支援し、次代を担う人材の育成に努めます。
また、市民の共有財産である歴史的町並みを後世に継承するため、伝統的建造物の修理に対する支援などを行うとともに、特別史跡五稜郭跡の石垣の調査など、環境整備を進めるほか、国指定史跡の垣ノ島遺跡については、その保存整備に向け、発掘調査に取り組みます。
スポーツ・レクリエーションについては、大規模コンベンションの開催に対応可能な函館アリーナやサッカー・ラグビーなど、多様な屋外競技に利用できる(仮称)日吉多目的グラウンドの整備を推進するほか、千代台公園陸上競技場については、第2種公認競技場として必要な改修を行うなど、市民スポーツの振興と各種大会やスポーツ合宿の誘致拡大をめざします。
青少年の健全育成については、学童保育所を拡充するなど、保育環境の充実に努め、子どもの安全・安心な居場所づくりを進めます。
国際化の推進については、高陽(コヤン)市との姉妹都市交流のほか、在住外国人や留学生と市民の交流事業の実施など、国際理解の醸成や国際感覚を身に付けた人材の育成に努めます。
次に、学校教育については、子どもたちの学力向上に向けた取り組みとして、放課後の自主的な学習を支援する場となるアフタースクールを拡充するほか、学校給食について、函館産の農水産物を活用する回数を増やし、地産地消をさらに進め、地元産品の理解に努めます。
さらに、校舎等の耐震化については、すべての市立小・中学校の耐震診断を実施したことから、その結果を踏まえ、緊急度の高いものから速やかに耐震改修を進めます。
高等教育の充実については、医学部の誘致をめざし、地域として可能な支援策や協力体制などの検討を進めます。
また、国際的な学術研究拠点都市の形成をめざす「函館国際水産・海洋都市構想」については、中核施設となる国際水産・海洋総合研究センターの整備を完了させるとともに、研究機関等の誘致を積極的に進めます。
(2) 共に支えあい健やかに暮らせるまち
第2は、「共に支えあい健やかに暮らせるまち」です。
地域福祉については、「第3次地域福祉計画」を策定し、地域住民や事業者、ボランティアなどが相互に協力し、共に支えあう社会づくりを推進するほか、福祉団体の方々の活動拠点となる会議室などを備えた「福祉ボランティアセンター」の駅前・大門地区での開設について検討を進めます。
児童福祉については、子育て家庭の育児不安等の解消を図るため、保育士などが家庭訪問する「子育て支援隊」の設置に向けた調査を行うほか、保育所や認定こども園の改築に対し助成を行うなど、保育サービスの充実を図ります。
また、子ども・子育て支援の充実を図るため、「子ども・子育て会議」の設置など、国が進める新制度の施行に向けた体制づくりを行うほか、地域全体で子どもたちの成長を支えるため、子どもに関わる施策推進の柱となる「(仮称)子ども条例」の制定に向けた検討を進めます。
高齢者福祉については、日吉4丁目団地跡地に高齢者などが安心して暮らせる「福祉コミュニティエリア」の整備構想の策定に着手します。
また、電車・バスの高齢者交通料金助成について、利便性の向上を図るため、新たに高額カードを導入するほか、駅前・大門地区において、高齢者の交流や買い物時の休憩の場となる「高齢者サロン」の開設について検討を進めます。
さらに、認知症や障がいのある方などを在宅介護している家族を支える「介護支援隊」の設置や、高齢者が介護施設などで行うボランティア活動を支援する「介護支援ボランティアポイント制度」について検討を進めるほか、成年後見制度を円滑に利用できるよう、市民後見人の養成や活動支援などを担う体制の整備を進めます。
介護保険制度については、介護予防の取り組みをより一層推進するとともに、地域包括支援センターの充実や特別養護老人ホームの整備など、多様な介護サービスの推進と円滑な運営に努めます。
障がい者福祉については、障がいのある方などが電車・バスを利用する外出支援事業に新たに介護人専用カードを導入し、利便性の向上を図ります。
低所得者援護対策については、生活を安定させ、自立を促進する就労等意欲喚起プログラム事業を拡充し、自立支援に努めるとともに、生活保護の適正な運営を図るため、認定事務や医療扶助における点検調査の強化などの取り組みを進めます。
次に、市民の健康づくりと医療については、生活習慣の改善による健康寿命の延伸を図るため、「健康はこだて21」の次期計画を策定するほか、道南三次医療圏におけるドクターヘリの導入に向けた取り組みを関係機関と共に進めます。
また、市立病院については、放射線治療装置など医療機器の更新を進めるほか、「病院事業改革プラン」に基づき、引き続き、医師や看護師の確保など各種対策を進め、経営の効率化に努めます。
国民健康保険事業については、保険料収納率の低下などにより、国保財政の厳しさが増大していることから、保険料の徴収強化や口座振替の加入促進など、収納率の向上を図るほか、特定健康診査・特定保健指導の受診促進などにより、医療費の適正化を図り、財政の健全化に努めます。
また、後期高齢者医療制度については、実施主体である広域連合と連携し、円滑な運営を促進します。
生活衛生対策については、市内に流通する東北や北関東など、17都県産の食品のほか、市立小・中学校や公立保育園の給食用食材の放射性物質検査を実施し、食の安全・安心の確保に努めます。
(3) 快適で安らぎのある住み良いまち
第3は、「快適で安らぎのある住み良いまち」です。
市街地の整備については、駅前・大門地区から本町・五稜郭・梁川地区までを対象とした中心市街地について、新たな「中心市街地活性化基本計画」に基づき、市民生活と歴史・文化、観光が融合した回遊性の高いまちづくりを進めます。
駅前・和光ビルを含む街区では、民間による再開発事業を促進し、そのなかで、家族連れや観光客が楽しめる「はこだておもしろ館」や一時保育機能を有し、親子のふれあいや育児に関する情報交換ができる「子育て世代活動支援プラザ」の開設をめざすとともに、駅前市有地の活用については、民間事業者による集客性の高い施設展開を図ります。
また、旧グルメシティ五稜郭店については、整備を実施する特定目的会社に出資し、事業を促進するとともに、そのなかで、広く市民が活用できる多目的スペースのほか、若手起業家や若者が利用できるコワーキングスペースなどを備えた「市民交流プラザ」の開設をめざします。
住環境については、これまでの西部地区での定住促進策を見直し、西部地区および中心市街地において、子育て世代の居住を促進する新たな家賃補助制度として、「ヤングファミリー住まいりんぐ支援事業」を実施するほか、近年増加する市内の空き家等について、適正管理に向けた条例の制定を検討するとともに、老朽危険空き家等の対策を進めます。
生活道路については、舗装・改良をはじめ、私道の市道化や簡易舗装を推進します。
また、中心市街地においては、観光客が安心して歩くことができる環境を創出するため、「歩行者用案内サイン」を設置するとともに、市道ときわ通について、芸術ホール駐車場付近で生じる観光シーズンの渋滞を緩和するため、付加車線を整備します。
公共交通については、効率的で持続可能な公共交通体系の構築に向けた検討を進めるとともに、超低床電車の導入や超低床ノンステップバスの導入支援のほか、デザイン性に優れた市電停留場の整備を行うなど、中心市街地の町並み景観と利便性の向上に努めます。
上水道については、赤川低区浄水場のろ過池を更新するとともに、配水管などの整備を進め、安全な水の確保と安定供給に努めるほか、水力エネルギーを利用した小水力発電設備の導入に向けた検討を進めます。
エネルギーについては、クリーンエネルギーの活用に関する市民意識が高まっていることから、引き続き、住宅用太陽光発電システムの設置に対して支援するとともに、津軽海峡の海流等による海洋再生可能エネルギーの活用に向け、関係機関と連携しながら検討を進めます。
次に、防災対策については、津波避難所等を周知する標識や海沿いの地域での海抜表示シートを設置するとともに、旧市域内の津波浸水区域での防災行政無線の整備などを進め、防災意識の向上や迅速かつ正確な避難情報の伝達手段の充実に努めるほか、防災士の資格取得を促進し、地域の自主防災活動における人材育成を図ります。
また、大規模災害発生時の支援活動の拠点となる災害時多目的船について、その整備や母港としての函館港の活用など、引き続き、国に対する要請活動を進めます。
さらに、災害を未然に防止するため、石川や小田島川などの河川改修や治山事業を進めます。
消防・救急体制については、東消防署南茅部支署を完成させるとともに、東消防署恵山出張所と椴法華出張所の統合庁舎の実施設計に着手するほか、消防ポンプ自動車、高規格救急自動車などの更新や救急救命士の養成などにより、消防・救急体制の充実を図ります。
交通安全・防犯対策については、学校や職場、地域における交通安全教育や交通安全運動を推進するほか、町会等が設置するLED街路灯への優遇助成制度の実施など、地域ぐるみの防犯活動への支援に努め、安全・安心のまちづくりを進めます。
(4) 環境と共生する美しいまち
第4は、「環境と共生する美しいまち」です。
環境保全・廃棄物対策については、地域における温室効果ガス削減の取り組みの一環として、公用車に電気自動車を導入することにより、地球温暖化防止啓発を推進するとともに、循環型社会の形成に向け、「廃棄物処理基本方針」に基づき、ごみの減量化と再資源化に努めます。
下水道については、管きょの整備や処理場の設備更新を推進するとともに、公共用水域の水質保全を図るため、合流式下水道の改善事業を進めるほか、合併処理浄化槽について、引き続き、普及の促進に努めます。
次に、魅力ある景観の形成については、「美しいまちづくり検討会」から報告された本市の歴史や文化、地区特性を踏まえたまちづくりのデザインコンセプトについて、事業化に向けた検討や各施策への反映を行います。
また、特に函館の顔である駅前・大門地区では、中心市街地のトータルデザインも踏まえた駅前通の整備に向け、アーケード撤去の検討を進めるほか、電線類の地中化や歩道の整備を国へ要請します。
さらに、景観形成指定建築物等の保全に努めるほか、都市景観形成地域内にある老朽化した危険な空き家の解体・撤去経費の一部について、引き続き、補助を行います。
水と緑の空間整備については、函館駅前の正面広場に整備した花壇をさらに彩り豊かに充実させるほか、公園への健康遊具の設置を進め、市民の健康志向に対応し、幅広い年代に利用される公園整備を進めます。
(5) 活力にあふれにぎわいのあるまち
第5は、「活力にあふれにぎわいのあるまち」です。
観光・コンベンションについては、さらなる観光振興に向け、新たな「観光基本計画」を策定するほか、北海道新幹線の開業に向け、首都圏や北関東・南東北地域をターゲットにした集中キャンペーンを実施するとともに、中部地区での観光プロモーションや各航空会社とのタイアップによるPR事業を展開し、本市特有の優れた観光資源である「歴史」,「景観」,「食」を生かした函館のブランドイメージの効果的な発信に努めます。
また、海外では、これまでの中国、台湾などの東アジアでの観光プロモーションとともに、東南アジアから来日する観光客の玄関口となっているシンガポールから旅行関係者の招へいを行うなど、観光客誘致をより一層強化します。
さらに、コンベンションの誘致や受入機能の一層の体制強化を図るため、駅前・大門地区にワンストップ窓口機能を持った「観光センター」の開設を検討するとともに、公共交通の乗り換え案内や観光案内等を地図情報で提供する「観光等案内情報端末」を中心市街地内の主要な施設に設置します。
本年の函館港まつりには、青森市のご厚意により、青森ねぶたの伝統行事である「ねぶたの海上運行」が実施されることになっているほか、昨年、多くの皆様のご来場をいただいた「はこだてグルメサーカス」を引き続き開催するなど、観光イベントの充実に努めます。
さらに、北海道新幹線の開業を見据え、青森県側との連携をより一層強化するため、青森市、弘前市、八戸市と新たな組織を立ち上げ、広域観光エリアを形成するとともに、地域の自然環境や産業を生かした魅力ある観光メニューの創出に取り組み、滞在型観光を促進します。
農林業については、酪農家の収益性向上を図るための共同利用施設等の整備を支援するとともに、今後、需要の増加が見込まれ、収益性の高い薬用植物の栽培管理技術を確立し、農業者への普及を図るため、試験栽培を通した研究に取り組みます。
また、農業者の高齢化などに伴う労働力不足を補うため、農作業を請け負うコントラクター組織の設立・運営や、農協が行う集出荷施設の整備などを支援します。
さらに、森林の持つ公益的機能を持続的に発揮していくため、市有林・私有林の間伐などを進めます。
水産業については、漁港や漁場の整備など、漁業生産基盤の拡充を図るとともに、ウニ・アワビなどの資源増大対策に取り組みます。 また、昨年に引き続き、函館産の水産物を学校給食に提供するほか、その活用拡大に向けて取り組みます。
さらに、一次産業については、後継者の育成・就業支援に取り組むほか、農水産物の高付加価値化に生産者自らが取り組む6次産業化を促進するため、需要動向を把握し、新商品の開発や販路の開拓・拡大に向けた支援の充実を図ります。
中小企業の振興については、中心市街地での新規開業者等を対象にチャレンジ資金の融資利率を優遇するほか、中小企業金融円滑化法の終了対策として融資制度を拡充するなど、中小企業振興基本条例の理念に基づき、地元企業の経営安定化や設備投資による生産性の向上等を支援するため、各種融資制度の活用を促進します。
工業については、本市の基幹産業である食品加工業の振興のため、首都圏で開催される大規模な展示商談会への出展などを通じ、加工製品のブランド化や販路拡大に取り組むとともに、新産業の創出や新たなビジネスネットワークの構築をめざし、全国各地の最先端技術を持つ企業などとの交流を促進します。
また、デザイン産業の振興と地場製品のブランド化を促進するため、市内のデザイナーと食品加工企業をマッチングさせるとともに、企業価値を高めるデザイン戦略の導入を支援します。
商業については、「元気いっぱい商店街等支援交付金」制度の有効活用を図るとともに、中心市街地において、空き店舗を活用した新規出店を促すための補助制度を創設するなど、商店街の魅力向上とにぎわいの創出に努めます。
また、首都圏での観光物産館の開設検討や香港で開催される食品展示商談会に参加する企業への支援などにより、地域の特産品を国内外に広く発信し、浸透を図る取り組みを進めます。
さらに、グリーンプラザについて、函館の新しいシンボルとなり、多くの市民や観光客が訪れるにぎわい空間としての整備を検討します。
新産業の創出と企業立地の促進については、「函館国際水産・海洋都市構想」の実現に向け、地域の産学官の連携によるマリンバイオクラスター事業を推進します。
また、「北海道フード・コンプレックス国際戦略総合特区」を活用し、本市の強みである水産・海洋に関する研究開発を進展させることなどにより、付加価値の高い製品の開発や海外市場への販路拡大を図ります。
雇用については、国の制度を活用しながら、経済団体等と連携し、雇用の拡大や地域に求められる人材の育成・確保を図るとともに、市内企業に対して雇用の促進に関する各種支援策を周知するほか、求職者へのきめ細かい就業支援など、雇用創出に向けた取り組みを進めます。
次に、平成27年度開業予定の北海道新幹線については、その効果を最大限に享受できるよう、北海道新幹線新函館開業対策推進機構と共に、さまざまな取り組みを推進するほか、並行在来線として分離される江差線については、第三セクター鉄道の設立に向け、関係自治体と協議しながら、経営計画の策定などの準備を進めます。
また、新函館開業後の現駅とのアクセス列車について、速達性、利便性に優れた列車運行が図られるよう、JR北海道などの関係機関と協議を進めます。
高速道路については、北海道縦貫自動車道の新直轄方式による七飯・大沼公園間をはじめ、函館新外環状道路や函館・江差自動車道の早期整備を促進します。
また、主要な幹線道路については、赤川函館線や文教通などの整備を促進するとともに、日吉中央通や昭和団地通などの整備を進めます。
函館港については、国際水産・海洋総合研究センターを建設している弁天地区の岸壁や北ふ頭地区のフェリーふ頭、幹線臨港道路などの整備を進めるとともに、大型旅客船の誘致やコンテナ貨物の集荷活動を強化するなど、ポートセールスの充実に努めるほか、椴法華港については、護岸の改良を促進します。
また、本年7月末に本市出身の人気ロックバンドGLAYの野外ライブが開催されることになっており、会場となる緑の島については、こうした大規模なイベントにも対応可能な多目的広場として整備します。
函館空港については、誘導路の改良や耐震対策を促進するほか、国内線では、大阪伊丹線が8年ぶりに再開されることとなっておりますが、引き続き、国際・国内路線網の充実と利用拡大に取り組みます。
(6) 主要施策の推進のために
以上、主要施策についてご説明申しあげましたが、その推進にあたっては、次の4点を重要な視点として取り組んでまいります。
1点目は、市民参画によるまちづくりです。
NPO法人に対する寄附金が個人住民税の税額控除の対象となるよう、条例制定に向けた検討を進めるほか、市民生活に関わる地域課題に対し、市民が主体となって行政と取り組む「市民協働モデル事業」の実施など、市民団体の活動を支援し、パートナーシップによるまちづくりを進めます。
また、市民の声を直接お聞きする「市長のタウントーキング」や各種団体との懇談会の開催、積極的な市政情報の提供など、広報広聴の充実に努めます。
2点目は、市民主体のまちづくりです。
町会館の整備支援や瀬田来会館などの改修のほか、市内各地区の特徴を生かし、住民主体によるまちづくりを進める「地域経営会議」の設置について検討を進めます。
また、椴法華地区において、住民組織による集落の維持や活性化に向け取り組む「地域パワーアップ事業」を支援します。
3点目は、時代の変化に即した行財政運営の確立です。
本市の厳しい財政を再建するため、新たに策定した「行財政改革プラン」に基づき、聖域のない行財政改革を強力に推進するとともに、新たな職員給与制度の構築に向けて、第三者委員会を設置し、検討を進めます。
最後に、4点目は、広域行政の推進です。
大間原子力発電所建設については、法的措置も視野に入れながら、引き続き、国に対する無期限凍結を要請するとともに、今後、原子力規制委員会による活断層調査の動向なども見極め、関係する自治体と広域的な連携による取り組みを進めます。
また、北海道新幹線、高速道路網など、各種インフラの整備を促進するとともに、圏域ごとに生活機能等を確保し、定住を促進する「定住自立圏構想」について、関係する自治体と緊密に連携しながら一体となって取り組み、道南全体の振興発展をめざします。
4 むすび
以上、平成25年度の市政執行に臨む私の所信を述べさせていただきました。
私は、これまでに、皆様より寄せられたまちづくりへの期待をしっかりと受け止め、改革と挑戦をスローガンに、函館を再生するという強い思いを持って市政運営に力を注いでまいりました。
本年は、中心市街地活性化や函館アリーナなど、経済再生につながるまちづくりの輪郭が目に見えてくるものと考えております。
一方で、財政再建という重い命題を抱えてのまちづくりは、まだ、長く険しい道のりでありますが、函館に思いを持つ多くの方々が 結集し、さまざまな可能性に取り組むことにより、道は必ず開けるものと信じております。
私は、これからも「函館の明日を変える」という信念のもと、市民の皆様と共に力をあわせて市政運営に臨んでまいります。
市議会ならびに市民の皆様のより一層のご理解とご協力をあらためてお願い申しあげます。
5 各会計予算案の大綱
次に、予算案の大綱につきまして、ご説明申しあげます。
平成25年度予算につきましては、ただ今、申し述べました市政執行の基本方針に基づき、市民の要請や効果・緊急度を考慮のうえ、限られた財源のなかで創意と工夫を凝らし、最大限市民福祉の向上に努めることとし、編成したところであります。
その結果、予算の総額は、
- 一般会計:129,695,000千円
- 特別会計:83,994,868千円
- 企業会計:42,101,815千円
- 合計:255,791,683千円
となった次第であります。
以下、その主な内容について、一般会計から順次ご説明申しあげます。
まず、総務費では、8,475,887千円を計上いたしました。
民生費では、児童福祉費など、あわせて 48,717,043千円を計上いたしました。
衛生費では、清掃費など、あわせて 8,370,519千円を計上いたしました。
労働費では、雇用対策などの経費、188,881千円を計上いたしました。
農林水産費では、790,658千円を計上いたしました。
商工費では、商工業振興、観光振興などの経費、あわせて8,125,477千円を計上いたしました。
次に、土木費では、道路橋梁費など、あわせて 9,336,788千円を計上いたしました。
消防費では、1,105,302千円を計上いたしました。
教育費では、小・中学校費など、あわせて 6,217,473千円を計上いたしました。
諸支出金では、公営企業費など、あわせて 5,220,847千円を計上いたしました。
以上、歳出の主な内容について、ご説明申しあげましたが、次に歳入の主なものについて、ご説明申しあげます。
市税では、過去の実績や、景気の動向などを勘案し、31,344,000千円を計上いたしました。
地方交付税では、国の予算措置などを勘案し、35,052,000千円を計上したほか、使用料及び手数料 3,199,610千円、国庫支出金25,412,433千円、道支出金 5,245,102千円を計上いたしました。
また、繰入金で 1,297,861千円、諸収入で 8,183,856千円を計上するとともに、市債では、建設事業債のほか、臨時財政対策債など、あわせて 14,331,600千円を計上いたしました。
次に、特別会計の主なものについて、ご説明申しあげます。
まず、港湾事業特別会計では、国直轄港湾整備事業費など、あわせて 4,994,000千円を計上いたしました。
国民健康保険事業特別会計では、保険給付費など、35,836,084千円を計上いたしました。
自転車競走事業特別会計では、車券発売代金 14,000,000千円を見込み、14,094,425千円を計上いたしました。
介護保険事業特別会計では、介護サービス給付費など、24,597,303千円を計上いたしました。
後期高齢者医療事業特別会計では、3,852,383千円を計上いたしました。
次に、企業会計の主なものについて、ご説明申しあげます。
まず、水道事業会計では、配水施設事業費など、あわせて7,202,212千円を計上いたしました。
公共下水道事業会計では、管渠事業費など、あわせて10,754,819千円を計上いたしました。
交通事業会計では、軌道改良工事費など、1,858,515千円を計上いたしました。
病院事業会計では、函館、恵山、南茅部の3病院の運営経費など、21,946,092千円を計上いたしました。
以上、平成25年度各会計予算案の主な内容について、その大綱をご説明申しあげました。
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