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平成18年度 建設常任委員会行政調査

公開日 2014年03月27日

更新日 2021年12月14日

建設常任委員会行政調査

平成18年5月9日火曜日から5月11日木曜日

 

岡山市調査

<所見>

「高島団地元気の館整備事業について」
 地方自治体においては、厳しい財政状況の中で押し寄せる高齢化の進展にいかに対応していくかについて頭を悩ませているところである。
 岡山市が行う本事業は、老朽化する市営住宅とそこに住む人の高齢化に対応するため、団地内に高齢者賃貸住宅、高齢者支援施設、地域交流スペースを設け、高齢者が安心して生活し、地域全体で支えていく施設とするため、民間の力を活用する「プロポーザル方式」を採用し、民間からの自由な提案を受け、より効率的な事業運営を目指すとともに財政支出の削減を図ろうというものであった。公営住宅の枠組みを大きく超えた高齢者支援施設を併設するという大胆な発想により、問題解決を図ろうとした意気込みに賛同したい。
 具体的な計画では、単身高齢者向け賃貸住宅、高齢者支援施設、地域交流スペースの3つの複合施設を建設し、管理業務については、市が施設を買い取り管理を行う部分と、民間事業者が直接施設を管理運営する部分とに分け、また、共用部分については市が指定管理者制度を導入し、管理を委託することとしており、事業期間は30年としている。
 しかしながら、公募の結果、1社の応募があったが最終的に辞退し、事業そのものに着手できなかったことが誠に残念である。
 これにはさまざまな要因が考えられるが、岡山市では現在分析中とのことであった。
 調査の内容から推測すれば、事業者(民間)のメリットが見えにくく、公営住宅に比べて高い家賃設定などが事業継続に対する将来不安を持たせ、さらに、介護保険の充実と終の棲家に対する明確な回答が入居者になされていない点などが原因として思慮される。
 具体的には市が買い取る部分の価格設定や、30年という事業期間の長さが民間事業者に受け入れられなかったのではないだろうか。
 しかし、モデル事業としての挑戦であり、発想そのものは老朽化した市営住宅の建て替えと入居している高齢者対策を一挙に解決できるという点で、大変優れているものであることから、修正を重ねて何とか成功にこぎつけてほしいものだ。
 今後も情報を収集し、当市の参考としたい。

 


広島市調査

<所見>

「魅力ある風景づくり基本計画について」
 太田川河口デルタに開けた広島市は、かつての廃墟とは無縁の緑あふれる美しい街であった。
 このまちを調査して受けた印象は、まさに都市計画は100年の計で行わなければならないことと、まちを美しくしたいとの市民の熱意と理解なしには美しい街は実現しないことである。
 広島市では、景観協議制度を導入し、企業や事業者に建物の建築や屋外広告物の設置の際に届け出をしてもらい、事前に協議を行うこととしている。特に広島市を代表する「平和大通り」沿道と「原爆ドーム及び平和記念公園」周辺については、特段の配慮を求めている。
 具体的には、平和大通り沿道に面するエリアでは、建築物や屋外広告物のデザイン・色・素材などについて協議、原爆ドーム及び平和記念公園周辺では、都市景観 の形成によって及ぼす全ての行為を対象とし、特に平和記念公園から見える部分については、公園側に看板を設置しないように求めている。
 これらの取り組みに対し、全てではないにしても多くの民間事業者が協力的だということは、広島市のこれまでの長きにわたる景観形成に対する考え方が浸透している結果だと考える。
 21世紀に向けた「風景づくりマスタープラン」の5つの柱からなる概念は賞賛に値するもので、この精神と行動は世界の観光都市を標榜する函館にも必要不可欠である。
 広島市は非常に緑が多いが、人工物である建物や看板がその緑が形成する風景を損なうことなくとけ込んでいる様に感じるのは、景観形成に対する取り組みの賜であろう。
 函館を訪れる人々は、広大で緑豊かな北海道をイメージしており、美しい夜景に加えて美しいまち函館であるための努力を市民一体となって取り組んでいかなければならないとの思いを一層強くした。

 
 
 
 
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