公開日 2014年03月27日
更新日 2021年12月14日
経済建設常任委員会行政調査
平成21年11月11日水曜日から11月13日金曜日
11月12日 気仙沼市調査
<所見>
○気仙沼市の現況
本年9月1日に本吉町が編入し、人口75,000人となる。太平洋に面した沿岸域は、半島や複雑な入江など変化に富んだリアス式海岸を形成し、天然の良港となっている。水揚金額で280億円を数え、数量、金額とも全国7位(平成19年度)を記録し、遠洋沖合漁業における日本屈指の水産都市として発展してきた。(なお、函館は数量で17位、金額は約200億円で13位。)
かつお、まぐろ、さんま、かじき、沿岸漁業ではわかめ、かき(養殖)、ほたて(養殖)が中心。水産加工品として、フカヒレの生産量は日本一。
産業別就業人口は一次産業が9.8%、二次産業27.0%、三次産業が63.1%、漁家は1,000戸を超える。
○「気仙沼市魚食健康都市宣言」
市内の団体「気仙沼21」から56団体の賛同のもと「魚食と健康についてアピールし、水産業に対する理解を盛り上げるため」魚食健康都市宣言を求める陳情を受け、昭和61年9月24日に制定。また、この宣言に基づき市や漁協、商工会議所、観光コンベンション協会、ホテル旅館関係の団体等で構成される「気仙沼市魚食健康都市推進協議会」を立ち上げた。
○市民意識の啓発高揚
魚食普及買物袋(レジ袋)の製作、配布。各種イベントや関係団体で配布している。現在いわゆる「レジ袋」に代わる方法を検討中。
○調理講習会の開催
気仙沼市では昨年の実績で小学校13回(9校)、中学校23回(7校)、高校31回(2校)開催。(函館市の場合は、高校において昨年は8回開催)
気仙沼市では、学校の調理実習や公民館・自治会等が主催する魚料理教室、健康教室などに対して、水産物に限り原材料費を助成している。今年度予算では原材料助成費のうち、他事業への助成として60万円弱の金額を計上している。
○まとめ
平成20年度の水産白書によると平成18年に魚介類の摂取量が肉類についに逆転されたと述べられているように、魚離れ、魚食離れは全国的に進行している。その傾向は、気仙沼市においても同様であり、魚食普及の取り組みについてもレシピ集の作成や各種イベントを活用した普及、料理教室などについては函館と同様の面も見られる。
また、学校給食への魚食の導入の難しさなど抱える問題も共有している点がある。
しかし、昭和61年に全国に先駆けて「魚食健康都市宣言」を議決し、20年以上取り組みを継続している気仙沼市の先見性と持続力には目を見張るものがある。
さらに、「魚食」運動を継続することで、「魚食」だけにとどまらず食を通して自然や暮らしを考え、自分たちが住む地域の魅力を発見し、地域の資源を活用した街づくりを目指す「気仙沼スローフード」都市宣言(平成18年9月27日議決)につながっている。
地域の持っている「漁業」「水産物」「水産加工品」といった資源に徹底的にこだわり、運動を継続する中で、街づくりを展開していく姿勢は当市においても見習う必要がある。
11月13日 宮城県調査
<所見>
○「食材王国みやぎ地産地消の日」
平成19年から毎月第1金曜日、土曜日、日曜日を「地産地消の日」に設定。設定日にあわせ1ポスター、のぼりなどの掲示、2販売店における県産品の販売促進、飲食店などでの県産食材メニューの提供などの事業を実施。その他「ワンコイン運動」の推奨:家族4人で今までより毎月500円多く、県産品を購入することを推奨。この運動を全県的に取り組むと農林水産物の県内自給率が1%上昇するとの試算がある。
○「食材王国みやぎ地産地消推進店」登録事業
登録の要件として1県産食材をメインとした料理を年間通して提供すること、2その料理について使用する食材の産地など(市町村名まで)をメニューで提示するなど、利用者にその情報を提供すること、が挙げられている。登録者にはけやき材による登録表示板を交付する。今年の3月に事業がスタートし、現在122店舗(飲食店104、ホテルなど18)が登録している。
○「食材王国みやぎ総合展開事業について」
この事業では1個別産品の育成、2「食材王国みやぎ」のイメージ展開、イメージアップを目指している。
・「みやぎ食材出会いの旅」
料理人やバイヤーを生産現場に招聘し、生産者等と直接対話することで、販路拡大をはかる。
・「みやぎの食材」豊島区重点浸透プロジェクト
宮城県は豊島区内に平成17年10月アンテナショップを開設し、それに伴い豊島区との間で「相互交流宣言」を行った。豊島区内の商店会などと連携し、「宮城フェア」を開催。
○「みやぎの水産物ブランド強化事業」
1 トップブランド強化型
銀鮭は全国第一の生産量を誇るが、市場評価や消費者認知度が低い。そこで宮城県を代表するトップブランドとして全国発信を目指す。ブランド名を「みやぎのぎんざけ」に統一。生産履歴の明示や、品質・サイズなどのブランド基準を策定中。
2 トップブランド形成型
気仙沼地域で水揚げされる「生鮮品」や「加工品」についてブランドの創出・発信し、認知度向上及び消費拡大を図る。メカジキ、もどりカツオ、サンマを対象に事業展開。
○まとめ
県担当者がブランドに関して「フェアに際して、有名レストランに対しても、食材を無償で提供することはしない」あるいは、ブランド力を高めることにより、地元で消費できなくなるのでは、との質問に対し「ブランド化では事業者がより多くの利益を得ることが重要である。
東京でいかに高く販売することができるかが、重要。」との回答があった。さらに「県内で加工する場合、原材料は必ずしも地元産品にこだわらない」と述べたことが印象に残っている。
自県産品の品質に対する自信の現れであり、ブランド化に対する県の考え方、スタンスが明確に伝わった。事業の内容に関しては、実施する主体が県と市という違いがあるが、ブランドに対する考え方やスタンスについては当市においても参考にしていきたい。
また、「地産地消の日」や「地産地消推進店」の取り組みについては、あまり経費もかからないとのことで、当市においても実施は可能ではないかと感じた。
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