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平成22年度 民生常任委員会行政調査

公開日 2014年03月27日

更新日 2021年12月14日

民生常任委員会行政調査

平成22年5月17日月曜日から5月19日水曜日

 

5月17日 調布市調査

<所見>

 調布市は当市と同様、介護保険に関する地域包括支援センターを直営ではなく、委託により運営している。人口は当市より少なく約22万人であり、65歳以上の老年人口は18.8%と当市の27.0%より低い状況である。生活支援見守りネットワーク事業は、平成16年より後見センターの設立について検討していく中で構築された。高齢者を見張るのではなく、何気なく見守る事を大切にし、モットーを「ソフトな見守り・ゆるやかな働きかけ」としていることが大変良いと感じた。市役所の高齢者支援室が基幹型包括センターの役割を果たしており、地域の協力者は心配だと思った人がいたら地域包括支援センターに通報すれば、そこが動いて確認をし、通報者にはその結果を知らせる(ただし個人情報は提供しない)流れになっている。PRも進み通報は増加しているとのこと、また民生児童委員からは相談するところがはっきりして良いと評判はいいとのこと、21年度の通報件数は延べ468件で、うち緊急を要したのが18件、虐待5件、死亡1件であった。
 この事業のPRは延べ2,068件で子育て世代も気づいてくれるのではないかとの考えから、児童館や子育てサロンなどにも出向いてPRをしている。質問への回答では、PRが進むほど緊急でないものも含めさまざまな通報があるが、どんどんきてほしいとのことであった。
 また、単に高齢者だけでなく、知的障がいの方に関する相談が多いことからこのネットワークを障がい者の見守りネットワークに拡充していく動きもあるとのことであった。市内全域で行う見守りネットワークには多くの協力者等が必要であるが、市内をまず9地域に分割して9つの地域包括センターの担当地区に符合させた各地域のネットワークがあり、これをAゾーンとし、このAゾーンの集合体として9つの地域包括センターと市内全域を統括する関係団体との大きなネットワークをBゾーンとしている。この関係団体と金融機関や配食サービス事業者、社会福祉協議会などと協定を結び、個人情報にも配慮して実施されるなど、大変参考になり今後の当市の施策にも生かしていきたいと思った。
 また、地域包括支援センターについては、人口は当市より少ないが、1中学校区に1カ所の考え方で、現在9カ所で今後は最終10カ所にして行く予定とのことであった。すべて委託しており、委託先は株式会社、財団法人、社会福祉法人など多岐で、年間1カ所約2千万円で委託していた。基幹型包括支援センターの役割を担っている行政には保健師3名、事務職員3名が配置されており、地域の9カ所の包括支援センターのレベルを一定に保持するため日常的に連携をとり、職員へのさまざまな研修会を実施していた。職員交換研修ということで、他の包括支援センターに1日見学実習も行っていた。レベルを一定に保つ事は、サービスを享受する市民にとって差がなく非常に重要なことである。委託をしても民間任せではなく、常に市民の側に立って行う行政の姿はすばらしいと思った。
 また、質疑の中で見守りネットワーク事業と緊急通報連絡システムの関係を聞いたところ、80歳以上の単身高齢者はすべて緊急通報システムを利用できるとのことであった。さらに一般会計からも委託料を出して通常支援センター3人のところ、みまもっと担当1人を加配し4人で実施している。予算も手厚く事業のために確保しており、首長の考え方はやはり大きいと思った。事業もさることながら、そこに至る行政の考え方や取り組む姿勢もわかり、実際に行って聞くことによって得られたものは大きく、ホームページ等の掲載情報だけではわからない部分であったと思うし、大いに参考になった。当市にもしっかり生かすため、改善を提言し、市民にとってより安心して暮らしやすいまちを目指していきたいと考える。

 


5月18日 新宿区調査

<所見>

 代表であります牧野史子氏は、阪神大震災の際ボランティア活動に取り組まれた際、被災者には精神的な支援が必要と強く感じ、介護においても同様の支援が必要との思いから、2001年11月、NPO法人アラジンを立ち上げ、家族介護者の精神的支援、要介護者と介護者相互の精神的な自立を図る環境づくりのために、設立から10年間活動されている。事業内容としては、1家族介護者支援事業、2人材養成事業、3地域支援事業、4ネットワーク推進事業、5研修・講演会(フォーラムの開催)等の事業、6調査研究事業、7その他目的を達成するための事業を掲げ、自治体の受託事業・協働事業、その他に自主事業として介護家族の孤立を防ぐ地域づくりに取り組んでおられる。

  • 家族介護者支援事業では、介護者に寄り添って話を聞き、情報を発信するために電話相談事業(心のオアシス)と訪問相談事業(ケアフレンド派遣)の実施。 
  • 人材養成事業では、介護者に寄り添う人材を育成するために養成講座、フォローアップ研修会の開催。
  • 地域支援事業では、介護者が集う場所づくりのために、交流サロンの開催、介護者の会の立ち上げの支援。
  • ネットワーク推進事業では、介護者のリーダーの情報交換と研修のため、「介護者の会ネットワーク会議」「研修会」「市民発!介護なんでも文化祭」などの開催。
  • 研修講演会事業では介護者の問題を社会に啓発するため、フォーラムを開催。
  • 調査研究事業では、「介護者アンケート」の実施。

 その他の事業では、高齢者の孤立を防ぐ地域づくりのために、孤独死防止対策事業(港区、新宿区)やゆうゆう館の運営(杉並区)、地域資源マップづくり事業 (杉並区)などを行政からの受託、協働事業として取り組み、自主事業としては、介護家族の孤立を防ぐ地域づくりのために、介護家族のための外出支援事業にも取り組まれております。
 2010年6月には、支える人を支えるためのケアラ−ズ連盟を発足させるまでに至り、すばらしい活動を広げているものである。行政としても、介護保険制度の枠を超えた活動に対し、何らかの支援が必要ではないかと考えさせられた。

 
 
 
 
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