公開日 2014年03月27日
更新日 2021年12月14日
民生常任委員会行政調査
平成23年11月16日水曜日から11月18日金曜日
11月16日 市川市調査
<所見>
市川市役所にて市地域福祉支援課より説明を受け、公民館に設置されたサロンを実際に見学しコミュニティワーカーから直接話を聞く機会もあった。参加した委員からは活発に質問も出された。
(1)市川市の概要
市川市は、大きく3地区から構成され北部は農業地域(桑畑)、中部は屋敷町(住宅街)、南部(行徳地区)は工業地帯として発展した。行徳地区は、地下鉄東西線が乗り入れ東京都心への利便性が高く、埋立地にマンションが建設され、転出入が激しく、若い年齢層の住民と、外国籍を有する住民が多い地区となってい る。江戸川を境に東京都と接し東京のベッドタウンとして発展したため市川市民は都民感覚を持ち、市川都民、千葉都民と呼ばれる。市民のニーズも多様化しより複雑化している。人口は47万人で県内4番目、高齢化率は16.9%と千葉県下では3番目に低く、面積は当市の10分の1以下である。
(2)市川市の地域福祉コーディネーターの特徴
市川市は、地域福祉コーディネーターをコミュニティワーカーと名付け、地域住民が安心して暮らしていけるよう支えあい・助け合い活動を一緒に考え、応援していくことを任務としている。
市川市では「市川市地域福祉計画」に基づき、市内の福祉コミュニティづくりを支援する専門職として、北部、中部、南部の各基幹福祉圏に各1名配置し、市川市が市川社会福祉協議会に業務委託している。
(3)コミュニティワーカーの役割
地域住民が主体で行う地域包括ケアシステムを側面から支援し、活性化させる役割として
1サロン活動の充実(サロン活動づくりの相談支援、サロン活動の支援
2さまざまな地域活動の支援および活性化(地域ケアシステムの充実、地域の結び付き「ネットワークづくり」の相談支援、地域情報の収集、提供
3関係機関等との協働・橋渡し(地域と、行政、社会福祉協議会など、その他関係機関との連絡調整)
を地域福祉計画で位置づけている。平成23年度からは地域包括支援センターに地域コーディネーターを設置しフォーマルな部分を担当し、コミュニティワーカーはインフォーマルな部分を担い住み分けし、互いに連携を図ってい る。
(4)広報活動
質問への回答の中で、市民への広報として、宣伝紙「こんにちはコミュニティワーカーです」を作成し地域に配布している。
(5)サロン活動
市川市社会福祉協議会は、誰もが気軽に集える場、地域住民の交流や息抜きする場としてふれあい・いきいきサロンを市内82か所に設置している。社協のマスコットキャラクターの名前「てるぼ」にちなみ「てるぼサロン」と名付けられている。サロンは目標100か所に対して現在82か所で、閉じこもりの防止と地域の茶の間としての役割を期待されている。各拠点には、パソコンを配置しインターネットが利用可能な環境を整備している。
(6)コミュニティワーカーの処遇と専門性
処遇については、年間1,100万円の予算を計上している。これは厚生労働省の賃金構造基本統計調査の男性介護支援専門員(ケアマネジャー)の1日平均単価 を基準に算出し内容は3名分の人件費となっている。また、3~5年継続してコミュニティワーカーとして働けることを採用条件としている。3名の所属は社協、週4回、コミュニティワーカーとして働いている。3名とも社会福祉士資格を有し年齢は30歳代から40歳代となっている。数値的な評価については、昨年度から、アクションシートを活用している。
(7)課題
場の確保と、活動の担い手不足の確保があり、担い手不足のために、一部の人の負担が増していること。自治会の加入率低下と地域のつながりが希薄している中で孤独死対策など、地域での見守りネットワークも課題となっていることが述べられた。コミュニティワーカーは、年々手ごたえを感じてきているとの感想を述べているが、約600名の福祉員に対して行ったアンケート調査では、コミュニティワーカーがいることにより活発になったとの回答が6割ある反面、活発になっていないとの回答も4割あり、まだ課題が残されている。質問への回答として、コミュニティワーカーは、黒子的な存在で費用対効果は見えずらく、予算要求上苦労している。現在、そのあり方と人数が議論されているが将来14地区社協の職員をコミュニティワーカーとして育成するのが望ましいと考えている。
(8)結びに
調査を終えて、当市で地域福祉コーディネーターを設置する上で市と社協の連携が非常に重要であり、当市でも市、議会として社会福祉協議会との議論の場が必要と考えさせられた。市川市では市の計画と社協の計画は開始年度が異なっていたために、種々問題があったが、調整を図り、現在市と社協の計画を同時に開始するようになった。社協の計画にもコミュニティワーカーを位置づけている。当市においてもこのような課題があるのか調査が必要と考えた。
11月17日 鳥取市調査
<所見>
鳥取市の人口は、196,244人(平成23年4月1日)、内65歳以上は44,796人(22.8%)で当市に比べるとやや低い。鳥取市における福祉コーディネーター事業は、支援を必要としている人と、福祉活動をしている人との調整役となる人材を地域に配置し、団体や個人の福祉活動の連携を図りながら、福祉のネットワーク形成を推進していくことを目的とし併せてボランティア活動を通し、身近な地域での支え合いの輪を広げ、誰もが安心して住みよい地域を目指していく事とし、実施している。
平成17年度全42地区のうち2地区からスタートし、その後8地区が実施となり拡充している。具体的には、コーディネーターは各地区の公民館などに活動の拠点を置き、地域住民の相談窓口・支え合いマップの作成(地域での日常の人の動きを地図に図示し、課題を発見したり、課題の解決方法を探すためのもの)・介護予防のため各地域で行われているサロンの育成支援等にボランティアであたっている。
平成22年にはボランティアをされる人が、「となり組福祉員」として1,600名の登録がなされるほど定着してきている。
また、地域通貨をつくった地区では、「お願いするのが当たり前」、「してあげるのが当たり前」という言葉が生まれほどになっている。
実施後の成果として、
・高齢者の引きこもり防止が図られつつある。
・地域内での「支え合い」、「助け合い」の活性化につながった。
・民生委員、自治会、公民館の連携が良くなった。
課題として、
・支え合いマップ作りの個人情報との関わり方
・活動の中心がコーディネーターになってしまう。
・地域によっては、福祉コーディネーターの存在のアピールが必要。
・自助・公助の理解がまだ十分でない。
高齢社会白書によると、誰とも会話をしない、近所付き合いをしない、困った時に頼る人がいないといった社会から孤立した状況が長く続くと、生きがいの喪失につながる。
孤立化が深刻な問題となってきている中、支え合うシステム作りは大変参考になった。当市の福祉コーディネーター事業の推進にも生かしていけるものと考える。
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