公開日 2014年03月27日
更新日 2021年12月14日
総務常任委員会行政調査
平成23年10月31日月曜日から11月2日水曜日
10月31日 磐田市調査
<所見>
磐田市は、過去の地震被害の経験から、また浜岡原発の30キロ圏内に位置しているという状況から地域住民の防災意識は非常に高いものがある。そのような地域性から自主防災会の組織率は100%となっており、地域の防災訓練や応急救護講習会などを活発に行っている。東日本大震災後、磐田市では速やかに海岸地域で津波避難訓練を行っている。また、その訓練を受けて、市長が出席の上津波に関する懇談会も開催し、意見交換等を行ったとのことである。当市での自主防災組織の組織率は49.2%であり、まずは組織率の向上が喫緊の課題と思われる。
磐田市では、災害時の指定避難所への指示や避難者情報などを一元的に管理する地域防災体制(総合防災情報システム)が構築されている。要援護者情報については、地域の自主防災会、自治会、民生委員がそれぞれ連携しながら、把握・管理しており、今後、総合防災情報システムにも反映していきたいとのことであった。このシステムにより、災害時に自主防災会と行政、関係機関が連携して住民の安否確認を行ったり、市民への被害情報の提供や要員・救援物資の的確な供給などに対応できるということであった。ただ、このシステムは総務省のモデル事業として多額の費用をかけ3カ年をかけてつくりあげたものであり、そのまま当市で参考にできるというものではないが、災害時の情報管理のあり方や避難者情報の共有など今後の防災対策を考える上で非常に参考になるものであった。
また、今回の調査では自治会連合会の会長さんも参加して御発言をいただき、地域防災にかかわる市民側の声も聞かせていただいた。自治会長さんは、行政には言いたいことをなんでも言わせていただいているという内容のことをおっしゃっていた。行政と自主防災会が意見交換、会議を行う機会も多いようである。磐田市では自主防災会が積極的に市民の意識啓発を行ったり、総合訓練で主体的にその役割を果たすなど、非常に市民側の意識が高いと感じた。このことは、地震災害が多かったというこの地域の特性ももちろんあると考えるが、行政と市民が一体となって防災に取り組んできた成果でもあると思われる。当市においても、地域防災計画の見直しはもとより自主防災組織の組織率の向上を図り、自主防災組織が活発に活動できる環境を整えることが急務であると感じた。
11月1日 浜松市調査
<所見>
浜松アリーナは、平成2年に122億円の建設費用をかけて建設されたコンベンション機能を有するスポーツ施設である。体育関連の機能以外に付加した機能としては、メインアリーナの調光装置、音響装置、映像装置などがある。コンサートなどのイベントに対応するため当時の最高水準の設備を整備したとのことであるが、機材自体が高額なため、改修、メンテナンスにも多額の費用がかかるようである。音響設備は更新していないが、コンサートを行うときの機材はすべて持ち込みで行っているとのことである。こうした実例を踏まえると機材の整備に当たっては、想定されるコンベンションの種類や頻度から慎重に必要な整備レベルを検討する必要があると感じた。
駐車場については、浜松駅にほど近い場所にある浜松アリーナにおいても台数確保が課題となっているとのことであった。以前は空き地があり、ある程度対応できていたということであったが、現在は利用できるような土地は近隣になく、地上・地下あわせて659台分の駐車スペースで、バスの駐車場は3台分しかないとのことであった。大きなイベントの際などは、ローピングをして必要なスペースを確保している。また、一般駐車場も不足しており、バス会社に臨時バスを依頼し浜松駅からピストン輸送している。函館アリーナ整備基本計画にかかわる総務常任委員会での議論でも駐車場の不足が指摘されているが、敷地、工期などの制約の中で可能な限り駐車台数を確保した上で公共交通機関からのバスによるピストン輸送等効率的な来場者の輸送措置を検討していく必要がある。
アリーナの管理・運営は、開設以来施設管理を行っている財団法人浜松市体育協会が行っており、現在は指定管理者制である。指定管理者からは、老朽化している設備の改修を求められているようであるが、市の財政運営も厳しいおり、なかなか望まれる改修ができていないようである。施設整備に当たっては、イニシャルコストはもちろん重要であるが、将来的な施設の管理・運営、維持・補修を念頭に入れた検討が必要である。
11月2日 沼津市調査
<所見>
沼津市は、先に調査を行った磐田市と同様に東海地震の津波対応を求められている都市であり、住民の防災意識が高い地域であると言える。自主防災組織の組織率も99パーセントと高く、市民防災意識のさらなる向上対策やハード整備など種々の事業を行っていた。
津波避難訓練や総合防災訓練は、毎年度実施地区を変えて行うなど工夫を凝らしている。内容としては、市内全域の各避難地等で震度6以上の東海地震が発生し、津波が襲来する想定で訓練を行ったり、また今年度は夜間に資機材がきちんと使えるか、暗い中どの程度逃げられるかといった実践的な訓練を行うとのことであった。当市において防災訓練をいかに効果的に行うかは大きな課題であり、沼津市の実践的な訓練は非常に参考になるものであった。
また、沼津市では、地震防災啓発事業として小学校4、5年生を対象にロープや消火器の使い方を学ぶ防災ウォークラリーを開催し、児童の啓発を行っている。その他啓発事業として、市職員が地域に出向いて出前講座(自主防災会の研修会)などを行っている。出前講座は、現時点で既に昨年の開催数の倍以上の70回を行っているとのことである。東日本大震災後、市民の防災意識は非常に高まっているが、この機にさらなる市民意識の啓発や地域における防災マニュアルの策定など各般の取り組みを進めるべきであると考える。
沼津市では、現在、津波避難計画の策定を進めているが、これは地区ごとに避難経路や訓練の仕方などについて市が案をつくり、その案を各地区に提示し、各地区の住民にも考えてもらいながら、つくりあげていくというものである。地震・津波防災マニュアルは、現行のマニュアルが危険地域や津波の対応など細かく掲載したもので、非常にページ数が多いという反省を踏まえ、簡素化して数ページにまとめあげて、実際に手にとってもらいやすいものにする予定とのことであった。防災意識の啓発は、まずは住民に関心を持ってもらうことが重要である。そうした意味から、地域ごとの津波避難計画や手に取りやすい防災マニュアルは理にかなっているものと思われ、今後の議論の参考としたい。
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