公開日 2014年03月27日
更新日 2021年12月14日
経済建設常任委員会行政調査
平成24年7月23日月曜日から7月25日水曜日
7月23日 高岡市調査
<所見>
高岡市役所にて、市生活環境部地域安全課から公共交通機関、特に路面電車・万葉線について、経緯や現状、今後の課題等について説明を受け、調査をおこなった。
高岡市と射水市新湊地区を結ぶ路面電車・万葉線は、私鉄・加越能鉄道によって運行が続けられ、昭和47年には4,753,018人もの利用者があり、にぎわいを見せていたが、マイカーの普及や厳しい経済状況などにより年々利用者が減少し、平成13年には、988,431人と100万人を割り込むという危機的状況に陥ったことから、事業者である加越能鉄道は、万葉線の廃止、バス代替の意向を示してきた。
しかしながら、万葉線は通勤・通学等沿線住 民の交通手段であることに加え、さまざまなまちづくり対策に活用できることなどの存在意義があることから、両市では、万葉線は重要な生活路線であり、かつ、魅力あるまちづくりに活用すべき都市施設であると考え、第三セクターでの存続という方針を打ち出し、平成13年3月に万葉線株式会社が創立された。14年4月には鉄軌道事業資産を加越能鉄道株式会社から買収して営業運行を開始し、7年ぶりに利用者数が増加に転じて、1,002,660人という回復を見せた。この要因は、万葉線が存続したことによるアナウンス効果、イベント等によるものと考えられる。その後、平成21年までLRV車両を6編成導入するなどの対策を行い、利用者も右肩上がりの状況で、平成23年の利用者は1,229,925人となっている。
今後の利用促進や活性化を図るため、平成22年には万葉線活性化総合連携計画を策定し、設備の改修・改善や、沿線住民への啓発、体験ツアー等の各種ソフト事業の継続的な実施に加え、新たにパークアンドライド自転車駐輪場の整備や夜間帯の増便を行うことで、利用者のさらなる利便性の向上、公共交通の利用促進や万葉線の活性化を図っている。また、公共交通活性化のための取り組みとして、一斉ノーマイカーデー運動を4月と10月の年2回実施しており、市内35事業所が参加し、成績のランキングをつけている。市職員については、毎週水曜日にノーマイカーデーを実施している。また、路線バスやタクシーなどの十分な輸送サービスが確保できない交通空白地においては、地域バスの運行も開始している。
今後の課題としては、平成26年度開業予定の新幹線新駅の整備が進められているが、現高岡駅から1.5キロメートルほぼ南に位置するため、その二次交通をどのように利便性よく整備ができるかが挙げられる。
人口減少や少子高齢化という公共交通にとっては大変厳しい状況の中で、路面電車の利用者数が増加傾向を続けている高岡市の現状や課題、対策等について直接説明を受けたことは、本市の今後の事業展開を検討するために非常に参考となった。
7月24日 富山市調査
<所見>
富山市役所にて、市都市整備部路面電車推進室および同部の交通政策課交通計画係より、富山ライトレール、市内電車環状線化事業、そしてLRTネットワークの形成を含む公共交通の活性化方策について説明を受けた後、実際に路面電車に乗車し、現地視察を行った。
富山市が目指しているコンパクトなまちづくりでは、鉄軌道をはじめとする公共交通を活性化させるとともに、その沿線に居住、商業、業務、文化等の諸機能を集積させ、いわゆるお団子と串の都市構造を実現している。その中核となっているのが、市内電車環状線および富山ライトレールである。
現地視察の際に、まず電停で目に飛び込んできたのは、設置されている可動式の椅子であった。椅子があるだけでも利用者にとっては利便性がよいのに加え、椅子の上部には名前やメッセージが刻んであるプレートがつけられていた。これは、市民や企業から一基5万円の記念寄付を募って設置したものであり、市民参加によるまちづくりが感じられた。その後、函館では見られない近代的なイメージのLRT車両に乗車し、モノレールのようなデザイン性のある、路面電車のイメージと大きく異なる次世代型交通システムを体感した。
中心市街地の活性化と回遊性強化を目的に、上下分離方式を採用し、既存の市内電車を一部延伸して環状線化した富山地方鉄道市内線に乗車し、中心市街地の大手モール付近を散策したところ、広場では小さな子どもたちが楽しそうに遊んでいた。その後、再びLRT車両に乗車して富山駅前まで回遊し、地下道を移動して富山ライトレールに乗車した。説明によると、平成26年度末の開業を予定している北陸新幹線に向け、富山駅付近連続立体交差事業や駅前広場の整備などが進められており、高架化工事完了後には、高架下での富山ライトレールと市内電車の接続を行う予定とのことである。
富山ライトレールでの移動中に車内でまちなみを観察していると、古いまちなみの中に、建て替えたとみられる新築住宅や集合住宅も見受けられた。市が行っている公共交通沿線居住推進事業の効果が出ているものと思われる。
岩瀬地区は、富山ライトレールの終点地点であり、江戸期から明治にかけて日本海を行き来した北前船の寄港地として繁栄し、今なお歴史的建造物が数多く残る観光、文化を集積させた地区である。こうしたまちなみを現地視察する中で、富山市が目指しているお団子と串の都市構造を実感することができた。
両市の調査を通じて感じたことは、公共交通の活性化については、コンパクトなまちづくりのツールの一環として捉え、経営のよしあしの観点では判断できないという理念に基づき事業を展開しているということである。
高岡市では、特段高齢者に対しての特例運賃等は行っておらず、一方、富山市では、満65歳以上の高齢者を対象に、中心市街地から出かける場合、市内全域どこへ出かけてもバス料金を100円に割り引きする事業を行い、おでかけ定期券というものを発行している。本市においても高齢者運賃に対する助成を行っているが、それと絡めて中心市街地の活性化につながる施策を検討する必要があると感じられた。
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