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平成25年度 総務常任委員会行政調査

公開日 2014年03月27日

更新日 2021年12月14日

総務常任委員会行政調査

平成25年10月29日火曜日から10月31日木曜日

 

10月29日 秦野市調査

<所見>

 秦野市では、昭和40年代から50年代にかけ、東京、横浜のベットタウンとして人口が急増したため、学校を中心としたハコモノと呼ばれる公共施設の多くが、このころに一斉に建設された。
 その結果、平成20年の段階で築30年以上の建物が34%となっており、5年後の平成30年には築30年以上の建物が77%になると見込まれている。全てのハコモノを維持しようとすると、小・中学校の児童・生徒数の減少に合わせて施設を縮小したとしても、今後40年間で大規模改修と更新費用に750億円以上が必要となり、特に、ピークとなる平成48年以降の10年間では一般会計の8%程度となる年平均36億円もの事業費が必要になるとのことであった。
 また、ハコモノの老朽化に合わせるように、高齢化と人口減少が進み、平成46年には、総人口で1万人が減少、生産年齢人口は2万人の減少。生産年齢人口は昭和60年ごろとほぼ同じ数となる見込みであるが、その当時のハコモノの面積は現在の3分の2という状態であった。
 このため、秦野市では、公共施設を量、経費、利用状況の3つの視点でとらえ、現状の把握と、分析、課題を抽出するために公共施設白書を作成し、庁内の共通認識と市民への情報発信を行っている。
 公共施設白書により明らかになった現状と課題に基づき、専門家8名からなる検討委員会を設置し、公共施設の再配置に関する方針と計画の検討を開始した。その結果、1.新しいハコモノは建設しない、2.現在のハコモノは優先順位をつけて圧縮、3.優先度の低いハコモノは統廃合の対象とし、跡地は賃貸、売却、4.ハコモノは一元的にマネジメントを行うの4つの基本方針を決定するとともに、第1期基本計画(平成23年~平成27年)を定め、計画期間内に1,340平方メートルのハコモノの面積と57億円の管理運営費用の削減をするとのことであった。
 第1期基本計画の期間内では、1.公民館と中学校体育館などを複合化した施設を建設、2.保健福祉センター内に郵便局を誘致し、証明書発行業務を行う、3.児童館等の小規模施設を地域に移譲するとともに、自治会館の開放を支援する、4.民間の力を借りて福祉施設や保育園などを運営し、サービス内容を充実させるという、これら4つのシンボル事業を重点的に実施し、公共施設の再配置は一概にサービスの低下を招くものではないことを市民にアピールするとのことであった。
 また、函館市と秦野市との比較では、函館市の市民一人当たりの建物面積は秦野市の1.86倍あり、秦野市が40年間で346億円の財源不足と試算し、ハコモノ面積の31%を削減する目標を立てていることを考えると、函館市では34.3%の面積を削減する必要があるということが示された。
 函館市としては、今後の少子高齢化、生産年齢人口の減少を考えると、早急な対応が必要と再確認したところである。

 


10月30日 浜松市調査

<所見>

 浜松市は人口約80万人、面積は1,500平方キロを超え、全国2位の市域を有している。また、平成17年7月に3市8町1村が合併し「新浜松市」となり、平成19年4月には政令指定都市へ移行した。
 浜松市において、人件費を除く公共施設運営にかかる経費は年間約200億円、維持管理ベースでは約80億円である。また、公共施設の改修、建て替えにかかる経費を試算する(60年で建替え)と年間250億円かかることが明らかになったが、実際に毎年の新築改築、改修は年間90億円に過ぎない。つまり、施設を3分の1程度に減らさなければ実質維持は困難であると言える。
 このような状況下で、平成19年に保有財産の抜本的な見直しに着手した。
 「『財産管理』から『資産経営』へ」をキーワードに、資産経営推進会議の設置や資産経営推進方針の策定、品質・財務・供給情報などのデータの一元化、職員研修などに取り組んだ。
 資産経営推進方針の基本方針では、1保有財産(土地・建物)の縮減と効率的な施設運営、2既存財産の戦略的な有効活用の推進、3安全で快適に利用できる施設やサービスの提供を明記。
 さらに、浜松市では一元化されたデータをもとに施設評価を行った。所有する全2,001施設のうち、平成21年度と23年度の2期にわたる評価の結果、合わせて191施設で管理主体変更(公共施設としては実質廃止)、171施設が廃止となった。
 その後、施設評価で継続、移転・廃止となった施設を対象に「浜松市公共施設再配置計画」を策定。この計画では設置目的や所管別ではなく、施設機能で分類し、全庁での組織横断体制の確立、意識改革、財産改革を行い、「人、カネ、モノ、行政サービス」の再編を目指した。
 「施設の総量は減らすが、機能は残す。要らないものは整理し、必要なものは動かしていく」。浜松市では、自治体で保有している資産を把握した上で、総量は縮減する。さらに、不要な土地、建物は処分、解体。また、遊休財産は利活用、保有し続ける資産は最適化と長寿命化を図るといった総合的な自治体経営を行っている。
 函館市においても5市町村による合併都市であること、広い市域を有していること、財政状況が厳しいことなど同様の課題を抱えている。公共施設だけでなく、函館市が保有している資産全体を総合的にとらえ、活用を目指すという戦略の必要性を感じた。

 
 
 
 
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