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平成23年度教育行政執行方針

公開日 2016年02月09日

更新日 2021年12月14日

 

  平成23年度教育行政執行方針

 

  1   豊かな人生を支援する生涯学習の充実
       
  2   子どもの「生きる力」を育む学校教育の推進
       
  3   子どもの健やかな成長を支える環境の整備

 

 

  平成23年度の教育行政執行につきまして,函館市教育委員会の基本方針を申し述べます。


 函館の新しい時代を築くために教育の担う役割は極めて大きく,子どもから大人まで,一人ひとりの市民がもっている力を最大限に発揮しながら幸福を実感し,それを次世代に引き継ぐことができるよう,本市の教育の充実を図ることが重要であります。

 このため,すべての人々が人生の各段階において,多様な目的をもって学ぶことができる生涯学習社会の実現に向けて,あらゆる機会,あらゆる場所において学習することができ,その成果を適切に生かすことのできる環境づくりに努めてまいります。

 なかでも,人間形成に重要な役割を果たしている学校教育については,子どもたちが将来にわたって豊かな人生を営んでいくために不可欠な学力,体力,道徳性を養うための教育活動の充実を図るとともに,学校・家庭・地域社会が各々の役割を果たしつつ一体となって,地域ぐるみで子どもたちの育ちを支える教育を推進してまいります。

 以下,教育委員会として3つの重点目標を掲げ,取り組みを進めてまいります。



 第一は,豊かな人生を支援する生涯学習の充実であります。

 人生80年時代を迎え,市民一人ひとりが,生きがいとゆとりのある人生を過ごすためには,生涯にわたり,学習活動を通して自らを高め,その成果を生かすことのできる社会を実現し,心身ともに健やかでうるおいのある生活を営んでいくことが大切であります。

 このため,関係機関等との連携を深めながら,あらゆる場を活用して多様な学習情報を提供するなど,市民の自主的な学習活動を支援するとともに,さまざまな生涯学習事業を企画・実施し,生涯にわたりいつでも学習できるよう,その充実に努め,学習活動の活性化を図ってまいります。

 また,文化芸術活動を通して豊かな感性を養い,創造性を高めるため,市民の自主的な文化芸術活動を促進するとともに,地域の歴史を学び,郷土を愛する心と誇りを醸成するため,貴重な文化遺産の保存・活用を図るほか,スポーツ活動を通して楽しさや感動を味わい,健康づくりに取り組むことができるよう,市民だれもが身近にスポーツに親しめる環境の充実に努めてまいります。

 第二は,子どもの「生きる力」を育む学校教育の推進であります。

 学校教育におきましては,次代を担う子どもたちが,これからの社会において必要となる「生きる力」を身に付けるため,確かな学力と豊かな心,健やかな体を育むための調和のとれた教育活動を推進していくことが重要です。

 また,子どもが自他の生命を尊重し,互いのよさや可能性を認め合いながら,一人ひとりの個性や能力を発揮するとともに,函館ならではの特性を生かし,創造性に富んだ教育内容を充実していくことが大切であります。 
 このため,「函館市義務教育基本計画」に基づき,学校・家庭・地域が「対話」と「協働」を基調としながら手を携え,地域と共に子どもたちの「生きる力」を育む学校教育の推進に努めてまいります。

 第三は,子どもの健やかな成長を支える環境の整備であります。

 近年,子どもたちを取り巻く環境は大きく変化しており,核家族化や少子化,地域における人間関係の希薄化などにより,家庭や地域の教育力の低下が指摘されるなか,子どもたちが社会性や協調性を養い,豊かな人間性を育み,良好な人間関係を築いていくことが求められています。

 また,インターネットにおける情報の氾濫などが,子どもたちの生活に深刻な影響を与えていることから,家庭・地域・学校が一体となり,社会全体で子どもたちに目を向け,その安全を守り,成長を支えていくことが大切であります。

 このため,家庭・地域・学校,関係機関がそれぞれの機能を発揮し,その役割を果たすとともに,相互に連携を図りながら,子どもや若者の居場所づくり,非行防止活動などに取り組み,子どもたちが心身ともに健やかに,たくましく成長するための環境づくりに努めてまいります。

こうした重点目標のもと,教育委員会として取り組む主な施策について申し上げます。

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1 豊かな人生を支援する生涯学習の充実


 一点目は,豊かな人生を支援する生涯学習の充実のための施策であります。 

 市民が,生き生きと幅広く学び続けることができるよう,「まなびっと広場」の一層の普及・拡大を図るとともに,高等教育機関や民間が行う生涯学習関連事業との連携を深め,多彩な学習機会の場と情報の提供に努めます。

 また,市民の自主的で持続的な学習活動の場を広げるため,「生涯学習リーダーバンク」の活用をより一層促進するとともに,学んだ成果を生かす場として,市民自らの企画・運営による「まなびっと体験講座」の充実を図ります。

 さらに,子どもたちに職業体験や生活体験を通して,働くことの楽しさや大変さ,社会の仕組みを学んでもらうことを目的とした「はこだてキッズタウン」を実施するとともに,ふるさと函館についての理解を深め,郷土愛が育まれるよう,本市の豊かな自然や地域の特性を学ぶ体験活動を実施します。

 また,高齢者を対象とした事業の充実を図るとともに,クラブ活動や自治会活動などの支援に努めます。

 文化芸術の振興につきましては,小・中学校などに芸術家等が出向き,子どもたちに文化芸術のすばらしさや楽しさを体感してもらうことを目的とした「文化芸術アウトリーチ事業」を拡充するとともに,市民の自主的・創造的な文化芸術活動の支援に努めます。

 また,函館市文化団体協議会など各種団体との連携を深め,活動を行う環境の整備・充実など,地域に根ざした文化芸術の振興を図ります。

 文化財につきましては,国宝「中空土偶」を常設して地域の歴史や文化を広く紹介し,縄文文化の発信や交流の拠点となる「縄文文化交流センター」を10月にオープンするとともに,史跡垣ノ島遺跡の保存に向けた取り組みを進めます。

 また,伝統的建造物につきましては,引き続き修理への助成などを行うとともに,国の重要文化財である旧函館区公会堂の改修に向けた調査を実施するなど,歴史的な町並みの保護・保存に努めます。

 中央図書館におきましては,さまざまな分野の多様な資料の収集,提供,収蔵に努めるとともに,絵本の読み聞かせなどボランティアの協力による普及・啓発事業や,貴重な古文書等をデジタル化して資料の公開の充実を図る「デジタルアーカイブ事業」など,各種事業に取り組みます。

 博物館におきましては,伊勢神宮と北海道のかかわりを紹介する特別展を開催するほか,より一層市民や観光客のニーズに応えるよう常設展示の充実を図るなど,各種事業を実施します。

 また,南茅部公民館の耐震診断を実施するとともに,椴法華総合センターにつきましては,バリアフリー化等の改修を実施し,利用者の利便性の向上を図ります。

 スポーツの振興につきましては,市民が身近にスポーツに親しめる生涯スポーツ社会の実現に向け,総合型地域スポーツクラブの育成・支援やハーフマラソン大会の充実に取り組むとともに,フルマラソンの検討を進めるほか,競技力の向上をめざし,函館市体育協会など各種スポーツ団体との連携を図ります。

 また,市民のスポーツへの関心や意欲を高めるため,函館市文化・スポーツ振興財団と連携を図り,プロ野球やJリーグの公式戦の開催を支援するとともに,スポーツ合宿の誘致を進めます。

 スポーツ活動の拠点施設である市民体育館につきましては,基本計画を策定するなど,新たな整備に向けた取り組みを進めます。
 
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2 子どもの「生きる力」を育む学校教育の推進


 二点目は,子どもの「生きる力」を育む学校教育の推進のための施策であります。

 家庭や地域と連携した信頼される学校づくりにつきましては,特別支援教育支援員や小学校外国語活動サポーターなど,地域住民の支援による教育活動の一層の充実を図るとともに,幼稚園,小・中学校,高等学校の校種を超えた近隣学校間の情報交換や,地域公開授業などの教育活動の積極的な情報発信を促す取り組みを進めます。

 学力の向上につきましては,児童生徒の学力の状況を的確にとらえ,課題の解決に向けた指導の工夫や改善を行うため,引き続き,小・中学校において,標準学力検査を実施するとともに,公開授業を通して授業改善の方策を発信する取り組みや,家庭における生活習慣や学習習慣の定着を図るための呼びかけ,地域人材の活用や地域における体験学習の一層の充実に努めます。

 さらに,教育内容を確実に身に付けるために,新しい教科書における実験や観察,発表などの体験的な学習に応じた教材・教具の整備や,中学校における武道など新しい教育内容への対応に取り組むとともに,新学習指導要領の趣旨に基づいた適切な教育計画が実施されるよう,研究協議会や学校訪問を通じた各学校への支援に努めます。また,子どもの自主的な学習機会を保障し,地域住民が学びを支援する体制づくりについて検討を進めます。

 南北海道教育センターにおきましては,新教育課程の指導内容に応じた各種研修講座の一層の充実を図り,教師の指導力の向上に努めます。

 特別支援教育につきましては,特別な支援を必要とする子どもなどの日常生活や学習を支援する特別支援教育支援員を活用し,一人ひとりの教育的ニーズに応じた適切な支援の一層の充実に努めます。 豊かな心の育成につきましては,生命尊重や思いやりの心,規範意識や社会性などを育むため,多様な体験活動やよりよい人間関係を醸成する教育活動を推進するとともに,道徳の時間を要とした道徳教育の一層の充実に努めます。

 いじめや不登校につきましては,その要因や実態がますます多様化していることから,不適切な書き込みなどを監視する「ネットパトロール」を継続するとともに,学校における定期的なアンケートや教育相談の実施などによる実態把握を促し,学校・家庭および関係機関との連携強化を図りながら,問題の早期発見・早期対応に努めます。

 健やかな体の育成につきましては,進んで運動する楽しさや喜びを体得できるような指導の充実を図るほか,家庭への啓発や地域との連携を図りながら,子どもたちの望ましい食習慣などを育む食育や,性や薬物に関する指導の充実に努めます。

 子どもの安全確保につきましては,引き続き,関係機関や団体との連携を図るとともに,子どもが自ら身を守る力を育成するための防犯教室の実施や,あらゆる災害を想定した危機管理マニュアルや地域安全マップの見直しなど,学校における安全体制の一層の充実に努めます。

 学校給食につきましては,衛生管理を徹底し,食の安全の確保に努めるとともに,これまで以上に地産地消を推進します。

 国際理解教育につきましては,海外からの青少年交流団の受け入れや留学生との交流活動などの推進,「中学生海外派遣事業」の実施,外国人英語指導助手や小学校外国語活動サポーターの効果的な活用に努めます。

 小・中学校の再編につきましては,平成20年度に策定した「函館市立小・中学校の配置についての基本指針」に基づき,活力ある教育活動の展開をめざす小・中学校再編計画の策定に取り組みます。

 市立函館高等学校につきましては,単位制の教育課程を生かし,一人ひとりの進路目標を実現する教育活動の充実を推進します。

 学校施設の整備につきましては,校舎および屋内運動場の耐震化を推進するとともに,弥生小学校新校舎の整備を進めるほか,引き続き,学校トイレの改修などに取り組みます。


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3 子どもの健やかな成長を支える環境の整備


 三点目は,子どもの健やかな成長を支える環境の整備のための施策であります。 

 家庭は,子どもたちが生活に必要な習慣を身に付け,調和のとれた心身を育む場であり,教育の原点であることから,子どもの基本的な生活習慣や学習習慣を確立するため,親として子どもへの接し方を学ぶ「家庭教育セミナー」を開催するとともに,PTAや関係機関と連携し,保護者を対象とした研修会等を通して健康増進や情報モラルなどについて意識啓発を図り,家庭の教育力の向上に努めます。

 地域におきましては,スポーツ少年団をはじめ,子ども会や青少年団体など,地域で子どもたちを育てている活動団体への支援や連携に努めます。

 また,「放課後子どもプラン」の推進につきましては,子どもの活動拠点を設け,地域住民との交流活動などの取り組みを進める「放課後子ども教室推進事業」の充実を図るとともに,働く親の子育てを支援し,子どもたちに生活の場を提供する「放課後児童健全育成事業」では,弥生小学校新校舎に学童保育所の専用施設を併設するほか,学校の余裕教室等の活用に取り組みます。

 青少年の非行防止につきましては,携帯電話の普及などにより,薬物乱用や性非行の広がりが懸念されることから,問題行動を未然に防止し,早期に適切な措置を講ずるため,学校や保健所,警察など,関係機関との連携を強化し,地域が一体となった社会環境の浄化に努めるとともに,青少年の健全育成の観点から,高校生など若者の居場所づくりに取り組みます。


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 以上,平成23年度の教育行政執行にあたっての基本方針を申し述べました。

 グローバル化が進み,競争と技術革新が絶え間なく生まれるなか,市民一人ひとりが未来を拓き,力強く社会を担うことができるよう,成長の各段階において質の高い教育を提供することがますます重要となっております。

 また,本市に受け継がれてきた伝統や文化を継承し,新しい時代に引き継いでいくとともに,だれもが学ぶ喜びを実感できる学習機会を充実することが大切であります。

 教育委員会といたしましては,市民一人ひとりが生き生きと学び続け,豊かな人生を送ることのできる環境整備の実現と,未来を担う子どもたちの健やかな成長のため,今後とも,市民と協働する教育行政の積極的な推進に努めてまいります。

 ご理解とご協力をお願いいたします。


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