公開日 2018年01月10日
更新日 2022年03月04日
平成21年4月の旧くらし支援室の開設から法律の専門家の協力を得て,函館にお住まいの多くの方々の債務整理と生活再建に向けた道筋をつけることができました。その相談事例の一部を紹介します。
なお,相談者のプライバシー保護のため,内容の一部を修正しております。
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離職後不安定なパートで働くAさん(50代女性)の場合
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20年以上もご主人に内緒で借金を返済し続けてきたBさん(60代女性)の場合
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2人のお子さんの教育費のために多額の借金を負ったCさん夫婦(50代)の場合
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名義貸しによる借金を放置し,給与を差し押さえられそうになったDさん(20代男性)の場合
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冬の低収入を借金でまかなってきたEさん(30代男性)の場合
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住宅ローンやその他の返済で雪だるま式に借金が増えたFさん(40代男性)の場合
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古い借金の請求を受けたGさん(30代男性)の場合
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洋服好きが高じてローンが払えなくなったHさん(20代女性)の場合
※これはあくまでも事例であり,解決の方法は個々のケースにより異なります。まずは函館市役所「くらし安心課」にご相談ください。
借金問題専用ダイヤル 0138-21-3160
(1) 離職後不安定なパートで働くAさん(50代女性)の場合
【相談前】1年前に離婚してから,月7万円のパート収入で生活してきたAさん。持病の薬代,月4000円が払えないため種類を減らしてもらっています。勤務先の事情で1か月休業になったときクレジットカードでキャッシングしたのがきっかけで,毎月の不足分を借りるようになりましたが,支払いがどんどん増えて今月の請求は8万円,とうとう払えなくなってしまいました。水道代も滞っており,お金のことを考えると夜も眠れず死にたいと思うようにさえなりました。保健所の電話相談で精神科の受診をすすめられましたがお金が無いため行くことができません。体調が悪く仕事を続けられるかどうか不安になり,堂々巡りでどうしたらよいかわからず相談に来られました。
【相談後】くらし安心課の相談員が一緒に,堂々巡りに思えるAさんの現状を整理しました。まずは生活を安定させることが先決なので,生活保護相談へ案内したところ,審査を経て,仕事を続けながら生活費の不足分を受給できることとなりました。すぐに精神科を受診し,うつの薬を飲み始めると,ぐっすり眠れるようになったそうです。借金についても,くらし安心課の同行で弁護士に相談し,破産の手続きをお願いしました。半年後には手続きも終了し,お金のことでの心配は一切なくなりました。光熱費が滞ることも,食事に困ることもありません。
うつの症状には波があるようですが,焦らず治療を続けていくとおっしゃっていました。
(2) 20年以上もご主人に内緒で借金を返済し続けてきたBさん(60代女性)の場合
【相談前】20年ほど前,ご主人の給料が滞りがちだったせいで,クレジットカードでキャッシングを始めたBさん。その後ご主人は勤めを辞めて自営を始めましたが,カードのことをずっとご主人に内緒にしていました。数年前にカードが使えなくなり,返済のみとなってからも月10万円程度をBさんの給料から返してきました。しかし今年定年退職したため返せなくなり,思いつめた様子で相談に来られました。
【相談後】20年間も高い金利で借入をしてきましたので,過払いが発生している可能性が大きく,くらし安心課の案内で司法書士事務所に行き,任意整理を依頼しました。整理の結果,払いすぎた金利で借金はなくなり,350万円の過払い金が戻りました。それにより,長年カードの返済に追われて滞納していた国民健康保険料を一括で払い,ご主人の国民年金も加入年数が足りなかったのですが,追納して資格を得ることができました。もっと早く相談していればよかったと悔やまれると同時に,ずっと気になっていた年金や健康保険料の件が解決してほっとしましたと笑顔でおっしゃっていました。
(3) 2人のお子さんの教育費のために多額の借金を負ったCさん夫婦(50代)の場合
【相談前】Cさん夫婦は共働きで2人の息子さんを育てていましたが,高校卒業後の教育費をとくに準備してこなかったため,それぞれ札幌と道外の専門学校で学ぶための入学金,授業料,寮費などすべてローンで組むことになってしまいました。すでに組んでいた住宅ローンに加え,2人分の教育ローンの支払いは苦しく,返済のための借入を繰り返し,くらし安心課に相談に来られたときには,一体全部でいくらの借金を背負っているのかもわからない状況でした。
【相談後】くらし安心課の職員が一緒に請求書類を見ながら書き出したところ,住宅ローン以外に夫婦で1600万円の借金を背負っていることがわかりました。いくら共働きとはいえ,分割でも支払いきれる額ではありません。くらし安心課の同行で弁護士に相談したところ,収入が一定しており,財産となるもの(退職金見込み額,生命保険,住宅など)も多いため,住宅ローンを残したまま債務を圧縮できる個人再生をアドバイスされ,手続きを依頼しました。相談前には住宅ローン以外に月43万円もあった返済が8万円程度に圧縮され,3年間かけて支払っていくことになりました。教育費を計画的に準備しなかったために大変な思いをされましたが,定年までには借金もなくなり,退職後にむけて備えていくこともできるでしょう。これからも2人で頑張って働きますと決意を語ってくださいました。
(4) 名義貸しによる借金を放置し,給与を差し押さえられそうになったDさん(20代男性)の場合
【相談前】4年前,お金に困っている友人から「カードを貸してほしい」と頼まれ,軽い気持ちで消費者金融3社のカードを作って渡しました。初めは友人が返済していたものの,たちまち行き詰まり,Dさんに請求が来るようになりました。友人と話し合っても対応が不誠実だったため,馬鹿らしくなってそのまま放置し,アルバイトを転々としてきたDさんでしたが,正社員としてやり直そうと就職した矢先に裁判所からの呼び出しを受けました。
【相談後】カードを他人に貸すことは禁じられており,又自分で使っていなくても返済義務はDさんにありますので,Dさんが支払いを求められるのは当然です。くらし安心課で収入や支出を聞き取ったところ,生活するのに精一杯で分割払いするのは難しい状況でした。しかしこれ以上放置すれば給与差し押さえを受けかねず,せっかくの職を失いかねません。原則として名義貸しは自己破産において免責(支払いを免除すること)されませんが,くらし安心課がDさんに同行し,弁護士に相談したところ,Dさんが深く反省していること,やり直したいと現在の仕事にまじめに取り組んでいることを説明することにより,免責されることもあるとのことでした。その後手続きを弁護士に依頼し,Dさん自身も裁判所で反省と決意を語り,免責されることとなりました。これで給与を差し押さえられる心配もなくなり,Dさんは今までにも増して仕事に精を出していらっしゃるようです。
(5) 冬の低収入を借金でまかなってきたEさん(30代男性)の場合
【相談前】建設現場で働くEさんの収入は毎年冬に激減するため,本来は夏の収入から冬用に貯めておかなくてはならなかったわけですが,夏の収入に合わせて生活し,冬の生活費を借入でまかなうスタイルを続けていました。債務が300万円近くになった頃,Eさんが怪我で休業し,毎月の返済が滞ったことで相談に来られました。
【相談後】自己破産を覚悟されていましたので,弁護士に整理をお願いすると同時に,ただ借金が消えても生活スタイルを変えなければ又どこかから借りなければ生活できなくなってしまうことを話し合いました。小中学校に通うお子さんたちの就学援助の手続きをし,それでもEさんひとりの収入ではお子さんが数年先に高校に入れば生活していけないことから,奥さんの就労を勧めました。又,家計簿をつけお金の出入りをしっかりつかむことも確認しました。まもなく弁護士による整理で過払い金が戻る事がわかり,破産しなくてもよくなりましたが,奥さんは仕事を始め,家計簿もずっとつけているそうです。臨時出費のあるときは実家の援助も受けつつなんとかやりくりしているとのこと。お子さんたちの教育費がふくらむ年頃になる前に生活が建て直せて良かったとほっとされています。
(6) 住宅ローンやその他の返済で雪だるま式に借金が増えたFさん(40代男性)の場合
【相談前】 Fさん夫婦は6年前に結婚しましたが,Fさんには結婚前から住宅ローン(月8万円返済)とカードローン(月5万円返済)があり,月収17万円のほとんどが返済に消えてしまうため,生活費をカードに頼る毎日でした。3年前に親戚が350万円貸してくれて一度カードを清算したのですが,親戚に分割返済すると,やはり生活費が足りず,又あっというまにカード借入を増やしてしまいました。その間子どもも2人生まれ,生活費は以前よりかかるし,奥さんも働こうと考えるのですが,ストレスから体調を壊してしまい,相談に来られたときには,住宅ローン以外の借金が700万円にもなっていました。
【相談後】当初は家を残したい気持ちが大きかったのですが,17万円の月収から8万円の住宅ローンを払い続けること自体に無理があること(更に家を残すとなれば他の借金も払わなくてはならない)から家を手放すことを考えました。くらし安心課の同行により弁護士事務所で自己破産手続きをお願いすると同時に,破産すればローン中の自動車を引き上げられ仕事に支障をきたすことから,勤務先の社長に相談し,会社の車を貸してもらうことになりました。又,自動車免許の無い奥さんが将来的に働きに出ることも考え,引っ越し先は交通の便のよいアパート(月5万円)にしました。
自己破産により借金の返済が無くなったため,アパート代を払っても月収内で生活できるようになりました。ずっと体調の悪かった奥さんですが,借金がなくなって安心されたのか,すっかり元気になられたようです。
今は小さい子どもたちも,学校に通うようになると教育費がかかることから,パートの仕事を探していると生き生きと話してくださいました。
(7) 古い借金の請求を受けたGさん(30代男性)の場合
【相談前】Gさんは6年前,出稼ぎ先で消費者金融X社から30万円ほど借り,半年ほど返済していましたが,失業し返せなくなり放置していたところ,今年になってY社に債権譲渡され,更にZ社に債権譲渡されたという通知が届きました。その後,Z社からは,元金と遅延利息合わせて80万円近い金額を請求され,払わなければ訪問するとも書いてありました。現在は親元に暮らしているため,分割でなら返済も可能ですが,Z社に払った後,X社やY社から請求されるのではないかと不安で相談に来られました。
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【相談後】 分割払いの交渉は自分ですることも可能ですが,不安や懸念があるのであれば専門家に任せた方がよいのではないかと話し合い,くらし安心課の同行で司法書士事務所に相談に行きました。そもそも6年間支払っておらず,裁判所の書類なども届いていないなら時効も考えられると言われましたが,記憶が曖昧なようでした。
時効になっていなければ分割で支払うことを前提に,まずは司法書士事務所で取引履歴を取り寄せてもらったところ過去5年間取引なしとの内容だったため,時効援用手続き(時効が成立していることを内容証明郵便で相手に送ること)を行ってもらい,業者には支払わなくてよいことになりました。「5年を過ぎていても,一度でも払ってしまったら時効にはなりません」という説明を受け,先に相談してよかったとほっとされていました。
(8) 洋服好きが高じてローンが払えなくなったHさん(20代女性)の場合
【相談前】高校卒業後正社員として就職したHさんは,お給料がもらえるようになったのが嬉しく,大好きな洋服を次々にクレジットカードで買うようになりました。引き落としのお金が足りないことが出てくるとキャッシングも利用するようになり,2年目には毎月返済に追われる状態になっていました。仕事もうまくいかなくなり,転職,アルバイト生活になると,ますます返済が苦しくなり,行き詰って相談に来られました。
【相談後】相談時には借入額は150万円になっていたため,任意整理をしても月に4万円程度は返済しなくてはならず,アルバイトのHさんには返せる確証がなく,自己破産も視野に入れました。しかし,Hさんにはちょうど正社員に登用される話があり,できれば自己破産を回避したいという思いがありました。そこで思い切って両親に打ち明けたところ,協力すると言ってくれたことから,弁護士に任意整理を依頼することにしました。月4万円の返済は大変ですが,節約できるところは節約し,臨時の出費のあるときには両親にも相談しながら,3年後の完済に向けて頑張っていらっしゃいます。
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